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第四話 魔人VS超人

第四話 魔人VS超人


御坂、黒子、佐天は固法からの連絡を受け、急いで風紀委員(ジャッジメント)第177支部に戻った。
パソコンで監視カメラに録画されている、キンケイドが錬子を連れ去る瞬間を捉えた映像を見ながら御坂が猛る。

「まさか錬子ちゃんを殺したのがこんなクソデブ下種親父だったとはね……、見つけたらバーベキューにしてやるわよ!」
「落ち着いてくださいお姉さま。いかに凶悪な犯罪者といえど法の下で裁きを受けさせねばなりませんの。この程度の相手を捕らえるだけなら
私とお姉さまの二人だけで充分ですわ」

キンケイドの映像を見て興奮する御坂を黒子がなだめる。

「そ……、そりゃそうよね……。法律っていうのはこういう犯罪者の為にあるんだから……」

御坂は怒りを堪えた状態で歯軋りをしながら黒子の意見を飲む。

「それで……、この人のアジトはわかったんですか?固法先輩」
「いいえ、佐天さん。それが記録映像の中にあったのはこれだけで彼の居場所までは……」
「そ、そんな……」

固法の言葉に三人は落胆する

その時支部の電話が鳴り響く。

「はい、こちら風紀委員(ジャッジメント)第177支部です。……はい、………………なんですって!?キンケイドのアジトがわかった!?……はい、
すぐにそちらに風紀委員(ジャッジメント)を送り込みます。ご協力ありがとうございます」

固法の言葉に三人は驚愕した。

「キ、キンケイドの居場所がわかりましたの!?」
「ええ、彼の居場所は第十学区にある通称”ストレンジ”と呼ばれる地域よ!」




◇




「キシシシシ!うまくいった、うくまくいった!さあ超電磁砲(レールガン)とやらの実力を拝見させてもらおうかい」

第七学区にある電話ボックスからキンケイドの居場所を通報したクラウンは凶悪極まりない笑みを浮かべていた。





◇


第十学区、通称ストレンジと呼ばれる場所にある廃ビル

殺人鬼ビリー・キンケイドは霧原錬子を殺した余韻に浸っていた。

「よかったなぁ、あのレンコちゃんって子は。僕の大好きなフィンガーペインティングで今までに一番出来のいい作品ができたし。当分の生活費もあのクラウンっていう人が出してくれるしなー。ユー・スクリーム、アイ・スクリーム、みんなアイスをあ・い・す」

キンケイドは錬子を痛めつけている時や、指を切断している時に苦しむ錬子の表情を思い出しながら快楽に酔っていた。


「そこまでよ!ロリコンデブ親父!」

御坂の声が廃ビル内に響く。

「だ!誰だ!?」

キンケイドはテーブルにあった包丁を手に取り、身構える。

「ジャッジメントですの」

黒子が腕に付けている風紀委員(ジャッジメント)の証をキンケイドに見せる

「なぁんだ。君達も僕と遊びにきたのかぁ」

キンケイドはまだ中学生の御坂と黒子を見て油断したのかゆっくりと近づいてきた。

「学生だからって甘くみないでくれる?」
「少しお仕置きが必要なようですわね」

黒子はテレポートを使った。

「え!?き、消えた!?」

驚くキンケイドの背後からワープした黒子が鉄の針をキンケイドの包丁を持っている手首に刺す。

「ぎゃあ!」

針を刺された痛みで、包丁を落としてしまう。

「ビリー・キンケイド、貴方を児童誘拐、及び殺害の罪で拘束いたしますわ」
「ひぃ!?」

その時キンケイドの全身に鎖が何重にも巻きついた。

「え!?鎖!?」

御坂と黒子が驚愕する中、鎖はキンケイドを締め上げていく。

「ぎゃああぁぁ!?ぐ、苦じい……!!た、助げでぇぇぇ!」

鎖は無情にも凄まじい力でキンケイドを締め上げ、キンケイドの身体は破裂した。
肥満体のキンケイドの体に詰まっていた内臓や血が四方八方に飛び散る。

「きゃあ!」

黒子はキンケイドの血を浴びてしまい、気が動転しそうになるのを必死でこらえた。

「だ、誰がこんな……!」

御坂は目の前の惨状に呆然と立ちつくしていた。

「今度こそ地獄に叩き落してやった。金輪際もう二度とこの世に現れるな……!」

キンケイドの四散した内臓を蹴りつけながらスポーンが現れた。

「あ、あんたは!?」
「また会ったな」
「”また会ったな”じゃないわよ!!そいつはアンチスキルに突き出そうとしたのに……!何で殺すのよ!」

御坂はいきなり現れ、キンケイドを殺したスポーンに怒りを露にする。

「突き出す……、か。アンチスキルとやらはこの都市の警察のようなものだったな。それでキンケイドにどういう処置をせるんだ?こいつは子供を二十七人も殺した癖に精神病院に六年しか入らず出てきた下種だ。しかも出所早々一人の少女の命を何の躊躇いもなく奪い去った。学園都市にいる判事とやらはこいつに相応の罰を下せるとでも言うのか……!」


