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最終回「その幻想を破壊せよ(後編)」

再びディケイドへ変身した士はすぐに一枚のカードを取り出すと、自らで使わずにオーロラの壁へと向けて投げ放った。

「使え、海東!」


「……!? 感謝しておくよ、士!」

突然の呼びかけに面食らっていた海東だが、すぐに我に返り自身の持つ世界を渡る力によって士のカードを受け取り、ディエンドライバーへとセットする。
阻止しようとシャドームーンが動くが、ほんの数瞬、遅い。

『KAMEN RIDE BLACK RX!』

先程士が変身したライダー、RXが召喚されシャドームーンの剣を受け止め弾く。
海東を守るように前に立ち、思わぬ相手に慎重に構えを取るシャドームーンへと声を上げた。

「俺は太陽の子! 仮面ライダーBLACK! RX!」
「……!」
「ここは君に任せるよ」

『ATTACK RIDE INVISIBLE!』

RXとシャドームーン、どちらもオリジナルの世界の人間……南光太郎と秋月信彦ではないが、それでも宿敵同士、一対一の方が戦いやすいだろう。
海東はすぐに姿を消してしまい、シャドームーンはRXと向き合うことを余儀なくされる。


◇


「鳴滝、これが最後の戦いだ」
「ディケイド……貴様は、どこまで……う、があああああああ!?」
「なんだ!?」
「これは、ガイアメモリがレベルを上げた……?」

突如苦しみだした鳴滝を見てぽつりと呟く。
闇。
そうとしか形容できない物が鳴滝の体を包み、その姿を変えていった。

「ぐぅ……! ディケ、イド……!!」
「門矢、どうなってるんだ!?」
「……あれが、世界の破壊者としてのディケイドの姿だ」

ディケイド・激情態。
ディケイドの真の姿と言ってもいいだろう、その力は全ライダーを一人で倒してしまうほどのものだ。
かつて士がこの姿となった時は夏海によって止められた、だが鳴滝が相手では躊躇なく倒されてしまうだろう。

「結局は力づくしかないってわけか……」

吐き捨てながら、ケータッチというデバイスとそれに対応するカードを取り出す。
そのままカードをセットし、

「門矢!」

『ATTACK RIDE TIME!』

一瞬にして士の目の前まで移動した鳴滝が振りかざしたライドブッカーを上条が自らの体で受け止める。
時を止めるタイムのカードにはイマジンブレイカーを持つ上条しか対抗することができない。

「上条!? バカな真似はよせ!」
「っ……このぐらいどうってことねえ……! それより門矢、全部一人で背負い込もうとするんじゃねぇぞ!」
「……判った、なら、少しの間任せるぞ!」
「任せろ!」

鳴滝も先に上条を倒さなければ埓があかないと判断したのだろう、上条へと斬りかかる。
ああは言ったが生身で激情態のディケイドを食い止めるなど無理に決まっている、力不足だとかそれ以前の問題。
それでも、士は上条を信じ、上条も士を信じ奮闘する。
その想いに答えるために、士はケータッチへと手を伸ばした。


◇


「キック殺し!」
「うわあああああ!」

ユウスケの放った必殺技、マイティキックがイカデビルによって防がれる。
仮面ライダー1号さえも一度は倒した技、堪らずふらつくユウスケはガラガランダとイカデビルの同時攻撃を受け変身が解除されてしまう。

「これで終わりだ仮面ライダー、貴様の仲間ももう限界のようだぞ」
「くそ……!」

ガラガランダの言葉通り、無数の能力者と戦い続ける土御門の方も限界が近い。
次々と繰り出される能力に魔術を使う暇がなく、その人数に優れた格闘センスも生かしきれない。
少しずつ追い詰められて行く中、突然能力者の一部が吹き飛ばされた。

「な、何事だ!?」
「あまりここだけに時間をかけられないんだ、一気に行くよ」
「海東さん!?」

『KAMEN RIDE DRAKE! PSYGA!』

イカデビル達に牽制の弾丸を撃ち込みながら二人のライダーを召喚し、それぞれワームとイカデビル達に向かわせてユウスケへと言葉をかける。

「いつまで寝ているつもりだい、君も本気を出したまえ」
「……っ、だけど、あの力を使うのは……」
「究極の闇、その力に囚われてしまうのが不安、とでも言いたいようだね」

