ふたなり少女(?)・古城アスカの受難
ばっしゃぁぁん、と頭から盛大に水を被った。いや、被ったというより、かけられた、という方が正しい。
「!?」
水の冷たさに、俺ははっと目を覚ます。どうやら俺は、さっきまで意識を失っていたようだ。しかし、どうして?俺はどこで意識を失った?
そう、アルテミスのAブロックで優勝して、観客にぶんぶんアピールがてら手を振ってたら、何となくトイレに行きたくなった。
「どっちの」トイレに行こうか迷ったが、男子トイレの方がサッと行ってサッと帰ってこられるし、まあ俺は普段からそっちを利用しているので、そっちに行くことにした。
試合が始まる前はあんなに人のいた会場通路も、試合が始まってしまえば観客席を途中で立つヤツなんてほとんどいない。
だから、本当にここがさっきあんなに人がいた場所なのか、と思えるくらい、通路は静かだった。明るく煌々とついている照明と人の少なさが妙にアンマッチだったのを、覚えている。
ちょっと他のブロックの試合にも興味はあったから、早めに済ませよう、と思って通路を走っていたら、何か横に人の気配感じて、ちょっと見ようとしたら、いきなり頭がすげぇ痛くなった・・・
(うん、間違いなくあれが原因だ)
絶対、あそこで気絶した。だけど、一体誰が?
(・・・そうか、分かったぞ)
これは陰謀だ。誰かが、俺をアルテミス決勝に出場できないようにするために、俺をぶん殴って気絶させた!そうだ、絶対そうに決まっている!
そうと決まれば、早速俺を気絶させた犯人を探しにいかなければ。そう思った時に、初めて俺はそういえばここどこだ、と思った。
いきなり水かけられたり気絶させられたりしたりして頭がごっちゃごちゃになっていたが、ここはどう見てもさっきいた通路ではない。まず空気からしてなんか違う。
水が滴る前髪を首をぷるぷると振って水気を飛ばし、視界を確保する。まず、目の前に見えるのは、2人の・・・人?
(誰だこいつら)
腰のあたりしか見えなかったので、顔を上げてその2人の顔を見る。その2人は、俺を見下ろしてにやにや笑っていた。金髪の奴と、茶髪の奴。
2人は、どっちもガタイのいい、でかい男だった。そしてやっぱりにやにやした、というか見下したような表情で俺を見ている。
「ようやく目が覚めたか?」
「誰だてめぇらっ!俺をこんな所に連れてきて何する気だ!?」
立ち上がって男につかみかかろうとしたが、その瞬間俺はがくん、と体のバランスを崩した。大きく傾いた体は、そのまま硬いタイル地の床に投げ出される。
さっきかけられた水が床に溜まっていて、体が投げ出された瞬間に耳元で、びちゃり、という音がした。
この床、そしてこの空気、それと床に投げ出されて視点が床とほぼ同じ状態になったおかげで見えた、下が5センチ程開いた壁。間違いない、ここはトイレだ。
それも障害者専用スペースの、色々あってちょっと広いところ。
「痛ててて・・・」
それはさておき、そこでまた身を起こそうとして起き上がらなくて、自分の身を見たら縛られている、と気づいた。雑な縛り方だけどがっちりと強い力で縛られている。俺の力では到底抜け出せないな、という事が縛ってる縄が服越しに肌に食い込む痛みで分かった。
「あとさ、お前今俺に掴みかかろうとしたけど、お前の身長じゃどう考えても絶対無理だろ。どこ掴む気だったんだ?」
金髪の方が、こちらを見下して馬鹿にしたようににやにやと笑う。
「うるせぇっ!てめぇら、誰だか知らないけど――」
起き上がれないので頭だけを僅かに起こしでそこまで言ったところで、俺の頭はそいつに踏みつけられ、床にごん、と打ち付けられた。側頭部に鈍い痛みが奔る。
「お前、今の自分の立場分かってんのか?あと、誰だか知らない、は流石にねえだろ」
もう1度頭を踏まれ、もう1人の方に、腹を蹴られた。ごふっ、という声が思わず出る。
(マジで・・・こいつら・・・誰だよ・・・・・・あっ!)
その時、俺は漸く思い出した。こいつら、アルテミスで俺が最初に戦った奴だ。
最初は俺の方が防戦一方のように見せかけて、追い詰められたところから俺はその苦戦の演技をやめると、あっさりと勝利した。そうだ、あの時の奴だ。
(そうか、分かったぞ。こいつら、俺に負けたのが悔しいんだ。だから腹いせに・・・)
だから俺を殴って気絶させて、身動き取れなくして、それでボッコボコにしている。
卑怯だぞてめーら、LBXプレイヤーなら正々堂々戦え、そう思っても、痛みで声が、出なかった。
(ヴァンパイヤ・・・キャット・・・)
こんな奴ら、LBXバトルなら、俺がボッコボコにしてやれるのに・・・
最初は、なんだこのガキ、程度にしか思っていなかった。
こんな奴がアルテミスに出られるのか、なんて相棒と一緒に出場者のリストを見ながらそいつをケタケタと嘲笑っていた。
そしてバトルが始まっても、そいつは俺達2人相手に苦戦していた。だからこれならいける、とそいつのLBX・ヴァンパイヤキャットをフィールドの壁に追い詰めた矢先。
それは全部演技だった、と思い知らされた。
そこから先の結果は、思い出すだけでも無惨なものだった。相棒のタイタンはあの三股槍に胴を貫かれて即爆発、その直後に反撃しようとした俺のブルドも見事に惨敗した。
(糞っ、何で俺達があんなガキ1人に!)
あんな人を小馬鹿にしたようなバトル、やってる方は楽しいかも知れないが、やられた方はたまったもんじゃない。
応援に来てた俺達のファンは俺達が負けたら半分以上が帰ったし、優勝候補、という事で取材に来てた奴も全員他の選手のところに散った。あんな思いをした事は、今までになかった。
だから俺達は、順調に勝ち進んでいくそいつの様子を、取り巻きのいない観客席で見ながら考えていた。どうしてやろうか、と。
そして卑怯だと言われるかもしれないが、そいつが1人になった隙に気絶させて近くのトイレに連れ込んで殴る、という結論が出た。
勿論、何かの拍子に反撃のチャンスができたりしたら困るので、CCMとLBXは取り上げて。
女だったらレイプしても良かったが、あの声で自分の事を「俺」と言っているという事は、恐らくあいつは男だろう。
思い知らせてやりたかった、ガキが大人を馬鹿にするとどうなるか、という事を。
そしてあいつが男子トイレの方へと向かった時、計画は決行された。
「がはっ!」
もう何発目になったか分からない蹴りが、また俺の腹に食い込む。乾いた息と少量の唾と、それとさっき口の中に入った床の水が口から出た。
縛っている縄越しに蹴られているとは言えど、やはり痛い。
痛みで目に涙が滲んだせいなのか、それともマジで意識が薄れて来てるのか、視界が霞む。苦しい。いつになったら、俺は解放されるんだろうか。
俺の予想通りアルテミス決勝に出場させないのが目的なら、決勝に間に合わなくなる時間まで続くだろう。
俺が気絶させられてここに運び込まれて水をかけられるまでに、どれくらいの時間が経ったのか。しかし俺には、現在時刻を確認する手段はない。
流石に障害者用トイレとは言えど、時計まではついていない。
許さねぇ。こいつら、絶対許さねぇ。こいつらの名前は、アルテミスの出場者リストを見れば分かる。絶対、いつか仕返ししてやる!
