仮面ライダーW、今回の依頼は?
「『青の通り魔』が俺を襲っただって?」
「夢の中に『青の通り魔』が出たんだよ!それに・・・とうまが・・・。」
「『ジャッジメントですの』だ!覚悟しなさい、『青の通り魔』!!」
「『青の通り魔』だと?勘違いも甚だにしろ、『ドーパント』め!!」
「犯人は・・・トライアルのメモリの持ち主だと?!」
「この学園都市に存在する特殊能力・・・<幻想御手(レベルアッパー)>を使って、何者かがこれまでのガイアメモリの能力を強化した新型ガイアメモリを開発していることは確かだ。」
「そして、私はついに手に入れました。頂点ともいうべき力・・・最強の力をね!」
「井坂・・・ 深紅郎・・・。」
学園都市の闇夜を疾走するハードボイルダー。
それに乗るフィリップと禁書(インデックス)は一路、禁書の家を目指していた。
「禁書、もうすぐ君の家だ。」
フィリップが、自身の背中に捕まる禁書へ言う。
「うん、ありがとうなん・・・ちょっと待って!!」
禁書が言いかけたその時、彼女の目に何かが飛び込む。
「フィリップ!あれっ!!」
「あれは・・・白井 黒子・・・?」
禁書の指差す方向を見るフィリップ。
その先には、コンクリートの壁に寄り掛かるようにして座り込む、
息も絶え絶えな白井 黒子の姿があった。
すぐさまハードボイルダーを止め、彼女のもとに駆け付けるふたり。
「くろこ!大丈夫?!」
禁書が声をかける。
「・・・禁書・・・ちゃん・・・。」
「喋っちゃダメなんだよ!今すぐ病院に連れてってあげるんだよ!!」
「・・・お姉さまが・・・お姉さまが・・・。」
「お姉さま・・・?」
「フィリップ!みさかのことなんだよ、ソレは。でも・・・みさかがどうしたの?」
「・・・お姉さまは・・・お使いに行った・・・あなたを・・・あの男とともに・・・
探していて・・・それで・・・偶然・・・逃げてきた私に・・・出会って・・・。」
「『あの男』って、まさか・・・とうま?!」
大声をあげる禁書。
それに対し、白井は静かにうなずいた。
禁書は思い出していた。
夢の中で上条 当麻が『青の通り魔』に襲われていた光景を・・・。
そして、自分の目の前で上条の命が奪われようとしていた瞬間を・・・。
突然、走りだす禁書。
「・・・!禁書、どこに行くんだ?!」
叫ぶフィリップであったが、彼女は一目散に来た道を戻って行った。
「・・・早く・・・行って・・・ください・・・。」
戸惑っているフィリップに対し、白井が言う。
「しかし、君のその怪我は!」
「・・・大丈夫です・・・もう少し休めば・・・病院まで・・・
<空間移動(テレポート)>・・・出来るくらいの・・・力は・・・取り戻せますから・・・。」
「・・・分かった。僕からは何もすることは出来ないが・・・気をつけてくれ!」
そう言うと、フィリップは再びハードボイルダーにまたがり、禁書同様に来た道を戻るのであった。
その頃・・・。
大きな衝撃とともに吹き飛ばされる人影。
その影はコンクリート造りの塀に叩きつけられ、そして大きな穴を開けるのであった。
「やれやれ、人間態の私にさえ太刀打ち出来ないとは・・・仮面ライダーの名も地に堕ちたものですねぇ・・・。」
そう言って、エンジンブレードを下ろす井坂 深紅郎。
一方、井坂からの一撃を受けた仮面ライダーアクセル トライアルは瓦礫の中からなんとか立ち上がろうとするが、
先ほどの戦いで体力をほとんど使い果たしており、起き上がるどころか腕を上げるのもままならない状況となっていた。
「・・・このまま・・・やられる訳には・・・。」
「いえ、君にはこのままやられていただきましょう。そうすれば・・・君の愛していた家族に地獄で会えるのですから。」
