冬頭美麗プロローグ

「……チャンス、ですわ」
伝説の焼きそばパン販売。その報を聞いた彼女、冬頭美麗の第一声はそれであった。
「これはチャンスですわ。私(わたくし)が強くなるための、数少ない『物にできうる』チャンス……有効に、使わなければ」
ぶつぶつとつぶやく美麗。しばらく前までの彼女を知っているものからは、その鬼気迫る様子を見て驚かれるに違いない。
彼女の変貌の理由は、敗北にあった。
先日おきた、何度目かのダンゲロス・ハルマゲドン。彼女はその戦いにおいて、自ら死ぬ事こそなかったものの、信頼する三銃士をすべて失い、手痛い敗北を喫していたのだ。
その敗北は彼女に一つの感情を芽生えさせた。向上心である。
自らの能力を高め、強くならなければ。次の戦いのために。次の次の戦いのために。
そのために伝説の焼きそばパン。噂によればこれを食べて能力を向上させたものは数知れないほどいるという(※個人の認識です)。これほどうってつけのものは無いではないか。
「そのためには……ええ。味方を募らなくてはいけませんわね。悔しいですが、私(わたくし)の能力では直接介入する事は厳しいですもの」
彼女の能力は、大雑把にいって味方を強化するためのもの。簡単なテレパシーによる通信こそ可能になるものの、美麗自身にできる事はそのぐらい。
つまり、彼女が焼きそばパンを手に入れられるかどうかは、彼女がどんな味方を、どのような新たな“三銃士”を見つけられるかにかかっているのだ。
「勝たなければ。次の、次の次の戦いのために」
こうして、冬頭美麗の戦いは幕を開けた。
最終更新:2015年04月25日 16:33