霞む目で、そいつらを睨み返す。しかし、そんな目で睨んでも逆にそいつらの暴力を加速させるだけだった。
歯をぎりぎりと食いしばって痛みを堪えても、蹴られる度にまた声が出る。自分の声ながら、情けねぇな、と俺は思った。
その時、片方の男の攻撃が止んだ。それにつられて、もう片方の男も攻撃を止める。
(何だ?)
そう思った時、体の節々がずきずきと痛み出した。さっきは蹴りの痛みで意識が散漫になっていたが、攻撃が止んだ事によって次第と意識がはっきりしてきて、それと同時に痛覚もはっきりしてきたからだ。
俺の体を蝕むかのようなその痛みに、俺は顔を歪める。
「なあ、こいつどうする?そろそろ蹴るのも飽きてきたんだけどよ」
痛覚を歯を食いしばって堪えていると、そんな声がした。
俺は首を僅かに動かして、そいつらの会話に耳を傾ける。
「放置でいいんじゃねーか?縄解いて置いておけば、そのうち自力でここ出てくだろ」
金髪の方が、そう言った。
放置。
その単語に、俺は思わずふざけるな、と叫びそうになる。だが叫ぼうと息を吸い込んだ瞬間、肺がずきりと痛み、げほっと咳き込むだけで終わった。
(確かに・・・ここまでボロボロじゃぁな・・・)
さっきあいつが、「縄を解いて放置」と言った理由も分かった。こんな状態じゃ縄を解いてもすぐには動けない、そう判断したんだ。
そして実際その通りなのが、非常に情けない。
そんな事を考えている間にも男達の会話は進み、どうやら本当にそれで決定したようだった。
「んじゃ、最後に一発」
茶髪の方が縄を解こうとするともう片方がそれを止め、俺の胸に蹴りを入れた。
「うぐうっ・・・!」
まさかここで蹴られるなんて、思ってもいなかった。そしてその衝撃で、頭から帽子がぱさり、と落ちた。
帽子の中にしまっていった俺の腰ほどまである髪の毛が、ばさりと広がる。その髪は顔に少々纏わりつき、それが邪魔に思えた。
しかしこの帽子は、髪の毛が落ちないように、かなり目深にがっちり被っていた。それが衝撃で落ちるという事は、俺は一体どれ程蹴られたんだろう。
「えっ?」
しかしそれを見て、何故か男達は不思議そうな表情をした。そんな顔をされる理由が、俺には分からない。
「お前・・・女、なのか?」
金髪の方から発せられたその質問に、俺は思わず顔をしかめた。
その長い髪を見て、俺は少々唖然とした。これほどまでに髪が長いという事は、もしかしてこのガキは女だったのか?そんな疑問が、俺の頭をよぎった。
確かに、こいつの名前はアスカという中性的な名前だ。だから男とも女とも取れるには取れるが、口調や態度から男だろ、と俺達はどちらも考えていた。
だがこの髪はなんだ。今まで帽子にしまわれていたから分からなかったが、ここまで髪が長いという事は女なのか。
女だと考えれば、こいつの顔つきも何となく女のように見えないこともない。子供の顔つきは中性的、というのもあるだろうが。
男でも髪の長い奴は、多々いる。だがそれでも、ここまで長い奴は中々いない。
「お前・・・女、なのか?」
考えるよりも直接聞いた方が明らかに早いので、俺はそう聞いてみた。しかしそいつは、何故かその質問に顔をしかめる。
「どっちだ」
もう1度聞くと今度は、何も言わずにぷいと首を反らされた。相変わらずのクソガキだ。
「答えないんなら、直接確かめるぞ」
それなら少々脅してやろうと、俺はそう言ってみた。勿論、「服を引っぺがして確かめる」という意味で。
するとそいつは僅かに顔に難色の色を示したが、やはり何も言わなかった。
そいつの態度に完全に頭に来た俺はそいつの胸ぐらを掴んで、そのままそいつのワイシャツを左右に引っ張るようにし、ボタンをブチブチと引きちぎった。
まだ縄で縛ったままだったので、その状態で引きちぎれる限界まで引きちぎった。
「てめぇ・・・!」
そいつが悔しそうにそう言うが、俺は無視し、引きちぎったワイシャツをさらにがばりと広げた。そいつは僅かに身じろぎして抵抗するが、子供の力で俺に敵うわけがない。
広げたおかげで完全に露になった胸元には、子供だからまだ未発達だが、それでもわずかに膨らみかけ、発展途上、という言葉が相応しいほぼ平坦に近い胸があった。
そして2つの乳房の真ん中には、薄桃色の乳首がある。
「はな・・・せっ、離せ・・・っ!」
そいつはもぞもぞと身じろぎするので、俺はそいつの前髪をぐいと引っ張った。ある種の牽制だ。
「どうする?」
俺は、俺の横でそいつの胸を覗き込んでいる相棒にそう尋ねた。俺達は話していた、「女だったらレイプしてもいい」と。
するとそいつは、「ヤっちゃおうぜ」と返した。というか俺も、そのつもりだった。
こいつは口うるさいし性格も悪いが、顔つきは悪くない。寧ろいい方だ。それにスタイルもいい。
こういう口の悪いクソガキを押さえつけながらレイプするというのも、中々いいだろう。反抗的な目で俺達を睨みながら俺達に犯されている姿を想像すると、何となくそそった。
恥ずかしい。もう泣きたい。こんな気持ちになったのは初めてだ。
こんな奴らの前で、自分の胸を晒すハメになるなんて思ってなかった。純粋に恥ずかしいし、それに俺の胸はまたほとんどぺったんこだ。自分でも見てて虚しくなるくらいに。同年代でもっと大きい奴もいるってのに。
それに、こいつらが何を話しているのか分からないのも怖い。「ヤっちゃおうぜ」とは、どういう意味なんだろうか。俺には、理解できない。
それに、俺にはもう1つ気がかりな事があった。
(いつまで、隠し通せるかな・・・)
俺は、自分の性別が他人とちょっと違うって事は、十分理解していた。男でも女でもなく、また両方でもある、通称「ふたなり」だって事を。
ちなみに、普段はこの性別を結構有効活用しているというのは内緒だ。女の方がいい時は帽子を下ろして「女」として振舞ったり、今回のアルテミスとかでは女だとナメられるから「男」として振舞っている。
声も名前も中性的だかたら、どっちにもなりすませるのがふたなりの利点だ。
だが、ふたなりとバレるのは嫌だ。バレたら今までのようにどちらにもなりすますことができなくなるし、十中八九変な目で見られる。
だから、さっき性別を聞かれた時も俺は黙った。どっちと言っても嘘くさくなるから。男のように振舞っていたのに、髪の長いのがバレたから。
そうしたら、まさか、こんなふうに無理矢理服を引きちぎられるなんて。今すぐ俺のワイシャツを押し拡げるその手に噛み付きでもしてやりたい所だが、首が届かない。
その時、金髪の右手が俺の右の胸を掴んだ。
「っ!」
突然そんな所を掴まれる理由がわからず、俺は反射的に抵抗しようとする。
しかし縛られている事を思い出し、俺はがっくりとうなだれた。
何でこうもことごとく、俺は自分の置かれている立場を忘れるんだろうか。
それにこいつのごつごつした指が、肌に食い込んで痛い。骨が軋んでいるような感じがする。
「なに、すん・・・ひぁっ!」
「大人しくしろ」
男の手が、俺の胸を殆ど押しつぶすようにして揉み始めた。押しつぶしているのは、俺の胸に掴めるような場所がない、という事だろう。
俺の胸がだんだんじくじくと熱を帯びてくるのが分かった。痛いような気もするし、それとは微妙に違う感覚もする。
「なんだよ、これぇ・・・っ!」
こんな事は、された事もないしした事もなかった。ここを触られるとこんな気持ちになるなんて、知らなかった。今までに味わった事のない、未知と言うに等しい感覚。
その時、俺の乳首を太い2本の指でつままれた。そのまま、つまんだ乳首を指で引っ張っていく。ぎりぎりとした感覚が、俺の体を襲った。
「ちぎ・・・れるっ・・・」
乳首を引っ張られるのは痛い。だけど、乳首をつままれるのは何故かそんなに痛くなかった。痛いというよりは、むしろくすぐったい。
「んな事言ってるわりには、顔真っ赤にしてるなぁ・・・」
そんな事を言われてんも、自分の顔色なんて分からない。だけど顔を赤くしているって事は、
(興奮、してんのか?)
