ボッチー☆書き起こし

【東方ボイスドラマ】次期メイド長候補?【初投稿】(ボッチー☆)
出演:かはず(KHZ姉貴)

魔理沙「"黄昏時、それは人を切なくさせる。沈みゆく橙の光。かわりばんこに藍の闇が染みていく。紫の空が、やがて闇に染まっても、私の空は灰の色"」
アリス「柄にもない本読んでるのね、魔理沙。人んちのソファで」
魔理沙「フヒヒィ、図書館から拝借した。新規開拓ってやつだな。フーンなかなか奥が深いぜ」
アリス「なんて本?」
魔理沙「ほれ」
アリス「何よ、タイトルなんて書いてな……diary? (ページをめくる音) 未来の私へ……今の私は光を知らぬ密室の少女、鍵を探すラクトガールこれパチュリーの日記じゃない!」
魔理沙「いや、ヴェルレーヌの詩集だぜ。贋作だけどな」
アリス「う~わ~……知らないわよ~」
魔理沙「すぐ返すから大丈夫だって。それに、これはちゃんと貸し出し許可も貰ってる」
アリス「はぁ……ま、どうでもいいけど、人の家と時間を、暇つぶしに使わないでくれる?」
魔理沙「ひどい言い種だ。それじゃまるで、私が暇人みたいじゃないか」
アリス「そうね。訂正するわ。あんたにぴったりの言葉があった。禄盗人」
魔理沙「それは、門番や死神みたいなやつのことを言うんだぜ。勉強になったな」
アリス「おかげさまで。ほら、もう出てってよ!」
魔理沙「はぁ、やれやれ。ゆとりのないやつめ。これだから都会っ子は。仕方ない、場所を変えるか」
アリス「いやに素直ね」
魔理沙「そういうお前は不満そうだな。ツンデレのほうがお好みか? ん? じゃあな、遊んでくれてありがとう。つまらなかったぜ」
アリス「そのセリフはまずい!」
魔理沙「び、びっくりしたー。いきなりでかい声出すなよ」
アリス「あ、いえ、ごめんなさい。でも誰かが止めないとと思って」
魔理沙「お前って、なんだかんだノリいいよな。フヒィ、その勢いでさ、もーちょっとぐらい付き合って」
アリス「いーや!」
魔理沙「こ、この七色魔法バカ! 虹色バカ! 虹川!」
アリス「他所様の姉妹に喧嘩売ってんじゃないわよ! あーもうさっさと帰って!」
(ドアの音)
アリス「あ、あら、レミリア?」
魔理沙「めくらの蝙蝠がぶつかったのかと思った」
レミリア「うーぅー、き、牙が折れた。どうしてくれるのよ」
アリス「ご、ごめんなさい。まさかドアの前に人が、いえ、あなたが立ってるなんて思わなかったから。牙、大丈夫?」
魔理沙「アハッ、私に任せろ! 紅魔館の窓まで投げるのは難しいが、この家の高さなら、余裕だぜ」
アリス「バカね、それは下の歯の話でしょ? 上の歯は縁の下に投げるのよ」
レミリア「生え変わりの乳歯じゃないわよ!」
(場面転換の音)
アリス「はい。」(ティーカップを置く音)
レミリア「まったく! この私が、こんな森の中までわざわざ出向いてやったのに、とんだ歓迎の挨拶だわ。何よ、この白い液体?」
アリス「ホットミルクよ。あいにく茶葉切らしてて。まだストックあったと思ったんだけど。ま、あったとしても、あんたの舌には合わないでしょうから。ぬるめに作ってあるけど、ちゃんとフーフーして飲むのよ」
レミリア「な、子供扱いしないでよね! フーフー、フーフー……熱っ!」
アリス「あ、もう! 気をつけなさいよ! 大丈夫? はねてない?」
レミリア「え、ええ」
魔理沙「まったく、これだから箱庭育ちのお嬢様は。いや、棺桶育ちか」
レミリア「ふふ」
魔理沙「どうだ?」
レミリア「ふん、さすがの見立てね。悪くないわ」
アリス「ん? 何の話よ?」
レミリア「あら、魔理沙から何も聞いてないの? いいわ。こういう話は直接当人にするのが筋ってものよね」
アリス「だから、何よ?」
レミリア「私は、今、次期メイド長候補を探しているの。あなたのように、優秀な、ね」
アリス「次期、メイド長、候補?」
(CCさくらアイキャッチBGM)

