<液晶>
- 結晶と液体の中間状態:液晶、柔軟性結晶
- 流れる結晶:液体でありながら、複屈折や異方性といった性質を持つ
(液晶)
- サーモトロピック液晶:熱や圧力によってのみ相変化
- リオトロピック液晶:多成分からなり、温度と成分の構成によって相変化
(液晶相)
- ネマティック液晶:異方的液体に対応する液晶、位置の規則性がないため液体と同様の流動性あり
- スメクティック液晶:少なくとも1次元的な重心秩序(層状構造)を有する液晶
- コレステリック液晶:螺旋構造を持つネマティック液晶(熱力学的にはネマティック液晶と区別がない)
- キラルネマティック液晶:ネマティック液晶で、不斉による影響が出る場合(=コレステリック液晶)
- キラルスメクティック液晶:スメクティック液晶で、不斉による影響が出る場合
- ガラス(アモルファス)→粘度の高くなった液体?,非晶質の固体?
<ガラス転移点>
固体の結晶を加熱した場合、融点で液体に変わり始め、固体と液体が共存する間は温度が融点に維持され、固体が全て液体に変わると、また温度が上昇
非晶質の固体を加熱した場合は、低温では結晶なみに堅く(剛性率が大きく)流動性がなかった(粘度が大きかった)固体が、ある狭い温度範囲で急速に剛性と粘度が低下し流動性が増すような温度
ガラス転移点より低温の非晶質状態ではガラス状態、ガラス転移点より高温では液体またはゴム状態となる
- 鎖状高分子のガラス転移現象:鎖状高分子は、高温の液体状態では通常の低分子液体と同様に分子同士の位置が自由に変化でき流動性があるが、鎖状分子同士の絡み合いによる粘性があり、低分子液体とは異なる挙動も示す
- ゴム状態:鎖状高分子は、温度を下げて融点以下にしても、結晶化速度が遅く一部分しか結晶とならず、結晶とならない部分では、絡み合い点で鎖状分子同士が結合して架橋点となった網目構造となり、ゴム弾性(エントロピー弾性)を持つ
(ガラス転移点以下では、鎖状部分の運動も非常に遅くなり、全ての部分がその位置で熱振動を行うだけのガラス状態となる)
- ゲル(液体の分散媒ながら分散質のネットワークにより流動性を失ったコロイド)→液体?,固体?
- ゾル(特に、固体分散媒のコロイドであるソリッドゾル)→液体?,固体?
<ゾル>
(分散媒)
- 液体分散媒のコロイド:ゾル
- 固体分散媒のコロイド:ソリッドゾル → ゲル:液体の分散媒ながら分散質のネットワークにより流動性を失ったコロイド
- 気体分散媒のコロイド:エアロゾル
(分散質)
- 固体分散質のゾル:懸濁コロイド → コロイドのサスペンジョン(懸濁液)
- 液体分散質のゾル:乳濁コロイド → コロイドのエマルジョン(乳濁液)
(分散媒との親和性)
- 分散媒が水のゾル:ヒドロゾル
- 親水コロイド
- 疎水コロイド
- 分散媒が有機溶媒のゾル:オルガノゾル
- 親油コロイド
- 疎油コロイド
(分散質の集合状態)
- 分子コロイド
- ミセルコロイド
- 粒子コロイド(固体粒子)
<流体>
(圧縮性)
バロトロピック流体:気体
(粘性)
ニュートン流体
非ニュートン流体
- 完全流体:非粘性・非熱伝導性流体
- 理想流体:非粘性・非圧縮性流体
(流線)
- 流線:ある瞬間における各点の速度ベクトルに沿ってできる曲線
- 流脈線(流条線):同一点から次々と流れる複数の粒をある瞬間に結んでできる曲線
- 流跡線:1粒の移動経路を継続追跡して描かれる曲線
<流動学>
変形および流動一般に関する学問分野
塑性と非ニュートン粘性の流体力学を、「静的平衡においてせん断応力に耐えられない」という認識で結び付ける
粉末状物質のレオロジー
測定により変形とストレスの間の関係を実験的に確定することの実験技術
- 連続体力学=固体力学・材料強度学(弾性力学+塑性力学)+流体力学(非ニュートン流体+ニュートン流体)
- 流動学(レオロジー)=塑性力学+非ニュートン流体
<連続体力学>
