# ゼロデイ攻撃 (Zero-Day Attack)
## 概要
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアやハードウェアのセキュリティホール(脆弱性)が公開される前、または開発者やベンダーが認識し対策を講じる前に、その脆弱性を悪用するサイバー攻撃のことを指します。「ゼロデイ」とは、脆弱性が発見されてからベンダーが対策を講じるまでの日数がゼロ日であることに由来します。
## 特徴
- **未知の脆弱性**: ゼロデイ攻撃は、ベンダーやユーザーがまだ認識していない脆弱性を利用します。
- **予防困難**: 通常のセキュリティ対策(ウイルス対策ソフト、ファイアウォールなど)では防ぎにくい。
- **高い影響度**: 重大な被害を引き起こす可能性が高い。特に機密情報の漏洩やシステム停止などの深刻な影響を与えることがあります。
## 攻撃の流れ
1. **脆弱性の発見**: 攻撃者がソフトウェアやハードウェアの脆弱性を発見します。この脆弱性は、プログラムのバグや設計上の欠陥によって生じます。
2. **エクスプロイトの開発**: 攻撃者は、発見した脆弱性を悪用するためのコード(エクスプロイト)を作成します。このエクスプロイトを使ってターゲットシステムに攻撃を仕掛けます。
3. **攻撃の実行**: 攻撃者はエクスプロイトを使用してターゲットシステムに攻撃を実行し、不正アクセスやデータの盗難、システムの制御を試みます。
4. **脆弱性の発見と公表**: 脆弱性が公表されると、ベンダーは速やかにパッチを作成し、ユーザーはそれを適用して脆弱性を修正します。
## 有名なゼロデイ攻撃の例
### Stuxnet
- **概要**: 2010年に発見されたコンピュータワーム。イランの核濃縮施設を標的にしたとされる。
- **影響**: インフラへの深刻な被害を与え、工業制御システムに大きな影響を及ぼしました。
### Heartbleed
- **概要**: 2014年に発見されたOpenSSLライブラリの脆弱性。攻撃者がメモリの内容を読み取ることが可能になりました。
- **影響**: インターネット上の多くのサービスが影響を受け、大量の個人情報が危険にさらされました。
## 防御策
### セキュリティパッチの適用
- **概要**: ベンダーが提供するセキュリティパッチを迅速に適用することで、既知の脆弱性を修正します。
- **ポイント**: 定期的なパッチ管理と、脆弱性情報のモニタリングが重要です。
### 攻撃検出システム (IDS/IPS)
- **概要**: ネットワークやシステム上の異常な活動を監視し、攻撃の兆候を検出するためのシステム。
- **ポイント**: ゼロデイ攻撃に対しては限界があるものの、未知の攻撃パターンを検出するための高度な分析技術が有効です。
### バウンティプログラム
- **概要**: ベンダーが脆弱性を発見した研究者やハッカーに報奨金を支払うプログラム。これにより、善意のハッカーが脆弱性を報告し、悪用される前に修正することができます。
- **ポイント**: 企業が積極的に取り組むことで、脆弱性の早期発見と修正を促進します。
## まとめ
ゼロデイ攻撃は、脆弱性が発見される前に行われるため、非常に危険で防御が難しいサイバー攻撃です。効果的な対策には、迅速なパッチの適用、最新のセキュリティ技術の導入、そして継続的なセキュリティ監視が不可欠です。また、バウンティプログラムなどの取り組みを通じて、脆弱性の早期発見と修正を促進することも重要です。
最終更新:2024年06月24日 10:36