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第三話 闇の戦士のライダーパワー! プリキュア最後の日!? (後編)

空から降りてくる銀色の怪人。
その怪人は姿を変える、士たちには見覚えのある姿だ。
仮面をつけ奇妙な形をした銃を持った戦士、仮面ライダーディエンドだ。
ようやく来たか、と士はため息混じりに呟きながら椅子から腰をあげる。
後ろではユウスケとプリキュアたちが何時襲いかかれても反応出来るように身構えている。

「貴方……!」
「おっと、お前らは話したいことは山積みだろうがな。悪いが直ぐに終わらせて貰うぞ」
『全てを一つに……!』
「あんまり、こいつはいい気がしないんでな」

士とフュージョンが同時に腰元からカードを取り出す。
士は一枚のカード、フュージョンは四枚のカード。
それぞれがドライバーにカードを挿入し。

「変身!」

士はキレのある声を上げ、フュージョンは無言でトリガーを引いた。


――――― KAMEN RIDE ――――――

―――――― DECADE ―――――――


――――― KAMEN RIDE ――――――

―― BLADE GALLEN CHALICE RENGEL ――


仮面ライダーディケイドへと、士は変身する。
パンパンと手を払いながら、フュージョンを見据える。
ブレイド、ギャレン、レンゲル、カリスの四人のライダーをフュージョンは召喚する。
吸収したディエンドライバーを使った『カメンライド』だ。
知識を元に自らの分身として作り出したレプリカとは強さが違う。
その四人のライダーがそれぞれのプリキュアたちへと向かっていく。
露払いと言うのだろうか、四人のライダーによって距離を取られディケイドとクウガと夏海の三人とフュージョンが向かい合う。

『仮面ライダーディケイド……強き力の持ち主……私と、一つに……!』
「やれやれ、そのためにこんなことをするとはな……ユウスケ、下がってろ」
「士!」
「一対一が好きなんだろ? お前は夏みかんと一緒に別の敵を警戒してればいい」

戦闘力のない夏海のことを言われるとユウスケは何も言えない。
士の言うとおり万が一他にも敵がいた場合、最も危険なのは夏海だ。
渋々といった様子で下がっていく。

「さて……」

そのユウスケの様子を見てから、フュージョンへと向き直る。
だが、フュージョンはディエンドライバーのトリガーを引き既に攻撃を行っていた。
未だに変身すらしていない士に向かって、だ。

これで仕留めた、とはさすがにフュージョンは思わない。
海東大樹の記憶の中にあった『仮面ライダーディケイド』はそれほど簡単な相手ではない。
それに答えるように、前方から機械音が響いた。

―――――― KAMEN RIDE FAIZ ―――――――

―――――ATACK RIDE ACCEL FORM ――――――

「ったく、気の早い奴だ」

ファイズのアクセルフォームへと変身してフュージョンの攻撃を避けていた士。
それどころかフュージョンの後に回っている上に、追撃と拳を振るう。
アクセルフォームの超高速運動はたった十秒間だが、フュージョンを仕留めるには十分な時間だ。

『ふん……』
「なっ!?」

だが、フュージョンは液体状になることでその超高速の攻撃を防ぐ。
この一撃で動きを止め、ファイナルアタックライドにより決めようとしていたディケイドにとっては予想外の出来事。
その動揺に突き込まれフュージョンの振るう拳によって吹き飛ばされる。

「ちっ!」

衝撃を逃がすように柔らかく着地しながら、ディケイドは仮面ライダー響鬼のカードを取り出し素早くディケイドライバーに差し込む。

―――― KAMEN RIDE HIBIKI ―――――

「はぁっ!」
『考えることは同じと言うことか……』

仮面ライダー響鬼となったディケイドは音撃棒・烈火を振り烈火弾を飛ばす。
グニャグニャと姿を変えるフュージョンには単純な打撃技よりも炎などの方が有効だと思ったのだろう。
フュージョンはディエンドライバーのトリガーを引きその炎を撃ち落とす。

