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W×禁書 後編Bパート


「確かに、俺は死神だ・・・だが、それは罪を重ねた悪人に対しての話だがな。一般的に人々は俺のことをこう呼ぶ・・・『仮面ライダースカル』。」
そう言って、変身を解除する仮面ライダースカル。
風に乗って剥がれ落ちる装甲の中からは、白い背広を着たひとりの男が立っていた。
「あんたは・・・いや、あなたは!」
「照井さん、あの男を知ってるんですか?!」
「ああ。所長の父親で・・・確か、名前は・・・。」
「鳴海 壮吉だ。」
「・・・いや、待て!左の話によれば、あなたは死んだはずでは・・・?」
「・・・え?」
「そう、確かに俺は死んだ。だから、この世界にいるんだよ。」
「・・・じゃあ・・・俺たちのいる世界は・・・。」
「そう、お前さんの予想どおり『死の世界』だ。」
鳴海 壮吉の言葉を聞き、愕然とする照井と上条。
だが、一方の鳴海は涼しそうな顔をしていた。
「そう早とちりするなよ、若人。」
「・・・え?」
「ここは『死の世界』・・・と言っても、まだ地獄の1丁目。つまり、生と死の境目みたいなところだ。」
「・・・じゃあ、まだ生き返れる可能性もあるんですね?!」
嬉しそうな顔をする上条。
「ああ・・・だが。」
「だが?」
「・・・さっきも言ったはずだ。俺は罪を重ねた者への『死神』だとな。」
「罪・・・?」
「これを見な。」
そう言って、指でパチンという大きな音を鳴らす鳴海。
すると、漆黒の空にひとつのヴィジョンが映し出された。
照井と上条の目に飛び込む光景。
それは、傷だらけになりながらもトライアル・ドーパントと戦う御坂
「あれは・・・井坂!それに御坂!!」
「ビリビリの奴、ひとりで戦ってるのか?!」
「これが・・・お前たちの『罪』だ。」
冷淡に言う鳴海。
「俺たちの・・・『罪』?」
「ああ、彼女はどうしてひとりで戦っていると思う?」
「ひとり・・・?待ってくれ!ビリビリには風紀委員の仲間がいるはずだ!それなのにどうしてひとりなんだ?!」
「彼女が望んだんだ・・・ひとりでの戦いをな。」
「・・・どういうことだ?」
「あの子は今、復讐の心のみであのドーパントと戦っている。悪と戦う仮面ライダーという存在、そして自らが愛する男という存在、
 これを2つ失った悲しみや怒りによって生み出された心のみでな・・・。」
再び目に入る、トライアル・ドーパントと御坂との戦いが映し出されたヴィジョン。
そこには、トライアル・ドーパントの高速移動による四方八方から繰り出されるキックによってサンドバック状態と化しつつも、
気力のみで立ち上がりファイティングポーズをとろうとする御坂の姿があった。
「分かるか?あの子は刺し違えてでもあのドーパントを倒すつもりだ・・・いや、自殺しに行ってるが近いかもしれないな。
 もう、自分の愛する者を奪われないために・・・そして、自分が二度と悲しまないために。」
「・・・ビリビリ!止めるんだ!!」
思わず叫ぶ上条。

「・・・そしてもうひとつ。」
そう言うと、鳴海は再び指を鳴らす。
現われるもうひとつのヴィジョン。
そこには、リボルギャリーのドックにてフィリップとともに何かを作っている禁書の姿であった。
「禁書!」
ヴィジョンに映った禁書の顔を見る照井。
その顔は、寝る間も惜しんで作業に徹していたのか、生気の薄れた顔となっていた。
だが、そこには何かを信じて待っているかのような希望も感じられるのであった。
「あの子はフィリップとともに、あのドーパントを倒すための武器を作っているそうだ。細かいところに関しては俺も不明だがな。」
「禁書・・・。」
三度、指を鳴らす鳴海。
すると、その上空のふたつのヴィジョンが消え、彼らの周囲は再び闇の世界へと戻った。
「・・・それじゃあ、ここで最後の選択だ。返答によってはお前たちを死の世界へ連れていくから覚悟しな。」
そう言って、鳴海はガイアメモリを構えた。

SKULL!!

