本作の鍵となる、「獣人」たち。
彼女たちは獣人は、その系統ごとにある程度一般的な特徴を備え持つ。
人間とはまたちがった魅力的な個性を、獣人は持っている。
起源については、各種族の原種動物であるというのが一般的な説だが、いまだに多くの謎があり決定的な説はない。
過去に環境の異変があったため、種の保存のために、野生能力を残したまま器用さと知性を備えて進化した新人類とも言われている。
数が純血の人間に比べて少ないことと、人間より優れた身体能力を持つことに嫉妬され、昔から異端視され迫害を受けた過去がある。
現代では理解も深まり、スウィーティア大陸ではほとんどの国で人間と同じように獣人に人権が与えられている。
獣人を伴侶に選ぶ人間も増えつつあり、子供も問題なくできることが確認されている。
迫害されていた時代は、首輪は獣人の従属の証として強制的に主人に装着される忌み嫌われる道具だった。
しかし時代が変わり、獣人と人間が和解してからは何時の間にかそれが転じ、
装飾品と身分証明書の代わりの意味を果たすものになり、マイナスイメージはなくなった。
迫害されていた過去から、身寄りのない獣人も多く、そのような者の多くは裕福な家庭の使用人などになったりして、その際に自分から希望してファミリーネームが彫られた首輪をつけることが風習になった。
最近は特に裕福ではなくても、幼いころから養子として引き取り本当の家族として育てる家庭も増えている。
雇い主から首輪を強制することは奴隷として扱うことと一緒なので、法的に禁止されている場合が多い。
(※「花売り」にはそういうプレイをOKにする者もいるようだが…)。
一般的に首輪をつけている獣人は、家庭環境が幸せである(主人に自分から忠誠を誓っている)ことを証明する。
以下は各登場人物について、獣人という観点からの考察。
★特徴・性格
イヌの特徴を持つ獣人。
愛らしい垂れ耳や凛々しい立ち耳を持ち、豊かな毛に覆われた大きな尻尾を持つことが多い。
強いものあるいは尊敬できるものに仕え尽くすことを優先的な美徳概念とする。
そのため全体的な傾向として忠誠心や義理、恩義などを気にする。
リーダーシップと協調性にも優れ、上下関係に誠実な態度で臨む。
後述する優れた身体能力を悪用することもなく、獣人の中ではもっとも人間に身近で友好的。
★身体・能力
中型犬〜大型犬血統は、すばやさとパワーに関しては驚異的なスペックを発揮。
人間の並の冒険者では、普通の半犬族の少女にすら戦闘能力でかなわないほど。
しかしながら協調性と社会性に優れた性格のため、身体能力を誤用することはほとんどない。
★適正
感情が尻尾や耳にはっきり出てしまうため、感情を隠すことやウソが苦手な傾向あり。
マジメで献身的な者がおおいので、全体的に接客業に向いている。
与えられた役割に責任をもつので、仕事は人間とかわらずなんでもそつなくこなす。
男性は護衛や力仕事、女性は給仕や家政婦、ベビーシッターなどに需要がある。
その従順な性質から、半犬族の配偶者を持つと穏やかな家庭になるとされる。
★その他
イヌとひとまとめに言っても種族はさらに細分されていて、その種類は獣人のなかでも相当な数となっている。
代表的なのはレトリーバー系やコーギー系のイヌの獣人で、数が多い。
現在はスウィーティア大陸全域でかなりの人数が分布しているが、すべてフローティアが祖先といわれる。
スウィーティア大陸の暦にも半犬族が関わっているほか、世界樹の民を構成する三大種族のひとつ。
●アイリス
ラブラドールまたはゴールデンレトリーバーに近いと思われる。
原種の特徴が強く出た従順で穏やかな性格であるが、広い目で見るなら、ごく普通の優しい女の子かもしれない。
●ノエル
ボーダーコリーなどに近い血統と思われる。
元来活発で好奇心あふれる種だが、ノエル自身の誠実な正確のほうが強い。
●イアラ
アイリスと同じくレトリーバー系と思われる。
後述のスフィーよりさらにかなりしっかりものだが、主人に対するデレも強烈。
●スフィー
アイリスと同じくレトリーバー系と思われる。
しっかりしているが、気に入った人にはころっとおなかを見せる。
ある意味生粋の「わんこ」といえる。
●ロゼッタ
コーギーやコリーのような耳としっぽを持つ。
とてもおっとりとしているが、時々強情。マゾい。原種の小型犬に近い気性。
本人いわく半狼族とのことだが、家族はフローティアにいるので、真相は不明…。
