準備
等式/不等式
- 1/2 + 1/4 + ・・・ + 1/2n = 1 - 1/2n.
- ε > -1 ⇒ 1/(1 +ε) ≧ 1 - ε.
- 任意の x ∈ R について、1+x ≦ ex.
- 任意の x ≧ 1 について、(1 - 1/x)x ≦ 1/e ≦ (1 - 1/(x+1))x.
- 任意の x ≧ 1 について、1 - 1/x ≦ e-1/x ≦ 1 - 1/(x+1).
- 任意の x > 1 について、1 + 1/x ≦ e1/x ≦ 1 + 1/(x-1).
- 1 - 1/(x+1) ≧ e-1/x (x > 0)
- q > 0 について、δ(∈[0,1])の関数δ・(1-δ)q は δ=1/(q+1) のとき最大で、その値≧1/{e・(q+1)}.
- Pr[A|B] ≧ Pr[A∩B] ≧ Pr[A] - Pr[¬B].
- For every A, B \subset {0,1}n, Σx \in A, y \in B Mx,y = 1AT M 1B.
- (a1 + ... + aN)2 ≦ N (a12 + ... + aN2)
補題
確率
確率変数Xについて
- Var[X] =def E[(X - E[X])2] = E[X2] - E[X]2
- 標準偏差σ[X] =def (Var[X])1/2
補題
確率変数X1, ... , Xnが組ごとに独立ならば、
- Var[ Σi=1..n Xi ] = Σ1=1..n Var[Xi].
補題(Markov)
Xを非負の確率変数とするとき、
補題(Chebyshev)
Xを標準偏差σの確率変数とするとき、任意の k > 0 について、
- Pr[ | X - E[X] | > kσ ] ≦ 1/k2.
補題(Chernoff)
X1, X2, ..., Xnを互いに独立なバイナリ確率変数とし、
μ = Σi=1..n E[Xi] とするとき、任意の c > 0 について、
- Pr[ | Σi=1..n Xi - μ | ≧ cμ ] ≦ 2 e-min(c2/4, c/2) μ.
補題(Chernoff)
X1, X2, ..., Xnを互いに独立なバイナリ確率変数とし、X = X1 +・・・+ Xn、μ = E[X] とするとき、
- (lower tail) ∀δ∈ (0, 1] について、
- Pr[ X < (1 - δ) μ] < exp( -μδ2 / 2).
- (upper tail) 0 < δ < 2e - 1について、
- Pr[ X > (1 + δ) μ] < exp( -μδ2 / 4).
補題(Hoeffding)
X1, X2, ..., Xnを互いに独立な、区間 [a,b] 上の、平均μの確率変数とし、X = X1 +・・・+ Xn とするとき、
- ∀ k > 0 について、
- Pr[ |X - μ n| ≧ k] ≦ exp( - 2k2 / (n(b-a)2) ).
補題(Leftover Hash Lemma, インフォーマル)
H が universal hash, H∞(X|Z) が十分大
⇒ (Z, K, H(K,X))は(Z, K, U)に統計的に十分近い。
数論
補題(CS)
gcd(a,b) = 1 である整数x, y, a, bについて
ならば、
となる整数 x' を効率的に計算できる。
補題[CS 03]
素因数分解仮定のもとで、与えられた(強素数の積である)整数 n 、
およびランダムな g, h ∈ (Zn*)2 について、
となる整数 a, b を求めることは困難である。
補題[CS 03]
強RSA仮定のもとで、与えられた(強素数の積である)整数 n 、
およびランダムな g, h ∈ (Zn*)2 について、
- wc = ga hb, ¬(c | a, c | b)
となる整数 a, b, c を求めることは困難である。
CRT係数
F1, F2, F3 : pairwise co-prime
基本概念
ネグリジブルな関数
関数ε: N → R+ が ネグリジブルであるとは、
任意の c > 0 について、ある K があって、
であることをいう。
統計的距離
2つの確率変数 X, Yについて、
- Δ[X, Y] =def 1/2 Σα | Pr[X = α] - Pr[Y = α] |
をXとYの間の統計的距離という。任意の変換φについて、
識別不可能性
2つの確率変数族 X = {Xs}s∈S, Y = {Ys}s∈Sが統計的に識別不可能であるとは、
あるネグリジブルな関数εがあって、任意の s∈S について、
であることをいう。
とかく。
2つの確率変数族 X = {Xs}s∈S, Y = {Ys}s∈Sが計算的に識別不可能であるとは、
任意の効率的なアルゴリズムDに対し、あるネグリジブルな関数εがあって、
- | Pr[α ← Xs : D(s,α) = 1] - Pr[α ← Ys : D(s,α) = 1] | < ε(|s|)
であることをいう。
とかく。
ハッシュ関数
定義
ハッシュ関数 {Hk : {0,1}* → {0,1}l}k が 衝突困難 であるとは、
任意の効率的なアルゴリズムAについて、確率
- Pr[ k ← {0,1}n, (x0, x1) ← A(k) :
- x0 ≠ x1, Hk(x0) = Hk(x1) ]
がネグリジブルであることをいう。
定義
ハッシュ関数族 H = {Hk}k∈N が division intractable であるとは、
任意の効率的な攻撃者Aに対し、
- Pr[ h ← Hk, (X1,...,Xn, Y) ← A(h) :
- Y ≠ Xi (for i=1..n) かつ h(Y)が積Πi=1..nh(Xi) をわりきる ]
が(kについて)ネグリジブルであることをいう。
双線形群
双線形群の定義
素数位数pの3つの巡回群G1, G2, GTについて、
写像 e : G1 x G2 → GTが双線形写像であるとは、
- (双線形) u∈G1, v ∈ G2, a, b ∈ Zpについて、e(ua, vb) = e(u, v)a b.
- (非退化) u≠1, v≠1 ならば e(u, v)≠ 1.
であることをいう。
(G1, G2)が双線形群であるとは、
- G1, G2の群演算がそれぞれ効率的に計算可能で、
- ある群GTについて双線形写像 e: G1 x G2 → GT も効率的に計算可能で、さらに
- ある効率的に計算可能な群準同型写像 Ψ:G2 → G1 が存在する
ことをいう。
Gが双線形群であるとは、
- Gの群演算が効率的に計算可能で、
- ある群GTについて双線形写像 e: G x G → GT も効率的に計算可能
であることをいう。
双線形写像のインバート可能性
双線形群Gとその要素u(≠1)について、GからGTへの写像
を考える。
写像fuがインバート可能ならば、双線形群G上のBDHP問題
- Gの要素 u, ua, ub, uc を与えられて、GTの要素e(u, u)abcを求める
は容易である。実際、
のfuに関する逆像uabを求めて、
同様に、写像fuがインバート可能ならば、GT上の判定DH問題
- GTの要素 g, ga, gb, h を与えられて、h =? gab を判定する
も容易である。実際、
- fu(v) = e(u, v) = g
- fu(va) = e(u, va) = ga
- fu(vb) = e(u, vb) = gb
- fu(w) = e(u, w) = h
となる v, va, vb, w を求めて、
最終更新:2015年07月13日 15:55