言いながらそれぞれの戦況へ目を向ける。
トンボを模したライダー、ドレイクは土御門と上手く連携してワームの大群を押し返している、機動性に優れるが防御の薄いドレイクの特性を初見で見抜いた土御門のフォローが上手くいっているようだ。
一方で白い装甲に青いラインを走らせたライダー、サイガはガラガランダの伸縮自在な腕に捕まってしまい自慢の高速飛行能力を活かせていない。

「君は馬鹿かい? 士を止めるためにあの力を使っていた時、何が君を動かしていたのか思い出してみるといい」
「俺を、動かしていたもの……?」
「まさか士への憎しみだけだった、なんて言う訳じゃないだろう?」
「……」
「僕はまだそのお宝の価値を理解しきれてはいない、だけど……ここは任せるよ」

『ATTACK RIDE INVISIBLE!』

海東が消え去り、しばらくの間ユウスケは動かずいたがサイガが倒されたのと同時に立ち上がり、イカデビル達を強く睨みつける。

「土御門さん!」
「なんだ! まだそっちの援護には行けそうにないぞ!」
「頼みがある、もしも俺が力に溺れたら……その時は士達と一緒に、俺を倒してくれ!」

予想だにしない内容にワーム達の攻撃を掻い潜りながら視線を移す。
イカデビル達に向いたその表情はうかがえないが、その身から溢れる決意が並大抵のものではないことが伝わってくる。

「ああ、任されてやる! 思う存分暴れてこい!」
「……ありがとう。見ていてくれ、俺の―――変身!」

ユウスケの叫びにベルトが作動し、クウガの力が身体を包み込む。
その色は黒、全身を黒一色で染め上げられたその姿は力強く、それでいて恐怖をも感じさせる。
究極の闇、クウガアルティメットフォーム。
クウガが優しき心を失った時、戦うだけの生物兵器となり世界に闇をもたらす。
その力はディケイドとも真っ向からぶつかり合うことのできる程、クウガの他の形態を遥かに上回っている。
だからこそユウスケはこの力を恐れていた、自分の心が闇に支配されれば仲間達さえも傷つけてしまいかねない。
其れ故の土御門への言葉、いざという時は自らの命を絶つ覚悟での変身。

その瞳は――


――赤い、正義の輝きを持って自らの敵を捉えていた。


「……はっ」

能力の一斉放火をかわすと同時に大きく間合いをとり、土御門は小さく笑う。

(この嘘つき土御門さんにお願いとは、まったく、カミやんといい超電磁砲といいお人好しばっかだぜい)

海東の残していったドレイクがワーム達を足止めしているのを見ながら小瓶を取り出す。
魔術の触媒となるその小瓶を四方へと放ち、自らの信念を込めた名を告げる。

(俺も、人のことは言えないかにゃー?)
「"背中刺す刃(Fallere825)"!」

魔法名、それは魔術師にとって己の覚悟を見せる尊き儀式。
土御門の身体では魔術を扱えば自らも重症を負うこととなる、それがわかっていながらも、彼は魔術師として戦うことを決めた。
それこそが、出会って間もない自分を信じ、背中を預けてくれたあの青年への応えになると信じているから。


◇


士の指がケータッチの画面を滑るように動く。

『KUUGA AGITO RYUKI』

士が巡った9つのライダーの世界、その力がケータッチへと集まっていく。

『FAIZ BLADE HIBIKI』

それは世界を破壊する者が、世界を繋げたことで手にした力。

『KABUTO DEN-O KIVA』

そう、ディケイドとしてではなく、門矢士だったからこそ得た絆。

『FINAL KAMEN RIDE DECADE!』

マゼンダ色の装甲が黒と銀色へと変化していく。
胸にマゼンダのラインに沿ったカードホルダーが現れ、そこにクウガを始めとしたライダー達のカードが収められていった。
同じように額に現れたホルダーにはディケイドのカードが。
ディケイドライバーを右腰へと移し、ケータッチをバックルのあった位置へと装着する。
ディケイド・コンプリートフォーム。
破壊者としてではない、通りすがりの仮面ライダーとしての最強の姿。