そんなわけがない、と俺は自分の考えを無理矢理否定した。そんなはずがない。きっとあいつの嘘だ。俺を動揺させるためにそんな事を言ったに、決まってる。だけど。
こんな事になるくらいだったら、さっきのように蹴られ続けていた方が、まだマシだったかもしれない。そう思った時だった。
突然茶髪の方が、金髪に向かって「あ、こういう事した方がいいんじゃね?」と言った。
(・・・?)
そいつは、いそいそとポケットをまさぐる。そこから何が出てくるのかは知らないが、ろくでもない物だという事だけは確かだった。
予感は的中した。男はCCMを取り出して、そしてそれをこちらに向けてこう言ったのだ。
「今ムービー録画モードにしたからさ、これに向けて自分で脚M字開脚して『レイプして下さい』って言えよ」
それを聞いたもう片方が、どっと爆笑した。
「ちょっ、俺映すなよ?」「大丈夫大丈夫、お前が映らないように工夫するから」何かそんな事言ってるけど、何を意味しているのか、分からない。
そもそも、「レイプ」とか「M字開脚」ってどういう意味なんだろうか。でもよく分からないけど、ろくな言葉じゃない、とは思う。
根拠はない。俺の直感がそう言ってるだけだ。
それで、やるか、やらないか?従うか、従わないか?俺は考えた。答えはすぐに出る。誰がするか、そんな事。
何だか知らないが、これ以上こいつらの好きにさせられるのだけでも嫌なのに、こいつらの命令に従うなんてまっぴらごめんだ。
命令に従ったら、俺は人として大切な何かを失ってしまいそうな気がする。それに、下手したらふたなりがバレる可能性だって―――――
「・・・やだ」
俺は少し拗ねたような口調で、そう言った。しかし、俺の希望が通用するほど、世の中は甘くなかったのだ。
俺がこんな態度を取ったら、あいつらはきっと怒ると思った。俺だって、それは覚悟の上だった。
だけどあいつらはちょっと顔をしかめた後に、ニヤニヤとまたムカつく笑みをこちらに向ける。
「・・・?」
そして2人は顔を見合わせ、ひそひそと小さな声で何かを相談し始めた。
何を話しているのかは聞こえないが、どうせろくでもない事だろうということは分かる。
そしてその俺の勘は、当たってほしくないが当たっていた。しかし、それは予想を超えた。
金髪のほうが取り出したものは、俺のLBX・ヴァンパイアキャットだったからだ。
こいつが気絶してる間に一応取り上げておいたLBXが、こんな事に使えるとは思ってもみなかった。
LBXプレイヤーの大半は、命の次くらいにLBXを大切にしている。
だから、このLBX・ヴァンパイアキャットをダシに、こいつに言う事を聞かせようと思った。
つまり―――――このLBXは、いわば「人質」だ。人じゃないが。
「何でお前が、俺のLBX持ってんだよ!返せ!かえせ!」
こいつは、自分のLBXを取り返そうと必死にその縛られた身でもがくものの、LBXには到底届かない。その前に、起き上がれない。
必死になるこいつのさまが面白くて、わざとLBXを持つ手を上に上げてみたりした。
「あっ!」
こいつは、さっきより増してもがく。その様子は、猫じゃらしに飛び付く猫の動作そのものだった。
しかし、いつまでもこんな事をしていては飽きるし、そもそも本来の目的が違う。
だから俺はこいつのCCMも取りだし、武器が首もとに食い込むように、LBXを操作した。
ボタンを数回押すだけで、LBXは面白いくらい命令に忠実に従い、首もとに武器の先端が食い込む。
「触れれば鬼をも殺す、トリプルヘッドスピアー・・・だっけか?」
武器が首もとに食い込んでいくと、バチバチと火花が散った。
このままいけば、首がもげるのも時間の問題だろう。
「やめろ!そのままだと、ヴァンパイアキャットが!」
「やめて欲しけりゃ・・・分かるよな?」
具体的には言わず、態度で語りかけるようにして言った。言わずとも、俺が何を言いたいのかは分かるだろう。
LBXを破壊されたくなかったら、大人しく言うことを聞け――――、そういうことだ。
するとこいつは、屈辱感からか悔しそうに俺達を睨む。そして、反抗的な口振りでこう言った。
「・・・分かったよ・・・んで『えむじかいきゃく』どーやんだ?」
その目付きは、まだ完全に服従したわけではない、と言っているようだった。
しかし微かに、本当に微かにだが、今にも泣きだしてしまいそうな雰囲気も纏っていた。
「M字開脚ってのはな・・・こうやって足開いて・・・ほら、もう片方は自分でやりな」
相棒がご親切に、こいつの身を起こし、足を片方M字開脚の状態にしてやった。しかしもう片方はしない。
それは相棒のささやかなる嫌がらせだろう。そもそも、何でもかんでもこっちでやっていてはつまらない。
折角撮影しているのだから、やらせた方が面白い。
「・・・っぐ・・・」
こいつがゆっくりと足を開こうとしていると、相棒がいつの間にか俺のCCMを持っていた。
相棒がCCMのカメラをこいつの股間に向けると、こいつは途端に足を開くのを躊躇う。それどころか、折角開いてもらった方の足まで閉じようとする。
俺だって、そんな行動を取る理由が分からないわけではない。しかし―――、そんな風に駄々をこねられるわけにもいかないのだ。
どうやらこいつ、いやこの馬鹿は、まだ自分の立場を理解しきれていないようだ。
というわけで、更にLBXに武器を食い込ませる。電気回路がその時どこかいかれたのか、電気がスパークする音がした。
「・・・・・・」
ぶるぶると、こいつの足が震える。そしてLBXと自分の足を交互に見ている事から、心中でプライドとLBXを天秤にかけて葛藤している事は簡単に察せた。
その細くて白い、しかし先程の暴行のせいで靴の跡がついて赤く腫れた足には、冷や汗が伝っていた。
やがて、震えながらもその足は、蕾が開くようにゆっくりと開いていく。恥ずかしさからか、ぎゅうと目を閉じていた。
そして―――――、ズボンを穿いてはいるが、股間が、CCMの前に露わになった。
「・・・・・っ――――――、・・・」
俺を見て、こいつは魚のように口をぱくぱくとさせる。
そう、後は「レイプして下さい」と言うだけだ。だが、それを言おうとしているのは分かるが、こいつの口からは声が出ていない。
こいつはM字開脚の意味も知らないガキだが、レイプの意味は何となく分かったのだろう。
言えばレイプ、言わなければLBXの首が飛ぶ。どちらにしろ、そうなった後にどうなるかという保障はない。
さあどうする、と俺が思うと。