「これでどうだ!」

烈火弾が撃ち落とされたことから、ディケイドは口から紫色の炎である鬼火を吹き出す。
だが、それも液体状となり位置を変えるだけで防ぐことが出来る。
所詮ディエンドと同じ戦法か、とフュージョンが内心で溜息をつくと機械音声が響いた。

―――― KAMEN RIDE RYUKI ―――――

『むっ……』

フュージョンが液体状からディエンドへと姿を戻したときには既にディケイドの姿は消えていた。
なるほど、先程の鬼火は視界を封じるためのものかとフュージョンは得心する。

「はぁ!」

その得心すると同時にタコカフェの屋台の窓から仮面ライダー龍騎の姿をしたディケイドが飛び出してくる。
鏡の中の世界、ミラーワールドへと侵入することが出来る龍騎の力を使って奇襲をかけたのだ。
龍の頭部の形をした篭手・ドラグクローを嵌めた腕で殴りかかる。

『ぐぅ!?』

身構えていなかったフュージョンの後部に直撃する。
ここでようやく見せた隙を逃さないとディケイドは次々に拳と蹴りでフュージョンへダメージを与えていく。
そして動きが鈍ったと見破った瞬間に気合を込めた蹴りで、フュージョンを後方へと吹き飛ばした。

「はぁぁぁぁぁぁ……はあ!」

息を長く吸いながら引き下げた右腕を思い切り突き出す。
ドラグクローから一つの炎球が猛スピードで飛び出し、フュージョンへと突き進んでいった。
直撃を食らったフュージョンはのたうつように顔を俯かせる。

「これでトドメだ」

そのフュージョンを眺めながら、ディケイドは何処からかケータッチとコンプリートカードを取り出す。
コンプリートカードをケータッチへと差し込み、タッチパネルを順に押していく。


―――― KUGA ―――――

―――― AGITO ―――――

―――― RYUKI ―――――

―――― FAIZ ―――――

―――― BLADE ―――――

―――― HIBIKI ――――

―――― KABUTO ――――

―――― DEN-O ――――

―――― KIVA ――――

低い機械音声で仮面ライダーの名が発声させられる。
ケータッチにあるそれぞれのライダーをモチーフにした紋章を押した後に、左にあるボタンを押す。

―――― FINAL KAMEN RIDE ――――

全てのボタンをタッチしたディケイドは相変わらず堂々とした姿で仁王立ちする。
フュージョンは先程の攻撃を受けてまだふらついている。

―――――― DECADE ―――――――

クウガ、アギト、龍騎、555、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバ。
それぞれのライダーのカードが胸から両肩にかけて伸びるように現れたホルダーに収まっていく。
そして、その9つのカードに反応するようにディケイドのカードを額のホルダーへと差し込まれていく。
それを確認したディケイドは、素早くディケイドライバーを右腰へと差し替え、ケータッチを腰へと装着する。
マゼンダ色をあしらった黒と銀のスーツを着た戦士。
これこそが仮面ライダーディケイドの最強フォーム、コンプリートフォームだ。

「……」

遠目からフュージョンの戦いを見ていたプリキュアたちにも、コンプリートフォームからとてつもない力を感じ取れた。
自分たちが限界に追い込まれて出す全力と同等は間違いなくあるだろう。
そのコンプリートフォームとと相対しているというのにフュージョンは身じろぎもしない。
ディケイドはそんなフュージョンの様子が気にくわないのか、眉をひそめながらケータッチを取り出す。
フュージョンは、とにかく固い。
動きや単体での破壊力ならばディケイドの方が上だが、液体状の身体に対して打撃では確かなダメージが入っていないのだ。
だから最強フォームでさっさと終わらせる、そう目で語りながらケータッチのアギトの紋章をタッチする。

―――― AGITO・FINAL ATACK RIDE・SHINING ――――

「はあああああああああ……!」

ソードモードとしたライドブッカーを腰だめに構え、ディケイドは息を吐きながら構えた。
ディケイドによって呼び出されたシャイニングアギトもディケイドと同じように構える。
フュージョンは何が起こるのかを理解している。
だが、身動ぎ一つしない。

