運命の目覚め

超次元の辺境、小ぢんまりとした研究所─────

ハール「───待てアルク、その姿はなんだ……何故そのような姿になった!?(研究所から退こうとするアルクの二の腕を掴んで引き止める)」

アルク「───ッ(腕を掴まれ、敵意を含んだ憤怒の顔をハールに向ける) ……邪魔だ、退け(紅い気動をもう片方の肘に纏わせ、肘打ちをハールの胸部に突き込む)」

ハール「おいアル───ッッッ (肘打ちを打ち込まれた部分から音が鳴り、激痛に悶え腕を離す)ぐッがあ゙あ゙あ゙あッ!!ぬ゙ぅっ、ゔ……アル、グ……!!(地に伏して胸を押さえ目も霞む中、アルクの左手首にある"もの"に目が留まる)……そ、れは…………!!」

アルク「お前は『済んだ人間』だ、余計な事をされる前に───(右手に気を集め、高く掲げ) ───ここで死んでもらう(膝立ちになって気を溜めた掌をハールの頭へ打ち付け、皮を剥ぐかのような強さで頭蓋を掴み地面に押し込む)」

ハール「お、前……まさ……か…… ───(アルクの変異に対して思考を張り巡らす最中、地面に顔をめり込ませられ) な──────ガ゙(断末魔の後は、ピクリとも動かなくなった)」

アルク「(ハールの後頭部が地面と同じ高さになるまで頭を押し込んだ後、手を払い立ち上がる) さてと、こちらでやる事は粗方片付いた……早速“運命(Destino)”の計画を始めるとしよう───」



マーク「──────ムグ、モグ……(月が登る夜空の下、公園のベンチに凭れ掛かりホットドッグを食べている途中、左手首のオムニトリックスを天を仰ぐようにしてまじまじと見つめる)……(小包で突然送られてきたコイツ……何故送り主は俺の事を知ってたんだ……?)」

???「ザッ ザッ ……(腰に緑の服を縛り止め、深々と青のキャップを被った青年がマークの方向へ歩み寄ってくる) ザッ ザッ───(マークの真前に差し掛かったところで足を止め、少しキャップを上げマークを見るようにして)───やあ。君がマーク、テニスン……だね?」

マーク「ング……ンん?(ホットドッグを食べる手を止める)なんだアンタ、なんで俺の名前を知って───   ───な、(声の主の元へ顔を向け、その容姿を目にした途端に目口を開き愕然とした表情になり、手にしていたホットドッグが思わず滑り落ちる)」

???「(驚くのも無理はない───その姿はマークと同じジーンズ、同じ緑のジャケット、同じ顔、そして同じ腕時計をしている、正しく『クローン』の存在だった) ああ、君の事はよーく知っているよ。とある事情で、ね……(キャップを外し左脇に閉めておき、やや笑みを浮かべた顔でマークに語りかける)早速だけど、一つ君と話があってね……(表情を崩さないまま右手をマークに差し出し)」


???「私と共に、この世界を滅ぼさないか?


マーク「なっ、とある事情でってどういう……話?(焦りの表情で言葉を差し込もうとするが、すかさず青年に言葉を遮られ先程の発言を耳にし顔が凍り付く)───は?世界を……滅ぼす、だって……」

???「そう、我々の世界を蹂躙し焦土にしたこの醜悪たる地を凄惨たる手段で無に帰すのさ。そうする事で、ようやく私の復讐が───」

マーク「…… …… ……ッ(凍り付いた表情が段々強ばっていき、歯を軽く食い縛り青年を鋭く睨み付け) やめろッッ!!!(咆哮と共に右手を振りかぶり───)」

パァン!!! (青年の差し伸べた手を勢い良く叩く音が寒空に響き渡る)

マーク「……(憤怒の形相で青年を睨み続け) テメーが何を言ってるのかは知らねぇが、そんなアホみたいな話に付き合う気はねぇよ(強く言い放った後に拳と掌を突き合わせ、戦闘態勢に移る)」

???「……(手を弾かれ、腕を垂れ下げたまま瞠目する) ……フ、フフッ……ハハハハハハ!!(目を見開きつつ口を綻ばせ、右手でマークを指差し高笑いを上げる) 成る程、君の答えは『NO』だね。であれば───(言葉を発し終えた途端、霧の如くマークの眼前から消え失せる)」

マーク「……野郎ッ!!(右手と脚に蒼の気を加えダッシュの勢いをつけて青年へ殴りかかろうとする)───消えた!?(寸前、青年が霧散し急ブレーキをかける)チッ、何処行ったアイツ……!!(両腕に気を溜め、周囲を警戒していると──────)」


  ┣゛ ッ  ッ  (人に対しての蹴りとしては余りに鈍い音を出し、青年が気を纏った中段への跳び蹴りを放つ)


マーク「───ぐぼェ(衝撃は刹那の間に全身に廻り、赤い血を吐き出して低いアーチを描くように吹っ飛んで行く) ドッ ゴッ ズサァァァァ……(身体の節々を地にぶつけながら跳ね回り、顔面を地面に擦り付けて力が抜けたようにそこへ横たわる)──────(こ、こいつ……『強い』……ッ)」

???「(蹴りを入れた地点にそのまま着地し、腕を目一杯広げ余裕の表情で立ち尽くす)私は君を知っているのさ。君よりも……ね(『脇に締めていた』キャップをマークのいる方角へ放り投げる) さて、同じ姿だったら、別の名前が無いと私の事を呼びづらいだろう? そうだな……(腕を組み右手で顎を擦る仕草を見せ、少々時間が経ち右手で天を指差す)……『アルク』、という名前にしておこう」

マーク「───……ッ、フー……(血にまみれた顔を上げ、痛みに震えながらも中腰で立ち上がり、アルクの方を振り向く)……待て、ッ……テメー……何処に─── ドシャッ(最後の力を振り絞るように震え声を上げた後、力尽き顔面から倒れ臥す)」

アルク「───West・D・Land、蜃気楼の街……そこでもう一度だけ答えを聴く。回答がなければ私は即座にこの世を抹消する───では、さらばだ(マークに背を向けつつ言い放ち、そのまま闇へ脚を進めていく)」

マーク「───そこで……(───す) ……───お、前を……(───潰す) ───叩き……潰す……!!(アルクの方向へ顔を向け、殺気立った目つきでアルクを睨み倒す)」

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最終更新:2018年05月12日 04:59