固体と流体の運動および力学的挙動を解析
対象を巨視的に捉え、空間的に微分可能な連続体に理想化し、物体内部の各点における力学的な関係式を元に、変形・流動、波動の伝播、エネルギーの変換等を論じる
質点あるいは質点と見なし得る剛体の運動を対象とし、変形を伴った物体の運動を扱うことは出来ない
- 連続体力学:一般化した応用力学(材料力学,水力学)
物体を質点の集合体として捉えることで、巨視的な視点における変形を伴った物体の運動を論じる
(連続体の分類)
応力と歪みの関係による分類
構成式:応力と歪みの関係を記述する関係式
連続体:弾性体,塑性体,粘弾性体,完全流体,粘性流体など
- 連続体力学において、液体と気体の間に本質的な違いはなく流体にまとめられ、連続体は固体と流体に大別される
固体と流体の差異は、せん断応力に対する挙動の違い
固体に関しては静止状態においてもせん断応力が存在し得るが、静止状態の流体では圧力と呼ばれる垂直応力しか存在しない
- 固体:弾性体、塑性体、粘弾性体
- 弾性体は、応力と歪みの関係が一意的に定まっており、負荷時・除荷時とも同一の応力-歪み線図を描く性質
応力と歪みの間に比例関係が成り立つ、線形弾性体に理想化
- 塑性体は、永久歪みが生じることで、負荷時と除荷時の応力-歪み線図が同一のものとはならず、ヒステリシスが発生
塑性体の永久歪みには時間依存性はなく、時間依存性を伴った永久歪みは粘弾性体の特徴
剛体は固体の一種で、弾性体の特殊な場合であり、変形に伴う話題がないため、連続体力学で通常単独で扱われることはない
- 流体のうち、気体と液体は、連続体力学の巨視的な視点では本質的な違いはない
- 分子に分子間力を振り切るだけの運動エネルギーがなく分子同士が常に隣接しているのが液体
運動エネルギーが十分大きく分子が自由に運動しているのが気体
- 液体は、圧縮性が小さく(密度の変化が小さく)、多くの場合非圧縮性流体
気体は、体積は圧力によって大きく変化する(密度変化が大きく無視できない)ため、圧縮性流体
- 流体は、粘性抵抗の有無により、完全流体と粘性流体に分類
粘性抵抗が十分小さい物質の場合、せん断応力の発生しない完全流体
粘性流体は、せん断応力と歪み速度の間の線形性の有無により、ニュートン流体と非ニュートン流体に区分
<粘弾性>
(粘弾性)
粘弾性体にひずみを加えた際の挙動が線形で表せる
ひずみが1以下の小変形時に線形近似しても良い
粘弾性体にひずみを加えた際の挙動が線形で表せず非線形となってしまう
ひずみが1以上の大変形の際
(複素弾性率)
ニュートンの粘性法則などの応力-ひずみ速度の関係
フックの法則などの応力-ひずみ関係
線形粘弾性に対する、粘性や弾性に相当するパラメータ
粘弾性体に、正弦波形のひずみを入力したときの応力の応答によって定義
電気工学のインピーダンス、制御工学の周波数伝達関数に似た概念
複素弾性率は、複素数で、入力の角周波数の関数として定義
- マクスウェルモデル
- ケルビン・フォークトモデル
- 標準線形固体モデル
- ばね係数:エネルギーの蓄積効果
- 粘性係数:エネルギーの散逸効果
- 貯蔵弾性率:複素弾性率の実部
- 損失弾性率:複素弾性率の虚部
- 粘性体:複素弾性率の位相π/2
- 弾性体:複素弾性率の位相0
<塑性と弾性>
- 塑性:力を加えて変形させたとき、永久変形を生じる物質の性質(展延性)
荷重を完全に除いた後に残るひずみ(伸び、縮み)を永久ひずみ(残留ひずみ)
- 延性:引っ張る力を加えた際の変形する能力(牽引で、針金状に延ばせる能力)
- 展性(可鍛性):圧縮する力を加えた際の変形する能力(鍛造や圧延で、薄いシート状に成形できる能力)
- 展延性:延性と展性は必ずしも正の相関があるとは言えない
- 弾性:応力を加えるとひずみが生じるが、除荷すれば元の寸法に戻る性質
弾性の程度を表す指標としては、弾性限界、弾性率
