2009-08-23

姨捨駅から善光寺平を眺める
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姨捨(おばすて)駅



とても気持ちよく晴れた夏の週末の一日に、篠ノ井線の姨捨駅(長野県千曲市)まで写真を撮りに行ってきました。誰かさんに影響されて、つい買ってしまったGR DIGITAL II の初陣でした。

駅のホームからは、眼下に善光寺平(長野盆地)が広がります。姨捨駅付近の車窓は、根室本線狩勝峠(現在は廃線)、肥薩線矢岳と並ぶ日本三大車窓のひとつです。

棚田も見えます。田植えのころの夜景では、水田にたくさんの月が映ってとてもキレイなのだそうです。



駅からすぐのところに姨捨公園という展望台がありました。



Wikipediaによると、姨捨駅の駅舎は昭和2年に完成したもので、大正デモクラシーの時代の設計によるものだそうです。

青春18きっぷ

移動には青春18きっぷを利用しました。通常は名古屋発中津川行きの中央線快速が、「ナイスホリデー木曽路」塩尻行きとして延長運転されていたので、それを利用しました。塩尻駅からは、長野行き普通に乗り継いで、姨捨駅まで5時間ほどの道のりでした。

塩尻駅南側の写真です。左に伸びる線路は新宿へ向かう中央東線、右に延びる線路は名古屋へ向かう中央西線です。塩尻駅は中央東線(新宿⇔塩尻)と中央西線(名古屋⇔塩尻)の分岐点なのです。

ところで、冒頭のパノラマ写真の中で、若い女性がベンチで足を伸ばしていたのにお気づきでしょうか? この女性は、塩尻駅で乗り継いだ長野行き普通の向かい側の席に座っていた方でした。20代の女性が、電車の中でバッグから時刻表を取り出して熱心に見ていたことにちょっとビックリしたので、姨捨駅で見かけて、すぐにそうだとわかりました。

こっそりモデルになってもらいました。帰りの電車もずっと同じだったので、どうやら彼女も、名古屋から写真を撮りに来ていたようです。古いけど、とてもよく手入れされた感じのPENTAXのフィルムカメラを愛用しているようでした。

スイッチバック

姨捨駅は、スイッチバックという特殊な配線を持つ駅です。

傾斜した線路の途中に駅を作るのは、蒸気機関車時代にはとても大変なことでした。下り坂で停車すると、ブレーキの故障で列車が勝手に動き出してしまう危険があります。上り坂では、いったん停車すると、非力な蒸気機関車では再度発進することができません。そのため、傾斜した本線から分岐線を水平に伸ばし、そこに駅を設けました。それがスイッチバックです。

上の図は、姨捨駅の配線の模式図です。右下向きの矢印は長野駅方向、左上向きの矢印は松本駅方向で、これが本線です。水平面の右側に姨捨駅のホームが、左側に引き上げ線があります。姨捨駅の引き上げ線は、実際には本線と同じ勾配(25‰)になっています。鉄道の勾配は百分率(%)ではなく、千分率(‰:読み方はパーミル)であらわします。25‰は、1000m進むたびに25m上昇することを意味します。

左上から来た長野行き普通は、本線から姨捨駅のホームに入り、客扱いのあとに後進し、引き上げ線に入ります。その後、長野に向けて下り坂を下っていきます。右下から坂を上ってきた松本行き普通は、本線から引き上げ線に入り、後進して姨捨駅ホームに入ります。

松本行き普通が、車掌が進行方向を確認しながら後進運転で姨捨駅ホームに入ってくるところです。

特急「しなの」9号が、姨捨駅を経由することなく本線をそのまま長野に向けて坂を下っていきます。大阪駅を出て4時間半、終着駅長野まであと20分ほどです。きっと長野出身の方なら、姨捨からの善光寺平の風景に、ふるさとに還って来たことを実感するのでしょうね。




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最終更新:2009年08月23日 22:42