(CCさくらアイキャッチBGM)
アリス「次期メイド長候補ってどういうことよ? 今のメイド長だって、まだしばらくは生きるでしょうに」
レミリア「咲夜は……たしかに優秀よ。生まれ持った要領の良さに、恵まれた能力、積み重ねてきた時間に裏付けされた経験、実績。今の咲夜はまさに、完全なる唯一の従者。でもね、たったひとつの特殊性癖……いえ、個性が、その他全てを台無しにすることもあるの」
アリス「この時点で話を掘り下げたことを後悔しているわ」
レミリア「アリス、わたしがここへ来たのは他でもない、私の能力を使って、あなたの力量を測らせてもらっていたの」
アリス「さっきの嫌味だって伝わらなかったかしら」
レミリア「主人を傷つけたときの対応、急な来客へのもてなし、主人の食事の
アリス「聞いて!」
レミリア「先程のホットミルクに関してもそうよ。あなたがミルクを出したんじゃない。出させられたの。この私の
アリス「もういいわ」
レミリア「茶葉がなかったのも、運命操作による必然。あらかじめ、魔理沙に茶葉を盗ませて、牛乳を目につく位置に配置した」
魔理沙「頂いたぜ」
アリス「それ能力関係なくない?」
レミリア「一連の動きを見て、私は確信したわ。あなただってね。私がドアをぶつけたときも、大丈夫ですかお嬢様、今すぐペロペロして治します、と言うこともなく、ホットミルクを出して、お嬢様、くるみぽんちおじゃなかった、おちんぽみるくですわと瀟洒にド下ネタをかますこともなく、ミルクを飲ませる時に、私が代わりにフーフーいたしますわねふふっ、私の吐息がお嬢様のミルクと溶け合ってお嬢様のお口の中へ、喉の奥へと鼻息を荒くすることもなく、ミルクが熱くて飲めなかったときに、ごっくんできなかったのですか、いけませんわお嬢様、さあもう一度お口を開いて、舌を出して、はいごっくんということもなく!」
アリス「なんで私は珍客に家まで押しかけられた挙句、変態じみた主従プレイを延々と聞かされなきゃならないの?」
魔理沙「まあまあ次期メイド長」
アリス「うるさいわよ紅茶泥棒」
レミリア「とにかく、私が言いたいのは、あなたにメイド長としての素質を見抜いたというわけよ。アリス・マーガトロイド。いえ、立待月アリス!」
アリス「妙な名前を付けるな! そんな面倒事、お断りよ! ろくでもないことにしかならないのが目に見えてるわ。第一、私に何のメリットもないじゃない」
レミリア「今より、ずっと豊かな生活ができると思うわ。蔵書だって豊富だし、重たい魔導書をわざわざ返しに来る必要もなくなるのよ。それに、魔理沙だってそのほうが楽よね」
魔理沙「そうだな。獲物が一箇所にまとまってくれると、何かと効率がいい」
アリス「魔理沙、あんたそれを見越して、レミリアに私を売ったわね!」
魔理沙「売ったとは人聞きの悪い! レミリアが優秀な人材が欲しいってぼやいてたから、善意で紹介役を買って出たまでだ! まあ他にも貴重な魔導書や、贋作のヴェルレーヌまで貸してくれるっていうから、そこまでされちゃ……なぁ?」
アリス「なるほどね。親友を売ったのはレミリアの方だったと」
レミリア「私はただ、我が家の敷地内にある本を貸してあげると言っただけよ。世間話がはずんで、六法全書の箱の中に、詩集が紛れ込んでたって、言ったかもしれないけど」
アリス「鬼かあんたら」
レミリア「吸血鬼よ」
アリス「知ってるわよ」
魔理沙「私は違う」
アリス「あーもう会話すら面倒になってきた……」

アリス「とにかく、どれだけ頼まれても答えはNOよ。面倒事になる以前に、厄介事が根を張ってるもの。悪いけど、他を当たってちょうだい」
魔理沙「だってさ。どうするレミリア?」
レミリア「はぁ……困ったわね」
アリス「ねぇ、そんな馬鹿げたことで、わざわざ森の奥まで来るぐらいなら、今のメイド長と話し合うことに時間を使ったら? 咲夜も、レミリアのことが好きだから暴走しちゃうんであって、決して悪気があるわけじゃないでしょ」
レミリア「アリス……」
アリス「話し合いもできないほどイッちゃってるっていうなら……まあ、そのときは私を頼ってきなさいよ。メイド長にはなれないけど、少しぐらい力にはなってあげる」
レミリア「……そう、まさかあなたから、そんな提案をしてくれるなんて」
魔理沙「さすがアリスだ! じゃ、ちゃっちゃと支度しなきゃな。夜は短し歩けよ乙女。今宵は偽電気ブランで一杯やるか!」
アリス「ミスティアの屋台にあるかしら?」
魔理沙「本物ならあるかもな」
アリス「へっ?」
レミリア「さ、ぼさっとしてないで、行くわよアリス」
アリス「ちょ、ちょっと待ってよ! 私の話聞いてた? 私はメイド長にはならないんだってば!」
レミリア「ええ、だからならなくていいわよ」
アリス「じゃあどこに連れてく気よ!?」
レミリア「だって、あなたが言ったんじゃない。私を頼ってきなさいって」
アリス「いや、だからそれは」
魔理沙「つまり……そういうことだ」
アリス「……へっ? ……は?」
レミリア「さ、もたもたしていたら、この素敵な夜が終わってしまうわ。行くわよ。次期メイド長探しの旅に」
アリス「はああぁぁ~~~!?」

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最終更新:2017年01月05日 20:37