液体の気化には、液体が直接気化する「沸騰」すなわち相転移現象と、気液界面における「蒸発」すなわち相平衡現象が存在する。
沸騰は、液体が沸点に達した時に初めて起こる現象だが、蒸発はいかなる温度でも起こる。
沸騰石は多孔質であるため、多くの空気を保持している。つまり、液体内の沸騰石は、比熱が低く熱しやすい空気との気液界面を作っているといえる。
したがって、沸騰石が液体内にあるときには、液体内部からの直接的な沸騰による気化だけはなく、孔内における蒸発による気化が可能となる。
この時、沸騰石の孔内から発生する水蒸気は、気泡となって水面へと浮かぶ。これは実質的な沸騰と言えよう。
つまり、水温が沸点に達する前に気体(水蒸気)が発生し、それによって液体が撹拌され、
過加熱といった現象が起こりにくくなる。これが、沸騰石を入れると突沸が起こりにくくなるメカニズムである。
ゆえに、孔内に空気を保持していない使用済みの沸騰石を入れても、上記のメカニズムは発生しないため、突沸が起こってしまうのである。
最終更新:2015年04月23日 00:30