■紅石密義エピローグ?「すべてが視える目」■



(危ない所だった。まさか俺が戦場に立つ羽目になるとは……)

紅石密義の果たすべき役割は情報戦のはずだった。
『アンダーワールド・ドミネイター』によって敵メンバーのパンツを確認し、そこからのプロファイリングで戦闘力や能力を割り出す。
それは時間のかかる作業であり、戦闘中に咄嗟に行うことなどできるわけがない。
だが、犬守藤花の能力のせいで予定が狂った。
犬守の『まぼろしけもののまぼろしおもい』は、周囲の者の認識によって強化される獣化能力。
周囲に居る者は誰でも良く……戦闘能力の極めて低い紅石まで、文字通りの数合わせとして動員されることになった。

紅石ほど貧弱で無能な者がハルマゲドンの戦場に立ったことは、長い歴史の中でも珍しいことだろう。
その犬守は狙撃に倒れた。御剣と秘密院は爆死。友野までもが魔術の餌食となった。すぐ近くまで迫り来る転校生
紅石は何度も死を覚悟した……だが、ギリギリ生き延びることができた。本当に危ない所だった。

(だが……奴のことは野放しにはできん。鬼紫季は運良く餌食にならずに済んだが、奴は全ての女性の敵であり、全ての男の敵だ……!)

『奴』の名は一一(にのまえ・はじめ)。
奴のパンツに残る、無数の女性の痕跡。
うらやま……許せん!!
アカシックレコード接続! 検索対象『一一』!
男のパンツを調べるのは不本意だが、奴を倒す方法を見つけるためだ、仕方ない。

(むぅ、奴の近くに別な女性のパンツ気配! こ、この高貴なパンツは……異国の王族!? そんな相手まで! いよいよもって許せな……うらやましい!!)


☆☆☆☆


魔法王国マジカニアの第一王女、パルピューラ・マジカニア・レガリス。通称パルプ。
その能力は《未来視》。一一との絆によって授かった、すべてが視える目。神にも近しい能力。
人の身に過ぎたる能力を持つことは、幸福ばかりをもたらすとは限らない。

パルプの目に視える、幸福な未来。
将来パルプは愛する人、一一と結ばれる運命にある。

パルプの目に視える、悲しい未来。
残念ながら、パルプは一一と結ばれる数多くの女性のひとりに過ぎない。No.1ですらない。

もちろん未来は、頑張り次第で変えられる。
だが、それはほとんどのルートが収束する最も確からしい未来。
嬉しいことも、悲しいことも全部ぜんぶ視えてしまう。
それでもパルプは挫けない。
無数のルートの中から、自分がただ一人の勝者となる世界を求めてもがき続けるのだ。

パルプの目に視える、最悪の未来。
選択を誤ればパルプは一一を永遠に失い、人類は滅亡する。

まだ片鱗に目覚めた状態に過ぎないが、一一の能力はやがて世界を大きく動かすとてつもない力だ。
それなのに本人は無自覚で、危なっかしいことこの上ない。
今回だって、一歩間違えば麻真亮樹にナカヨシ(殺害)されてたところだ。
そんな中で一一は、鬼紫季を追いかけ、埴井鈴たちとフラグを立て、クラウディア・ニーゼルレーゲンをペロペロした。
パルプの目には、全部視えている。

とりあえず、おしおきだ。
葦菜さんもこっちに向かってるみたいだけど、残念でした。
今回は私が制裁いちばんのり!
まずは『スターリット☆テンペスト』の魔法弾を全弾叩き込む。
それから……抱きしめてあげよう。
無事で良かった、お疲れ様でした、って。


■「すべてが視える目」おわり■


パルプちゃん四コマ!
最終更新:2014年07月02日 06:41