「はああ!」

ディケイドとシャイニングアギトが剣を振るう。
その斬撃は一閃の光となってフュージョンへと突き進んで行く。
フュージョンは、動かない。動かなければ斬撃を防ぐわけるがなく。
その攻撃はフュージョンへと見事に直撃した。

「……呆気ないな」

斬撃が確実に当たったことによりシャイニングアギトが姿を消す。
一人取り残されたディケイドは実感のこもらない言葉でポツリと漏らす。
それこそ言葉通り呆気ないのだ。
一度はプリキュアたちを圧倒し、ディエンドを吸収したにしては簡単すぎる。
だが、終わるときはそんなものなのかもしれない。

「士、危ない!」

そう思いながらディケイドはベルトに装着したケータッチを外していく時、後方からユウスケの声が響く。。
切羽詰った声色から、ディケイドは何が起こったと尋ねるよりも防御の姿勢に構える。

「地面に影が出来てる……上からか!」

そう呟きながら素早く上空へと視線を移す。
そこには巨大な水たまりのように姿を変えたフュージョンが居た。
斬撃を受けて出来た爆発の瞬間に、無事だった部分を液体状として素早く上空へと移動したと言うことか。
身体を液体化させれる敵とはこれほど面倒だったのか、とディケイドは軽く舌打ちをする。

(どう攻撃が来る……? まあいい、こちらから仕掛ける!)

ディケイドはライドブッカーをガンモードへと変化させ、トリガーを引きフュージョンへと射撃する。
だが、ディケイドが攻撃を仕掛けたと同時にフュージョンは銀色の触手へと姿を変える。
数十本はあるだろう触手だ、その触手が猛スピードで迫っている。
幾つかはディケイドの攻撃で撃ち落とされたが、いかんせん数が違いすぎる。
触手のうちの一本がディケイドの腹部へと直撃し、動きが鈍った瞬間を狙い撃ちされるように次々と触手が襲いかかってくる。

「士! くそっ、変身!」

やがて痺れを切らしたようにユウスケが走りながらの変身で向かってくる。
そして、中心に居る触手たちの大本の、触手が枝ならば枝を支えている幹となる円球へと向かってライダーキックを撃つ。
リントで唯一の戦士としてグロンギなる敵と戦ってきたクウガのパワーは強大だ。
押されるようにフュージョンの動きが止まる。

ディケイドは『よくやったユウスケ!』と珍しく人を褒める言葉を発してもう一度ケータッチを取り出す。
ユウスケがクウガへと変身して戦局に参加した以上、夏海に危険が及ばないよう直ぐ様ケリを着けるべきだ。
故に、ファイズのブラスターモードかハイパーカブトで一気に焼き払うのが有効だと判断したのだ。
斬撃のような線の攻撃ではなく、超火力による面での攻撃。
手馴れた動作でケータッチのボタンを押していく。

「……なんだ?」

だが、一向にケータッチは反応しない。
何が起こったと目を丸くさせながら、何度もボタンを押すが一向に反応を示さない。
ネガの世界で手に入れたからこちらケータッチが使えなくなったと言う経験は一切ない。

「まさか……あの触手に力を吸い取られたのか!?」

ふとその可能性が思いつく。
フュージョンは全てを一つにと口うるさく言っており、その触手による攻撃を何度も受けた。
その隙にケータッチに触れられ、その力を吸い取られたのだとしたら。
力を吸い取ることが出来る、とはわかっていたがここまで簡単に吸い取られるとは思っていなかった。

『仮面ライダークウガ……なるほど、素晴らしい力だ……クウガ、貴様も一つに!』
「はぁ!」

そんなことを考えている隙にも、フュージョンはその姿をディエンドの姿へと変えてクウガと戦っている。
癪ではあるが、ここはクウガと手を組んで戦うのがベターだろう。

『仮面ライダーの力、頂くぞ』
「士! ここは協力して……」
「分かっている、いちいち言うんじゃない!」

そう言いながらディケイドはフュージョンの左へと向かって走り出す。
クウガはその姿を見て頷くとディケイドとは反対方向、フュージョンの右へと向かう。
挟み撃ちの形にするつもりなのだ。

