吉永秀久「面白い人を求めて三千里」

――悪魔城――



吉永秀久「はいはーい善良なる市民の皆さん。天下に犇めく小悪党、吉永雅楽頭秀久でーす」


吉永秀久「この立派なお屋敷、誰がつけたかは知らないですが物凄くド直球な悪魔城とかいうお城に今、私は仮居候させて頂いておりまーす」


吉永秀久「居候しているからには、やはり代償というものがありまして」


吉永秀久「家主の機嫌を取るためにも週1で面白芸をやらなければならないとかいう理不尽極まりないモノの」


吉永秀久「それなりに優しい感じもする訳のわからん条件を頂きました。なんとか成功し続けています」


吉永秀久「そしてもう一つ。1ヶ月以内に悪魔城兵士を一人、面白くする事が私自身が提示した条件です」


吉永秀久「というわけでその面白くしてあげる可哀想で無愛想な輩を探してやりましょ―!」


―――――――2週間――――――



吉永秀久「皆、なんだかんだ濃いッッ!!!」


吉永秀久「我輩が想像していたのとちょっと違うゾ―!もっとこう、地味メガネでスマートフォンを見るときも首を直角に曲げるようなそういう輩だけだと予想したが、どうやら考えを組み直さなければならないようだ……」


吉永秀久「……うーむ……もう一度、ここの輩供と会話を弾ませよう。これでダメならばマロン殿に相談だ……」



ザァァァァァーーーー……



吉永秀久「やーやー門番殿。今日は快晴ですなー!お天道様もこの通り、貴殿の仕事を快く手伝っていますぞー!」


シェン「おじさん、眼科行くか?お天道様ガチギレもいいとこだぞ」


吉永秀久「しかしこのガチギレ天気の中でも貴殿は仕事か。悪魔城と呼ばれる古城の門前にて真面目な事この上なく、いやいやーいい部下いい部下」


シェン「相変わらず癖のある褒め方するよな―!隙あれば俺だってサボる。で、どうしたんだ?前回のポーカーは俺の勝ちで決まったろ。それ以上賭けるとなるとおじさんの服剥ぎ取ることになるぞ」