「変身。」
鳴海の腰に巻かれたロストドライバーに挿入されるスカルのメモリ。
そして、紫の光が包み込み、再び彼を仮面ライダースカルの姿へと変えるのであった。
「さあ・・・お前の罪を数えろ。」
照井と上条を指差すスカル。
これに対し、ふたりはゆっくりと答えた。
「俺の罪・・・それは、悪の手から人々の心を守れなかっただけでなく、さらにはその命までの危険にさらそうとした罪!」
「2つ目・・・帰ってくること、そして悪を倒すことを願っている人がいるにもかかわらず、こんな闇の世界に留まっている罪!!」
「そして・・・最後の罪・・・。」
「それは・・・。」

「「正義が悪に負けた罪!!!」」
漆黒の世界に照井と上条の大きな声が響き渡った。

「・・・。」
無言でスカルマグナムを取り出し、スカルのメモリを挿入するスカル。

SKULL!MAXIMUM DRIVE!!

「何をするつもりだ?!」
「こうするのさ・・・。」
そう言って、照井たちに向けてギルティシュートを放つスカル。
だが、その弾丸はふたりの間を通り過ぎ、そして漆黒の壁に衝突した。
砕け散る壁、そしてそこからは神々しいほどの光があふれていた。
「これは・・・。」
「まあ、点数としては70点だが・・・ある程度自分の罪が分かってるから良しとしよう。」
「鳴海さん・・・いや、仮面ライダースカル!」
「その光の道を抜ければ現世に戻れる。そして・・・自分たちの言った罪を十分に償ってこい!
 またここに戻ってきたら承知しないからな!!」
「ありがとうございます!!」
そう言って、駆けだす上条。
続いて照井も駆けだそうとしたその時だった。
「照井 竜・・・と言ったな?」
「え・・・あ・・・はい。」
「・・・いや、なんでもねぇ。」
「・・・?」
「照井さん!早く行きましょう!!」
「あ・・・ああ!!」
そう言って、光の道を駆けていく照井と上条。
そして、崩れた壁は再生し、スカルの周囲は再び漆黒の闇と化した。
「照井 竜・・・か。」
つぶやくスカル・・・いや、鳴海 壮吉。
「まるで若い頃の俺を見てるようだ。だからこそ、亜希子が惚れたのかもしれないな・・・。
 頼んだぜ、仮面ライダーアクセル!上条 当麻!!学園都市と風都の平和を、そして家族としての未来を!!!」

「まだ戦おうというのですか?虫けらの存在で・・・。」
一方、トライアル・ドーパントと御坂の戦いはまだ続いていた。
トライアル・ドーパントの攻撃を受け続け、立ち上がるのもままならない御坂。
だが、彼女の闘志は自身を無理やりにでも立たせるのであった。
「いやはや・・・医学、生命、ガイアメモリとこれまで色々なことを研究し自分なりに理解してきた私ですが、
 未だに君たち虫けらの考えや行動というのが理解出来ませんねぇ・・・。」
そんな時、御坂がポツリという。
「・・・とう・・・ま・・・ライ・・・ダー・・・。」
「・・・ん?」
「もう・・・失い・・・たくない・・・。」
涙をこぼしながらつぶやく御坂。
だが、その言葉は意識を失いかけながらも立ち上がろうとする心の叫びだったのかもしれない。
「そうですか・・・では、失うことのないようあなたも地獄に送ってあげましょう。仮面ライダーが遺した武器によってね!」
そう言って、アクセルから奪ったエンジンブレードを振りかざし、御坂に襲いかかるトライアル・ドーパント。
しかし、限界まで来ていた御坂に動く力など無く、エンジンブレードを前に立ち尽くすのみであった。
「これで・・・最後です!!」