「一気にいくぞ、ユウスケ!」

ディケイドはライドブッカーから一枚のカードを取り出す。
ディケイドの仮面をモチーフにした紋章が描かれたカードだ。
それはディケイドが持つ最高の威力、ディメンションキックを放つために必要なライダーカードだ。
カードをディケイドライバーを差し込む。

―――― FINAL ATACK RIDE ――――

「おう!」

クウガもそれに頷き、腰を落として光を右足に集めていく。
そして、その光が十分に集まるとフュージョンへと走り出す。
マイティフォームのクウガが持つ力を右足に集中させたライダーキックだ。

その二人のライダーが必殺技を放つ姿を眺めながらフュージョンは、僅かに身体を身構えるだけで動きはしない。

――――― DE DE DE DECADE ――――

「はああああああああああ!!」

二人のライダーの最高火力による挟撃。
並の怪人なら二回殺しても余りあるほどの威力だ。
フュージョンもその威力の恐ろしさは十分に分かる。
だからこそ、ライダー達の足との接触面を斜面のように変えて力を逃がしていく。
全ての力を防げるわけではない、ダブルライダーキックはそれほど甘いものではない。

だが、フュージョンは並の怪人ではない力を持っている上にエネルギーを吸収するというタイプだ。

『くっ……がぁ……あああああああああああ!!!』

苦しみに悶えるような叫びを上げながら、フュージョンの身体が膨らんでいく。
パワーを吸収しきれていないのか、とディケイドとクウガは判断してより強く足に力を込める。
エネルギーを吸収出来るとは言え、何時かはパンクは存在する。
その証拠にプリキュアたちの必殺技も吸収しきれなかったためにフュージョンは負けたのだ。


『はああああああああああああ!!!』
「なっ!?」
「うわぁ!」

だが、今はディエンドライバーとケータッチの力を吸い込んだ完全な状態。
そしてライダーキックも僅かに威力が流れている。
膨らんだ身体からエネルギーを弾け飛ばし、ディケイドとクウガにカウンターを食らわす。

『ふ、ふはははは! 素晴らしいぞ仮面ライダ―!』

僅かに息を切らしながら、フュージョンは吹き飛ばした二人の戦士の力を称える。
ディエンドライバーだけを吸収した、あるいはケータッチだけを吸収したフュージョンならば受けとめきれなかったかもしれない。
ゴキリゴキリと首を鳴らしながら、ディエンドライバーを天空へと飾す。
そして、一枚のカードをスロットに挿入し、機械音を響かせる。

―――― ATACK RIDE BLAST ――――

「ぐぅああ!!」
「おおっかぁ!!」

ディエンドライバーから飛び出た幾つもの弾丸がディケイドとクウガに追い打ちをかけるように降り注ぐ。
ライダーキックを弾かれたことによる反動で、身動きの取れない二人はまともに直撃してしまう。
それをフュージョンは冷ややかな目で見下ろし、僅かに一歩踏み出しディエンドライバーをある方向へと纏める。
その方向にはバラバラにしていたプリキュアたちが一箇所に集まりブレイドたちを押している。
フュージョンとしても十七人ものプリキュアをブレイドたち四人のライダーで倒せるとは思っていない。
とは言え、プリキュアたちも四人の仮面ライダーを相手では直ぐに倒せないだろう。
恐らく一箇所に集めて全員の必殺技で一網打尽にするはずだ。
フュージョンの予定通り、ブレイドたちはプリキュアたちを足止めした上に一箇所に集めている。
一枚のカードを取り出す。仮面ライダーディエンドをモチーフにした金色の紋章が描かれたカードだ。
そして、そのカードをディエンドライバーへと差し込み、ゆっくりとプリキュアたちへと銃口を向ける。


―――― FINAL ATACK RIDE ――――


その機械音と共にブレイドたちの姿がカードとなっていく。
突如として消えた姿にプリキュアたちが戸惑いを見せるが、フュージョンは構わずにトリガーを引いた。

「くっ……危ない!」

――――― DI DI DI DIEND ―――――

ケータッチの力とプリキュアの必殺技とこの街に住む全ての人達の存在。
それらを吸い込んだフュージョンの力によって補強されたディメンションシュートは17人のプリキュアたちをなぎ払っていく。
不意打ちになったためブルームとイーグレットも満と薫もルミナスもバリアを張ることが出来なかった。

