アットウィキロゴ
 

本葉柔・真ケン勝負!


迷宮時計を握り締める手に、力がこもる。
真剣勝負――絶対に負けられない。
勝って、私は、大好きなあの人のことを手に入れる。
本葉柔の大きなおっぱいの中には、おっぱいよりも大きな想いが詰まっていた。

「ピ」「ピ」「ピピ」「ピ」
慎重に、迷宮時計へ数字を入力していく。
何度もやってたことがある操作なのに、今日は緊張感が半端じゃない。
手のひらにじっとりと汗がにじんでいる。
大きなおっぱいの奥で、心臓がバクバク爆音を響かせていて爆発しそう。
これは、時間との戦いだ。
必ず勝つ。
祈りを込めて、迷宮時計のSTARTボタンを押す!

「ピピピピッ! お料理はじまりーっ!」
陽気な電子音声で、迷宮時計が宣言する。
あらかじめ分量をはかっておいたデュラムセモリナを、沸騰した鍋に投入。
パスタは茹で時間が命……!
今日この日、私は最高のアルデンテを決めて見せる!
そしてそして、私は大好きなあいつと……!

本葉柔の持つ迷宮時計は、料理好きな彼女の特質を反映したのかキッチンタイマー型である。
2年前、柔は時計の所有者となったが、その後とくに対戦カードは組まれなかった。
迷宮時計の都市伝説なんて、やっぱり嘘だったのかな、と最近は思いはじめた。
万が一の事態に備えて特訓は欠かさないけど、今はそんなことより恋のが大事!
私は、今日、告白するのだ。

「ピピピピピピピピピピ。お料理、できあがりだよー!」
迷宮時計が茹で上がり時間をコールする。
プルルルルル。
同時に来客を知らせるインターホンの音。
あわわわわ、ど、ど、どうする!?
どっちが先!?
えええーいっ、アルデンテーッ!
素早く鍋をひっくり返して流しのザルにパスタを上げる!
流しがベゴンと音を立てる!
ザルを二度振ってお湯を切り、インターホンを取る。
手が滑って受話器が床に落ちる。あわてて拾う。

「も、もしもし、ほ、ほ、本葉です!」
いよいよ勝負!
パパとママが出掛けてる今日が、最大のチャンスだから!
万が一の事態に備えて、下着だって完璧だし!

††††

結局、告白はできなかった。
精魂込めて作った必殺のペペロンチーノは、過去最高にアルデンテで、とても美味しいって言ってもらえた。
問題は、迷宮時計だった。

学校のことを話したり、先輩がいかに強くて格好いいか熱弁したり、楽しい食事だった。
体の大きな彼は、四皿も食べてくれた。
大食いだけど、それでいて太らないのが不思議。
食べれば食べるほど、おっぱいに無駄な肉がつく私とは大違い。
そして、私と彼が初めて出会ったあの日の思い出ばなし。
そんな話、しなきゃ良かった。

あの日、私は迷宮時計の所有者となった。
その事を話した途端に、彼の表情が変わった。
それからは、迷宮時計の話ばっかり。
どうして先輩がそんなに迷宮時計に興味があるのか、私にはわからなかった。

そして……、最後まで……私は……、先輩に……想いを……伝えることは……できな……かっ……た……

■END■

最終更新:2014年12月12日 21:12