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第一話 学園都市

第一話 学園都市

「よぉ……。久しぶりだな。俺がいない間さみしかったかぁ?」

”ラットシティ”にある自分の玉座で眠りについていたスポーンの睡眠を妨害してみせたのはクラウンだった。

「貴様……、性懲りもなくまた首だけのアクセサリーになりに来たのか?」

150cmに満たない低身長、コレステロールの塊といった感じの腹、顔には青いピエロのメイク……
スポーンにとってこの男はどんなに自分が上機嫌な時でも一目こいつを見ただけで不愉快な気分にさせてくれる。そういった男であった。かつて自分の妻であるワンダの娘サイアンを人質にとり、自分を操ろうとしていた。その行為によってスポーンの怒りを買い、魔力によって全身を焼き尽くされ、首だけのアクセサリーにされたのだ。

「おいおい、またあんなことになるのは勘弁だぜ」
「何をしにきた?貴様がこうして俺の所に出向いてくるということは何か企んでいるんだろう?」

スポーンにとってこいつほど信用できない相手はいなかった。以前、困っている時に魔力を貸してやったことはあるがそれを差し引いても恩知らずと思っていた。

「こいつをお前に渡しておきたいと思ってな……」

クラウンはポケットから何かを取り出す。それは円形状の奇妙な塊だった。

「なんだこれは……」

塊を手に取ったその瞬間、その塊は凄まじい光を放った。

(……!?しまった!魔力から作り上げられた爆弾か!?)

自分の身体が光に包まれていくのを感じながら、油断したことを悔いた。まさかまたこいつの罠に落ちようとは……。





◇





東京都の実に三分の一を占める巨大な街である学園都市。その人口はゆうに二百三十万人になり、大部分の人口は学生である。高さ五メートル、厚さ三メートルの完全な円形のコンクリートに囲まれた学園都市はさながら一つの国のようであった。学園都市にいる学生は他の街にいる学生にはない特別な「力」を持っていた。その力とは腕力でも権力でも財力でもない。


その力とは超能力であった


全部で二十三学区に区切られた学園都市にいる学生で超能力を持っている学生は七人しかいない。その七人しかいないかと言うとそうではない。
能力はレベルというランクで分けられているのだ。レベルは0~5までで、
レベル0の者は無能力者、
レベル1の者は低能力者、
レベル2の者は異能力者、
レベル3の者は強能力者、
レベル4の者は大能力者、
レベル5の者は超能力者に分けられる。

レベル5ともなれば軍隊とも渡り合えるほど強力な力を行使できる。


学園都市でも第7学区は中学・高校といった中等教育機関を主としており、学校に通う学生や勤務教師たちの生活圏となっており、それに付随する形で生活商店などが立ち並んでいる。

その学区内にある常盤大中学の制服を着た女学生が勢いよく自動販売機を蹴り上げて、出てきたジュースを飲み干す。

その女学生こそ学園都市でも七人しかいないレベル5の能力者である御坂美琴であった。美琴の能力は電撃使いである。美琴が操る電撃が強力無比であることから美琴は「常盤台の超電磁砲(レールガン)」という異名を持っていた。


「あ~、このジュースにはゲコ太グッズが入ってなかった」

美琴の通う常盤台中学はいわゆるお嬢様学校であるのだが、当の美琴本人はお世辞にも言動はお嬢様とは言い難く、竹を割ったような性格であった。しかしその性格故か生徒間での人気は高いようである。しかし美琴も年頃の女の子、ファンシーグッズに目がないなどの少女らしさも垣間見せる。

「あ、御坂さ~ん!」
「ん?」

美琴が甘ったるい声で自分を呼んだので声の方に目をやると頭に花をいくつもつけた女学生が走ってきた。彼女は初春飾利。柵川中学一年生で、風紀委員(ジャッジメント)である。風紀委員(ジャッジメント)とは学園都市の治安維持に努める学生選抜の集団である。腕には盾のマークがある腕章を付けており、これが風紀委員(ジャッジメント)の証である。


「どうしたの初春?そんなに慌てて」
「み……御坂さん、この辺で錬子ちゃん見ませんでしたか?」


錬子とは置き去り(チャイルドエラー)の一人であり、今月児童養護施設あすなろ園に入ったばかりの子である。置き去り(チャイルドエラー)とは学園都市預けられたが、その後、親が蒸発してしまった子供たちのことである。初めから子供を捨てる目的で、最初の学費のみ払って消えてしまう親も少なくない。

「あの子……、アイスクリームが大好きで、アイスクリーム屋さんを見つけたからアイスクリームを買いに行ってくるって行っちゃったっきりなんです……。もうかれこれ一時間探しているんですけど……。寮監さんや園長さんになんて言えばいいか……」

初春は今にも泣き出しそうな顔で状況を説明した。

「とりあえず状況はわかったけど……、ねえ初春、錬子ちゃんはアイスクリームを買いにいったっきりって言ったけどそのアイスクリーム屋さんってどんなアイスクリーム屋さんなの?」
「う~ん錬子ちゃんはアイスクリーム屋さんはトラック型のアイスクリーム屋さんって言ってましたけど、それ以上は……」
「わかった初春、私も錬子ちゃん捜しに協力するから。」

美琴は初春を慰めるように言う。

「み。御坂さん……、あ!ありがとうございます!」

初春は美琴の言葉に勇気付けられたようだ。


初春は美琴と共に錬子を捜索し始めた。しかし何時間も第7学区内を捜し回ったが、結局錬子は見つからなかった。


その夜、学園都市の某所にある廃ビルで少女の悲鳴と嗚咽が男の笑い声と共に聞こえてきた。


ユー・スクリーム
アイ・スクリーム
みんなアイスを
 あ・い・す

このような歌声も響いていたという

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最終更新:2010年02月23日 00:56
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