「……っ!」
「なぜだ、何故倒れん……!?」

士がコンプリートフォームへの変身を完了すると同時に鳴滝と上条の二人が間合いを開ける。
この数秒の間に上条の身体は立っているのも不思議なほどボロボロになっており、ライドブッカーで直接切られたのか、その右手さえも浅くはない傷がいくつもつけられている。
生身の人間、それも美琴のように特別戦闘向けの力を持っているわけでもない身でディケイドと戦ったのだ、無事で済むはずがない。
だというのに、上条は立ち続け、鳴滝は士へと手出しすることができなかった。
それがどれほどのことか、自らがディケイドである士にはよくわかる。
だから、支えない。
限界を迎え倒れていく男へ向けて、よくやった、などと言わない、助かった、などと言葉にしない。

「門矢……」

今、士が上条に対してするべきことは一つ。

「後は、任せるぞ……」
「――任せろ!」

ただ――その想いを引き継ぐのみ。


◇


「これなら……どう!?」

美琴の発生させた磁力に操られた砂鉄の剣がジャークミドラへと迫る。
が、それさえも大剣の一振りで呆気無く散らされ掠り傷一つつけることができない。
ロボライダーのボルテックシューターを弾き返し、その強固な装甲を斬り裂く大剣とジャークミドラの技、生半可な攻撃では通らない。

「温い、その程度で余の相手が務まるとでも思っているのか」
「危ない!」
「夏海さん!?」

頭部から放たれた怪光線から美琴を庇い、夏海が吹き飛ばされる。
かつて破壊者となった士を止めたこともある夏海だが、その戦闘経験はまだ二桁にも届いていない、未熟な戦士。
強者揃いのクライシス帝国をまとめ上げてきたジャーク将軍には到底叶わない。
一方で学園都市の第三位に位置している美琴はその戦闘経験、能力の応用力では夏海を大きく上回るが怪人相手では威力に欠けてしまう。
悠然と近寄ってくるジャークミドラに対し、散発的な反撃を加えながら間合いを取ることしか手段がないのだ。

「このままじゃ……」

『KAMEN RIDE KIVA!』

「むぅ!?」
「キバ! 大樹さん!?」

『ATTACK RIDE BLAST!』

突如現れたキバと海東の攻撃によって流石のジャークミドラもわずかに後退を余儀なくされる。
そのままキバは戦いだすが、一方的に押されてしまっている、V3とライダーマンという往年のコンビさえも圧倒した実力はいかにキバとて覆せない。

「夏メロン、少し時間を稼いでくれ」
「だから、メロンじゃないですって……わかりました!」

愚痴りながらもキバの加勢に行く。
キバとキバーラ、二つのキバの鎧の攻撃にジャークミドラの注意もそちらへと集中せざるを得ない。
その間に海東は美琴へと視線を向ける。

「な、なによ?」
「君は電気を操れるんだったね、あいつを倒す手が一つある。協力してもらうよ」

高圧的な海東の態度が癪に障るが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

「……わかった、何をすればいいの?」
「簡単なことだよ、こいつに君の電撃を全力でブチかましてほしい」

『KAMEN RIDE KUUGA!』
『FINAL FORM RIDE KUUGA!』

「痛みは一瞬だ」

召喚したクウガをディエンドライバーで撃ち抜く。
するとクウガの身体が変形していき、クワガタを模した機体、クウガゴウラムへと変化する。
目を丸くする美琴の前へとクウガゴウラムを移動させ、言葉を続ける。

「レールガン……原理は知ってるかい? 弾丸に対して電気を」
「大丈夫よ」

言葉を遮り、一瞬躊躇しながらもクウガゴウラムへと手をかざす。

「よく知ってる」

一言呟くと共にバチリ! と音を立てながら放電して見せる。
満足げに頷く海東へと、一つだけ問いかける。

「って、この、人……? は大丈夫なの?」
「問題ない、このクウガに意思はあってないようなものさ」
「……ふぅん」

その答えに複雑な表情を浮かべ、それでも視線を標的へと向けた。
戦況は想像以上に悪い、夏海は振り下ろされた大剣を辛うじて受け止めているが膝をつき、キバは片手で首を絞められ持ち上げられてしまっている。

「僕の合図で撃ってくれるかな」
「OKよ」

『FINAL ATTACK RIDE』

「離れろ夏メロン!」

海東の声に転がるように夏海は離れる。

「今だ!」
「いっっっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

全力の電撃を放ち、クウガゴウラムが美琴の手から放たれた。
クウガゴウラムを弾丸とした超電磁砲、これを喰らえばいかにジャークミドラとて無事ではすまない、キバを放り投げ大剣を盾にして構えを取る。