スポーンはキンケイドを殺したあの夜のことを思い出した。出所したばかりなのに性懲りもなく子供を殺し、反省の色すらもみせていなかったこのサイコキラーを自分が罰を下したのだ。子供に残虐この上ない仕打ちをして陶酔に浸るこの途方も無いクズの人権を叫んでいる輩がこの学園都市にいようものならそいつら全部を地獄の底に叩き落してやりたい気分だった。

「相応の罰なんてあたしにはわかんないけどね……。あんたはあたし達の目の前で人を殺した。そのことは知ってほしいわね。」
「ほぅ……得意の超能力とやらで俺を捕らえるつもりか?いいだろう受けて立ってやる!!」

御坂はスポーン目掛けて電撃を放つ。その恐るべき速さの御坂の電撃を間髪の所で避けたスポーンが御坂に鎖を飛ばした。

「危ない!お姉さま!」

黒子が御坂の傍にテレポートし、御坂をテレポートさせてかわさせた。

「この鎖の餌食になりたいのはお前か」

鎖が標的を黒子に変え、黒子の右腕に絡みつく。

「くぅ……!!」
「どうした?今更泣き言なぞ聞かんぞ?」
「……なんてね」

黒子はテレポートし、鎖の拘束から脱した。

「ちぃ!」

まだ自分は魔力を使えない。鎖とマントと、己の肉体だけで戦うしかない。自分は生きていた頃は特殊工作員だった。スポーンとなってからは魔力を使うようになったが、人間の頃の戦いは忘れてはいなかった。

「どこ余所見してんのよ!」

スポーンの背後から御坂の電撃が襲う。

「ぐぉ!?」

御坂の電撃は容赦なくスポーンの体に直撃する。その衝撃でスポーンは勢いよく吹っ飛んだ。
普段、御坂は人間を殺す程の電撃は相手に与えてはいないが、スポーンに対してはこれ位しなければ
勝てない気がしたからだ。それ位スポーン本人の危険性を御坂は察知していた。この電撃は普通の
人間ならばショック死してもおかしくはない威力だ。

「……図に乗るな!」

スポーンは起き上がり、勢い良く御坂に突っ込んでくる。

「黒子!こいつには針を思い切り体に刺していいからね!」
「承知しましたわ」

黒子はテレポート能力でスポーンの体に針を埋め込ませる。

「がぁ……!!」

スポーンは激痛に耐える。これ位の傷はアメリカで戦っていた頃に比べれば大したことはない。自分の着ている寄生服リーサが針を吐き出している。


「そんな……!あいつ針を自動的に吐き出した!?」
「再生能力……、というやつですのね」

まだ魔力が回復していなのは痛かった。魔力さえ回復すればこの二人程度難なく倒せるはずなのだが。「魔力が戻る方法」ならば
もう見つけたのだが……。


「へっへっへ……、大分押され気味のようだなスポーン」

下卑た笑い声と共に、対峙する三人の前にクラウンが現れる。

「クラウン……、貴様!」

自分をまたもだまくらかしたクラウンに怒りの炎を燃やすスポーン。

「な、なんなのこのピエロ?三流サーカスに出てきそうな感じなんだけど」
「新手の変質者かもしれませんわよ。自分の体型とか、顔とか、自身のない部分に対して開き直っている辺りはある意味潔いというか……」