『きゃああああ!!』

巨大なビーム状となったディメンションシュートにより、プリキュアたちをなぎ払っていく。
無防備に構えていた所への最大火力だ、無事で済むわけがない。
フュージョンは吹き飛ばされたプリキュアたちを眺めて満足するように頷く。
そして、銀色の身体を一つの塊へと巨大な球体へと変えていく。
その身体をゆっくりと上空へと登っていき、十メートルを超えた瞬間にドーム状へと球体から柱が降り注ぐ。

「これ……って……!」

この風景に既視感を覚えたキュアピーチが呟く。
あれはフュージョンがプリキュアを取り込もうとした時と同じだ。
だが、ピーチは立ち上がるのが精一杯だ。

「超変身……! とりゃああああ!」

ドラゴンフォームに変身したユウスケが、高い跳躍力を生かして空中に浮いた球体の上に乗る。
手に持ったドラゴンロッドで球体へと向かって差し込む。

『ぐぅ……!?』
「こいつでも……食らいな!」

ライドブッカーをガンモードに変化させ、銃弾でクウガのフォローを行う。
ディメンションシュートの直撃を免れていた、クウガとディケイドはフュージョンへの攻撃を開始する。
たとえボロボロの身体であろうと決して引かない。
その姿は確かに歴戦の勇士と呼ぶに相応しい姿だった。

だが、フュージョンもせっかくのチャンスを逃すようなマネは避ける。
ここで有効な戦略は何かをフュージョンは考える。
ディエンドの記憶を探り、何がこの二人に有効か、それを考え、直ぐに対策は見つかった。

『全てを、一つに……!』

水銀の球体となったフュージョンの身体から飛び出た十数本の触手。
ディケイドの銃撃、クウガのドラゴンロッドによる切り落としで幾つかの触手が切り落とされる。
だが、二人の身体にダメージを積もっていたこともあり、攻撃を免れた触手が存在した。

「きゃあ!?」

その触手は一直線に、安全だと思っていた位置に居た光夏海を絡めとっていた。

「夏みかん!?」

ディケイドは銃撃を中断させる、と言うより中断せざるを得なかった。
夏海を吸収せずに盾にするようにディケイドへと向けたのだ。
人質の形を取られてしまい、ディケイドだけでなくクウガの動きも止まり、その隙を狙われ振り落とされてしまう。

「くっ……夏海ちゃん!」

着地しながらフュージョンに取り込まれようとしている夏海へとクウガが悲鳴のような声を投げかける。
もう一度攻撃を仕掛けようとするが、ディケイドと共にフュージョンの触手に追撃を受ける。
ダメージの深い身体に追い打ちをかけられ、ついに膝をついてしまう。

「士くん! ユウスケ!」

それを確認した後に、フュージョンは助けを求めるように、けれども攻撃を受けた二人を心配するような叫びを上げる夏海を取り込んだ。

『もう一度、弱らせる……さすれば、仮面ライダーとプリキュアは一つに……』

低い声を出しながら、フュージョンは再び仮面ライダーディエンドの形を取る。
そうして、腰元から一枚のカードを取り出す。
カードの絵を見なくても分かる。
フュージョンはディメンションシュート、もしくはブラストを撃ってくる。


「皆! 一箇所に集まって!」

ボロボロの身体に鞭を打ってパッションが叫ぶ。
パッションの変身アイテム、アカルンが持つ固有能力の瞬間移動。
それを使って逃げることは出来る。
倒すことができない以上、逃げざるを得ないと判断したのだ。
それに反論する人間はいない、何よりも全員が心身ともにボロボロだった。