「・・・・・・い・・・」
こいつの口から、微かに声が出る。
「何て言ってんだ?もっと大きな声で言えよ」
こいつのさっきまでの態度からは想像もつかないような弱々しさを持った声、態度、全てが愉快だった。
あのクソガキが、俺達の言いなりになっているなんて。
だから俺は、言いたい事は分かるが、苛めるためにわざとそう言った。
「・・・・して、・・さい・・・」
「はあ?」
嫌がらせのように、いや実際嫌がらせだが、わざとらしくそう聞いた。CCMを構え直して、こいつの顔と股間が一緒に映るようにする。
するとこいつは俺達を一睨みした後、目を閉じた。そして痛みからの震えか、恥ずかしさからの震えかは分からないが、震えながら息を吸い込む。
吸えるだけ吸い込むと、口を閉じ、そして大きく開いて、
「――――、レイプ、して、下さい!」
そう言ったこいつの目尻には、一滴にも満たないが、涙が浮かんでいた。
「よーし、よく言えたなぁ!んじゃ、お望み通りレイプしてやるか!まずは・・・これ、しゃぶれよ」
そう言って、金髪の方は俺の前に立ち、いそいそとズボンのファスナーを下ろし、下着の下からぼろり、とその直視したくもない、しかし心の中ででけーな、とも思った物体を取り出した。
「ほら、早く」
ぐりぐりと、それの先端を頬に押し付けられる。鼻が曲がるどころか腐りそうな臭いが、俺の鼻を突いた。所々にこびり付いた白いカスが、その臭いをさらにきつくさせている。
(もうちょっとちゃんと洗えよ!しかも包茎とか・・・)
いい大人でこれはねぇな、と俺は思った。こいつのそれは、先端が少し出てる程度だ。俺だってもう少し剥けていると思う。
「突っ込めって!」
中々しゃぶらない(というか絶対にしゃぶりたくない)俺を見てイライラしたのか、それを正面から俺の口に無理やりねじ込んだ。
「っ――!」
一瞬のうちに、それが喉の奥まで刺さる。あまりにも奥に突っ込まれたせいで、俺は吐き気を催した。
そしてそのままずるずるとそれを口の中から引っ張りだそうとしたが、その時に男が顔をしかめ、思いっきり頭をばちん、と叩かれた。
「歯、立てんじゃねぇよ」
そんな理由で叩かれたのか、と思うと無性に腹立たしくなったが、これ以上叩かれるのも嫌だし、それに歯を立てていたという事はあの白いカスが俺の歯に付いているのは間違いない。
あんな汚いものがこれ以上付くのは耐え切れなかったので、渋々口を緩めた。しかしかなり無理して口を開けているせいで、顎が痛い。
「よし・・・いくか!」
その瞬間、乱暴にまた喉の奥までそれを突き立てられた。
「んぐうっ!?」
そのまままた抜き、差し、を繰り返す。抜けるギリギリまで引っこ抜いたかと思えば、奥まで突き立てる。喉の奥にそれが当たる度に、それの強烈な臭いもあいまって、俺の吐き気は強まって行った。
(こんな事して・・・何が楽しいんだ・・・!?)
人の前にくっさいもん晒して、それを口の中に突っ込ませて。向こうは至極楽しそうだったが、俺はその理由が分からなかった。
口の中に、臭みと、少しだけ苦い味がした。
「んじゃ、俺はこっちにしますか、っと」
吐きそう、と思っていたその時、茶髪のほうが金髪の股の下に頭を入れた。そしてそのまま手も入れ、片手にCCM,もう片方の手は俺の股間へと伸びていく。
金髪のほうが乱暴に腰を揺さぶるせいで視界ががくがくと揺れてよく見えなかったが、それは分かった。
(そ、そっちは・・・!)
今ここで触られたら、間違いなく感触でばれる。それだけは何としても避けたい。俺に向けられているカメラが、ますますその思いを強める。
しかし、今の俺は手も縛られてるし、口に咥えこんでいるそれのせいで余計に身動きが取れない。簡単に、俺はズボンに手をかけられてしまった。
するり、と少し布のこすれる感触がした時だっただろうか。ズボンを下ろす男の手が、止まった。
「ん?」
男は、そう言う。
(終わった。完っ璧に、終わった・・・)
手が止まったのは、間違いなく俺のズボンの違和感に気づいたからだろう。その感触からして、俺の股間に何かがあるのは確実だ。
「おい・・・なんだこれ?」
「どれだ?」
金髪が、それを俺の口に突き立てる動きをやめて、俺の股間に視線を向けた。
「え、おい、これ、まさか・・・」
男は素早く、俺のズボンを下ろしていく。男物のトランクスが露になった。
「何でこいつ、男物のパンツ穿いてんだ?」
金髪が、そう言った。
(仕方ねぇだろ!女物のパンツだと前に穴ねぇじゃねぇか!)
あんなパンツ穿いてたら、どうやってトイレに行けというんだ。どうやって出すんだ。
そう心の中で思っていたとき、とうとう、俺のトランクスもずり下ろされた。
「おいおい、どうなってんだよ・・・」
そして、俺が一番見られたくなかったものが、男たちの前に晒された。
空気に触れたそこに、ひんやりとした感触と、男たちの突き刺すような視線が伝わる。
「えっ・・・こいつ、男?」
茶髪が、俺のそれをまじまじと眺めてそう言う。
「でもこいつ胸あるよな・・・まさか、ふたなりか?」
そうなのか、と、金髪が俺の口から勃起したそれを引き抜いて尋ねた。その時に、唾の糸が俺の口とそれを繋いでいたのを見て、吐き気がした。
それには、俺の唾液が大量に付いていて、トイレの照明に反射しててらてらと光っていた。
「どうなんだ?」
金髪が俺に、再び尋ねる。しかしその声は、さっきより脅迫じみた感じを含んでいた。
答えたくないが、答えなければまた叩かれる。そのくらいは俺でも分かった。俺だって、そこまで学習能力がないバカじゃない。
だから俺には、答えるしか道は残されていなかった。しかし、せめてもの反抗の意として、睨みながら俺は言った。
「そうだよっ・・・俺は、ふたなりだよっ・・・!」
「へぇ・・・ふたなり、か・・・」
絶対にドン引きされるかと思いきや、向こうの反応は俺の予想の斜め上を行っていた。金髪は俺の股間と顔を交互に見て、ニヤリと笑ったのだ。
「おい、こいつちゃんと映ってるよな?」
金髪が茶髪にそう聞くと、茶髪は慌ててCCMを構え直した。どうやら俺の異変に気づいた辺りから、CCMが別の方向を向いていたようだ。
(そのまま一生あっち向いてりゃよかったのに)
そう思ったのも、金髪がCCMを奪い取って、俺中心に映し込んだからだ。
ところで、あそこに残った映像はどうなるんだ、と俺はふと思った。ただ単に俺の羞恥心を煽るためだけのもの、というわけじゃないだろう。
(流出?脅迫?)
