- 精神障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患。
誰でも罹患する可能性があるため「心の風邪」と表現されることがあるが、この表現が「風邪のようにすぐに治る」と言う誤解に繋がっている。
実際には自殺もあり得る。
うつ病の原因
- うつ病は他の精神疾患と同様、原因は特定されていない。
- 脳内の神経伝達物質の働きが悪くなるのと同時に、ストレスやからだの病気、環境の変化などが重なって発病すると考えられている。
肉体的な要因
・慢性的な疲労
・体への急激な負担
精神的な要因
・対人関係
・職場でのストレス
・環境の急激な変化
種類
新型うつ病
20代から30代前半に多く見られる。
ディスチミア症候群
ディスチミア親和型うつ病や気分変調症とも呼ばれる。若い世代に多い。
従来のうつ病が物事がうまくいかないのは自分が悪いのだと考え、自罰傾向になるのに対し、ディスチミア症候群は思い通りにいかないことを他人のせいにして、それを攻める(他罰)傾向にある。
客観的には自己中心的、わがまま、などと評される。
非定型うつ病
以下の特徴が挙げられる。
- 無気力が常だが、好きなことだけにはやる気が出る。
- 作業に集中できないほどイライラして落ち着きがなく、感情的になる。
- 過眠:いくら寝ても眠い。目安は一日10時間以上。
- サンセット・デプレッション:夕方、夜に肉体的、精神的に不安定になってくる。感情的になり、暴れたり自傷行為に走ることも。
- 鉛様麻痺:手足が鉛のように重く感じる。
- 生活リズムが乱れ、昼夜逆転になりやすい。
→発達障害型
→仮面うつ病
→反復性うつ病性障害
うつ病の症状
精神的な症状
マイナスな感情
何もしていない時、漠然とした暗い気分に襲われる。思い当たる節がない、自動的な不安や悲しみが特徴。
人によっては焦りとして出るので周囲に気づかれない場合がある。
やる気がでない
多く見られる症状。初期症状なら物事に取り掛かるのが遅いくらいだが、症状が進むと好きなことをやる気力もなくなる。
物事を前向きに捉えられなくもなってくる。
症状が進むと、歯磨きや入浴など、日常的なこともやる気がしなくなる。
怠け癖とは違い、「やらなくてはいけないと思いながらも出来ない」というのが特徴であり、「精神運動抑制」と呼ばれる状態になる。
肉体的な症状
睡眠障害、慢性的な痛み、食欲異常、吐き気や下痢・便秘など
頭が回らなくなってくる
何も思い浮かばない、自分にとっての物事の優劣が判断できないなど、普段出来たことが出来なくなってくる。
動作が遅くなり、口数も減ってくる。
仕事の能率も落ちるので、「周りに迷惑をかけてしまった」「自分はダメなんだ」といったように自分を攻めてしまい、症状が進んでしまうケースが有る。
これを自責念慮と言い、致命的なまでに自分を追い込んでしまうこともある。
自傷や自殺
自然に手首を切りたくなったり、死にたくなってくる症状。
実際に実行してしまうことも。
この精神状態が慢性化し、本人がそれに違和感を覚えない。
睡眠障害
眠れない、寝付きが悪い、夜中に目が覚める、起きるべき時間より早く起きてしまうなどの睡眠障害。
または、午前中眠い、一日中眠いといった過眠。
睡眠の重要性
脳は睡眠中にストレスの処理をするので、睡眠が悪くなると症状が進みやすくなる。
うつ病では深い睡眠(ノンレム睡眠)がなくなるのが特徴。
深い睡眠は脳を休ませることに必要だが、脳が休めなくて症状が悪化する。
食欲異常
食欲不振だけではなく、過食もあり得る。炭水化物や甘いものなどが無性に食べたくなる。
胃腸の具合が悪くなる
胃痛、吐き気、下痢や便秘などの症状。原因が胃腸そのものではないので薬の効果が薄い。
症状は朝がひどく、夜には少し楽になる。
一般的には朝が一番酷く、次第に楽になってくる。
うつ病を治すには?
心療内科に通院する時の注意点
自分に合わない薬を処方され、服用すると、その副作用に因る別の症状のせいで判断が難しくなる。
その症状のためにまた別の薬を・・・と悪循環になることもある。
信頼できる医師を探すこと。
有酸素運動
米国デューク大学医学部のブルメンサル教授の報告によると、
一日三十分の有酸素運動(この有酸素運動とは、トレッドミルで速歩と遅歩き(速歩の半分の速さ)を三分間ずつ繰り返したもの)
でのうつ病改善は、抗うつ剤での治療よりも再発率は低く、うつ病に対する即効性も高い。(10日ほどで効果が現れた)
認知療法
認知療法とは?
心理療法の総称。
人間は主観で物事を判断することにより、客観的な事実以外の物を認識する。
その結果誤解、思い込み、拡大解釈をし、マイナスな感情が発生する。
認知療法ではこの主観的な考え方を修正する。
具体的な治療としては、思考の中断法や気晴らしの仕方、対話形式のものなど。
アニマルセラピー
本来は訓練された動物と「時々」触れ合うことを指す。
ペットとして飼う場合は、触れ合うことでのリラックス効果などが期待できる。
ただし、世話にまつわる負担や鳴き声にイライラする場合もある。
また、ペットロス症候群の可能性も。
いずれにせよ、治療目的で飼い始めるのはおすすめできない。
最終更新:2014年05月18日 14:50