とんがり - World`send Newdays

とんがり

ふたりの関係は何なのだろう。
そこにあるのは恋じゃない。
オトコノコ、オンナノコ

ふたりの関係はなんだろう。
ほだされるのは時間の問題。
オトコノコ、オンナノコ

真夏、八月、唸るような暑さ。
険悪なムードの彼女。
その感情を全部受け流す彼。
流れる音楽はヒットチャート、周りはやかましい高校生。
聞こえる会話は？
別に喋らなくても良いような内容。
でも喋るからきっとみんな楽しく生きていけるんだよ。
安いファミレス。
よくこんな所デートで連れて来る。
でも好きな人と一緒ならどこでも楽しいでしょ？

「あんたはね」
「サキが好きだからね。」

「こちらコーラとアイスティーになりまーす」
やる気のない店員が乾きを潤すドリンクを持って来た。
からんと氷が溶けて動く

「映画、おもしろかったね」
「どこが？」
「え？おもしろかったよ？おじいさんが怒る所とか。」
「私はああいう俗物的なの嫌いよ」
「そうか。じゃあどんなのが好き？」
「アンタと観ない映画」

からん
グラスは二個離れちゃって
ばっかみたいね
どうにもしたくないのに

「そうか〜。誘ちゃってごめんね。」
「悪いと思ってないくせに」
「うん、思ってない。サキが好きだからね。」
「私は楽しくないわ。」
「でもちょっと元気出たでしょ。」
「うるさいわね」
「タロウ君相変わらずだし。」
「うるさい」
「サキもさみしいじゃない」
「うるさい！！」

あーあーばっかみたいね
どうにもしたい訳じゃないのにね
からんからん解けない心
溶けない氷
近付かないグラス

「ごめん、いじわるした。」
「....」
「ちょっと僕も傷ついたから」
「…あっそ、」
「本当につまんなかったんだね。誘ってごめん」
「別に…」

ほら近づけグラス
溶けろ氷
時間の問題

「始めから嫌なら来ないわよ」
「…はは、そうだね」

からんころん
ぱんと近付く

「あんた、こんな風に言われて嫌じゃないの？」
「楽しいよ」
「ばかみたい」
「サキが好きだからね」

かちゃん
氷全部溶けて
グラスリンと近付いた
ばかみたい
あーあー全くその通り

オトコノコオンナノコ
ふたりの間にあるのは恋じゃない
オトコノコオンナノコ
ほだされるのは時間の問題