俺はアルテミスのファイナリストだ。そんな奴がこんな事をされている動画が世界中に流されたら大惨事だ。
いや、そう言って脅すのが目的かもしれない。だとしたら、俺は下手したら一生こいつらに従わざるを得なくなる。
(それだけは、絶対にやめてくれよな・・・?)
だからと言って、流出されても困るけど。
しかしこいつらが今まで俺を撮ってたのは、俺を女だと思い込んでいたからかもしれない、と思うと、少しだけ脳内に希望が沸いた気がした。もしかしたら「女じゃない」という理由で愛想尽かされてここに放置、とかもあり得る。
その時に俺のCCMを置いて行ってくれれば通報くらいはできるだろうし、もし届かない場所にあっても、トイレは外からは鍵がかけられない、それに清掃の用務員だって来るだろうから、その時に半開きのドアの向こうに俺がいたら気づくはずだ。
その時に俺を見つけた奴にも俺のふたなりはバレるだろうが、そこは我慢だ。
(・・・ん?)
その時に、俺は今金髪が取っている行動を思い出した。金髪は、俺にカメラを向けている。それも、舐めるようにしつこく。
そして、俺は思った。もしかしたらこいつ、ふたなりの俺に何かしらの興味を持っているんじゃないか、と。
何度も言うが、俺はふたなりだってバレたらドン引きされる、とばかり思っていた。それなのに、金髪のこの行動はなんだ。
世の中には色々な性癖の人間がいる、って事は俺も知ってるが、まさかふたなり好きまでいるとは思わなかった。
(つーか、そんなまじまじ見るな、それに撮るなよ・・・!)
ここまでしつこく見られたのは初めてだ。
それがどうにも恥ずかしくて、目を瞑った3秒後ほどに、金髪の方らしき声が聞こえた。
「おいこいつ、ちょっと勃ってね!?」
そう言われて、俺は思わず目を開けた。するとそこには、驚く光景があった。
さっきまで全く勃たずに俺の股に横たわっていたそれが、微かに、重力に逆らって上を向こうとしている。
「えっ、なんで・・・!」
初めの一瞬はそう思ってそのまま思わず口に出していたが、少し考えると心当たりらしきものが浮かんだ。
(もしかして俺、見られた事にも興奮して・・・!?)
それ以外に、原因は考えられない。胸も揉まれた、というか押しつぶされたが、それはだいぶ前の話だ。勃ってるのとは関係ない。
だけど、そう思っても信じられなかった。こんな奴らに見られて撮影されて、何度も興奮できる自分が。
自分が変態なのかMなのか。そう考えたが、どっちも認めたくない。
「う・・・嘘だッ、こんなの!お前ら、俺が気絶してる間に薬でも飲ませたんだろ!」
もしそうだったら何もされなくてもさっきから勃ちっぱなしだったはずだ、そしたらズボンに手をかけるまでふたなりだって気づかない可能性はありえない。
だからその可能性はよくよく考えればすごく低いんだが、俺はとにかく自が興奮して勃起した、という事を認めたくなかった。
しかし当然、「んな事してない」という返事が返ってくるわけで。そして、金髪に俺の顔を片手でがっしりと掴まれた。頬に指が食い込んで、顔が歪みそうだ。
「そんな反抗的なこと言うクソガキには、お仕置きしねぇとなぁ・・・おい、ちょっとこいつの口にチンコ突っ込んどいて」
「えっ、お前がするんじゃねーの?」
これは、俺も茶髪の返答に頷きたくなった。金髪の股間には、ばっちり勃起したそれがそびえ立っている。あんな状態になっているのに、続行しないというのは少々疑問を感じた。
しかしその理由は、俺もすぐ実感させられる事になる。
「勃つって事はよ、こうされたら気持ちよくなっちゃったりすんのか?」
その直後、俺のそれをがし、っと握られた。
「!?」
いきなりそれを掴まれた衝撃に、俺は現状が理解できなくなる。するとそのまま、その手を上下にゆっくりと動かし始めた。
「あっ・・・!」
俺のそれに、むず痒いのかくすぐったいのか、よく分からない感覚が襲いかかる。俺はこんな事、したこともないしされた事もない。
そしてその感覚は、さっき乳首をつままれたときの感覚に似ていたような気がしたが、その感覚よりも、明らかに、強い。
「ちょっ・・・お前、まさかホモだったのか!?」
金髪のその動作を見て、茶髪がそう驚いたように言って、金髪から一歩距離を置いた。
「は?俺がホモなわけねーだろ!何言ってんだよ」
それに対して、金髪は笑いながらそう返す。
「いや、だってさ・・・さっきからこいつのチンコじーっと撮影してるし、挙句の果てには掴み始めるから、もしや、って・・・」
茶髪がそう言うと、金髪ははっ、と軽く笑って、俺のそれを掴んだまま茶髪に向けて話を始めた。
「よく考えてみろよ。こんなクソガキだけどロリで、おまけにふたなりって奴をハメ撮りできる機会なんて滅多にねーだろ?それに、ふたなりってちゃんとマンコの穴もあるんだぜ?」
「えっ、マジ?」
ハメ撮り、の意味は分からなかったが、茶髪にズボンとトランクスをさらにずり下ろされ、そんな事はどうでも良くなった。俺の股間を大の大人、それもこんな奴に覗き込まれてると思うと、屈辱の極み、という事場が最もよく当てはまる。
「うわっ、ホントだ。お前よく知ってんなー」
「まあな。んでさ、そう考えるとこいつも中々悪くねーだろ?」
そう言って、金髪はまた手を動かし始めた。すると、俺は自分のそれの異変に気づいた。
(えっ・・・!?)
そう、さっきはちょっと上を向いていただけのそれが、明らかにさっきよりも上を向いている。
そして先端から、透明なものがちょっとだけ出ていた。
なんだこれ、そう言いかけた瞬間、口の中に荒々しく茶髪のそれを突っ込まれた。金髪のよりは若干小ぶりだが、それでも口の中に入れられたら気持ち悪いことには変わりはない。
そして、金髪よりも荒々しく、喉奥にそれを突き立てる。
そして俺が吐き気と戦っている間にも、俺のそれは金髪の手により刺激を与え続けられる。
その刺激のせいで、何度も吐き気を堪え忘れそうになった。
「―――っっ!?」
その時、一気に俺のそれに意識が集中した。俺のそれの先っぽに、何かが集まるような感覚がした。
そしてその感覚は、1つの点が大きくなるように、段々と膨らんでいく。吐き気のせいで涙で歪む視界で頑張って見てみると、さっきよりも透明なものがたくさん出ていた。
「お前、意外とやらしいんだな。こんなにだらだらだらだら液出して・・・」
金髪がニヤニヤしながら、俺を見てそう言った。
(俺がやらしい!?んなわけあるか!)
さっき自分でも少し、興奮してんじゃないかと思った事や、この点が膨らむような感覚も忘れて、俺は即座にその一言を脳内で否定した。
口に出して怒鳴ってやりたい所だが、こんなもんを突っ込まれてると怒鳴る以前に喋れない。
「んーっ!んーっ!」
やがてその感覚は堪え切れない程に大きくなり、俺はその感覚をどうにかしようと、必死で足をばたつかせた。
しかし、あっさりと金髪に押さえ込まれて終わる。
(なんか、なんか来るっ・・・!)
