暗黙のトラストゾーン

暗黙のトラストゾーンは、ゼロトラストモデルにおける信頼できないネットワーク領域を指します。
一見内部領域であり、従来であれば信用できるゾーンであった部分のことを指します。
このゾーン内では、全ての通信やアクションが信頼されず、検証や監視が行われます。

企業のプライベートネットワークは、暗黙のトラストゾーンとみなさない。
具体的な対応策として、常に攻撃者がネットワークにいると考えて、全ての接続を認証したり、全ての通信を暗号化したりすることが挙げられます。

詳細な対応策

1. 全ての接続を認証
ゼロトラストモデルでは、全ての接続を信頼せず、必ず認証を行うことが求められます。これには次のような手法が含まれます。

多要素認証(MFA):
パスワードに加えて、追加の認証要素(例: モバイルデバイスのコード、バイオメトリクス)を使用することで、認証の強度を高めます。

シングルサインオン(SSO):
一度の認証で複数のシステムやアプリケーションにアクセスできるようにし、ユーザーの利便性を保ちつつ、セキュリティを確保します。

動的なリスクベース認証:
ユーザーの行動や環境に基づいて、認証の強度を動的に調整します。異常な行動が検出された場合には、追加の認証手段を要求することができます。

2. 全ての通信を暗号化
ゼロトラストモデルでは、ネットワーク内外の全ての通信を暗号化することが重要です。これにより、データが転送中に盗聴されるリスクを軽減します。

TLS/SSL暗号化:
インターネット上の通信を暗号化するために、Transport Layer Security(TLS)やSecure Sockets Layer(SSL)を使用します。
これにより、データの盗聴や改ざんを防ぎます。

VPNの使用:
仮想プライベートネットワーク(VPN)を使用して、リモートアクセス時の通信を保護します。
VPNは通信を暗号化し、ネットワークの境界を越えた通信を安全に行います。

エンドツーエンド暗号化(E2EE):
データが送信者から受信者に届くまでの間、常に暗号化されている状態を保ちます。
これにより、中間者攻撃(MITM)を防ぎます。

3. ネットワークのセグメンテーション
ネットワークを細かく分割し、異なるセグメント間の通信を制御することで、攻撃が一つのセグメント内に留まるようにします。

マイクロセグメンテーション:
仮想化環境やクラウド環境でのセグメンテーション手法で、仮想マシン(VM)やコンテナ間の通信を細かく制御します。

ネットワークアクセス制御(NAC):
ネットワークに接続するデバイスの認証と制御を行い、ポリシーに基づいたアクセス制御を実施します。

4. 継続的な監視と検証
常にネットワークトラフィックを監視し、異常な活動を検出して対応することが重要です。

侵入検知システム(IDS)/侵入防止システム(IPS):
ネットワークトラフィックを監視し、異常な活動や攻撃の兆候を検出・防止します。

セキュリティ情報およびイベント管理(SIEM):
複数のセキュリティデバイスからのログデータを統合・分析し、セキュリティインシデントをリアルタイムで検出します。

エンドポイント検出と対応(EDR):
エンドポイントデバイス上の活動を監視し、異常な行動や攻撃の兆候を検出・対応します。

5. ポリシーの一貫した適用
ゼロトラストモデルでは、一貫したセキュリティポリシーの適用が求められます。

ポリシーエンジンの使用:
ポリシーエンジンは、全てのアクセスリクエストに対してポリシーを適用し、許可・拒否の判断を行います。

ポリシーの継続的な更新:
ビジネス要件や脅威環境の変化に応じて、ポリシーを継続的に見直し・更新します。

これらの対応策を実施することで、ゼロトラストモデルを効果的に導入し、内部・外部の脅威からシステムを保護することが可能になります。
最終更新:2024年05月22日 14:08