a.統計データからみる関西経済
関西経済の現在を統計データに沿って明らかにしようと思う。
まず失業率から大阪の経済状況を明らかにしてみる。平成20年の関西における失業率は約4.3%、対して全国平均が約3.9%であった。平成14年においては、関西が約7.1%、全国が5.2%(東海地区は約4.0%)であった。このことから、全国有数の商業地域であることは間違いないのにも関わらず、失業率は全国平均よりも高くなっている。その原因は関西の主要業種である就業者の減少が、関東圏よりも大きく、その一方でそれを補うサービス業における就業者の伸びが関東圏に比べて小さくなっているためだと考えられている。(再就職むずいも。関東はサービス業(情報)強い→関西も製造業に補完的なサービス業あげたら高失業率から脱却可では。関西失業率高いゆうても大阪が突出してるだけで兵庫とかは全国並み→なんで大阪だけが?なんで他の近畿たちは並みなん?)
また、2007年度の近畿2府4県の倒産件数は、前年度比24.1%増の3133件、負債総額は12.1%減で8312億円だった。それに対して全国の倒産件数は前年度比18.4%増の1万1333件となり、近畿圏で27.4%と高い割合を占めている。原因は中小零細企業の倒産が急増したためで、件数は過去10年で最高という。規模別では個人経営と資本金1000万円以下が84.7%を占めた。建設が23.7%増の808件、サービスが27.9%増の779件となるなど、全業種で前年を上回った。
外資系企業の本社所在地数の割合は、日本貿易振興機構対日投資部によれば大阪が199社の4.7%、兵庫が110社の2.6%に対して東京は2714社で64.1%と如何に東京に集中しているかがわかる。
(大阪・京都・神戸の世界的知名度は?経済の視点で世界から見て日本は東京がすべてで関西の都市は政策的なもの以外で魅力はないのか?)
一方で教育の充実性は全国でもトップクラスというデータがある。京都大学、大阪大学などの大学の教育機関でもわかるように、非常に充実しており、大阪府においては大学数が47校と日本2位につけている。また、国立研究機関の立地は少ないものの、全国の中での大学や民間企業の研究所、特許出願件数などのシェアはGDPのシェアを上回っており、技術開発のポテンシャルは高いといえる。これらの要因によって、大阪においては企業と大学などの教育機関の産学連携が豊富に行われ、大学発ベンチャーなどを生み出しやすくしている。
b.東京への上場企業本社移転という側面から見る関西企業の衰退
日清食品が本社を大阪から東京へと移設したというのは、大阪の経済に大打撃を与えたニュースである。また大阪に本社があった藤沢製薬工業が山之内製薬(東京本社)と合併し、アステラス製薬となった際、本社を東京としたり、住友化学、住友林業、さらにもともと本社が大阪にあった丸紅なども本社機能を東京に移し、関西ないし大阪の空洞化が止まらない。その原因には東京において経営することの利点の増大、加えて大阪で経営することの利点の減少が挙げられるだろう。日本は昔から、天然資源がすくなく、領土も広くないため、他国から原材料を輸入し、製品を輸出するシステムをとってきた。海運・空運にすぐれた大阪がそのようなシステムの拠点となり、日本の経済をけん引してきたことは間違いない。しかし、超情報社会となった現在では、情報収集の遅さは命取りになり、その拠点である東京以外に本社を置くことは、この点においてスタートラインから不利益をこうむることになる。さらに特許などの申請は東京に集中しており、その面においての即時性を求める上でも東京というのは企業にとって欠かすことのできない要因なのである。また東京都だけで50兆円ほどの法人税を生み出すため、その再分配の多くは東京に集中することになる。結果、よりよい環境を求めるとなると、本社を東京に移すしかなくなってしまうのである。
本社の移転という事象に対し、最大の被害をこうむるのは関西の中小企業、下請け企業である。本社が東京に移転することで、その生産拠点も首都圏に移動することが多く、結果関西の下請け企業はお払い箱になってしまう。この結果、零細な下請け企業は経営を維持することができなくなり、倒産してしまう。危機状況にある中小企業を助けるため、関西、特に大阪府は援助をしなくてはならず、それにかかるコスト+東京に本社移転してしまった企業の法人収入のマイナスを賄うことは難しく、結果各企業に対する再分配もすくなくなり、大阪で経営するという利点を減少させているという現象につながっている。
このことから、大阪の企業の本社東京移転という事象は、大阪の経済基盤の沈下を招き、結果関西の経済は衰退していっているのである。
逆に本社移転していない企業が行政の中心である東京に行かずに、関西に残ってるその理由はなにか?