御坂と黒子はクラウンの容貌、体型などをボロクソに貶している。

「おい、お嬢ちゃん達よぅ!あんまり人の気にしていること喋んじゃねえや。いくら温厚な俺様だからって手加減できなくなるぜ?」

クラウンは自分のコンプレックスを突かれたことに怒りのマグマが溢れ出しそうになる。


「ふっ……、小細工や人を騙す手段を上等としている奴が温厚だとは笑わせるな」

「けっ!なんで俺様がお前をこの学園都市に飛ばしてやったか教えてやろうか?この学園都市は化け物の宝庫だ。こん中にお前を放り込んで、超能力を使うガキ共と戦ってお前がくたばるように仕向けたんだがな……。お前が殺したビリー・キンケイド、あいつは地獄でお前と戦ったことやお前に殺されたことの記憶を消して、新たに人間として蘇らせたのさ。あいつの記憶の中はお前に殺される
前の出所してガキを一匹殺したまでの記憶しかねえ。俺はあいつをこの学園都市の中に放り込ませ、学園都市にいるガキ共を殺すように仕向けたのさ。あいつを放っておくお前じゃねえだろうしな。あいつを捕まえようとするこの学園都市のおまわり共と、ビリーを殺そうとするお前が戦うのは必然だったんだよ。だがもうその様子じゃ魔力は使えないようだな。エスパー使いのガキ共に始末してもらうよりこの俺様が直々にお前を殺してやるよ!」

「何だかわかんないけど……。こいつからは下種野郎の臭いがぷんぷんするわね」

御坂は尚もクラウンの神経を逆撫でするようなことを言う。

「人のことをピエロだの下種だの好き放題言いやがって……、本当に俺様を怒らせたいらしいな。俺の名前はVから始まる。俺の名はVIRGIN(バージン)でもVIBLATER(バイブレーター)でもねぇ!俺の名は……VIOLATER(バイオレーター)だぁああ!!!!」

クラウンの肉体が変容していく。折り曲げた指先の皮膚を食い破り、巨大な鉤爪が姿を現した。脊椎が膨れ上がり、肉片ごと飛び出す。煮えたぎるように溶け出す肌から粘液に覆われたクラウンの本体が姿を現し始めた。昆虫のように感情を表さない、卑しい光を放つ充血した複眼がスポーンを含む三人ををギョロギョロと覗く。

「こ……、これは……、本物の化け物ですわ!!」

変容を遂げたクラウンの余りの醜悪さに目を疑った。

「こ、こうなったら戦うしかない!」

御坂は勇気を振り絞って、戦おうとする。

「ギャハハハハハハ!!テメエ等全員ブチ殺してやるぜぇ!!」

猛烈な臭気を放ちながらバイオレーターは咆哮する。その直後だった

「待たせたな……」

スポーンが低く言う

「な……!?テメエまさか!?」

「気づいたか?俺の魔力が回復したことを。お前が変身する時は多量の魔力を消費するだろう?お前は気づいていないかもしれないが変身する際には目に見えない魔力が体外に出される。それに呼応して俺の中で封印されていた魔力が復活したのさ。お前らフレビアック一族は大した魔力を持っていないというが、お前は俺を殺す為に地獄で大量に魔力を蓄えてきたのが仇になったようだな。間抜けな所は昔と変わらんな」

スポーンがクラウンから手渡された四角形の塊……、あれは対象者をテレポートさせるだけでなく、対象者の魔力を一時的に封印する力もあったのだ。だがこの塊は未完成な部分が多く、多量の魔力に当てられると、魔力が復活してしまうのだ。

「テメエその話を誰から聞いた!?」
「とある銀髪の少女シスターからだ。俺が何の目的もなく数日間この街を散策していたわけじゃない」
「あ、あの野郎!未完成品を渡しやがって!!」

バイオレーターはスポーンを飛ばす為の道具を自分に渡した人物に怒りをぶつける。

「さてと、強大な魔力も復活したことだし、終幕といくか」

スポーンは右腕に膨大な量の魔力を集中させ、光線にして放つ。

「ギャアアアアアアアアアアア!!!」

バイオレーターはその威力に跡形もなく吹き飛ばされた。
スポーンの放った光線は廃ビルの壁を突き破り、天に向かって放出されていく。

「……す、すごい……。あたし達が戦っても勝てるかどうかわかんなさそうな気が……」

間近でスポーンの強大な魔力を目にした御坂は「勝てない」と実感したのか呆然とスポーンに見とれている。

「そうですわね……。今の私達にはあの方を捕らえる術はありませんわね」

バイオレーターを倒したスポーンは魔力が戻ったのでラットシティに戻ることにした。

「それじゃあな。溜飲も下がった。俺は自分のねぐらに帰らせてもらう」
「ちょ!ちょっと待って!」
「ん?」
「あ、あたし達はあんたのしたことをこの目で見たんだからね!いつか力をつけてあんたを捕まえるからそのつもりでいなさいよ!」

御坂の言葉にスポーンは少し微笑する。

「ふっ……、好きにするがいいさ」

スポーンが緑色の光に包まれながらテレポートしていく。御坂と黒子はテレポートするスポーンを黙って見送った。

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最終更新:2010年02月24日 01:51
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