「うっわあー!すっげぇ…ここがなんとかの遺跡?」
太古にあった建物であろう、苔が生えた巨大な建築物に感嘆の声をもらすカジュに
レーヴは小首を傾げた。
「あれ?違った? ま、いいか!とりあえず入るぞー!」
半ば強引に入り口に向かうと見張りの兵がこちらを見据えていた。
「許可証は持っているか?」
「きょか、しょう?」
「その様子では持っていないな、国から認められた人しか入れないんだよ。」
犬でもあしらうような面倒くさそうな対応にむっとするカジュをレーヴが必死で宥める。
「いや、こうなったら力づくでも…!!」
「何をしている」
カジュが大剣を振り上げたその時、馬を率いた三人組が姿を現した。
装備からするに、王国の人間だろう。
「そんな物騒なモン構えんなって、野党と間違われて斬り殺されても知らねえぞ?」
気がつけばそのうちの一人がカジュの背後に周り、首元に少し大きめの剣を当てていた。
「…カジュ…!」
「ジン、からかうのも程々にしておけって」
馬を繋いで溜息混じりに歩いてくる影を見遣って、ジンと呼ばれた人物は剣を収めて苦笑を浮かべた。
「悪い悪い、ついつい…ってマコトも楽しそうな顔してるじゃねえか」
「何が楽しいんだよ!!」
いきなりの事でフリーズしていたカジュが声を張り上げる。
「仕掛けたのはお前じゃないのか」
「うっ」
マコトに指摘され、カジュの声が気まずそうに歪む。
「話は聞いた。お前達遺跡の中に入りたいのか?」
兵士と話し込んでいた人物が踵を返してこちらを向くと小さく笑んだ。
「そ、そうだけど…」
「中は魔物で溢れかえっている、その為の許可証だ」
「でも俺たちは急いでんの!レーヴの記憶を取り返さなきゃ、だし…」
「ふぅん」
ジンとマコトの視線を受けてレーヴは小さく固まった。
「訳あり、と見えるな」
「訳大ありだよ!」
「なら、俺が許可証を出してやろう」
「シャム、いいのか?」
「ただし条件がある。」
シャムが再び小さく笑む。
「俺たち誰か一人に片膝でもつけさせたら、だ。勿論手加減はする。」
「手加減?んなのいらねえって!俺もレーヴもそこそこ強いんだからなっ!」
「ほう、それは楽しみだな」
カジュが地面を蹴ったのを合図に3人がゆっくりと構えた。
カジュ&シャン間で一度は戦闘くらいあってもいいだろうというお達しを受けて…
by Chamlasein
最終更新:2010年12月15日 11:32