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彼女の休日 オクトとノヴェとディッセの場合


「起きて兄上~」
「起きて兄者~」
「起きて兄様~」
 ここはマルチアーノ家の一室。午前10時を回っても簡素なベッドの上で寝ている「」をオクト、ノヴェ、ディッセの三人組が
起こそうとしている。
 先ほどから揺らしながら呼びかけているのだが一向に起きる様子が無い。
いつもなら「」はすぐに起きてくれる。だが昨夜は「」は夜遅くまでマーチとAC4をしていたので夜更かしをしていたのだ。
その事をオクト、ノヴェ、ディッセは寝るのが早いため知る由も無い。
 彼女らは腕を組んでしばし思考を巡らし、三人揃ってある行動を実行することを思いついた。
膝を少し曲げて力をため、跳躍の構えを取る。
目標「」。方位良し、角度良し、パワー120%充填完了。
カウントダウン開始、3…2…1…
「せ~のっ!」
手足を伸ばす格好で、2mほどの高さまで宙に舞い上がった。
それは素晴らしい放物線を描き、夢の世界へ旅立っている「」の胴へと、
「っヴハァァァ!!」
見事なボディプレスを通常の3倍の威力でお見舞いした。
「「「起きろ~!」」」
 今度は「」の顔をぺちぺちと際限なく叩いた。
「な、なんばしよっと!?」
「お?」
「「やっと起きた」」
「痛たた、次はもう少し穏やかやな方法で起こしてくれよ」
「む~り~!」
「お寝坊さんに人権はないのだ~」
 まだ寝巻き姿の「」の両手をオクトとノヴェが引っ張り、ディッセが先導する形で階下のリビングに連れて行く。
「」はズキズキと胸が痛むのだが、彼女らは悪意があってやったわけでもないのでどうしようもなかった。
 リビングではメイが先日買った雑誌を片手にドクペを飲んでいた
「あれ? 珍しく遅く起きてきたね」
「まぁね、そういえば他の皆は見えないけど何処かに出掛けたの?」
「それぞれ朝から用事があるといって朝から出て行ったよ。そういえば「」。今日は予定は何もなかったよな?」
「そうだけど、それがどうかしたの?」
「聞いたよ、最近何かとストレス溜まってんだろ? だったら家の屋外射撃場で銃撃ってきたらどうよ? 
良いストレス解消になると思うんだけど」
「でも、銃なんて撃ったこと無いよ」
「オクト、ノヴェ、ディッセを同行させるよ。あいつらなら一応安全管理くらい出来るから、いろいろ教えて貰いな」
「メイは来ないのかい?」
「参加したいのは山々だけど、少ししたらエイプリルのところに行かないといけないからね。何かあったら連絡して」


若干の不安を覚えつつ、「」はオクト、ノヴェ、ディッセと共に屋外射撃場へと向かった。
安全面で一通り気をつけることを教わると、「」はどれを撃ってみようかと並べられた銃器を見つつ、
起きた時からから抱いていた疑問を3人に聞いてみた。
「そういえば何で『兄上』『兄者』『兄様』って呼ぶんだい?」
「それはこの前、フェブお姉ちゃんが「」さんは外見年齢は上なんだから、これからは【お兄ちゃん】とかそんな感じで
呼びなさいって言ったの」
「だから、オクトは兄上~」
「ノヴェは兄者~」
「ディッセは兄様~」
微妙に呼び方が違うのはそういうことかと「」は思った。
家では流石にリュックは背負わないので、「」が呼ぶ時にしょっちゅうオクト、ノヴェ、ディッセを間違えていたのだ。
そんな「」への彼女らなりの配慮なのだろう。
「男の人はやっぱり大きい奴じゃなとね」
「え~、エイプリルお姉ちゃんは、初心者は小っちゃいのからって言ってたよ」
「銃じゃつまんないから対戦車ロケットにしようよ」
「勘弁してください」
「「「仕方ないなぁ」」」
 そんな調子で「」の銃選びは難航し、30分も時間がかかり、
結局、「」の人生初射撃の銃は45口径の【M1911A1】に決定した。
 屋外射撃場に移動し、ダーツの的のようなものが書かれた紙をセットし準備は完了。
「」はアクション映画の見よう見まねで銃を構え、慎重に的を狙って発砲した。
パンパンと乾いた音が響く。銃声の大きさには驚いたが予想よりも反動は無くて結構面白い。
メイの言葉通り、良いストレス解消になるのはあながち間違いでもないかもしれない。
 そのまま、手持ちの弾を撃ちつくして、銃に安全装置をかけて置いた。
オクトがリモコンのボタンを押すと、的を固定してた台がこちらに移動し、的が良く見える位置で停止した。
「下手くそだね」
「下手っぴぃ」
「駄目駄目だぁ」
「初めてなんだし、しょうがないんじゃないのか?」
「「「全然」」」
「ひでぇ」
「「「次は私達の番!」」」
「え?」
 声高らかに3人が取り出したのはロケットランチャー。そして、それを慣れない手つきでそれを構える。
その場に他の姉妹がいれば事態の異変に気づいただろう。しかし、悲しいかなここにいるのは初心者の「」と年末組だけだった。
 オクト、ノヴェ、ディッセはロケットランチャーを反対向きに構えていた。
「「「3……2……1……ファイヤぁ!」」」
 次の瞬間、マルチアーノ家の敷地の一角でボンと火柱が上がった。


「こ、これは一体なんですの?」
「うわぁぁん! 何か大変なことになってるぅぅ! っていうか見ちゃいけないものを見てるよぉ!」
「!?」
 帰ってきたジャニアリー、セプ、ジューンが見たのは、半分ほど吹き飛んだ屋外射撃場とその残骸。
煤だらけで目を回して気絶しているオクト、ノヴェ、ディッセ。
それと木に引っかかってぶら下がった「」の姿だった。しかも、爆風で服の大半が吹き飛ばされ、大事なところが見え隠れする有様で。
「何だよ、帰ってきたら騒がしいなぁ。何が起き―うわぁぁ!」
「ここは世界珍ニュースの現場?」
「まぁ、意外と斬りがいのありそうなモノを持ってらっしゃること」 
「お母様! お母様ぁぁ!」
「犯人はあたしじゃないよ」
「………」
 この日以来、オクト、ノヴェ、ディッセにロケットランチャー禁止令が発令されたのは言うまでも無い。

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最終更新:2007年03月04日 19:59