平均

  • 平均(average)とは?
 平均三種=平均値(mean),中央値(median),最頻値(mode)
 平均値(mean):n個の値から演算によって求められる代表値(値のべき乗和をn個で割ってべき乗根した値)
 中央値(median):n個の値から順序によって求められる代表値(大小順でn/2番目の値)
 最頻値(mode):n個の値から頻度によって求められる代表値(同値が最も多い値)

  • 平均値(mean)とは?
 複数の値がある場合、それらの値を代表する中間の値
 平均には、様々な計算方法がある

  • 相加平均(=算術平均):加算値を個数で割ったもの
 等差数列(a,x,b)におけるxの値
 (x-a)=(b-x)
 x=(a+b)/2
  • 相乗平均(=幾何平均):対数の相加平均を指数としてeにべき乗したもの
 等比数列(a,x,b)におけるxの値
 (x/a)=(b/x)
 x=(ab)^(1/2)
 等比数列:対数の等差数列(log a,log x,log b)に等しい
 (log x-log a)=(log b-log x)
 log x=(log a+log b)/2=1/2・log ab=log (ab)^(1/2)
 x=(ab)^(1/2)
  • 調和平均:逆数の相加平均を逆数にしたもの
 調和数列(a,x,b)におけるxの値
 調和数列=逆数の等差数列(1/a,1/x,1/b)に等しい
 (1/x-1/a)=(1/b-1/x)
 x=2ab/(a+b)
  • 二乗平均平方根:二乗(平方)の相加平均の平方根(二乗根)をとったもの
 平方根数列(a,x,b)におけるxの値
 平方根数列=平方数列の等差数列(a^2,x^2,b^2)に等しい
 (x^2-a^2)=(b^2-x^2)
 x={(a^2+b^2)/2}^(1/2)

  • 一般化平均:べき乗の相加平均のべき乗根をとったもの

  • べき乗平均:べき乗を相加平均したもの

  • 加重平均:加重係数を用いて平均したもの
 相加加重平均:加重係数を乗算して相加平均したもの
 相乗加重平均:加重係数をべき乗して相乗平均したもの

  • 算術幾何平均
 「互いの相加平均を漸化式とする数列」と「互いの相乗平均を漸化式とする数列」において、n→∞で収束する極限値
 a(0)=a,b(0)=b
 a(n+1)=(a(n)+b(n))/2,b(n+1)=√(a(n)・b(n))

  • 算術調和平均
 「互いの相加平均を漸化式とする数列」と「互いの調和平均を漸化式とする数列」において、n→∞で収束する極限値
 a(0)=a,b(0)=b
 a(n+1)=(a(n)+b(n))/2,b(n+1)={2・a(n)・b(n)}/{(a(n)+b(n))/2}
 算術調和平均=互いの初項の相乗平均

  • 調和幾何平均
 「互いの相乗平均を漸化式とする数列」と「互いの調和平均を漸化式とする数列」において、n→∞で収束する極限値
 a(0)=a,b(0)=b
 a(n+1)={2・a(n)・b(n)}/{(a(n)+b(n))/2},b(n+1)=√(a(n)・b(n))

  • 関係性
 「算術幾何平均×調和幾何平均」=「算術調和平均(=相乗平均)の2乗」

  • 相加平均(=算術平均)とは?
(2個の場合)
 M=(X+Y)/2
 加算して2で割ったもの
 X=Yでは、M=X=Y

(一般化した個n数の場合)
 M={Σ[i,n](Xi)}/n
 全てを加算して個数nで割ったもの

  • 相乗平均(=幾何平均)とは?
(2個の場合)
 M=√(X*Y)=(XY)^(1/2)
 乗算して平方根(2乗根)をとったもの
 X=Yでは、M=X=Y

 両辺の対数をとった場合
 log M=log {(XY)^(1/2)}=(1/2)*log XY=(log X+log Y)/2
 M=exp{(log X+log Y)/2}=e^{(log X+log Y)/2}
 対数をとって、加算して2で割ったものを、自然対数の底eにべき乗したもの