そう言って、井坂が再びエンジンブレードを構えたその時だった。
「・・・ん?」
井坂の目に映る、飛来するコイン。
次の瞬間、そのコインは多量の電気エネルギーをまとい、巨大な光線となって井坂に襲いかかった。
突然の事態に光線を避けることが出来ず、多量の電気エネルギーを受ける井坂。
その光景を見ていたアクセルのもとに2つの影が現われた。
「照井さん、大丈夫ですか?!」
「・・・上条!それに御坂!!」
「べ・・・別にアンタを助けに来た訳じゃないわよ。
本来なら、こういうのは私たち風紀委員(ジャッジメント)の管轄だから・・・って理由だからねっ!!」
御坂 美琴がツンデレ混じりに言う。
だが、アクセルはすぐに反論した。
「・・・駄目だ・・・ここから逃げるんだ・・・。」
「ちょっと、何よ!せっかく助けに来た・・・。」
御坂も反論しようとするが、アクセルは遮って言う。
「あいつは・・・違う・・・。俺達が戦ってきたドーパントとも・・・上条たちが相手にしているような能力者とも・・・。」
「違うって言われても・・・そんなの、戦ってみなきゃ・・・。」
「いいえ、戦わなくても分かりますよ。」
突然、彼らの会話に割り込む声。
その声の主は、御坂の<超電磁砲(レールガン)>の直撃を受けたはずの井坂が無傷で立っていた。
「?!そんな・・・ビリビリの<超電磁砲>を・・・しかも直撃で受けたら、普通なら無事で済まないはず!!」
「残念ながら私は普通の人間では無いんでねぇ、Lv.0の上条 当麻くん。」
「!」
「そして、Lv.5・・・学園都市No.3と言われた御坂 美琴くん。君の能力は確かにすばらしい。
だが・・・素晴らしいのは能力だけであって、君自体は虫けら以下だ。」
「な・・・?!」
「本来、素晴らしき能力は素晴らしき人間が使ってこそ、その真価が現われるものなのです。私と・・・このメモリのように。」
そう言うと、井坂はT2トライアル・メモリを取り出した。
TRIAL!
ガイアウィスパーを聞き、メモリを自身の耳に刺す井坂。
そして、その姿は『青の通り魔』・・・いや、トライアル・ドーパントへと姿を変えた。
「さて・・・実演へと参りましょうか。素晴らしき能力も持つ者が虫けらなら何の意味も持たないという証明のね!」
「はっ!!」
御坂の手から放り投げられるいくつものコイン。
そして、それらに向かって彼女は電気エネルギーを送り、何本もの光線を完成させてトライアル・ドーパントを狙う。
だが、トライアル・ドーパントは全ての光線を避けてしまう。
しかも、一度に全ての光線を避けるのではなく、ひとつひとつの光線をまるで反復横とびのように避けるのであった。
「そんな・・・早過ぎる!!」
超高速で移動するトライアル・ドーパントに対し、急きょ第二陣のコインを用意しようとする御坂。
だが、トライアル・ドーパントは御坂に急接近、手に持つエンジンブレードの柄で御坂の手のコインを叩き落とし、
さらにはアクセルを思わせるハイキックを彼女の胸に叩きこんだ。
空高く吹き飛ばされる御坂。
「ビリビリ!!」
これに対し、上条 当麻は思わず肩にかけていたアクセルを突き放し、そして吹き飛ばされた御坂を受け止める。
「ビリビリ!!」
上条の腕の中で倒れこむ御坂に声をかける上条。
だが、トライアル・ドーパントの強烈な一撃によって完全に気絶していた。
「くそっ・・・『青の通り魔』!今度は俺が相手だ!!」
御坂を抱えながら叫ぶ上条。
それに対し、トライアル・ドーパントは冷やかであった。
「仮面ライダーでもLv.5でも勝てない私にLv.0の君が挑もうとは・・・虫けらの考えていることは私にはどうも理解出来ませんねぇ。」