もうダメだ、そう思った瞬間、勢いのいいお漏らしをしたような感覚がした。俺のそれがびくびくと震えて、何かが勢いよく出ている。
「げっ、こいつ射精した!精液手についちまったよ・・・」
そう言う金髪の声が聞こえると、同時に茶髪の腰を振る動きも止まる。揺れなくなった視界で何があったのかを確認しようとすると、そこにはとんでもない光景が広がっていた。
「!?」
俺のそれの周りに、白いものが沢山飛び散っている。そして金髪の手にもそれは付いていて、ぱっぱっと手を払っていた。
(これって・・・!)
これが何なのかは、俺だって保健体育の授業で習った。「精液」って名前だったのは覚えてるが、他はほとんど授業を聞いてなくて覚えてないのは別として。
俺も何回か、寝てる間に気が付いたら出てたりしてパンツが大変なことになったのは何度もある。
(だけど、なんでそれが今・・・?)
そう思っていたとき、金髪がまだ手を払いながら、さっき「やらしい」と言ったときよりも更にニヤニヤしながら、こう言った。
「そんなに気持ちよかったか?」
当然首を必死に振る。つもりが、何故か弱弱しく首を動かすしかできなかった。
なんというか、身体に、力が入らない。さっき精液と一緒に、力までどっかに抜けていったような感じがする。
「あー、イって力入んねぇのか。・・・お、ここもちょっと濡れてきてんな」
そう言って、金髪は視線をずらした。かと思うと、いきなり俺の「真ん中の穴」の部分に、指を突っ込んだ。
「んんっ!?」
突っ込むと同時に、ぐちゅり、という音がする。そして指は、無理矢理中を押し広げながら、奥へ進んでいく。
ちなみに俺は、この穴の名前を知らない。男のほうの保健体育の授業は受けたが、女のほうは受けていない。というかどうやったら両方受けられるのか知りたい。
「そんじゃ、俺も再開しますか」
しかしそんな事を考えるのも束の間、茶髪が俺の口の中に再びそれを突っ込んだ。また喉奥にそれが当たるのを感じる。
「―――っ!」
そしてそれとほぼ同時に、真ん中の穴の奥で金髪の指が曲がった。今までまっすぐだった指が曲がることで、さっきとは違うところに違う刺激を感じて、俺は震える。
その指は、曲がったり、まっすぐになったり、を繰り返しながら奥に進む。中で指をぐるぐる回してきたりもした。
そして指が中で激しく前後に動いて、真ん中の、身体の奥まで突かれてるような気がする。
(あ、あれ・・・?)
また、さっきのようなくすぐったいようなむず痒いような感覚。
(そういえば、さっき乳首つねられたときも、あれを触られたときも、こんな感じが何度もしてる・・・)
そしてその度に、「気持ちよかったか」とか言われたり、身体が興奮したような感じになる。
(もしかして・・・これが、気持ちいい、って、事なのか?)
そう考えると、気持ちいいような気もしてきた。だけど、さっきから口にそれを突っ込んでくる茶髪のせいで、感覚がぼやっとして、そういう事があまり分からない。
「やべっ、もう出る!」
茶髪のそのでかい声で、自分の世界から現実に引き戻される。それと同時に、口の中にすごく苦い、しかも臭いどろりとした液体が流れ込んできた。
「んうっ!?ごふっ、うえっ・・・」
そんなものが喉に当たったもんだから、とうとう胃の中からいろいろと逆流してきた。
「お前、早漏すぎじゃね?」
「うっせーなー、それ結構気にしてんだよ」
そんな会話を笑いながら2人はしつつ、茶髪は俺の口からそれを引き抜く。胃の中のもの付きのそれが出てくると、俺は咳き込むと同時に少しだが色々吐いた。
「ごほっ、ごほっ・・・!」
一応横を向いて吐いたがそれでも服の一部に吐いたものがかかる。幸い食べ物類はあまりなかったが、何本も飲んだトマトジュースの色が混じっているのが分かった。
「きったねーなー。つーかお前、こんなになるまでするなんて、いったいどうやったんだよ」
「知らねーよ。こいつの口がちっちぇーのがいけねーんじゃね?」
(いや、こんな事しなけりゃ、初めっからこうならなかっただろ・・・!)
そう心の底から思ったが、言えなかった。咳き込んでるし、言ったら何をされるか分かったもんじゃない。
「でも、吐いてるわりには、こっちの口はもの欲しそうな感じしてるよなぁ」
そう言って、金髪がさらに指を深く食い込ませる。口の中からそれがなくなったせいで、俺の体はその刺激をモロに受けてしまった。
「あっ・・・!」
びくり、と体が震える。気がつくと、指はいつのまにか1本から2本に増えていた。その指がばらばらに動いて、俺の真ん中の穴を犯す。
「あっ、指、やだっ、やめぇ、・・・」
「そんじゃ、やめてやるよ」
意外にもあっさりとした返事に、俺は若干驚いた。こいつの事だから絶対やめないか、やめるにしても何かしらの条件を付けてくると思っていた。
それで「ラッキー」と喜んでいたのが数分前までの俺だが、今は素直に喜ぶということがどうしてもできなかった。絶対、俺が分からないだけで何か企んでいる。本能がそう言っている。
「もっと太いほうがいいよなぁ?」
そう言って、金髪は指を抜いて体勢を変える。そして俺の前に立ち、その、勃ち上がった太いそれを、俺の真ん中の穴に、勢いよく突っ込んだ。
「いっ・・・!?」
激痛が、真ん中の穴に走る。真ん中の穴とそいつのそれの隙間から、血がだらだらと流れていた。
「くっ・・・やっぱきちーなー・・・!」
「いっ、痛い痛い痛い、痛いぃっ・・・!」
あまりの痛みに、俺は暴れるようにして身悶える。そして、便器で背中を打った。
それほどまでに痛くても、金髪はさらに奥の方まで突っ込もうとする。俺がいくら「痛い」と言おうが、「やめろ」と叫ぶように言おうが。
それでもじたばたと暴れると、余計に中で動いて痛みが増すだけだった。
「ぎゃーぎゃーうるせぇなぁ・・・誰か来たらどうすんだよ」
すると茶髪が苛立ったように、ヴァンパイアキャットを俺の前に見せた。
「っ・・・」
これ以上騒ぐとヴァンパイアキャットを壊す、そういう事だろう。
むぐっ、と俺は唇を強く噛みしめた。確かに痛いが、ヴァンパイアキャットを壊されるくらいなら黙る。
幸い痛みも段々収まってきて、これなら耐えられるかも、と思った、その時だった。
「なあ、俺ケツの方ヤっちゃっていい?」
「ほぐしてねぇけど、それでもいいならいいんじゃね?」
茶髪が思いついたようにそう言った。そして金髪の返答を聞くと、茶髪は金髪にちょっと後ろに下がるように言った。
その時に、中でそれがこすれて痛む。
そして茶髪は俺の後ろにしゃがみ込み、俺の腰を持ち上げ、さらにズボンをずり下げる。そして、
「・・・・え?」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。何をされたのか、想像もつかなかった。
だけど襲いかかる痛みと、尻の穴が広がっている感覚。間違いない、尻の穴に、それが、入ってる。
「えっ・・・んええぇぇっ!?」
物を出すだけの所に入れる人間がいる、という事がまず理解できなかった。こんなこと、常識のある人間がする事じゃない。
「お前、何考えてんだよ・・・!」
「アナルファック」
即答だった。しかし意味が分からない。何で(多分)英語なんだ。日本語で言えばもっとわかりやすいと思うのは、俺だけだろうか。
