眼持ちし者

分岐、認識。()

余剰、投与。()

安定化、確認。()

ようこそ世界、さようなら世界。



無数の産声と、無限の断末魔が響き渡る。

永劫とも識れぬ闇と光の只中に、”それ”はいた。

開闢の瞬間を無限に繰り返す”そこ”に、”それ”は在った。

無限の死と、無限の誕生を見る”もの”が、”それ”だった。

”それ”は世界の総てを見通した。

折れた枝の先(へいこうせかい)

伸び続ける木の幹(かのうせい)

先の潰れて枯れ行く大樹(せかいのおわり)



閉じる、開く、また開いては閉じる。

永劫輪廻、あらゆるものを見通す”目”が。

時に歓び、時に嘆き、けれども世界を見通し続けた。

世界は巡りゆく。

無限に無間を揺蕩うように。

ここは総ての世界を見通す世界。



彼女は ”目”だった。



そして、彼女は”目”から生まれ落ちた。

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最終更新:2018年12月09日 17:03