「俺達は虫けらじゃねぇ!てめぇのその幻想・・・ぶち殺す!!」
そう言って、上条がトライアル・ドーパントに襲いかかる。
「やれやれ・・・それでは相手してあげましょうかね。」
一方、トライアル・ドーパントはエンジンブレードを再び構えると、上条目がけて叩きつけるのであった。
響き渡る、金属同士がぶつかったような大きな音。
この音にトライアル・ドーパントは勝利を確信した・・・はずだった。
だが、彼の目の前には右手でエンジンブレードの刃を掴む上条の姿があった。
「・・・何?!貴様、この剣を腕1本で・・・。」
「悪いな、周りから『不幸体質』だの『Lv.0』だのと馬鹿にされてるけどな・・・
俺の<幻想殺し(イマジンブレイカー)>に関しては絶対的な自信があるんでね!」
そう言って、右腕に力を込めてエンジンブレードを抑え込もうとする上条。
確かに、彼の<幻想殺し>はエンジンブレードの持つ攻撃性を抑えることには成功した。
だが、エンジンブレード自体の武器としての物理攻撃性を抑えることは出来ず、彼は右手から真っ赤な血を流すのであった。
「ん・・・?なるほど、どうやら単なるやせ我慢だったようですね。」
上条の血に気付いたトライアル・ドーパントが言う。
「やせ我慢して悪いか?」
「医者として忠告しましょう。やせ我慢は・・・いや、身の丈に合わない無理は自身の身を滅ぼすと!!」
そう言って、腕に力を込めるトライアル・ドーパント。
すると、刃を握った上条ごとエンジンブレードを振り回し、力任せに上条を吹き飛ばすのであった。
地面に叩きつけられる上条。
一方のトライアル・ドーパントはエンジンブレードを肩にかけて、上条に迫る。
その時だった。
「とうま!」
上条の耳に届く聞き慣れた声。
その声の主は禁書であった。
「い・・・インデ・・・。」
喋ろうとする上条だったが、先ほどの一撃で予想以上のダメージを受け、うまく喋れずにいた。
「とうま!・・・お前が『青の通り魔』だな!!」
そう言って、駆けだす禁書。
そして、トライアル・ドーパントの足にしがみつき、得意の噛みつきを始める。
だが、トライアル・ドーパントには何の効果も無かった。
「おやおや、なんとも元気なお嬢さんだ。だが・・・。」
そう言って、噛みつかれている足を上げるトライアル・ドーパント。
「女の子なら女の子らしく、静かにしていただきましょう。」
そう言うと、トライアル・ドーパントは足を勢い良く振りかぶり、噛みついていた禁書を無理やり引き剥がした。
吹き飛ばされ、地面に落とされる禁書。
一方のトライアル・ドーパントはターゲットを上条から禁書へと変更し、彼女へと近づいて行った。
「・・・そうは・・・させるか!!」
TRIAL!MAXIMUM DRIVE!!
声のする方向を見るトライアル・ドーパント。
目線の先には、ボロボロになった体を無理やり起こし、アクセルグランツァーの体勢をとるアクセルの姿があった。
「ほほう・・・まだ立ち上がる力が残っていたとはね。」
全身を青白い炎に包み、トライアル・ドーパントへと駆けていくアクセル。
そして、トライアル・ドーパントを射程圏内に捕らえると、必殺のアクセルグランツァーを放つのであった。
だが・・・。
「・・・何?!」
本来なら技を決め、着地しているはずのアクセルだったが、トライアル・ドーパントも同様にアクセルグランツァーを放ち、
ふたりは同じ体勢で空中に留まっていた。
「互角・・・だと・・・?」
「『互角』?いいえ、私の勝ちです!」
そう言って、着地するアクセルとトライアル・ドーパント。
次の瞬間、アクセルの足の装甲が割れ、そして連鎖するようにアクセルの装甲が全て剥がれ落ちるのであった。
