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WannaCry


2017年5月に世界中に広がったランサムウェアです(WanaCrypt0r、WCry などの別名もある)。ネットワークを通じて自分で広がるワームの機能を持っていたため、短い時間で大規模な被害になりました。

何が起きたか

米国の CISA(サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁)の注意喚起(TA17-132A)は、次のように伝えています。
  • 2017年5月12日の朝に見つかり、数時間で急速に広がった。公開の報道によれば、150を超える国で数万件の感染が報告された
  • Windows のファイル共有の仕組み SMB の古い版(SMBv1)の脆弱性(MS17-010 で修正されたもの)を突いて、ネットワークの中で広がった。感染の入口の一つとして、フィッシングの可能性も公開の情報で挙げられた
  • 公開の報道によれば、身代金として約0.18ビットコイン(当時で約300ドル)を求めた
  • この注意喚起は2018年6月に改訂され、米国政府が WannaCry を北朝鮮政府によるものと公に帰属させたことを反映した

MITRE ATT&CK(攻撃者の手口を整理した公開の知識ベース)も、WannaCry を、150を超える国に影響したランサムウェアと説明しています。SMBv1 の脆弱性を突く攻撃用のコード(エクスプロイト)である eternalblue を使って、ネットワークの中に自分を広げるワームの機能を持つとしています(S0366)。

なぜ広がったか

  • 修正を当てていない端末:Microsoft は2017年3月14日に、この脆弱性を直す MS17-010 を公開していた。拡散が始まったのは、その約2か月後で、Microsoft のブログは、世界中で多くのコンピュータに修正が当たっていなかったと書いている
  • 内部での広がり:ワームの機能があったため、ネットワークの中で1台が感染すると、修正の無いほかの機器へ広がった

このほか、Microsoft は拡散の翌日の5月13日に、サポートの終わっていた Windows XP などにも修正を出しました(日付は CISA の注意喚起による)。3月の MS17-010 は、当時サポートしていた版を対象としていました。

拡散が抑えられた仕組みと、その注意

CISA の注意喚起によれば、WannaCry は、特定のドメインに接続できると動作を止める作りになっていました。見つかった当初、そのドメインは登録されておらず、WannaCry は自由に広がりました。研究者がそのドメインを登録して接続できるようにすると、広がる力が大きく抑えられることが、数日のうちに分かりました。注意喚起の時点では、そのドメインへの通信は監視された無害なサーバに向けられていました。このため CISA は、そのドメインへの通信を遮断しないよう勧めました。悪性のドメインへの通信を一律に止める設定(コマンド&コントロールの対策)が、かえって逆効果になりうる例と言えます。

教訓

CISA の注意喚起の推奨と、その後の指針(#StopRansomware Guide、2023年10月)から整理します。
手段 内容
修正の適用 MS17-010 を適用する
SMB の守り SMBv1 を無効にし、SMBv3 へ移る。インターネットとの境界で TCP 445 を内向き・外向きとも遮断し、内部の SMB の通信も必要な機器の間だけに限る(2023年の指針。詳しくは eternalblue)
ネットワークを分ける ネットワークと機能を分け、不要な横方向の通信を制限する(ネットワークセグメンテーション)
権限を絞る 管理者の権限は本当に必要な人だけに与え、ファイルや共有フォルダへのアクセスも最小限にする(最小権限の原則)
メールの守り 迷惑メールのフィルタ、送信元のドメインの詐称を見分けやすくする仕組み(SPF・DKIM・DMARC)、実行ファイルの添付の遮断、メールで届いた Office ファイルのマクロの無効化(フィッシング)
バックアップ バックアップが実際に戻せるかを試しておく(バックアップ)
教育と点検 詐欺や悪意のあるリンクを見分ける教育。少なくとも年1回の、許可を得て実際に攻撃を試みて弱点を確かめる検査(ペネトレーションテスト)
起きたとき 法執行機関に連絡する。CISA は、身代金を払っても、暗号化されたファイルが戻る保証は無いとしている

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出典

確認日:2026年10月17日
ATT&CK:© 2026 The MITRE Corporation. This work is reproduced and distributed with the permission of The MITRE Corporation.(Terms of Use)
最終更新:2026年10月17日 09:11