御坂に振り下ろされたエンジンブレード。
だが、その刃が彼女を襲う直前、何者かが立ちふさがり、刃の進行を止めた。
「何?!・・・!!」
「残念だったな、井坂。」
トライアル・ドーパントの前に立ち、真剣白羽取りをする赤き装甲の男・・・それは仮面ライダーアクセル=照井 竜であった。
「貴様・・・生きていたのか?!」
「『貴様』?残念ながら俺も生きてるぜ!!」
トライアル・ドーパントのもとへ現われるもうひとりの影。
その影は右手でトライアル・ドーパントの腕を握ると、何かを送り込むかのように右手に力を込めるのであった。
「な・・・う・・・腕の力が・・・?!」
「だから言っただろ?<幻想殺し>をなめるな・・・ってね。」
その声の主は上条 当麻であった。
<幻想殺し>によるエネルギー吸収によって腕の力を失うトライアル・ドーパント。
そして、ついにはエンジンブレードを支えることが出来ず、そのまま落とすのであった。
「今だ!」
即座に反応に、地面に落ちたエンジンブレードを拾い上げるアクセル。
そしてトライアル・ドーパントに連続して切りかかり、相手との間合いを取るのであった。
倒れるトライアル・ドーパント。
      • と同時に御坂は目を覚まし、現在の状況に気づくのであった。
「・・・あれ・・・私・・・?!」
「ビリビリ、大丈夫か?!」
駆け寄る上条。
「上条・・・。」
「ビリビリ・・・心配かけ・・・?!」
「あんたねぇ・・・この・・・大馬鹿ヤロォおおおおお!!」
御坂のもうひとつの能力である<電撃使い(エレクトロマスター)>が発動、膨大な電気エネルギーが上条の体に流れ、
彼の体はまるでギャグ漫画のような真っ黒焦げのアフロヘアーとなってしまうのだった。
「ちょ・・・待てよ!助けに来て、この仕打ちは無いだろう!!もう一回、地獄の一丁目に行ったら問答無用で地獄行きだってぇのに!!!」
「何をワケの分からないこと言ってるのよ!こっちはどんだけ・・・どんだけ・・・心配したと思ってるのよぉ!!」
大声をあげる御坂。
      • と同時に、心情が高ぶり過ぎたためか、彼女は子供のように泣き出してしまうのであった。
「・・・ったく。上条、何やってるんだよ。」
「え・・・俺のせいですか?!」
「何言ってるのよ!ぜぇ~んぶ、アンタのせいなんだから!!だから・・・明日はちゃんと映画に連れていくなり食事をおごるなり・・・
 とにかく私のしもべとして働きなさいよ!!!」
「せっかく現世に帰ってきたのに・・・不幸だ・・・。」

「何が不幸だ!それがレディに対して言うセリフか!!」
「やれやれ・・・!おい、上条の処遇についてはあいつを倒してから話したほうが良さそうだぞ。」
そう言って、エンジンブレードを構えるアクセル。
その目線の先には、先ほどの攻撃でダメージを受けながらも立ち上がるトライアル・ドーパントの姿があった。
「おのれ・・・貴様ら虫けらどもにT2ガイアメモリの力が負けるはずがない!」
怒りの声をあげるトライアル・ドーパント。
これに対し上条が言う。
「あんたは重大な勘違いに気づいてないようだな。」
「勘違い・・・だと?」
「確かに俺らはあんたから見れば虫けらだ。力も能力もあんたに劣っている。だが・・・それは見方のひとつでしかない。」
「見方・・・?」
「そう、あんたは子供の頃に習わなかったか?物事というものはひとつの目線で捕えるんじゃなく、色々な目線で見つめ、
 総合的に考えていく・・・ってね。あんたは『力』や『能力』といった点からは優秀だ。だが・・・それ以外は0点だ。
 人の心を理解出来ず、命という存在を軽視するあんたはな!」
「Lv.0の分際でベラベラと・・・言いたいことはそれだけか?!」
「俺もあるぜ。」
アクセルが上条の隣りに立つ。
そして、トライアル・ドーパントを指差して言い放った。
「お前の罪を・・・数えろ。」
「罪だと?フン、私に罪など無い!
 君の家族の命を奪ったのも、学園都市の者を襲撃したのも私の最強への道の実験台でしかないのだからな!!」
「・・・0点。」
「何だと?!」
「もう一度言ってやる。井坂、お前の全てが0点・・・いや、それ以下だ。」
「貴様ら、虫けらの分際で・・・私にそんな減らず口が叩けないようにしてやる!!」
怒りが頂点に達するトライアル・ドーパント。
この言葉に上条とアクセルが構える。
「その幻想・・・。」
「俺たちが・・・。」