(一般化した個数nの場合)
 M={π[i,n](Xi)}^(1/n)
 全てを乗算して個数n乗根したもの

 両辺の対数をとった場合
 log M={Σ[i,n](log Xi)}/n
 M=exp[Σ[i,n](log Xi)}/n]=e^[Σ[i,n](log Xi)}/n]
 対数をとって、全てを加算して個数nで割ったものを、自然対数の底eにべき乗したもの

  • 調和平均とは?
(2個の場合)
 1/M=(1/X+1/Y)/2
 M=2/(1/X+1/Y)=2XY/(X+Y)
 逆数をとって加算して2で割って、さらに逆数をとったもの
 乗算して2をかけて、加算したもので割ったもの
 X=Yでは、M=X=Y

(一般化した個数nの場合)
 M=n/{Σ[i,n](1/Xi)}=n{π[i,n](Xi)}/{Σ[i,n](Xi)}
 全ての逆数をとって加算して個数nで割って、さらに逆数をとったもの
 全てを乗算して個数nをかけ、全てを加算したもので割ったもの

  • 二乗平均平方根(=RMS)とは
(2個の場合)
 M=√{(X^2+Y^2)/2}={(X^2+Y^2)/2}^(1/2)
 2乗して加算して2で割り、平方根(2乗根)をとったもの
 X=Yでは、M=X=Y

(一般化した個数nの場合)
 M=√[{Σ[i,n](Xi^2)}/n]=[{Σ[i,n](Xi^2)}/n]^(1/2)
 全てを2乗して加算して個数nで割り、平方根(2乗根)をとったもの 

  • 一般化平均とは?
(2個の場合)
 M={(X^k+Y^k)/2}^(1/k)
 k乗して加算して2で割り、k乗根をとったもの
 X=Yでは、M=X=Y

 k=-1では、調和平均:M=[{X^(-1)+Y^(-1)}/2]^{1/(-1)}
 k→0では、相乗平均(k=0では値を持たないが、k→0では極限値を持つ):log M=(log X+log Y)/2=log {(XY)^(1/2)}
 k=1では、相加平均:M={(X^1+Y^1)/2}^(1/1)
 k=2では、二乗平均平方根:M={(X^2+Y^2)/2}^(1/2)

(一般化した個数nの場合)
 M=[{Σ[i,n](Xi^k)}/n]^(1/k)
 全てをk乗して加算して個数nで割り、k乗根をとったもの

 k=-1では、調和平均:M=【(Σ[i,n]{Xi^(-1)})/n】^{1/(-1)}
 k→0では、相乗平均(k=0では値を持たないが、k→0では極限値を持つ):log M=(Σ[i,n](log Xi))/n=log {(π[i,k](Xi))^(1/n)}
 k=1では、相加平均:M=【(Σ[i,n](Xi^1))/n】^(1/1)
 k=2では、二乗平均平方根:M=【(Σ[i,n](Xi^2))/n】^(1/2)

  • k→0の極限値の求め方
 2個の場合の一般化平均
 M={(X^k+Y^k)/2}^(1/k)
 両辺の対数をとり、
 log M=log [{(X^k+Y^k)/2}^(1/k)]=(1/k) log {(X^k+Y^k)/2}=[log {(X^k+Y^k)/2}]/k
 ここで、ロピタルの定理を用いる
  lim[k→0]{f(k)/g(k)}=lim[k→0]{f'(k)/g'(k)}
 log M=[log {(X^k+Y^k)/2}]/k=[log {(X^k+Y^k)/2}]'/(k)'
 ここで、対数関数の微分,指数関数の微分,べき関数の微分を利用する
 log M={2/(X^k+Y^k)}{(X^k log X+Y^k log Y)/2}/1=(X^k log X+Y^k log Y)/(X^k+Y^k)
 ここで、k=0を代入
 log M=(X^0 log X+Y^0 log Y)/(X^0+Y^0)=(1 log X+1 log Y)/(1+1)=(log X+log Y)/2
 log M=(log X+log Y)/2=1/2 log (XY)=log {(XY)^(1/2)}

