滕彪さん(トン ビィャォ )téng biāo
書店で法律書を物色してから北京市郊外の団地に帰宅した滕彪氏(34)が駐車場に車を止めて歩き出すと、4人の男が寄ってきた。
3月6日午後8時40分ごろのことだ。4人はつかみかかった。滕氏は抵抗し、言葉にならない叫び声を上げた。それを団地の住民が何人も聞いている。いずれも大柄な4人は滕氏を車の後部座席に押し込むと、頭に黒い布袋をかぶせて車を発進させた。
以後3日間、カーテンを閉め切った机といすだけの一室で尋問と説得が続いた。夜は簡易ベッドが持ち込まれ、滕氏は監視役のわきで体を休めた。
男たちは入れ代わり立ち代わり迫った。「公安」とだけ名乗り、誰も氏名や肩書を明かさなかった。
滕氏は北京の中国政法大学法学院で講師を務め、弁護士としても各地の活動家を支援してきた。4月に国家政権転覆扇動罪で有罪判決を受けた活動家・胡佳氏(34)が信頼する同い年の友人だ。胡氏はエイズウイルス感染者の権利擁護から人権擁護へと活動の幅を広げたが、自身の言論などが罪に問われた。
滕氏が密室で尋問されていた3月8日朝。
李和平弁護士(37)は自家用車で長男(7)を小学校へ送り届ける途中、後続車に追突された。しかし、現場に来た警察官は「この案件は処理しない」。後続車を運転していたのは、李氏を尾行中の公安当局者だった。警察官と談笑していた。李氏は腰を強打。後部座席の長男にけがはなかったが、ひどくおびえた。
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最終更新:2008年09月10日 09:07