「「振り切るぜ!!」」

怒りが頂点に達し、マキシマムドライブ状態となるトライアル・ドーパント。
これに対し、上条が後ろの御坂に向かって叫ぶ。
「ビリビリ!俺たちに向かって<超電磁砲>を放て!!それも生半可なもんじゃねぇ・・・お前の全身全霊を込めた<超・超電磁砲>をな!!!」
「はぁ?!何、そのネーミング!しかも、なんで?!」
「俺たちに質問するなっ!!」
叫ぶアクセル。
「だぁあああああ!!こうなったら、ヤケクソでその・・・えぇっと・・・
 <超・ウルトラ・スーパー・ミラクル・ハイパー・超電磁砲>とやらをお見舞いしてやるから覚悟しなさいよ!!!」
「おい、ビリビリ!名前が盛大に間違・・・ぅおっ?!」
ツッコミを入れようと上条が後ろを見ると、そこには今までにないほどの電気エネルギーを解放していた御坂の姿があった。
彼女の両腕に集められる多量の電気エネルギー。
そして、それらは手のひらという小さな空間に集められることによって凝縮され、プラズマエネルギーと化する。
だが、今までの<超電磁砲>に使っていたような電気エネルギーと違い、
莫大な熱量を持ったプラズマエネルギーの制御に御坂は苦戦を強いられていた。
「くっ・・・行くわよ!!」
叫ぶ御坂。
「OK!・・・照井さん、行きましょう!!」
「ああ!!」
返事をするアクセル。
そして、自身のアクセルドライバーに挿されたアクセル・メモリを抜くと、エンジン・メモリへと差し替えるのであった。

ENGINE!MAXIMUM DRIVE!!

ガイアウィスパーが流れるや否や、バイクモードへと変形するアクセル。
一方、上条は変形したアクセルにまたがり、再度御坂に向かって叫んだ。
「ビリビリ!今だ!!」
「どぉりやぁあああああ!!」
御坂の手から解放されるプラズマエネルギー。
そのエネルギーの塊は流星の尾のような光を描きながら、一直線にアクセルたちに向かっていった。
「上条、行くぞ!!」
アクセルドライバーのアクセルを勢いよく引き、飛び上がるアクセル。
その体は宙に浮き、そしてタイミングを合わせたようにプラズマエネルギーと合体、
光り輝くバイクとなってトライアル・ドーパントに向かっていくのだった。
「うぉおおおおお!!」
高速移動で一直線に襲いかかるトライアル・ドーパント。
同じく、敵に向かって一直線に突撃していくアクセル。
磁石のように引きあうふたつはやがて激突する・・・かと思われた。
だが・・・。
「・・・残念ですが、ここは勝ちに行かせてもらいますよ!!」
そう言って、今まで進んできた直線コースから突如として横に逸れるトライアル・ドーパント。
一方のアクセルは敵の突然の行動に対応することが出来ず、そのままトライアル・ドーパントの横を通り過ぎてしまうのであった。

「私を『0点』呼ばわりしたワリには、こんな猪突猛進な攻撃とは・・・やはり君たちは・・・。」
「いや、あんたは0点だよ。この攻撃をただの体当たりとしか思っていない限りはな!」
叫ぶ上条。
すると、まるでサーフボードの上に立つかのようにバランスをとって立ち上がるのであった。
「・・・何のつもりです?」
「お前を倒すつもりだぁ!!」
右手の<幻想殺し>に力を込める上条。
そして極限まで力を溜めると、その手をまるでテニスのラケットのごとく勢いよく振るのであった。

右手から放たれる<幻想殺し>のエネルギー。
それは手の動きをなぞるかのようにカーブしたエネルギー体となってアクセルの前に現われ、
そしてアクセルの軌道を再度トライアル・ドーパントに向けるのであった。
「何っ?!ならば!!」
再び一直線に向かってくるアクセルに対し、高速移動で避けるトライアル・ドーパント。
だが、今度は<幻想殺し>の力を使うことなくアクセルはUターン、三度トライアル・ドーパントへの攻撃を仕掛けるのであった。
「これはいったい?!」
「<超電磁砲>・・・それはビリビリらしい『一直線にしか進まない』攻撃技だ。だから、あんたはこの攻撃も一直線にしか来ないと考えたんだろう?
 そこで、俺と照井さんはその考えを逆手に取った作戦を採ることにしたんだ。<幻想殺し>で<超電磁砲>の特性である『一直線にしか進まない』性質を消し、
 お前の高速移動に対抗した攻撃を・・・そして、固定概念に縛られたお前の動揺を誘うという作戦をな!」
上条の言うとおり動揺していたため、ついにアクセルの体当たりを受けるトライアル・ドーパント。
一方のアクセルは再度Uターンを行い、体当たりを行なう。

繰り返される、アクセルの攻撃。
その移動によって残された光の軌道は∞(無限)の文字を描き、トライアル・ドーパントにダメージを与えていく。
そして何度目かの攻撃の時、光の軌道を残したまま、アクセルがバイクフォームを解除して現われる。

ACCEL!MAXIMUM DRIVE!!