<対数関数の微分>
 {log f(x)}'={1/f(x)} {f'(x)}

<指数関数の微分>
 (a^x)'=(a^x) (log a)

<べき関数の微分>
 (x^n)'=n x^(n-1)

  • べき乗平均とは?
(2個の場合)
 M=(X^k+Y^k)/2
 k乗して加算して2で割ったもの
 X=Yでは、M=X^k=Y^k

 べき乗平均(X^k+Y^k)/2は、一般化平均{(X^k+Y^k)/2}^(1/k)のk乗となっている

(一般化した個数nの場合)
 M={Σ[i,n](Xi^k)}/n
 全てをk乗して加算して個数nで割ったもの

 相加平均を減算したもの:偏差
 k=2のべき乗平均(偏差の二乗平均):分散
 k=2の一般化平均(偏差の二乗平均平方根):標準偏差
 二乗平均平方根^2=相加平均^2+標準偏差^2=相加平均^2+分散

  • 加重平均(相加加重平均)とは?
(2個の場合)
 M=(αX+βY)/(α+β)={α/(α+β)}X+{β/(α+β)}Y
 ここで、A=α/(α+β),B=β/(α+β)とおくと、A+B=1
 M=AX+BY
 加重係数を乗算してから加算したもの

 α=βでは、A=B=1/2となり、相加平均に等しい
 M=(1/2)X+(1/2)Y=(X+Y)/2

(一般化した個n数の場合)
 M={Σ[i,n](αi Xi)}/{Σ[k,n](αk)}
 全てに個々の係数を乗算して加算し、係数の和で割ったもの

 Σ[i,n](Ai)=1の場合は、
 M=Σ[i,n](Ai Xi)
 全てに個々の加重係数を乗算して加算したもの

  • 加重平均(相乗加重平均)とは?
(2個の場合)
 M=(X^α×Y^β)^{1/(α+β)}=X^{α/(α+β)}×Y^{β/(α+β)}
 ここで、A=α/(α+β),B=β/(α+β)とおくと、A+B=1
 M=X^A×Y^B
 加重係数をべき乗してから乗算したもの

 α=βでは、A=B=1/2となり、相乗平均に等しい
 M=X^(1/2)×Y^(1/2)=(X×Y)^(1//2)=√(XY)

(一般化した個n数の場合)
 M={π[i,n](Xi^αi)}^[1/{Σ[k,n](αk)}]
 全てに個々の係数をべき乗して乗算し、(係数の和)乗根したもの

 Σ[i,n](Ai)=1の場合は、
 M=π[i,n](Xi^Ai)
 全てに個々の加重係数をべき乗して乗算したもの

  • 大小関係
(n個の値の全てが正数の場合)
 相加平均≧相乗平均≧調和平均

(等号成立のための必要十分条件)
 X1=X2=・・・=Xn

  • 大小関係
(2個の場合)
 M={(a^n + b^n)/2}^(1/n)で、n=実数(ただし、n≠0)

 ・・・{(a^3+b^3)/2}^(1/3) ≧ {(a^2+b^2)/2}^(1/2) ≧ (a+b)/2 ≧ [{a^(1/2)+b^(1/2)}/2]^2 ≧ [{a^(1/3)+b^(1/3)}/2]^3 ≧ ・・・
 ・・・ ≧ (ab)^(1/2) ≧ ・・・
 ・・・ ≧ [{a^(-1/3)+b^(-1/3)}/2]^(-3) ≧ [{a^(-1/2)+b^(-1/2)}/2]^(-2) ≧ [{a^(-1)+b^(-1)}/2]^(-1) ≧ [{a^(-2)+b^(-2)}/2]^(-1/2) ≧ [{a^(-3)+b^(-3)}/2]^(-1/3) ≧ ・・・