倒れこむ照井 竜。
その姿を見て、上条が駆けようとする。
「て・・・照井さん・・・。」
「おっと、彼に会いたいのでしたら私がお手伝いしましょう・・・地獄への旅を!」
そう言って、上条への連続攻撃を開始するトライアル・ドーパント。
超高速で移動するトライアル・ドーパントは上条を囲むように移動し、
さらにパンチやキックといった打撃攻撃を目にも止まらぬ速度で仕掛ける。
この光景に禁書が叫ぶ。
「とうま、逃げるんだよ!」
叫ぶ禁書。
だが、その言葉は上条に届くことはなく、サンドバックと化した彼はついに力尽きてしまった。
傷だらけになった状態で倒れこむ上条のもとへ禁書が駆け付ける。
「とうま!お願い・・・しっかりして!!」
禁書は一生懸命に呼びかけるが、上条からの反応は一切無かった。
そう、まるであの悪夢のように・・・。
そして、禁書のもとへアクセル・ドーパントがゆっくりと現れた。
上条を守るかのように、彼に覆いかぶさる禁書。
そんな光景にトライアル・ドーパントは冷笑するだけだった。
「美しい友情ですねぇ・・・。しかし、今の君たちに待っているのは友情でも希望でも無く『絶望』なのですから。
・・・そうだ、せっかくですので君たちにすばらしい言葉を贈ってあげましょう。」
そう言って、トライアル・ドーパントは再びエンジンブレードを手に取り、剣を大きく振り上げた。
「絶望が・・・お前のゴールだ。」
勢いよく振り下ろされるエンジンブレード。
そして、その刃は禁書と上条の体を貫いた・・・と思われたその時だった。
再びエンジンブレードから発せられる、金属同士がぶつかったような大きな音・・・いや、エンジンブレードを阻止するため、
ぶつかってきた『剣』がそこにはあった。
「・・・む?!君たちもまさか学園都市に来ていたとは・・・。」
振り下ろされたエンジンブレードをはじき返す何者か。
そして、間髪入れずに自身の持つ『盾』でトライアル・ドーパントを弾き飛ばし、間隔を空けるのであった。
そして、彼は『剣』と『盾』を構えて言った。
「井坂深紅郎、ここからは僕が相手しよう。」
「『僕』・・・じゃなくて『僕たち』だろ?相棒。」
その正体は仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリームであった!
「その声・・・フィリップなの?!」
「禁書、大丈夫かい?」
Wが持つフィリップの意識が言う。
「うん!・・・そんなことより、てるいと・・・みさかと・・・とうまが!!」
「分かっている。翔太郎・・・病み上がりだが、準備は良いかい?」
「ああ。エクストリームメモリのおかげでバッチリだぜ!」
W内の左 翔太郎の意識が言う。
数時間前まで重度の夏風邪を引いていた翔太郎。
だが、フィリップの危機を察して活動を始めたエクストリームメモリによって風都から学園都市へ搬送され、
その際にエクストリームメモリの持つ治癒能力によって彼の風邪はたちどころに完治したのだった。
それは、かつてウェザー・ドーパントによって重傷を負ったフィリップを完治させるほどの力を持ったエクストリームメモリにとって他愛も無いことであった。
「おのれ・・・W!貴様もT2ガイアメモリの力に屈するがいい!!」
「おーっと、残念ながら俺達は忙しいんでね。またの機会させてもらうよ。」
翔太郎の意識がそう言うと、自身が持つビッカーシールドに3本のガイアメモリを刺し始めた。
JOKER!!MAXIMUM DRIVE!!
METAL!!MAXIMUM DRIVE!!
TRIGGER!!MAXIMUM DRIVE!!
「こいつで仕上げだ!」
PRISM!MAXIMUM DRIVE!!