「むぅ!!」

激しい衝突音を響かせクウガゴウラムを受け止める。
……が、その勢いを殺しきることができない、地面を抉りながらそれでも大剣を手放すことはせず――その剣が、折れた。

「バカな……!?」

『DIDIDIDIEND!』

同時にディエンドの前に半透明のカードによる照準が現れ、クウガゴウラム、キバもその中の一枚へと変化する。
ジャークミドラが体勢を立て直す暇もなく、放たれたディメンションシュートがその身体を飲み込んだ。

「ぐわあああああああああああああ! す、スーパー大ショッカーに……栄光あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


◇


『ATTACK RIDE ADVENT!』

鳴滝の頭上に赤き龍、ドラグレッダーが召喚される。
その口から放たれる火炎を回避し、ケータッチの画面へと手を伸ばす。

『RYUKI! KAMEN RIDE SURVIVE!』

士の隣に赤い龍の顔を模した鎧を付けたライダーが現れる。
龍騎・サバイブ、何度裏切られ、詰られようとも戦いを止めるために戦った、正義感に溢れる男の変身する仮面ライダー、その強化形態である。
そのままカードを取り出し、腰の横へと移動したディケイドライバーへと差し込む。
見れば予備された龍騎も士の動きをトレースしている。

『FINAL ATTACK RIDE RYURYURYURYUKI!』

龍騎の手に剣が現れ、士と共にその剣を十字に振るう。
その剣閃が炎を纏い、ドラグレッダーの放つ炎を切り裂きながら突き進み龍の頭部を粉砕する。

「ぐっ……ディケイドォ!」


◇


「RX! バイオライダー!」

ロボライダーとなっていたRXが液状化してシャドームーンとの間合いを離す。
仕切り直そうと実体化したその瞬間、シャドームーンの手から光線を放たれた。

「シャドービーム!」
「ぐわあ!?」

倒れ伏すバイオライダーへと、シャドームーンは駆け出し両手の刃を同時に振るう。

「RX!」

だがその直前にバイオライダーは離れながら元のRXの姿へと元に戻る。
そのまま自らのバックルへと手を当て、叫ぶ。

「リボルケイン!」

バックルから光り輝く剣が現れ、RXの手に収まる。
体勢を立て直し切れていないシャドームーンの腹部へと、その剣を深く突き出した。

「ぐ……ぁ……!」
「……ふっ!」

気合と共にリボルケインを抜き、払いながら背を向ける。
――RXの必殺技、リボルクラッシュ。
数々の怪人を葬り去ってきたこの技を受けては、シャドームーンとて立ち上がれない。

「……いつか、影が光を覆い尽くす時が……!」

口惜しげに言葉を搾り出し、その身体が爆発する。


◇


『DEN-O! FINAL KAMEN RIDE LINER!』

士の呼び出した龍騎が消え、変わりに赤・白・黒と彩り豊かなライダーが現れる。
電王・ライナーフォーム、とてもひ弱で、それでいてその心は誰よりも強かった青年の変身する仮面ライダー、その青年が仲間たちとの絆の末手に入れた形態だ。
続けてファイナルアタックライドのカードを手にするが、それを起動するよりも早く鳴滝が一枚のカードを起動させる。

『ATTACK RIDE SHUFFLE!』
『ATTACK RIDE ORE-SANJO!』

「なっ!?」

鳴滝の使用したカード、それはラウズカードの一枚「シャッフル」。
仮面ライダーカリスの使用するそのカードの効果は、他のライダーのカードをシャッフルしてしまうというもの。
その効果によって士の手にしたカードはまったく意味のない別のカードへと変化させられてしまう。

「俺、参上!」

呼び出された電王が律儀にカードの効果によって決められたポーズと決め台詞を言っているが、構っている暇はない。
狙いと外れたカードを使ってしまったことにより現れた隙を見逃すほど、鳴滝は甘くないのだ。

『FINAL ATTACK RIDE DEDEDEDECADE!』


◇


「スーパー大ショッカー……スーパー大ばんざぁぁぁぁぁぁい!!」

ガラガランダの断末魔をバックに、イカデビルは悠然と歩み寄るユウスケから少しでも距離を取ろうと逃げ出していた。
次元が違う、それ以外言葉がなかった。
二人がかりでの攻撃を物ともせず、その一撃でガラガランダを倒したあの力はもはや悪魔の領域。
ひたすらに駆けるイカデビルに、横手から飛んできた水流が突き刺さる。

