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フェブラリーが日記をつけていたことはマーチは知っていた、だが実物を見るのは初めてだ。
日記はフェブラリーの部屋の机の上に堂々と置いてあった。


3月「…さて…どうしよ」

ざっと読み終わりこれからのことを考える。もちろんこの日記をどうするか、だ。
しばらく思案していたマーチだったが、突然ハッとなって部屋の扉を開けた。廊下に誰もいないことを確認すると部屋に戻り、今度は中を念入りに調べ始める。カメラが仕掛けられてないことを確認して安堵するマーチ。

3月「…どっきりじゃ、ない…っと」

日記はフェブラリーがしまい忘れたと思ってよさそうだ。
マーチは正確に元の位置に戻すとそっと部屋を出た。












ミスター一味に敗北した後12姉妹とニルソンはグレイスランドを発ち、かつてマルチアーノが生まれた星に住んでいる。
ギルド兵は全滅し、ギルドからも見放された12姉妹の生活は当初騒々しかった。
ジュライはカフェで働いたし、メイはペットの散歩のアルバイトをやった。民間の警備会社に売り込みに行って断られたりもした。
色々な仕事を経て、現在12姉妹は









コヨーテになっていた。






4月「お疲れ様、さすがに豪華客船4件はしごは疲れたわね」

年末「「「全然!すっごい楽しかったよー!」」」

1月「銃を撃って大金手に入るなら、初めからからこれをやればよかったんですわ」

5月「にゃはははは、一度やるとやめられない「こ」何とかってコヨーテのことだったんだな!」

6月「もう…みんなお気楽、私お母様の仇と同じ職業だというのは…」

9月「そうですよ、ギルド抜けたらおだやかな暮らしになると思ってましたのに」

7月「まあまあ、あまり戦闘から離れても体がなまってしまいますわ♪」

8月「わぁ!、今日の『日刊コヨーテ』、女性部門、非人間部門、ゴスロリ部門、あたしたち人気1位だって」

2月「『ウィークリー刑務所』襲撃されたいコヨーテ1位、『蟲月報』蟲が選ぶ今一番輝いている人間1位…もてもてね」


元ギルドの武装アンドロイドたちが、コヨーテたちの中で一目おかれる存在になるのには時間はかからなかった。
その強力な戦闘力はすぐに恐怖の的になり、保険会社は12姉妹の被害は保険適用外にしようかと検討している。

一部のコヨーテはアンドロイドはずるいと主張したが、もともとコヨーテは狼の名前で人間が名乗っているんだからアンドロイドが名乗っても別にかまわんだろうということになった。





姉妹が盛り上がっている中、マーチは日記のことを考えていた。
日めくりカレンダーにしてリビングに飾ろうか…、朗読をビデオに撮ってみんなに見せるというのはどうだろう…。
フェブラリーの、してやられたましたわっという顔を想像するとマーチはいたずら心を抑えることができなかった。


4月「そうそう次のターゲットは現金輸送艦なんだけど、スペーステレビから襲撃の様子を生中継したいって申し出があったの」

6月「ええっ!?」

5月「生中継って放送できるのか!?」

4月「わたくしも視聴率のためにここまでするなんて驚きましたわ」

8月「出たい出たい!エイプリルお願い~」

4月「はいはい、ニルソン様の了解がとれたらね」

マーチのCPUが急速に働き出した。
日記とテレビ、日記とマスコミ、日記と生中継…
もはやこの日記をどれだけおおごとにさせるかに考えが変わっている。


後にマーチはこのときの自分をこう振り返っている。
3月「…興奮しすぎた」









そして生中継当日。


2月「あら、マーチは?」

8月「今日は休むって、風邪って言ってた」

4月「…突っ込むべきなのかしら。まあいいわ、オクト、ノヴェ、ディッセ、今日はマーチの代わりにフェブの護衛お願い」

年末「「「は~い」」」

7月「みんな~、テレビのスタッフがこれつけて、だって~」

5月「何だこれ?犬耳か?」

7月「犬耳じゃな~い、コヨーテよ♪ わぉん♪わぉん♪」

1月「…まさかこれつけて襲撃しますの?」

9月「ああもう、自爆したいわ…」

4月「お願い我慢して…、スポンサーのロゴを背中に張られるのを妥協してもらったのよ…」


現金輸送艦の襲撃はカメラクルーを引き連れて行われた。
まずブリッジを急襲、外部への連絡をたった後各ブロックの警備兵を撃破。
当初、付け耳を頭に載せた少女たちがテレビを従えてやってくる姿に戸惑っていた警備兵だったが、12姉妹だとわかると次々投降していく。彼らのハンドガンでは12姉妹の鋼鉄の体には焼け石に水だ。