そしてそんな呑気な事、言っている場合じゃない。驚きが通りすぎると、今度は尻の穴からじくじくと痛みが伝わってくる。
「痛いか?」
金髪に突かれながらそう聞かれ、俺は反射的に涙目でうんうんと頷く。
「お、随分と素直になったな。態度も、体もっ!」
金髪は一度腰を大きく引いて、そして一番奥までそれを突き立てた。
「んあぁぁっ!」
口の中みたいに吐きそうにはならないが、代わりに無理矢理奥までそれを詰め込んだ反動が痛みになって伝わってきて、正直口の中よりもきつい。
「おいおい、こいつ泣いてるぞ?もう少し手加減してやったら、どうだ?」
と、茶髪は口では言いつつも、体は俺の尻の穴を少しずつ、そしてやはり無理矢理押し広げようとする。
「言ってる事とやってる事真逆じゃねーか」
俺の本音を金髪が代弁してくれた。
そして2人に体の奥まで突かれる旅に、腰が激しく上下に揺れ、振動と痛みでもう目を開けることも困難になっていた。
「い、痛い痛い、無理、絶対無理だって、早く抜けぇ!」
「あ、そういやこっち忘れてたな」
「んっ!」
どっちの手かはわからないが(金髪の声だったから多分金髪の手だと思う)、ごつごつした手がまた俺のそれを力強く握った。
「アスカー?アースカー?」
広いアルテミス開場の中を、俺達はアスカの名を呼びながら歩き回る。
「いませんね・・・もうすぐ決勝も始まるし、そろそろ戻ってきた方がいいんじゃ・・・」
アスカがいない、ということに最初に気づいたのはヒロだった。
確かにアスカは観客席のあちこちをうろうろしていたが、今はどこにも姿が見当たらない。
一応郷田と仙道にも知らないかさっき聞いてみたが、2人とも首を振るだけだった。
「ほっときゃ、そのうち戻って来るんじゃない?」
ランが、探すのに飽きたのか、そう言う。
「そう、でしょうか・・・」
それに対して、一番最初に「探しに行きましょう」と言ったヒロも、小さな声でそう返した。
アスカは1人で来てるぶん、行動範囲に制限がない。どこにどれだけ行こうと誰かに怒られる事もないし、誰かを待たせることもない。
それに誰もアスカのアドレスを知らないから連絡の取りようもないし、何よりあの性格だ、どこに行くかなんて分かったもんじゃない。
「ねぇバン、私達もそろそろあっちに戻らない?」
ジェシカも、探しても見つからないことに疲れを感じたのか、控え室の方を指差して俺にそう言った。
「でも、さすがにもうそろそろ近くに戻って来てないとまずいだろ・・・よし、手分けして探してみよう」
俺は、そう言ってまだ探していない廊下の方角へ向かった。
「は・・・っあ・・・」
ごぼり、と、精液が俺の真ん中の穴から流れ出した。それに合わせてか、まだそれを突っ込みっぱなしの尻の穴からも、精液が間を縫って流れ出す。
何度も激しく突き上げられ、至るところの穴に精液を出された俺は、体も心も自分でも分かるくらいボロボロになっていた。
鼻の穴に出されなかったのが幸い、とすらも思えるようになってくる。
(痛い・・・苦しい・・・)
髪の毛は精液と水で見る影もないくらいにぐちゃぐちゃで、服も同様、それにさっき出た血もついている。
こんな状態だと、仮に決勝に間に合っても、決勝の前に医務室行き、なんて事になるかもしれない。
それにもう、自力で会場に戻る体力も気力もない。動くのもつらい。
「おい、へばってんじゃねぇよ。まだまだ頑張ってもらわねぇとなぁ?」
ぐい、とまた前髪を掴んで引っ張り上げられた。なのに、何か頭がぼんやりとして、痛いのかそうでないのかよく分からない。
そのまま、金髪が真ん中の穴にそれを挿し込もうとする。さっきの痛み、流れ込んだ精液の刺激の記憶が蘇る。
(ふたなりって、子供作れんのかな)
ふと、そんな事を考えた。子供ができる仕組みくらいは学校で習ってる。細かい事は忘れたが。
もしできたら、どうすればいいんだろうか。まずは病院?いや、病院にいったらまず間違いなくふたなりでびっくりされる。
(・・・うう)
考えたくない。考えるのが怖い。
(・・・俺らしくねぇなぁ)
こんな事を考えたのは、初めてだ。こんな弱気な事を考えたのも、初めてだ。
ずぷり、と精液の溜まった穴の中に、またそれが挿し込まれた。
「いないなぁ・・・」
人気のない廊下を走り回りながら、俺は思う。
今は予選と決勝の間の時間、その間にトイレに行ったり何か買ったりする人はいるが、そんな人でもここまでは来ないのだろう。
(・・・さすがに、アスカもこんな所にまでは来ないかな)
そう思って、別のルートを探しに行こうとした時だった。
『・・・っう・・・』
どこからか、そんなくぐもった声が聞こえてきた。
(なんだ?)
耳を澄ませて、その声がどこから聞こえてくるのか確かめようとする。
空耳であるという可能性も、念に入れて。
『んぁ・・・んう・・・』
やはり、これは空耳ではない。明らかに、どこかから聞こえている声だ。
(あそこか?)
俺の視線の先に映ったのは、1つの男子トイレだった。間違いない、あそこから聞こえてきている。
何の声だろう。そうも思ったが、もう一つ気になる事があった。
聞こえてくる声が、アスカの声そっくり、という所だ。いや、これは間違いなく本人の声だ。
(にしても、何であんな所から・・・)
トイレに寄ったのならわざわざこんな暗い所のトイレに寄る必要もないし、まずトイレからこんな声がするのは不自然だ。
確かめた方がいい、しかし場所が場所であるせいか若干怖く、俺はそっと男子トイレに入った。
入り口のドアを開けた時の、きい、という音すらも、俺に冷や汗を垂らさせた。
きい。肉を打ち付けあう音と、精液がぐちゅぐちゅと立てる音に混じって、微かにそんな音が聞こえた。
それがトイレの入り口が開いた音だ、と俺は分かった。誰かが来た。
そう確証するのに、そう時間はかからなかった。
ゆっくりと、だが確実にこちらに向かってくる足音。時々聞こえてくる、個室のドアをきい、と開ける音。
それに気づいたのは俺が一番最初だったが、金髪と茶髪もその音に気づいた。そして、一時的に腰を振るのを中断する。
これでもうやめてくれれば、せめてこの足音の人が出ていくまで中断してくれれば、そう思ったが、こいつらはそんな性格じゃなかった。
2人互いに顔を見合わせ、目と目で何かのコミュニケーションを取ったかと思うと、ニヤリと笑う。
そして同時に、俺の体の奥にそれを突き立てた。
「―――――――っーっ!」
ほぼ反射的に、唇を噛んで声を押さえる。もう少しで声が漏れる所だった。
(聞かれる・・・っ!)
ドアの向こうの奴が誰かは知らないが、どんな奴でもこんな声を聞かれるのは絶対に嫌だ。
ずんずんと、2人がバラバラに俺の奥を突く。その刺激に、とうとう俺は声を漏らしてしまった。
「んあっ・・・!」
どうか空耳だと勘違いしてくれる事を祈る、そう思ったその時だった。
「アスカ?」
「ふぇ・・・?」
ドアの向こうから、俺の名前を呼ばれる。この声は、間違いない。
「バン・・・」
俺がそう呟いた直後、ドアを激しくノックする音がした。
「アスカ?アスカなのか!?」
そろそろファイナリストの決勝戦が始まるぞ、変な声聞こえたけど大丈夫か、というか何でこんな所にいるんだ、という事を息をつく間もなくまくし立てる。
(バン・・・!)