アクセルドライバーに刺さっていたエンジン・メモリを抜き、再度アクセル・メモリへと差し替えるアクセル。
そして、アクセル・メモリのマキシマムドライブを発動させると、エンジンブレードを構えてトライアル・ドーパントを睨むのであった。

アクセルの脳裏に浮かぶ光景。
それは『笑顔』であった。
父、母、妹、鳴海 亜希子、上条、御坂、白井、そして・・・禁書。
全ての笑顔を守るため・・・仮面ライダーとして戦い続けるため、アクセルは自らの闘志を燃やした!

「・・・ぅおぉおおおおお!!」
闘志同様、アクセル・メモリの力によって燃え上がる体。
その炎はエンジンブレードへと集約され、エンジンブレードを炎の刀へと作り替えた。
「井坂!これで最後だ!!」
叫びとともに炎の刀を振り下ろすアクセル。
その一撃はトライアル・ドーパントを、そして相手の動きを拘束していた∞のプラズマエネルギーをも真っ二つにするのであった。

無限をも打ち砕く一閃・・・新技インフィニティスラッシャー完成の瞬間であった。

「そんな・・・馬鹿な・・・。」
「絶望が・・・お前のゴールだ。」
大爆発を起こすトライアル・ドーパント。
「やった!!」
「照井さん!ついに・・・倒したんですね!!」
アクセルのもとへ上条と御坂が駆けつける。
一方のアクセルもこの爆発を見て戦いが終わったのだと思い、変身を解除しようとベルトに手をかけようとしたその時だった。

突然、3人の体に走る電気のような恐怖の感情。
予測不能の事態にアクセルは再び構え、また上条たちも急いでアクセルのもとに現われる。
「これはいったい・・・?」
「・・・!」
「そんな!!」
爆発によって出来た火柱を見る3人。
その目線の先には、倒したはずの井坂の姿が、そして彼の手にはメモリブレイクしたはずのT2トライアル・メモリがあった。
「馬鹿な・・・メモリブレイクしたはずなのに・・・。」
「残念ですが・・・T2ガイアメモリは普通のとは・・・違いましてね・・・君たちのような虫けらには・・・
 ブレイク出来ない構造に・・・なっているのですよ・・・。」
息も絶え絶えになりながら語る井坂。
「メモリブレイク出来ない・・・だと?」
「そう・・・だから・・・。」

TRIAL!

残された力で再度耳にメモリを挿入する井坂。
その姿はトライアル・ドーパントに・・・しかも、先ほどのアクセルたちの攻撃など無かったかのような無傷の姿となっていた。
「私を倒すことは出来ないのです。ましてや、虫けらごときが神に等しき力を持った私を倒そうなど不可能にも程がある!」
井坂が言う。
その声も先ほどのような満身創痍の声ではなく、ハツラツとした声であった。
「さあ、どうしますか?このまま素直に私に倒されるか・・・それとも、無駄に抵抗して私に倒されるか?」

「答えはひとつ・・・お前をメモリブレイクするだけだ。」
突然割り込む声。
トライアル・ドーパントが声の方向を見ると、
そこにはハードタービュラーに乗った仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリームと禁書の姿があった。
ハードタービュラーを操作し、アクセルのもとへ現われるWと禁書。
その姿を見て、アクセルが声をあげる。
「禁書!それにフィリップと左!!」
「待たせたね、照井 竜。だが、今はおしゃべりする暇など無いようだ。」
「・・・ああ。しかし、どうやってメモリブレイクするつもりなんだ?」
「へへぇ~ん!それに関してはフィリップと禁書が対策済みさ!!」
翔太郎の意識がそう言うと、Wは右手を前に掲げた。
「「プリズムビッカー!!」」
胴体のクリスタルサーバーから現われるWの武器プリズムビッカー。
それを受け取ると、Wはアクセルに渡すのであった。
「これは・・・。」
「もうひとつ・・・禁書、君の番だ。」
「ハイハイなんだよ!」
そう言って、禁書がアクセルに何かを渡す。
「これは・・・ガイアメモリ?」
「そう・・・正確には『地球の記憶』と魔術や超能力といった『特殊能力』を組み合わせたハイブリットメモリといったとこかな?」
「てるい!これとてるいのメモリの力を合わせて、『青の通り魔』をボッコボコしてやるんだよ!!そうすればきっと勝てるんだよ!!!」
元気よく叫ぶ禁書。
「・・・。」
「てるい、どうしたの?」
黙るアクセルに対して問いかける禁書。
それに対し、アクセルが答える。
「禁書・・・今度こそ君との約束を果たす!」
「うん!ファイトなんだよ!!」
禁書の言葉を聞くと、アクセルは自身のドライバーからアクセル・メモリを抜き、
マキシマムカウンターを挿入した。

TRIAL!

