今日も今日とてボーっと過ごす。
いつもと違う事と言えば、ハルカとチアキが買い物に行ってて留守なのと、私が家に呼んだから……と言って、家にやってきた藤岡がいるくらいか。
それにしてもコイツ、たまに突然来るけど、本当に私は約束しているんだろうか?
ただ単に家に来たいだけじゃないの? …………ん? でも何で家に来たいんだ?
いつも、だいたい昼過ぎに来て、「夕飯呼んでくれたじゃない」とか言ってくるんだよな。
今日だって2時くらいに着て……昼過ぎ? 夕飯前?
いつもと違う事と言えば、ハルカとチアキが買い物に行ってて留守なのと、私が家に呼んだから……と言って、家にやってきた藤岡がいるくらいか。
それにしてもコイツ、たまに突然来るけど、本当に私は約束しているんだろうか?
ただ単に家に来たいだけじゃないの? …………ん? でも何で家に来たいんだ?
いつも、だいたい昼過ぎに来て、「夕飯呼んでくれたじゃない」とか言ってくるんだよな。
今日だって2時くらいに着て……昼過ぎ? 夕飯前?
――――ジリリリリッ!
突然目覚ましが鳴る。時刻は3時。そうだ私がセットしたんだった。
冷蔵庫に走り、ケーキを取り出す。しかしまいったぞ……ケーキは一個しかないと言うのに。
冷蔵庫に走り、ケーキを取り出す。しかしまいったぞ……ケーキは一個しかないと言うのに。
――――はっ!!
まさか藤岡の奴、おやつが目当てで昼過ぎに来てるんじゃ……
だとしたら、今日私がケーキを食べるのを知っていて、ノコノコ現れたのか?
まったく、涼しい顔してしたたかな奴だよ。だがこのカナ様の目は誤魔化せなかったようだな。
そうと分かればケーキを机に置いて、まずは藤岡をけん制だ。
だとしたら、今日私がケーキを食べるのを知っていて、ノコノコ現れたのか?
まったく、涼しい顔してしたたかな奴だよ。だがこのカナ様の目は誤魔化せなかったようだな。
そうと分かればケーキを机に置いて、まずは藤岡をけん制だ。
「藤岡、私は今からおやつ……ケーキを食べる」
「そう」
ニコニコ笑いやがって……ふふふっ、だがこのケーキはお前の口には一口も入らないんだよ。
「先に言っておくが、ケーキは一つしか無い。そして私はお前に分ける気も無い」
「うん。いいよ、オレお腹すいてないし。気にしないで南が食べなよ」
「そう」
ニコニコ笑いやがって……ふふふっ、だがこのケーキはお前の口には一口も入らないんだよ。
「先に言っておくが、ケーキは一つしか無い。そして私はお前に分ける気も無い」
「うん。いいよ、オレお腹すいてないし。気にしないで南が食べなよ」
――あれ? なんかあっさり諦めたな。ハルカ達がいないからか?
まぁ別にいいけど。
まぁ別にいいけど。
「では、いっただっきまーす……あむっ、…………ん~! おいひぃ~♪」
ココのケーキはすごいんだよ。何が凄いって、上にもスポンジの間にもイチゴがたっぷり入ってて、どこを食べてもイチゴが…………って、うわぁっ!
藤岡の奴凄くこっち見てるぞ……
笑ってはいるが、あの目はどう考えてもケーキを狙う狩人の目だ。
ココのケーキはすごいんだよ。何が凄いって、上にもスポンジの間にもイチゴがたっぷり入ってて、どこを食べてもイチゴが…………って、うわぁっ!