4つの強大なエネルギーが集約するビッカーシールド。
これをWは大きく掲げるのであった。
「「ライダー・プリズムフォーメーション!!」」
強烈な光を発するビッカーシールド。
そして次の瞬間、シールドからは3つの光の塊が飛び出し、
それらはそれぞれ仮面ライダーWのサイクロンジョーカー、ヒートメタル、ルナトリガーの形となって次々とトライアル・ドーパントに向かっていった。
「おのれ・・・こんな技にやられてたまるか!」
自身のメモリの力をエンジンブレードに伝え、マキシマムドライブ状態となったトライアル・ドーパント。
そして、次々と襲い掛かるWに怯むことなく、全てをエンジンブレードで真っ二つに叩き斬るのであった。
だが、トライアル・ドーパントはすぐにあることに気付いた。
「・・・!しまった、これは囮!!」
辺りを見回すトライアル・ドーパント。
だが、トライアル・ドーパントがWの放った幻影に気を取られているうちに、Wたちは怪我をした面々を連れてとっくにその場を後にしていたのであった。
「まさか、私の十八番(オハコ)を彼らが使ってくるとは・・・。」
元の姿に戻り、笑みを浮かべる井坂。
だが、彼の心は完全なる怒りに震えていた。
「良いでしょう・・・最強である私をここまでコケにした罪・・・それがどんなに大変なことであるか、身を持って教えてあげましょう!!」
夜の学園都市に井坂の叫びが響いた。
学園都市内にある大きな病院。
その一室で御坂は目を覚ました。
「ここは・・・?」
キョロキョロとしている彼女の目に病室の窓が目に入る。
窓の外は事件の時の夕闇から昼を通り越して夕焼けへと変化していた。
起き上がり、ベッドから降りようとする御坂。
だが、トライアル・ドーパントから受けた一撃による痛みはまだあるらしく、彼女は自身の胸を押さえながら苦痛な表情を見せた。
そんな時、彼女のもとへ2人の少女が病室へと入って来る。
「・・・!お姉さま!!」
「御坂さん!」
苦しむ御坂のもとへ駆け寄る少女たち。
ひとりはトライアル・ドーパントとの戦いで怪我を負った白井 黒子、もうひとりは風紀委員(ジャッジメント)のメンバーである初春 飾利であった。
「お姉さま、大丈夫ですか?!」
「・・・痛みはだいぶあるけど・・・黒子の怪我に比べたらまだ大丈夫な方よ。」
そう言って、白井の姿を見る御坂。
その目線の先には、ギブスで固定された白井の左腕があった。
「それにしても・・・よくご無事でしたね。」
口を開く初春。
そして、彼女は発言を続ける。
「のちの調査で分かったのですが・・・あのドーパントの名はトライアル・ドーパント。
風都署から来た照井刑事が変身する仮面ライダーアクセル トライアルと同等の能力を持ち、
しかもその性能は最新型ガイアメモリの力とガイアドライバーを介さない直刺しによって仮面ライダーの10倍近いパワーを持っているとか・・・。」
「調査乙。それにしてもあの刑事の10倍のパワーか・・・。そりゃあ、頑丈な私も一発で気ぜ・・・。」
突然黙りだす御坂。
その光景を見て、白井と初春が彼女の顔を覗き込む。
御坂は思い出していた。
トライアル・ドーパントと戦い、相手から猛スピードで繰り出されたキックを自分は防御する間も無く受け、そして吹き飛ばされてしまった。
しかし、今考えればおかしい。
あの夜、戦っていたのはコンクリートの外壁が並ぶ住宅街。
そんな環境で吹き飛ばされようものなら、アクセルのように勢いよく壁に叩きつけられるか、
またはアスファルトの地面に叩き落とされるか・・・いずれにせよ、五体満足ではいられなかったはず。
これはいったい・・・?
そして、御坂は思い出した。
あの攻撃を受けて気を失う直前、彼女のもとへ駆け寄り、そして身を挺して御坂の体を捕えたひとりの男の姿を・・・。
「・・・ねぇ!あの男は・・・上条 当麻はどうなったの?!」
今度は突如として大声を上げる御坂。
この声に驚きの表情を浮かべる白井と初春であったが、御坂は彼女らに構うことなく再度上条の安否を問うのであった。
「早く答えて!あいつはどうなったの?!」
「お・・・落ち着いてください、お姉さま!あの男なら、この病院に収容されてますから!!」
「・・・あ、そうなのね。良かった、無事で・・・。」
「・・・いえ、『無事』とは言えない状況なんです。」
割って入る初春。
そして、突然の発言に理解できない表情を見せる御坂に対し、初春は白井とともに病院内を移動した。