★特徴・性格
ネコの特徴を持つ獣人。
ぴんと立った元気な耳を持つことがおおく、尻尾はすらりとした短い毛のものが多い。
全体的に自分勝手で自由奔放、気まぐれな者が多いが、同時に人の心を察したり甘えたりすることが得意なことが多く、決して冷酷ではない。
時には彼らにしかできない気づかいもあり、憎めない魅力をもつ。
★身体・能力
大抵はイヌ族をも凌駕する俊敏さと柔軟さを兼ね備え、日常生活で何気なく発揮することが多い。
あぶなげもなく屋根の上でひなたぼっこをしている姿などは、原種の血がより濃く出ている部分といえる。
ネコ族は社会性に優れていることが多く、自分を魅力的にアピールすることが得意。
反面協調性はあまりなく、友人が多くてもみんな「自分は自分」なので、協力してなにかすることはほとんどない。
★適正
★その他
ネコの獣人のなかでもさらに細分化されているようだが、他の獣人系統よりは特に違いは見られない。
●メイプル
ロシアンブルーのような耳としっぽで、それに近い系統と思われる。
ウサギの特徴をもつ獣人。ふわりとした純白の毛に覆われた耳が特徴的、垂れているかピンとしているかに別れる。 おっとりしたおとなしい者が多く、器用で素直な傾向がある。中にはあわただしいものもいるが・・・。 小柄な者が多い。草食動物を祖とする所以か、肉よりは野菜類を好物にすることが多いようである。 イヌやネコのような肉食系の身体能力は兼ね備えていないが、走るのは早いと言われる。 シフォンは垂れた耳の種族。意外にずるがしこい面も見せるので、半兎族にしては珍しい。
キツネの特徴をもつ獣人。親しみをこめて「お稲荷さん」と呼ばれる種族(倭国神道による定着)。 系統的にはイヌ族の親戚に当たり、能力や習性もあまり違いないが、それほど主従関係は気にしないようだ。 美しい毛並みの凛々しい耳と、ふさふさとしている尻尾を持っており、それぞれ白と橙の毛の混合であることが多い。 イヌ族よりもさらに耳と尻尾で個人を特定しやすいといえる。 非常に面倒見がよく、母性的・父性的で子育てに熱心、かつ常に冷静に事象を観察する能力を持っていることが多い。 人を化かすという伝承もあるが、時に妙なほど冴え渡る知性のためにいわれるのであって、特にそんな能力はない。 倭国の皇族はキツネの獣人であり、国内ではもっとも神聖な動物としてあがめられている。 リンゴはその皇族の一人で、倭国を建国し神道を確立した、仙狐・熾ノ宮美琴(あぶらげ)の一族の末裔である。
トラの特徴を持つ獣人。倭国出身のものが多く、他の地域出身のものは珍しい。東の小集落に少数いるらしい。 基本的な特徴はネコに近いが、独特な黄色と黒のまだらな毛の模様をもつ。 特筆すべきはやはりその身体能力にあり、成人したトラの獣人は屈強な武装兵士が束になっても倒せないといわれる。 檸檬がこの種族だが、ふだんそのような戦闘的な姿は一切みせない。 これは檸檬の独自の性格だと思われるが、そもそもミルティアにいる限りは、その身体能力を生かす場面はあまりなさそうである。
オオカミの特徴を持つ獣人。それほど種類は多くないようで、大抵はグレイ一色の毛の、立ち耳と大きな尻尾を持つ。 起源はイヌ族といっしょと思われるが、オオカミ種のほうが圧倒的に身体能力がまさる。(トラと同等といわれる) 上下関係を意識するのはイヌ系共通だが、孤独を好むものもいるので一概にはいえないところ。 原種の血が濃いものは、特殊な咆哮でイヌ系獣人と原種動物に感情を伝えることが出来るといわれる。 エクレアがこの種族だが、実は由緒正しい家計らしく、オオカミの血は濃い。咆哮でアイリスたちを呼べる。 しかし本人はさくっとした元気な性格の、普通っぽい女の子であり、戦闘的な姿勢はみせない。 ミルティアが平和すぎて、普段そんな力を使う必要はないのである。
タヌキの特徴を持つ獣人。半月型の耳と、すらりとして毛の長い褐色の尻尾を持つことが多い。 金銭感覚に優れたものが多いといわれ、愛嬌もよく、商売に向いた種族とされる。 本編のティラミスはまさにお嬢様タイプだが、意外と勤労が好きらしく、与えられた仕事はきちっとしているようだ。
アライグマの特徴を持つ獣人。ややまるみを帯びた耳と、よこしまと暗褐色のストライプの大きな尻尾が特徴。 キレイ好きなものが多く、洗濯に限らず家事一般が得意なことが多い。 タルトは(衣服に限らず)洗い物が好きだが、おそらくこれはタルト個人の趣味に近いと思われる。