響き渡るスターティングシグナルの音。
      • と同時に黄色くなるアクセルの装甲。
そして、スターティングシグナルの音が最高潮に達した時、アクセルの装甲は砕け、
新たなる青い装甲が包み込むように装着された。

「頼んだよ、てるい・・・うぅん!仮面ライダーアクセル トライアル!!」

Wから受け取ったプリズムビッカーを掲げるアクセル。
そして、彼はプリズムビッカーのマキシマムスロットにガイアメモリを挿入していく。

ENGINE!MAXIMUM DRIVE!!
RAILGUN!MAXIMUM DRIVE!!
IMAGINE BREAK!MAXIMUM DRIVE!!
ACCEL!MAXIMUM DRIVE!!

マキシマムスロットから飛び出す4つの光。
それらはひとつの球体となってトライアル・ドーパントを包み込んだ。
「な・・・なんだこれは?!」
驚くトライアル・ドーパントを上空へと持ち上げる光。
対するアクセルはプリズムソードを右手に持つと、左手のプリズムビッカーを投げ、マキシマムカウンターに持ち替えた。
押されるマキシマムスイッチ、そして勢いよく回転しだすトライカウンター。
それを確認したアクセルはマキシマムカウンターを空高く放り投げると、プリズムソードを構え、
そして上空で拘束されたトライアル・ドーパントに対しプリズムトルネードの体勢に入った。
「全て・・・振り切るぜ!!」
勢いよく飛び上がり、トライアル・ドーパントを球体ごと斬ろうとするアクセル。

だが、その瞬間、トライアル・ドーパントは自身を捕えていたエネルギーを破壊、
さらにはアクセルの持つプリズムソードをも掴んでしまうのであった。
「何?!」
「言ったはずです!神に等しき力を持った私が負けるはずないと!!」

「そんな!あいつにはプリズムトルネードも効かないのか?!」
上空での光景に対し、叫ぶ翔太郎の意識。
「照井さん・・・。」
上条も落胆した声をあげる。
だが、そんな状況に禁書が叫んだ。
「とうま!そんな悲しい声をあげてる暇なんて無いんだよ!!今はてるいを応援するんだよ!!!」
「禁書・・・。」
「だから、ホラ!みさかも、フィリップも!!仮面ライダー!!!」
「・・・うん!もうひと踏ん張りよ、仮面ライダー!!」
「照井 竜・・・見せてくれ、君の仮面ライダーとしての力を!!」
「照井!!」
「照井さん!・・・いや、仮面ライダー!!」
「仮面ライダー!!!」

『仮面ライダー!!!』

アクセルの耳に届く仲間の声。
その声が、再びアクセルに力を与える。
「井坂・・・お前の力は『神に等しい』と言ったな?」
「ん?何を急に・・・。」
「ならば貴様の負けだ。何故なら俺は・・・罪を重ねた者への『死神』なんだからな!!」

その時、上空からひとつの光が現われ、プリズムソードのメモリスロットに挿入される。
アクセルの耳に飛び込む、ひとつのガイアウィスパー。
それはハッキリとこう言っていた。

SKULL!MAXIMUM DRIVE!!

「ぅおぉおおおおお!!」
両手でプリズムソードをしっかりと握り、力を込めるアクセル。
「こ・・・この力は・・・!!」
耐えるトライアル・ドーパントであったが、突如力を増したプリズムソードに耐えることが出来ず、手を離してしまう。

その瞬間、全ての人の思いが詰まった一撃がトライアル・ドーパントの体を貫いた。

プリズムソードを手に、地面へ着地するアクセル。
      • と同時にマキシマムカウンターも彼の左手に収まる。

TRIAL!MAXIMUM DRIVE!!