吉永秀久「アレは貴様がインチキした!」


シェン「よく言うよ……おじさんがアガリ札擦ったの俺見てたんだが?」


吉永秀久「き、貴様、なぜそれを!」


シェン「簡単なことだよ。”眼”が良すぎるんだよ俺は」ニシシ


吉永秀久「……それはそれとしてだ」


シェン「逃げやがった」



吉永秀久「貴様を―……と思ったが、既に貴様は面白い身分よなァ〜」


吉永秀久「門番として役目を果たしながらも其処に聳え立つ平屋で何をしているかと思えば漫画を読み漁っておる」


吉永秀久「度々聞くぞ、女子(おなご)にも困ることはないぞうだな、縁がないのは私生活の現れなのだろうが……」


シェン「急にどしたァ?いきなりディスり始めるのはよくないゾ―!」


吉永秀久「門番殿は既に人として面白味が強い。過去経緯は知らんが、門番という以上お嬢からも圧倒的信頼を勝ち得ていると見えよう」


吉永秀久「それならば門番殿をこれ以上難しくするのは……ブツブツブツブツ……スタスタスタ」


シェン「……??」




キャロル「う―☆アトミックボンバー!」


吉永秀久「妹君、テレビの前で何しちゃってんの?」


キャロル「寄宿舎に行った時のための修行だよ!」


吉永秀久「し、修行ゥゥ!?寄宿舎って泊まるところなのに修行必要なのォォォ―!?ぜって―私情だよね、悪党騙されないもんね!」


吉永秀久「姫君は面白みで出来た人間だ……最早話しかけることもなかったか……のう、ジゼル殿は今どちらにいらっしゃるかご存知かな?」


キャロル「今はキッチンじゃないかな。アプリコットティー作ってくれていると思うよ」


吉永秀久「よくわからんん横文字だが多分紅茶の類か。御意、ありがとう面白妹」


吉永秀久「村娘殿―、主婦の戦場に立ち入るつもりはないが少しよろしいかな〜?」


ジゼル「どうされました?どちら様」


吉永秀久「え?いくらなんでもひどくない?悪党流石に傷つくよ?」


ジゼル「不快の呼び方をしているのはそちらだ」


吉永秀久「悪党何も言い返せない」


吉永秀久「我輩が目論むに貴殿、面白くない」


ジゼル「……は?」


吉永秀久「家事全般オールオッケー!お嫁にしても恥ずかしくないねー、悪党もそういうお嫁さんが欲しい!」


吉永秀久「忠誠心、この上なく凄まじいねー!悪党、そういう部下欲しい!」


吉永秀久「でも村娘殿はあれかなー、濃いかって言われると違うと思うんだよネー」


吉永秀久「だからお嬢に提言した誰かを面白くする人材はジゼル殿でけって――」


ガシャーンッ!


リズ「ジゼル―!」
ジゼル「はいただいまッ!」


ズ オ 了 ァ ッ !


吉永秀久「……」


吉永秀久「なんか、スーパーカーが目の前を通り去るぐらいの速度であの人お嬢の元に駆け込んだんですけど。異常なほどお嬢のこと好きなんですけど」


吉永秀久「前言撤回だ。あいつ隠し持ってた。めちゃくちゃ面白いの隠し持ってた」


吉永秀久「うーん……魔女殿は我輩ではどうにも出来ん。あーいうのは本当に選ばれたような人間でもなければ心は衝き動かす事は出来ぬ」


吉永秀久「妖魔の元にでも…………」


クイント「んっふォォ――!!!キャー!見てくださいよおじさんおじさん!この男同士でも接吻……ヒャーーーッッ!」


吉永秀久「うっわー!キモい!我輩別にそういう趣味にどうのこうの言わないけど、そういうの無理!理無理無!」


吉永秀久「何、そういうの見るのが好きなの?とっつかまえたりしないの?」


クイント「捕まえても大抵壊れちゃいそうですよねー。私はお師匠の実験台としても利用されていますのでこれでも若干のストレス発散の為にそりゃもうグヘヘ」


吉永秀久「そ、そっか……」


吉永秀久「あと話しかけられるのは……お、いたいた!」


吉永秀久「お い たぁぁ―ん!小悪党今暇なんだー、構って構って―!」


エディ「スタスタスタスタ……」


吉永秀久「ちょっとォォ―!すぐ逃げることはないだろう!我輩と面と向かって話してくれ!」


エディ「話す必要がないだろ、どうせ誰か一人をリズ視点で愉快な人間にしたいが為に動いているんだ。俺をアタルのは小門違いだ」スタスタスタ


吉永秀久「そ、そんなぁ〜……エディえも〜〜〜ん……」


クイント「あれれ〜?吉永さん、エディさんのこと逃しちゃっていいんですか〜?他にいないですよーあの人材」


吉永秀久「よせ、あの手の美少年は我輩のような小悪党と組むこともなく己の人生を謳歌しているに違いない……手の届かぬ人材よ:


クイント「それはどうかな?」ズァッ


吉永秀久「なんなんだよその立ち方」


クイント「あの人は狼寄りですからね〜。キャロルとは仲良いんでしょーけど―。寂しそうな人相とか風貌、気づきませんか〜?」


吉永秀久「……斯様な男子にして、意中がおらんとでも?」


クイント「それどころかお友達も少なさそう、可哀想可哀想、人参くれればもっと優しくしてあげるんですけどねー」


吉永秀久「普段が孤独にして、裏もまた孤独か……そこには独りの戦士。そしてもう一つ、孤独が積み重なれば……」


吉永秀久「……色を知ったエディの、豹変か」


クイント「……どしたんですか?」


吉永秀久「……いーや……ただ、我輩のこの課題は……」


吉永秀久「エディ殿で決まりだということだ」

さて、悪の序章の準備を始めよう。
まずは幕は貴様からだ、エディ殿

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最終更新:2017年11月24日 00:06