艦内をあらかた制圧した頃、全員にフェブラリーから艦長が今回の目的である巨大金庫に立て篭もっていると集合をかける連絡が入る。
巨大金庫は見るからに頑丈で、さすがに手持ちの火器では壊すのが大変そうだ。


5月「どうしようかエイプリル、面倒くさいし金庫ごと持って帰ろうか」

4月「あまり大掛かりなことはしたくないわね。わたくしが話をしてみますわ、あー艦長さん艦長さんおとなしく出てきてくださいな」

艦長「嫌だあああ、出るもんかあああ」

4月「嫌だとおっしゃるなら、その扉無理矢理ぶっ壊して差し上げますわ」

艦長「やめろおおお、こっちには12姉妹の日記があるんだぞおおお」

4月「…日記?」

艦長「フェブラリーとかいう奴のだあああ、読むぞ、今ここで読むぞおおお」

2月「う、嘘よ!」

艦長「昨日マーチと名乗る女にもらったんだあああ」

ざわっ…っとした空気が12姉妹を包む。
姉妹しか知らないはずの日記、マーチの『風邪』、誰もが艦長の持っている日記が本物だと確信した。
そしてその雰囲気は金庫の中にいる艦長にも伝わったようだ。


艦長「読まれたくなければこのまま引き上げろおおお」

6月「…さて、どうしよう…」

1月「マーチはあとでおしおきだとして、このまま帰るのは癪ですわね」

2月「え!?そんな私の日記!今、生中継なんですよ!」

7月「ここで引き上げたら日記が取り戻せませんわ~」

4月「…決まりね、全員最大火力!できるだけ早くあの金庫をぶっ壊しますわよ!」

年末「「「らじゃー!」

ババババババババババッガンガンガンガンガガガガガガガガガガダダダダダダダダ

艦長「#月×日、カールをいつもより一本増やしてみた。誰も気づいてくれない。私は12姉妹で一番影の薄い女フェブラリー」

2月「やめてえええええええええ!!」

8月「ご、ごめんなさい、次は絶対気づくから…」

2月「いいから!そんなのいいから、早く!」

ドドドドドドガガガガガガガガガッバンバンバンガリガリガリガリガリガリガリリ

艦長「#月■日、来週は私の誕生日。プレゼントが気になってみんなの記憶領域をこっそりスキャン。はい懺悔です、ごめんなさい」

5月「フェーブ!」

9月「勝手に記憶読まないでくださいってお願いしたじゃないですか」

2月「ごめんなさい!ごめんなさい!」

ズズズズズズズズズバリバリバリバリバリドンドンドンドンドドドドドドドドドド

艦長「#月△日、いっちゃなんだけど影のリーダーは私よね。私がいなきゃ何もできないんだから、ほんと駄目な姉妹だわ」

2月「!? そんなこと書いてない! あっまさか…マーチの奴!」

バババババドタドタドタドタバシュバシュガガガガガ・・・・・・・・







その頃マーチはニルソンと一緒にソファに座りながらテレビで一部始終を見ていた。
呆れかえっているニルソンの横で、マーチは「支配者ってこんな気分なのかな」なんてことを考えていた。




















2月「…ああもう、してやられましたわ…」

5月「してやられたってさ、マーチ」

3月「…その言葉が聞きたかった…満足」


生中継の襲撃は一応大成功だった。
視聴率は20パーセントを超え、すでに次回のオファーがきている。
インターネットでは「耳つけたコヨーテなんていねーよ、あれはやらせ」とか「フェブラリーはむしろカールがないほうがいいだろ」など
話題独占だ。


4月「ま、まあ読まれたのが1/5で済んでよかったじゃない」

2月「ええ…被害が私の人生の1/5を読み上げられただけで本当によかったわ…本当に…」


あれからマーチはフェブラリーに日記の角でぼこぼこにされた挙句、今は首だけにされてメイの鳥かごに入れられている。
フェブラリーは当分マーチの観察日記をかいてやろうと決めた。


8月「ねぇ今月の『蟲月報』蟲が選ぶ今一番日記を読みたい人間、フェブが1位だって」

3月「もてもてね…」

フェブラリーは無言で鳥かごをシェイクした。





END

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最終更新:2008年12月24日 17:41