「9.8秒・・・やはりこれが・・・井坂の絶望までのタイムだ。」
その言葉の直後、大爆発を起こすトライアル・ドーパント。
その直後、噴煙からはT2トライアル・メモリが飛び出すが、
『地球の記憶』と『特殊能力』のふたつの力を持ったメモリブレイクによって機能を停止、
さらには地面に激突し、そのショックで粉々に砕け散るのであった。

こうして、学園都市で起きた『青の通り魔』の事件は終焉を迎えた。

「てるい!」
アクセルのもとへ駆けつける禁書。
そして勢いよくジャンプし、そのままアクセルに抱っこされるのであった。
「禁書・・・やったぞ!!」
「うん!」
「照井さ~ん!」
「仮面ライダー!!」
駆けつける上条と御坂。
アクセルは禁書を下し、変身解除する。
「これで・・・終わりよね?」
御坂が問いかける。
「ああ、これで・・・。」

「いや・・・終わりじゃないかもしれない。」
照井の言葉をさえぎる声。
その声の主は変身解除したフィリップであった。
「どういうことなんです?!」
上条が言う。
「確かに井坂のメモリブレイクは出来た。だが・・・井坂自体の姿が見えない。」
そう言って、破壊されたT2ガイアメモリの方向を見るフィリップ。

仮面ライダーたちが行うメモリブレイクはガイアメモリ自体を破壊することであり、
素体となった人間に対してはダメージを与えることはあっても破壊することは無い。
だが、この戦いの場に残されていたのはメモリの破片のみであった。

「それじゃあ・・・また、あのドーパントが出るかもしれないって言うの?!」
「いや、それはねぇ。だが、井坂が生きてる可能性がある・・・って話だ。」
翔太郎が言う。

では、井坂はどこへ消えたのか?

学園都市、戦いの場から少し離れたエリア。
そこに、ひとりの白い服装に包まれた男に肩を貸してもらいながら歩く井坂の姿があった。
「申し訳ありませんね・・・加頭くん・・・こんな醜態を・・・さらす羽目になるとは・・・。」
「いえ、私は上からの命令に従っているだけですから。」
「・・・と言うと・・・財団Xは・・・私を・・・助けると・・・。」

「いえ。」
「何・・・?」
「上からの命令はこうです。『井坂 深紅郎に財団Xからの言葉を伝えろ』と。」
そう言って、唐突に井坂を突き放す加頭 順。
「どういう・・・ことだ・・・。」
「あなたを助けたのは、あなたに上からの言葉を伝えるという命令が遂行できなくなる故の措置。
 あなたの命を助けるつもりなど財団Xも・・・そして私も毛頭ありません。」
「そんな・・・。」
「財団Xからの言葉をお伝えします。『試作型T2ガイアメモリに関するデータの収集は完了した。
 以後、今回のデータをもとにT2ガイアメモリを量産させる。
 しかし、T2ガイアメモリは財団Xの秘密事項であるにもかかわらず、仮面ライダー側に一部データを露呈させてしまった。
 そのため、少しでも機密漏えいを阻止するため、井坂 深紅郎の口を封じさせてもらう』・・・とのことです。」
「そんな・・・助けてくれ・・・助けてくれ!」
「残念ですが、私は上の命令に従うしかないサラリーマンですから・・・。」
そう言って、加頭はガイアメモリを取り出して構える。

UTOPIA!

変貌する加頭の体。
そして、現われた異形の存在は無抵抗な井坂へゆっくりと迫る。
「う・・・うわぁあああああ!!」
学園都市に木霊する井坂の断末魔。
だが、その声に気づく者は誰ひとりとしていなかった。
      • いや、ひとりだけその声を聞いていたものがいた。
「随分と派手にやってるな、兄弟。」
加頭の背後に現われるひとりの男。
「おや、あなたは・・・確か、風都でのNEVER増員計画の指揮を執っていたはずでは?」
「ああ・・・だが、Xビッカー一基だけじゃ不安でな。そこで財団Xに何らかの援助を・・・と思って来てみたら・・・。」
「言っておきますが、T2ガイアメモリの譲渡は出来ませんよ?」
「ばれたか。しかしよう、兄弟!なんとかならないのかい?」
「さっきの会話を聞いていたなら分かるでしょう。私は上の命令に従うだけのサラリーマン。
 いくらあなたと同じNEVERと言えど、私の一存であなた方への援助は出来ないのです。」
「そうか・・・。」
「・・・しかし・・・これは私の独り言です。」
「・・・ん?」
「T2ガイアメモリは原本完成後、空路でディガルコーポレーション地下の工場で量産化する予定です。輸送日はまだ未定ですがね・・・。」
「ほほう・・・こりゃ、たいそうな独り言だな。」
「この言葉をどう捉えるかはあなたにお任せします。では、私は次の仕事があるので・・・。」
そう言って、男の前から立ち去る加頭。
「・・・兄弟、ありがたく使わせていただくよ。その言葉も・・・そしてT2ガイアメモリもな!」
叫ぶ男。
その男の手には、ガイアコネクタを模した<E>のガイアメモリがあった。

