・育御市(はぐみ市)
太平洋沿岸に位置する地方都市。
元々は小さな漁村だったが、明治初期に日本を訪れる外国人らのための別荘地として開発された。
様々な事情からその目的は頓挫したものの、名残である石畳や砂岩タイルの壁、赤煉瓦の街並みや
切妻屋根などの当時の洋風趣味を全面に反映した建築群の一部が災害や戦争を乗り越え、生き残った
その街並みが市の条例で保護されている。
市全体はなだらかな坂のようで、海と山に挟まれた土地。
湾には育御港という小さな港があり、未だ小規模ながら漁業が営まれている他、沖合に浮かぶ小さな
島に渡るフェリーが日に2回運航している。
山自体もそれほど大きなものではなく、山間を通る道路や鉄道が充実しているため不便も感じない。
市の中央を北から西に弧を描くようにJRが通っており、そこが都市の中心部となっている。
市内の主要な移動手段はバス。
都心から電車で一時間という交通の利を生かし、都市部はベッドタウンとして開発されている。
しかし、中心部の新興住宅地に住む人々と、異国情緒残る街並みが残る旧市街地の住民や昔から
育御市に住む旧家の間には、日常に障りが出る程でないがどことなく溝があるように感じる。
この傾向は特に年齢が上がるにつれ顕著であって、稀に外来者を蛇蝎の如く嫌う排他主義な人物も
いるが、大抵の住民は新旧を問わずそういった閉鎖的な思想を愚かだと考えているし、都市の発展に
ついても好意的である。
文明開化期にいち早く宣教師達や西洋文化を受け入れた結果、地方都市としては基督教信者の数
が多く、街の規模に対して大小を問わず教会の数も多い。
しかし明治以前にこの地には土着の信仰があり、細々とその信仰は今も続いていると言われている。
これらに関してはオカルトチックな噂が囁かれ、この都市で過去に不思議な事件が起ったことも
手伝ってその手の分野に興味のある人々の間では「H市」と言えばそれなりに名が通っている。
旧市街地 景観保護条例区
育御市の郊外南東にある景観保護条例指定地区、通称旧市街地。
西洋風の異国情緒あふれる静かな街並みで、観光地としてシーズン中などには賑わいを見せる。
しかし条例による規制が妙に厳しくコンビニや娯楽施設などが少ない不便や、味わいはあれど
今いち目玉にかける景観のためにどちらかというと穴場的な扱いである。
最寄駅からバスで15分弱。