とある病室の前で止まる3人の少女。
その病室には<上条 当麻>と書かれた名札、そして<面会謝絶>と書かれた札がぶら下がっていた。
そっとドアを開ける御坂。
その目線の先には呼吸器を付け、意識不明のままで横たわっていた傷だらけの上条の姿があった。
「そんな・・・そんな・・・。」
受け入れたくない状況を目の当たりにし、目を背ける御坂。
だが、その目線の先にはさらに受け入れがたい現実が待っていた。
彼女の目に飛び込む1枚の名札。
そこには<照井 竜>の名と、先ほど同様に<面会謝絶>の札。
何かに魅かれるように病室のドアを開ける御坂であったが、
そこに待っていたのは上条と同じ様に呼吸器を付けて意識不明のまま眠り続ける照井の姿であった。
ドアの向こうの現実を忘れるかのように急いでドアを閉める御坂。
そして、彼女は子供のように大声で泣き崩れた。
病院内に響き渡る、御坂の悲しき声。
だが、白井と初春は彼女に対して何もすることが出来ず、ただただ泣き叫ぶ彼女を見るしか出来ないでいた。
そんな時、この雰囲気を打破するかのように初春の携帯電話の着信音が飛び込んでくる。
すかさず出る初春。
「ハイ!・・・あ、刃野さん!・・・え?・・・はい、分かりました。」
風都署の刑事である刃野 幹夫からの電話に顔を曇らせる初春。
「どうしたの?」
「・・・トライアル・ドーパントが出現し、警備員(アンチスキル)と交戦に入りました。」
初春の言葉に驚く白井。
そして、御坂もその言葉に反応するのであった。
「しかし、今までのスキルアウトとは異なるため、警備員や風都署の方も不利な状況にあるそうです。」
「くそぅ・・・こうなったら私たちも出動を・・・。」
「待って。」
いきり立つ白井の前に立ちふさがる影。
それは御坂であった。
「ここは私ひとりで行く。あなたたちはあの男と照井刑事の看病を。」
「ちょ・・・?!お姉さま、何を言ってるんです!仮面ライダーの10倍も持つ怪人にひとりで挑もうなんて・・・。
こんな時こそ、風紀委員3人の力を合わせて戦わなくては!!・・・もし、私や初春のことを戦力として扱えないというのでしたら、
我々が壁となって命と引き換えにでもお姉さまの命をお守り・・・!!」
熱弁する白井。
だが、そんな彼女の顔面にひとつの拳が強襲した。
吹き飛ばされ、病院の床に叩きつけられる白井。
すかさず初春が彼女の元へと駆けつける。
「白井さん!・・・御坂さん・・・どうしてこんなことを!!」
御坂を睨む初春。
その目線の先には、稲妻が走る右手を強く握りしめた御坂がいた。
「・・・軽々しく、『命と引き換えに』とか言わないで・・・。」
「・・・え?」
「・・・もう・・・誰も・・・死んで欲しくないのよ!!」
大粒の涙を流しながら、怒りの形相を表わす御坂。
その顔を見て、ふたりは言い返すことが出来なかった。
「もう・・・誰も死なせない・・・私が・・・私が決着をつける!!!」
駆ける御坂。
これに対し、とっさに声をかける初春であったが、怒りに燃える彼女の耳にその声が届くことはなかった。
そこは、ただただ真っ暗な『闇』の世界だった。
前を見ても黒い光景、後ろを見ても黒い光景、そして上空は黒い空・・・。
そんな空間で照井と上条は立ち尽くしていた。
彼らは考えていた。
自分は井坂と戦い、そして敗れ、気が付いたらこの場所に立っていた。
まさか・・・自分は死んだのだろうか?
「正解だ、ボウズども。」
突然、照井の耳に入る男の声。
照井が振り向くと、そこにはひとりの威容な姿の男が立っていた。
ドクロのような顔、漆黒のボディ、手には傷のついた帽子、そして腰には仮面ライダーWのベルトに酷似した何か・・・。
それはまるで死神のようであった。
思わず、照井が男に質問する。
「お前・・・死神か?」
「死神・・・か。・・・ふっ・・・ふふっ・・・ハッハッハッハ!!」
そう言うと、その男は異様なほど大声で笑い出すのであった。
「何がおかしい!」
笑う男に対し、声をあげる上条。
「はっはっは・・・いやぁ、すまねぇな。まさか『同業者』から『死神』なんて言われるとは思ってなかったんでね。」
「『同業者』・・・?」
「確かに、俺は死神だ・・・だが、それは罪を重ねた悪人に対しての話だがな。一般的に人々は俺のことをこう呼ぶ・・・『仮面ライダースカル』。」
最終更新:2010年10月27日 22:19