百合原SS ハッピーエンド


『次元断層の発生及び、降下する高知能生命体を発見。……解析完了、対象を美少女と確認!』
「先生、わたくしお腹が痛くなったので保健室に行って参ります」
百合原かもめは教壇に立つ、頭部の体毛が少ない個体にそう告げると、移動補助用ブースターを吹かして屋上へと向かう。
美少女との関係を築くため、ファーストインプレッションがもつ大きな役割を、かもめは理解していた。

安全性の観点から立ち入りが禁止されている屋上であるが、助走を利用した勢いに乗り金属製の扉を突き破って侵入に成功する。
コンクリートの床を転がりつつ勢いを殺す百合原かもめの高性能カメラが、曇天の中に光を放ちつつ光臨する一人の美少女天使を捉えた。

刹那! かもめの意識は電脳世界へと飛んだ!
『お姉さま、翼が曲がっていてよ……』
『そういうかもめも、こんなところからいやらしいオイルが漏れていてよ……』
『お姉さま……っ!』
『かもめ……っ!』
『お姉さまああぁぁぁぁ~~~~~~~ん♡』

いざ、禁じられし乙女の花園が新装開園かというタイミングで、""美少女による頭部への振動""を検知したセンサが意識を現実世界へと引き戻す。


「あの、大丈夫でしょうか?」
天使がかもめを覗き込み、怪訝な風に問いかける。
「あ、貴女は……?」
「はい!」
天使の少女はすっくと立ち上がり、誇らしげに宣言した。
「私の名前はハッピーエンドメーカー! 全世界全次元のあらゆる物語をハッピーエンドに塗り替えるため、只今、別世界から参上致しました!」


「なるほど。理解しました。締め切りの時間が迫っているので、少し強引ですが話を進めることにしましょう。ユリビィィィィムッ!」
「アゥアゥアゥアゥアゥアゥッ!!!」
二人は恋に落ちた

♪ 一目見たその瞬間から Love so sweet
  この未来は決まっていたのさ Like a lily

「行きましょうお姉さま! 私達の、ハッピーエンドの向こう側へ!」 

~fin~
最終更新:2014年07月22日 02:01