責任追跡性
システムの中で行われた操作を、それを行った主体(人やプロセス)に一意にたどれるようにすることです(英語では accountability)。
定義
NIST の用語集では、責任追跡性に主に2つの系統の定義があります。
- 性質として:ある主体の行動を、その主体に一意にたどれるようにする性質(NIST SP 800-57、CNSSI 4009-2022〔ISO/IEC 7498-2:1989 から〕ほか)
- 安全上の目標として:主体の行動をその主体に一意にたどれることを求める、安全上の目標。非否認、抑止、障害の切り分け、侵入の検知と防止、事後の復旧と法的な措置を支える(NIST SP 800-12 Rev. 1、CNSSI 4009-2022)
成り立たせるもの
| 要素 |
役割 |
| 一意の識別 |
1人に1つの識別子。共有のアカウントがあると、誰がしたかをたどれない |
| 確かな認証 |
その識別子を本人が使ったと言えること。認証が弱ければ、記録の主体はなりすましかもしれない |
| 記録(ログ) |
誰が、いつ、何をしたかを残す。この記録の連なりを監査証跡(audit trail)と呼ぶ |
| 記録の保護 |
記録を、操作した本人が消したり書き換えたりできないようにする(職務の分離) |
| 時刻の同期 |
複数の機器の記録をつなげるために、時刻を合わせる |
非否認との違い
| 項目 |
責任追跡性 |
非否認 |
| 目的 |
組織の中で、行為者をたどる |
第三者に対しても、行為を否定させない |
| 主な証拠 |
記録(ログ) |
デジタル署名、タイムスタンプ、受領の証明 |
| 証拠の強さ |
管理者が書き換えられる記録は、第三者への証拠としては弱い |
秘密鍵が本人だけに管理されていれば、第三者が検証できる |
責任追跡性は非否認を支える土台ですが、ふつうのログだけでは非否認にはなりません(この表は筆者の整理)。
つまずきやすい点
- 共有のアカウント:管理者のアカウントを複数人で使い回すと、記録はあっても誰の操作か分からない
- 記録を消せる管理者:管理者が自分の操作の記録を消せるなら、記録は証拠にならない。記録は別の場所へ送り、別の人が管理する
- 記録が多すぎて見ない:記録を取るだけでなく、見る人と頻度を決める
- プライバシー:利用者の行動の記録には個人の情報が含まれる。目的と保存期間を決め、見られる人を絞る
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出典
確認日:2026年10月16日
最終更新:2026年10月16日 17:53