「イカァ!?」
「こっちは通行止めだぜい」
「き、貴様ぁ……!」

口元から血を流しつつ告げる土御門を睨みつけるが、攻撃をするより先に湧き上がる疑問が口を出る。

「わ、ワーム達はいったいどうした!?」
「奴らなら一匹残らず吹き飛ばしたぞ、あの閃光に気づかないとは、よほど焦ってるみたいだな」
「ぐ、お、おのれぇ……!」

せめてこいつだけでも道連れにしてやる。
そう考えたイカデビルがその鞭のような腕を振るうが、土御門に命中する直前で止められた。

「よう、倒す必要はあるか?」
「……大丈夫さ」

土御門の問いかけに、ユウスケはゆっくりと返す。

「ぐ、貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」

激昂しながらイカデビルが腕を振るうが、それより早くユウスケは掴んでいる腕を引き、カウンターの要領でその頭部を殴りつける。
声さえ上げられず悶え狂うイカデビルへと、ユウスケは体勢を低くして構えを取った。

「土御門さん、魔術で防御とかはできるのか?」
「……まあ、できるが」
「なら出来る限り離れてそれをしておいてくれ、巻き込まれたら危険だ」
「了解だぜい」

傷ついた身体を推して走り去る土御門を見送り、ユウスケはイカデビルへと飛び上がり、蹴りの体勢へと入った。

「はあああああ!!」
「い、いかあああああああああああ!!」


◇


士は何もできなかった。
迫るディメンションキックに対し、何か対抗策を打つ時間はなかった。
しかし、信じていた。
この世界でできた仲間を、どれだけ痛めつけられても立ち上がる男を。
そして、その男は士の信頼に答えきった。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「イマジンブレイカー!?」

動くことさえ、意識を保つことさえままならなかったはずの男は士の前に立ち、ディメンションキックのためのカードを殴り飛ばした。
まるで逆流するかのようにカードが粉々に砕け散っていく、鳴滝の身体は途中で失速し、地面へと落ちてしまう。

「ぐ……!」
「……終わりだ、鳴滝」

『FINAL ATTACK RIDE』

「ディケイド……!」

『ALL RIDER!!』

士と鳴滝の間に何枚ものカードが現れる。
そのカードには仮面ライダー1号を始めとした歴代のライダーが描かれている。
士は飛び上がり、描かれたライダー達の力をその身に蓄えながら加速していった。
鳴滝はその光景を、まるで他人事のように呆然と眺めていた。

「ディケイド……私は……」

ライダー達の力を吸収した士の蹴りが、炸裂した。


◇


「本当にもう行っちまうのかよ?」

光写真館の前で、士と上条達が会話をしていた。
鳴滝との戦いの翌日、もう次の世界へと旅立とうとする士達へと上条達は不満顔だ。

「どうやら、俺にはまだやるべき使命とやらが残ってるらしいからな、世界が俺を必要としている」

おどけて言う士に上条も笑う。
どこかの世界で士の力を必要としている者がいるなら、それを止めるべきではないのだろう。

「それより、そっちは大丈夫なのか?」
「上の方は色々混乱してるみたいだけどにゃー、ま、この街は守って見せるぜい、せめて、俺の手が届く範囲だけでもな」
「私は黒子に納得してもらわなきゃね……」

思い思いの反応を返す上条達と握手をかわし、士は写真館の中へと向かう。

「門矢!」
「何だ?」
「また来いよ! インデックスにも紹介してやりたいからさ!」
「……ああ、首を長くして待っていろ」


――そして士達は次の世界へと旅立つ。

仮面ライダーディケイド、その瞳で何を見る。


◇


誰にも知られず、誰の記憶にも残らない荒野。

そこで鳴滝は倒れ伏していた。

その身体は、胸に一枚の写真を抱いたまま動かない。

それは、たった一つだけの思い出。

憎しみに支配された彼の、最後の想い。



――――笑顔で映る、家族の姿



仮面ライダーディケイド VS とある魔術の禁書目録

END

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最終更新:2010年05月09日 11:28
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