上下 中之プロローグ

――では、まずは軽く自己紹介をお願いします。

上下 中之(以下、上下):はい。名前は上下 中之(かみしも なかの)です。
性別は男、学年は2年、よくいるタイプの魔人です。

――特殊能力の"普通"というのはどういうことですか?

上下:文字通り"普通"ということです。
どこにでもいそうな、"普通"の高校二年生男子の魔人です。
どこにでもいそうな"普通"の高校二年生男子の魔人にできることはできますし、できないことはできません。
例えば、あなたにとって、"普通"の高校生男子って、どんな感じですか?

――平日は毎日学校に通っていて、得意な教科とか苦手な教科とかがあって、部活に参加していて、といった感じですね。

上下:そういうことで、もちろんずべ手の教科のテストの点数が全部平均点という"普通"はいないでしょう。そういうことです。

――でも、普通の魔人は、いろいろな力を持っているじゃないですか。単純に力が強いとか。
そもそも魔人は身体能力が"普通"の人間よりも高いと聞きますが、それについてはどうですか?

上下:"普通"の魔人ですから、"普通"の人間よりも身体能力は高いですよ。それくらい"普通"ですよ。

――たしかにそうですね。それが"普通"ですね。でも、その特殊能力は、少し弱すぎると思うのですが。

上下:そんなことはないですよ。使い方によっては"普通"に強いです。自分で"普通"にできると信じていることは何でもできるわけですからね。
例えば、他の魔人に『"普通"の魔人ならはこれくらいのスピードについてこれるぞ』と言われれば、そのスピードについていけます。
前提はどうであれ、"普通"だと信じれば、何でもできるのです。
自分にとっての"普通"は他の人にとっての"普通"であり、他の人にとっての"普通"は自分にとっての"普通"であるのです。

――あれ?それだと逆に強すぎる気がしますが?

上下:そんなことはないですよ。対策されればは"普通"に弱いです。自分で"普通"にできないと信じていることは何でもできないわけですからね。
例えば、他の魔人に『"普通"の魔人ならはこのスピードについてこれまい』と言われれば、そのスピードについていけません。
前提はどうであれ、"普通"だと信じれば、何でもできないのです。
自分にとっての"普通"は他の人にとっての"普通"であり、他の人にとっての"普通"は自分にとっての"普通"であるのです。

――でもそうすると例えば、『"普通"のヤツには何もできない』とか言われたら、何もできないですよね?

上下:はい。使い方によって強くもなるし弱くもなるのは、"普通"の能力と変わりないですね。
それに、魔人能力は『自己の認識を他者に強制する能力』ですから、自分が思う"普通"を他者に矯正することもできるわけですね。
もっとも、他者の思う"普通"の認識のほうが強ければ、それもできないので、結局は"普通"に魔人能力のぶつかり合いです。

――なるほど。では、最後に、伝説の焼きそばパンを狙う理由を教えて下さい。

上下:"普通"に欲しいからです。

――わかりました。ありがとうございました。
最終更新:2015年04月25日 14:01