―――― ATACK RIDE BLAST ――――


だが、一瞬だけフュージョンの方が速かった。
機械音が響き、フュージョンの持ったディエンドライバーから幾つもの光弾が発射される。

「超変身!」

その瞬間、パッションへと向かっていたクウガが素早く背後へと切り返す。
ドラゴンフォームから耐久に優れたタイタンフォームへと姿を変え、タイタンソードを手に持ちアタックライドを切り払っていく。
とは言えタイタンフォームはパワーとスタミナは頭が一つ抜けているが、瞬発力は他のフォームに劣る。
全てを切り払えるわけがなく、幾つか被弾する。
だが、クウガは倒れなかった。

「ここは俺に任せて先にいくんだ! 早く!」
「ユウスケ!」
「安心しろ、士! 俺だって仮面ライダーだ!
 絶対に夏海ちゃんやここの店主さんを連れ戻してくるさ!」
「おい、ユウスケ!」

士はその言葉が強がりだと分かる。
確かにクウガの力の源であるアマダムは強力なものだ、ディケイドの変身の核となるディケイドライバーと比肩するほどに。
だが、今のユウスケはそれを限界まで引き出すことは不可能だ。
ユウスケが未熟なのではなく、アマダムとはそれほど危険な代物なのだから。

士の声を無視するようにクウガは走り出す。
アカルンによる瞬間移動は既に準備が出来てしまっている、今から中止するのは不可能だ。

「ユウスケ!」
「さあ、来い!」

クウガが腰を落とし、真っ赤な複眼でフュージョンを睨みつけ、後方から士の声を聞いたその瞬間。
プリキュアたちはアカルンの力により、その場から消えていった。


   ◆   ◆   ◆

.


丈の長い地味な色をしたコートと同色の帽子を被った初老の男が時計台の頂上にいた。
男の名は鳴滝、それが本名であるのか偽名であるのか、そもそも名前と言うものがあるのかすら知られていない謎の男だ。
これまでディケイドが旅したあらゆる世界に現れ、含みのある言葉をディケイド投げかけてきた男。
その鳴滝が眼鏡越しから暗闇に染まった世界を見下ろしていた。

「こうしてまた一つの世界が崩壊し……他の世界も危険に晒されてしまう……!」

誰に言うでもなく思わず口からこぼれてしまったと言った様子で、鳴滝は憎々しげにつぶやいた。
このプリキュアの世界は本来仮面ライダーが現れるわけがない世界だった。
あの騒ぎの中心にいるフュージョンも、ミラクルライトの力を吸い込もうともプリキュアに敗れるはずだったのだ。
だが、フュージョンは仮面ライダーの力を手にいれたことからプリキュアをも超える力となってしまった。
ディエンドの用いるカメンライドのようなライダーの召喚は行えないが、その知識から幾つものライダーもどきを作り出せるほどの力だ。

とは言え、そのライダーもどきたちはプリキュアやディケイド、クウガに敵うほどの力は持ち得ていなかった。
レプリカである上に、フュージョンが自身の力を分割させたのだから当然であろう。
カメンライドという手もあるが、あれにも限界がある。

だが、それもクウガのアマダムとケータッチの力を吸収してしまった今は少し事情が変わってくる。
アマダムほどの強大な力の源と一つとなったフュージョン、それが作り出すライダーのレプリカならばかなりの力を持っているはずだ。
しかも、それは何度も再生する。
幾らそのレプリカライダーをプリキュアたちが倒し続けようと、その隙にフュージョンは様々な力と一つとなっていくだろう。
そして疲労し弱体化してしまったプリキュアたちを、万全の力を持って叩き潰すはずだ。

「おのれ、ディケイド……!」

ギシリ、と鳴滝は歯を強く噛む。
ディケイドがいなければこんなことにはならなかった。
シンケンジャーの世界に続き、プリキュアの世界にもライダーが生まれてしまう。
全てはディケイドが、破壊者であるディケイドが現れたからこそ。

鳴滝は顔を怒りなどと言う言葉では生ぬるいほどの激情に染め上げる。
そして、全ての元凶であるディケイドへと、胸の内から溢れでそうなほど渦巻く感情をぶつける様に叫んだ。

「おのれ……おのれディケイドォ!」

To be next――――――――――――――――

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最終更新:2010年03月06日 22:59
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