藤岡の奴凄くこっち見てるぞ……
笑ってはいるが、あの目はどう考えてもケーキを狙う狩人の目だ。
うぅ……なんだ、さっきから突き刺さるような視線を感じて、ケーキの味が良く分からないぞ。
くそっ、藤岡の奴、こんな攻撃を仕掛けてくるとは……。
こうなったら一口だけやって……いや、待て。ここはこのケーキの中でも一番のメイン。
そうだ、藤岡にはこの端っこの部分の、生クリームだけ食べさせよう。
私はスプーンでクリームをすくい、藤岡に差し出した。
くそっ、藤岡の奴、こんな攻撃を仕掛けてくるとは……。
こうなったら一口だけやって……いや、待て。ここはこのケーキの中でも一番のメイン。
そうだ、藤岡にはこの端っこの部分の、生クリームだけ食べさせよう。
私はスプーンでクリームをすくい、藤岡に差し出した。
「藤岡、仕方ないからお前にも一口だけ分けてやるよ」
「え? でも……」
「遠慮するな」
「え? でも……」
「遠慮するな」
どうせ生クリームだけなんだから。
しかしどう言うつもりだ? なかなか私からケーキを受け取ろうとしない。
しかしどう言うつもりだ? なかなか私からケーキを受け取ろうとしない。
「あっ、じゃあさ、キッチンからスプーン借りていいかな?」
「ん? そりゃかまわないけど……?」
なんでわざわざ一口食べる為に、新しいスプーンを用意する必要があるんだ?
パクッと一口食べれば終わりなのに……一口…………
「ん? そりゃかまわないけど……?」
なんでわざわざ一口食べる為に、新しいスプーンを用意する必要があるんだ?
パクッと一口食べれば終わりなのに……一口…………
――――あっ!!
「まて、藤岡!!」
「ど、どうしたの? 大声出して」
ふんっ、良く言うよ。お前が新しいスプーンを出したい理由は分かってるんだ。
どうせ食べた後に、そのスプーンでなし崩し的に、私のケーキをつつくつもりだったんだろ?
でもそうは行かない。
「ど、どうしたの? 大声出して」
ふんっ、良く言うよ。お前が新しいスプーンを出したい理由は分かってるんだ。
どうせ食べた後に、そのスプーンでなし崩し的に、私のケーキをつつくつもりだったんだろ?
でもそうは行かない。
「やっぱり駄目だ。このスプーンで食え」
「えぇぇ?!」
やっぱりこの慌てよう、図星だったようだな。
「えぇぇ?!」
やっぱりこの慌てよう、図星だったようだな。
私は藤岡を元の席に座らせ、クリームをすくったスプーンを渡そうとした。
……だが待てよ。良く考えたらスプーンを渡すのは、ちょいと危険過ぎやしないか?
もしそのままスプーンを奪われたら、私のケーキはすべて藤岡に…………よし、
……だが待てよ。良く考えたらスプーンを渡すのは、ちょいと危険過ぎやしないか?
もしそのままスプーンを奪われたら、私のケーキはすべて藤岡に…………よし、
「藤岡、あーんしろ。私が食べさせてやるから」
「な゛っ……!!」
私は立ちあがって、藤岡の口元にスプーンを近づけた。
どうやら万策尽きたようだな。顔を真っ赤にして戸惑っている。私の勝ちだ。
「ほら、どうした? あーんしてごらん」
「ん……っ、……あーん…………」
「な゛っ……!!」
私は立ちあがって、藤岡の口元にスプーンを近づけた。
どうやら万策尽きたようだな。顔を真っ赤にして戸惑っている。私の勝ちだ。
「ほら、どうした? あーんしてごらん」
「ん……っ、……あーん…………」
藤岡は、スプーンを咥えるといっそう顔を赤くして少し震えている。
許せ藤岡、これは戦いなんだ。私だってお前にケーキを譲るわけにはいかない。
私は席に戻り、ケーキを食べ始めた。
許せ藤岡、これは戦いなんだ。私だってお前にケーキを譲るわけにはいかない。
私は席に戻り、ケーキを食べ始めた。
ど、どう言う事だ……なんかさっきよりこっち見てないか?