『青の通り魔事件』から2週間後。
風都にある風都警察署、その中の会議室に大勢の人が集まっていた。
上条、御坂、禁書、白井、初春、翔太郎、フィリップ、そして亜希子。
何も知らされずに来た8人はどうしたら良いか分からず、なんとなく椅子の上でソワソワとしていた。
「それにしても・・・突然呼び出すなんて、竜くんどうしたんだろうね?」
「さあな・・・照井なりのサプライズでもあるんじゃねぇの?」
「・・・ん?」
突然、禁書が小さな鼻をヒクヒクさせる。
「どうしたんだい、禁書?」
「ねぇ・・・良い匂いがしない?」
「ん?・・・む、これは・・・。」
「・・・間違いなく、『アレ』ですわ。」
「確かに・・・『アレ』の匂いですね。」
「・・・いや、ただの『アレ』じゃねぇ・・・まさか!!」
上条が叫んだ瞬間、会議室の扉が開き、エプロン姿の刃野とその部下で同じくエプロン姿の真倉 俊、
そして割烹料理人のような姿をした照井が現われた。
「待たせたな。刃野、真倉!」
照井の声を受けて、ドアの外から何かを持ってくるふたりの刑事。
真倉は小山のように盛られたご飯が入った平皿が何枚も乗ったカートを、
刃野は先ほどの匂いを発する大きなズンドウ鍋が乗ったカートをそれぞれ会議室に入れるのだった。
刃野からカートを受け取り、ズンドウ鍋の蓋を開ける照井。
そこに入っていたのは・・・。
「照井さん・・・これって・・・。」
「ああ、『恐竜や』バイト中に教わった<フルーツスパイシーカレー>だ。」
「やったぁ!カレーだぁ!!・・・でも、なんで?」
禁書が照井に聞く。
それに対し、照井はさらにカレーを盛り、禁書の前に置いてこう言った。
「約束したろう?トライアル・ドーパントを倒せなかったら、禁書に腹いっぱいご飯を御馳走してやる・・・と。」
「え・・・でも、倒したんじゃ・・・。」
「結果的にはな。だが、一度は敗れ、禁書や御坂を悲しませることになってしまった。
 その罪滅ぼしになるかは分からんが・・・まあ・・・とにかく、俺に質問しないでさっさと食え!」
照井が笑顔で答える。
「えぇっと・・・うんっ!!」
その笑顔に答えるかのように、禁書もいっぱいの笑顔で返事する。

全ての行き渡るカレー。
そして、禁書の「いただきます!」という言葉を合図に勝利の宴が始まった。
「辛っ!でも旨っ!!」
「この味・・・このスパイシーさ・・・ゾクゾクするねぇ!」
「おかわりなんだよ!」
「私も!」
「早っ!ビリビリも早っ!!」
「満腹が・・・お前たちのゴールだ。」

会議室に響き渡る嬉しそうな声。
その声は外にも伝わっていた。
そして、その光景をひとりの男が見ていた。
「さすがだ、仮面ライダーアクセル!そして、上条 当麻!!あの時は70点なんて言っちまったが・・・これで100点だ。」
そう言って、頭の帽子を被り直す男。
それは鳴海 壮吉であった。
「もう、心配はいらないようだな。風都には翔太郎、フィリップ、そして照井 竜。学園都市には上条 当麻と御坂 美琴。俺の出る幕じゃねぇ・・・。」
そう言って、鳴海がその場を去ろうとしたその時だった。

彼の頭上を通り抜ける一台のヘリコプター。
そして、それを追いかけるかのように飛ぶ一機の飛行機。
そのふたつが通り抜けた瞬間、風都に何とも言えない不気味な風が流れた。
「これは・・・。」
飛行機の飛んで行った方向を見る鳴海。
「・・・もう一仕事必要かもしれないな。」

その数十分後、風都上空にてヘリコプターが謎の大爆発を遂げるという事故が発生。
さらに、ヘリコプターに積まれていた26本のガイアメモリが爆発の衝撃で飛散、風都中に巻かれるのであった。

今まさに、新たなる『死神』によるパーティタイムが始まろうとしていた・・・。

おわり

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最終更新:2010年10月27日 22:21
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