 M={(a^n + b^n)/2}^(1/n)=[{(a/b)^n + 1^n}/2]^(1/n)=[{(a/b)^n + 1}/2]^(1/n)
  変数(a,b)を2つから1つにまとめるため、
  ここで、A=(a/b),n=xと置き換え
 M={(A^x + 1)/2}^(1/x)
  両辺のlogをとる
 log M=log [{(A^x + 1)/2}^(1/x)]=(1/x)・log {(A^x + 1)/2}
  これは、x=0において1/xを定義できないが、※より極限値はlog {(A・1)^(1/2)}=1/2・log A)になるため、
  ここで、y=log M,e^2=Aと置き換え
 y=(1/x)*log [{(e^2)^x + 1}/2]
  ここで、x≠0の範囲においてS字状のグラフとなる
  y=log 1=0とy=log (e^2)=2を漸近線として、(x=0,y=1/2・log (e^2)=log e=1)で点対称で、xについての増加関数である
 lim[x→0]y=log {(e^2)・1}^(1/2)=log e=1
  x→0の極限値は、e^2と1の相乗平均(=e)の対数(=1)となる

※極限値
 y=(1/x)・log {(A^x + 1)/2}
 xy=log {(A^x + 1)/2}
  ここで、両辺をxで微分する
  積の微分,対数の微分を用いる
 (xy)'=(log {(A^x + 1)/2})'
 y+xy'=[1/{(A^x + 1)/2}]・((A^x + 1)/2)'
     =[1/{(A^x + 1)/2}]・((1/2)(A^x)+ 1/2)'
     =[1/{(A^x + 1)/2}]・(1/2)(A^x)(log A)
     =(1/2)(A^x)(log A)/{(A^x + 1)/2}
     =(A^x)(log A)/(A^x + 1)
     =(log A)/{1+ 1/(A^x)}
  ここで、x=0の場合
 y+0・y'=(log A)/{1+ 1/(A^0)}
     y=(log A)/{1+ 1/1}=(log A)/2=1/2・log A
  つまり、y=1/2・log A=log {(A・1)^(1/2)}となり、
 y=(1/x)・log {(A^x + 1)/2}=log [{(A^x + 1^x)/2}^(1/x)]
  x=0の極限値は、Aと1の相乗平均(=(A・1)^(1/2))の対数となる
 log {(A・1)^(1/2)}=1/2・log (A・1)=(log A+log 1)/2
  これは、Aの対数と1の対数の相加平均に等しい

  • 相互関係
 相乗平均=√(相加平均×調和平均)
 相乗平均は、相加平均と調和平均の相乗平均に等しい

  • 定義域
 一般の実数kによる一般化平均は、全てが非負の実数に対してのみ定義される
(一般化平均の式のべき乗根が負数に対し定義できないため)

 べき乗根を使わずに計算できる、算術平均(k=1)と調和平均(k=-1)は例外的に定義可能
 k≠±1では、1つ以上の負数が含まれる場合、一般化平均の定義式は実数を返さないか、実数を返したとしても結果の解釈が難しい

 k<0の場合、1つ以上の0が含まれる場合は、一般化平均の定義式は使えないが、調和平均と同様に0への極限を取ると、一般化平均は0となる
 幾何平均(k=0の一般化平均)も0となる
 k≦0の場合、一般化平均は0となる

  • 総和
 Σ[i,n](Xi)=X1+・・・+Xn:n回加算
 Σ[i,3](Xi)=X1+X2+X3:3回加算

  • 相乗
 π[i,n](Xi)=X1×・・・×Xn:n回乗算
 π[i,3](Xi)=X1×X2×X3:3回乗算

最終更新:2013年09月26日 21:51
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