一口じゃ足りないって事か? どこまで貪欲な男なんだ、お前は!!
しかし私だってそんなに甘くはないぞ。一口は上げたんだから……
「あむっ……んぐ、んぐ……っ」
一口じゃ足りないって事か? どこまで貪欲な男なんだ、お前は!!
しかし私だってそんなに甘くはないぞ。一口は上げたんだから……
「あむっ……んぐ、んぐ……っ」
私がケーキを口に運ぶと、藤岡はまたまた顔を赤くして、今度はポーっとした顔でこっちを見ている。
なんなんだ? お前はそんなにケーキが好きなキャラだったのか? くいしんぼキャラなのか?
とにかく私はもう我慢できなかった。
なんなんだ? お前はそんなにケーキが好きなキャラだったのか? くいしんぼキャラなのか?
とにかく私はもう我慢できなかった。
「藤岡! お前、さっきからジロジロ見てどう言うつもりだ!」
「えっ?! いや、あの……間接キ…………じゃなくて、く……口にケーキのクリーム付いてるよ!」
「えっ?! いや、あの……間接キ…………じゃなくて、く……口にケーキのクリーム付いてるよ!」
ふんっ、どうせ苦し紛れのいい訳だろ。……そう思いつつも、とりあえず唇を指でなぞってみる。
――ん? 確かにクリームが付いてるぞ…………うまい事逃げたな。ラッキーな奴め。
そう思いながら、指に付いたクリームを見つめていると、妙案が浮かんだ。
あっ、そうだ。こんな欠片……クリームでも、ケーキはケーキ、一口は一口だよな?
――ん? 確かにクリームが付いてるぞ…………うまい事逃げたな。ラッキーな奴め。
そう思いながら、指に付いたクリームを見つめていると、妙案が浮かんだ。
あっ、そうだ。こんな欠片……クリームでも、ケーキはケーキ、一口は一口だよな?
「藤岡、もう一口やるから、そんな目でじっとこっちを見ないでくれるか?」
「え?! オレ、何か変な目で南の事見てた?」
まだとぼける気か? まったくお前って奴は末恐ろしい男だよ。
「え?! オレ、何か変な目で南の事見てた?」
まだとぼける気か? まったくお前って奴は末恐ろしい男だよ。
「あぁ、凄く。だからあと一口やったら、食べ終わるまであっち向いてろ。」
「分かった……そうとは知らずごめん」
藤岡の返事を聞いて、私は人差し指を突き出す。
「分かった……そうとは知らずごめん」
藤岡の返事を聞いて、私は人差し指を突き出す。
キョトンとする藤岡。そうだろそうだろ、なんせお前にくれてやるのは、ケーキはケーキでも、私の口についていたこの少量のクリームだけだ。
しかし今頃気づいても遅い。もうお前は約束してしまったんだから。
しかし今頃気づいても遅い。もうお前は約束してしまったんだから。
「さぁ、観念して口を開けろ!」
「ちょっと、南……そんなっ…………んぐっ……んんーっ!!」
私は指を藤岡の口に突っ込んで、舌にクリームを塗ってやる。
これにより、ケーキの奪い合いは私の完全勝利。
「ちょっと、南……そんなっ…………んぐっ……んんーっ!!」
私は指を藤岡の口に突っ込んで、舌にクリームを塗ってやる。
これにより、ケーキの奪い合いは私の完全勝利。
この後藤岡は、約束通り壁の方を向いて座った。
その顔は真っ赤で、頭から煙をプスプスだして、独り言を呟いている。
よほど悔しかったんだろう。
その顔は真っ赤で、頭から煙をプスプスだして、独り言を呟いている。
よほど悔しかったんだろう。
結局この後、藤岡は私と一度も目を合わせる事無く帰って行った。
- かなの勘違いっぷりが素晴らしいww -- 名無しさん (2011-04-13 22:02:48)