- 弾性限界:応力を加えることにより生じたひずみが、除荷すれば元の寸法に戻る応力の限界値
- 弾性率:応力とひずみの間の比例定数(ヤング率もその一種)
- 弾性:応力とひずみの関係が一意的に定まっていること
必ずしも比例関係ではないが、応力とひずみの比例関係である線型弾性を指していることが多い
固体は、変形が一定の範囲(弾性範囲内)では、変形しても元に戻る、弾性を示す
- フックの法則:線型弾性を示す場合、応力はひずみに比例し、その比例定数を弾性率
- ヤング率:一方向に対する引っ張り(圧縮)変形に対する弾性率
- 弾性変形:弾性を示す範囲の変形
- 塑性変形:元に戻らない変形
- 弾性限界点(降伏点):弾性変形から、塑性変形へ変わる際の、応力の限界点
- エントロピー弾性:ゴムのように、金属などに比べて大きな変形をする材料の弾性
温度を一定にして体積を変化させたときのエントロピー変化により生じる弾性力
閉空間の気体や高分子において、応力を加えて引き伸ばした際にエントロピーが低下し、エントロピー増大則によりミクロブラウン運動が起きて、元の形状に戻ろうとする力が生じる
ゴム状態の固体が持つゴム弾性、形状記憶合金の性質など
- 超弾性:応力によって誘起されたマルテンサイト変態が、一定の温度条件下で逆変態しもとの形状に戻ることによって生じる弾性
通常の弾性変形に比べて大きな変形が生じ、その変形はフックの法則には従わない
この性質を応用したのが形状記憶合金、特に弾性回復温度が常温以下の形状記憶合金を超弾性合金
<ゴムの弾性>
エネルギー弾性:固体の弾性
エントロピー弾性:気体の弾性
- 弾性力=第1項(エントロピー弾性)+第2項(エネルギー弾性)
- エントロピー弾性:温度一定で体積を変化させた時のエントロピーの変化から来る弾性力
エントロ ピーが増大しようとする力であり、取り得る状態の数(原子の配置など)が大きい場合に影響する
- エネルギー弾性:温度一定で体積を変化させた時の内部エネルギーの変化から来る弾性力
ポテン シャルエネルギーが最小になろうとする力であり、原子間の結合力などのポテンシャルエネルギーが大きい場合に影響
- 固体の場合、金属の様に結晶構造の固体は、原子間の結合力が大きく、 原子の配置に自由度が少ないため、エントロピー弾性の項は小さく無視でき、ほぼ エネルギー弾性だけが効いている。
- 気体の場合、分子が自由に飛び回っており、エントロピー弾性の項が大きく、理想気体ではエネルギー弾性の項が0になるが、実在気体では無視できない。
- ゴムの様な高分子材料も、普通の固体の様に原子や分子間の結合は強く、エ ネルギー弾性は小さくないが、結晶ではなく非常に長い分子の鎖が絡まったような構造をしていて自由度も多く、エントロピー弾性も小さくない。
- ゴムの場合、その相対的な大きさは温度によって変化し、低温では分子の結晶化が進むため、エネルギー弾性が支配的になって固体の様になり、常温~高温ではエントロピー弾性が支配的な振る舞いを見せる。
- 理想ゴム:エントロピー弾性が支配的になった極限のゴム
<ソフトマター>
コロイド,高分子,液晶などの総称
構成要素が、巨大分子または分子の大きな集合
固体結晶で見られるような3次元の長距離的秩序がない
液体と同程度の局所的な秩序は必ず存在する
運動エネルギーの観点では、やわらかいとは分子運動エネルギーに近く、固いとは液体分子運動エネルギーよりもはるかに小さい
外部刺激に対して、大きな内部自由度を持ち、ゆっくりとした応答
力学的振舞いは、変形の速度に依存(粘弾性)
変形の速度が小さいと、流動的に振舞い(粘性)、変形の速度が大きいと、弾性的に振舞う(弾性)
剛性→剛性率→弾性率(ラメ定数)→複素弾性率
弾性→ヤング率→弾性率(ラメ定数)→複素弾性率
塑性→弾性限界の超過
粘性→複素弾性率
圧縮性→体積弾性率→弾性率(ラメ定数)→複素弾性率
最終更新:2014年02月22日 16:18