何でよりによってバンが来てしまったんだ、という気持ちと、心配してくれて嬉しい、という気持ちが混ざり合う。
流石にここまで激しく反応されるとは思っていなかったのか、2人が心配そうにひそひそと話を始めた。
その時に、俺の口を手で押さえる。多分助けを呼ばれないようにするためだろう。
「おい・・・これヤバくね?」
「ああ・・・普通、ヤってるような声したら空気読んで逃げるもんだと思うんだけどよ・・・」
「つーかこいつ、さっき『アスカ』って名前呼んでたよな。何?こいつの知り合い?」
「彼氏とか?そうでもなきゃここまで心配しねーだろ」
「いや、こいつに彼氏・・・?」
「そういえばさっきさ、こいつ『バン』って呟いてなかったか?」
「バンって・・・去年のアルテミス優勝者の、あの山野バンか?
金髪が、俺の真ん中の穴からそれを抜く。抜いた瞬間、どろりと精液が溢れ出た。
そして床に置いて固定カメラ状態だったCCMを取り、そして、
ドアを、開けた。
金髪が鍵を外しておもいっきり蹴ったおかげで全開になったドアの向こうに、びっくりした表情のバンがいた。
きい。肉を打ち付けあう音と、精液がぐちゅぐちゅと立てる音に混じって、微かにそんな音が聞こえた。
それがトイレの入り口が開いた音だ、と俺は分かった。誰かが来た。
そう確証するのに、そう時間はかからなかった。
ゆっくりと、だが確実にこちらに向かってくる足音。時々聞こえてくる、個室のドアをきい、と開ける音。
それに気づいたのは俺が一番最初だったが、金髪と茶髪もその音に気づいた。そして、一時的に腰を振るのを中断する。
これでもうやめてくれれば、せめてこの足音の人が出ていくまで中断してくれれば、そう思ったが、こいつらはそんな性格じゃなかった。
2人互いに顔を見合わせ、目と目で何かのコミュニケーションを取ったかと思うと、ニヤリと笑う。
そして同時に、俺の体の奥にそれを突き立てた。
「―――――――っーっ!」
ほぼ反射的に、唇を噛んで声を押さえる。もう少しで声が漏れる所だった。
(聞かれる・・・っ!)
ドアの向こうの奴が誰かは知らないが、どんな奴でもこんな声を聞かれるのは絶対に嫌だ。
ずんずんと、2人がバラバラに俺の奥を突く。その刺激に、とうとう俺は声を漏らしてしまった。
「んあっ・・・!」
どうか空耳だと勘違いしてくれる事を祈る、そう思ったその時だった。
「アスカ?」
「ふぇ・・・?」
ドアの向こうから、俺の名前を呼ばれる。この声は、間違いない。
「バン・・・」
俺がそう呟いた直後、ドアを激しくノックする音がした。
「アスカ?アスカなのか!?」
そろそろファイナリストの決勝戦が始まるぞ、変な声聞こえたけど大丈夫か、というか何でこんな所にいるんだ、という事を息をつく間もなくまくし立てる。
(バン・・・!)
何でよりによってバンが来てしまったんだ、という気持ちと、心配してくれて嬉しい、という気持ちが混ざり合う。
流石にここまで激しく反応されるとは思っていなかったのか、2人が心配そうにひそひそと話を始めた。
その時に、俺の口を手で押さえる。多分助けを呼ばれないようにするためだろう。
「おい・・・これヤバくね?」
「ああ・・・普通、ヤってるような声したら空気読んで逃げるもんだと思うんだけどよ・・・」
「つーかこいつ、さっき『アスカ』って名前呼んでたよな。何?こいつの知り合い?」
「彼氏とか?そうでもなきゃここまで心配しねーだろ」
「いや、こいつに彼氏・・・?」
「そういえばさっきさ、こいつ『バン』って呟いてなかったか?」
「バンって・・・去年のアルテミス優勝者の、あの山野バンか?
金髪が、俺の真ん中の穴からそれを抜く。抜いた瞬間、どろりと精液が溢れ出た。
そして床に置いて固定カメラ状態だったCCMを取り、そして、
ドアを、開けた。
金髪が鍵を外しておもいっきり蹴ったおかげで全開になったドアの向こうに、びっくりした表情のバンがいた。
驚きすぎると言葉も出ない、というのは本当だと言うことが分かった。
いきなりドアが開いた時には、確かに驚いた。
だがしかし、本当に驚いたのは、ドアの向こうにいたアスカが、とんでもない状態になっていたことだ。
まずワイシャツは破かれ、ズボンはずり下ろされ、そして取れた帽子からは想像もしなかったロングヘアが見えている。
床には大きな水溜まり、精液にしか見えない物体があちこちに飛び散り、さらに吐いた跡、そしてアスカの服にも吐いたものがついていた。
「ア・・・スカ・・・?」
呆然、という感じが最もふさわしい声で、俺はアスカの名前を呟く。
「バン・・・」
アスカの目は、虚空を映していた。顔はこちらを向いているが、目が何も見ていない。
そして声にも、感情らしきものがほとんどこもっていない。ただ俺の名前を言っただけ、という感じだ。
この状況を見て、何が何だか分からないほど俺はバカじゃない。
アスカはこの男2人に無理矢理されている、それは明らかだった。
しかもその2人は、アスカのアルテミス初戦の相手。優勝候補として雑誌に載っていた、2人組。
そんな奴らとどうしてこうなった、そう思ったが、それ以上に気になるものが、1つある。
それは、アスカの股間だった。
ロングヘアが目に映った時は、えっ女だったのか、と思った。
しかし、だとしたらアスカの股間に立派に付いているあれはなんだ。そして精液らしきものが溢れ出してるあの穴はなんだ。
尻の穴かとも思ったが、尻の穴はあんな所には無いし、それにもう一つちゃんと穴があった。(尻の穴に変なものが現在進行形で突っ込まれているのは置いといて)
「―――よっ、と!」
ずるり、と布が擦れる音がする。その音は、俺の下半身の方からした。
一瞬状況が呑めなかったが、音に反応して下を向くと、
「え・・・?」
俺のズボンとトランクスはずり下ろされ、丸出しになった下半身に、CCMが向けられていた。
「ええっ・・・!?」
慌てて、股間を取り敢えず両手で隠す。しかし、遅かった。
「おーし・・・これで、バッチリ顔と一緒に映り込んだぞ・・・」
俺を下半身丸出しにし、そのうえそこにCCMを向けるという、変としか言い様のない行動をしたそいつは、俺を見てそう言って笑う。
「なあ、これネットでバラまいたらどうなると思う?」
そして、CCMを少し操作して、俺にCCMの画像を見せた。
「・・・・!」
そこには、下半身丸出しにされた瞬間の俺が映っていた。驚いて固まった瞬間の、俺が。
ここまで正面から映っていては誤魔化しようもない。
そして自分がまだ下半身丸出しだった事に気付き、ズボンをずり上げる。
しかし一瞬で撮った割には、ピンぼけのピの字もない。
そして突然のことで何が何だか分からなかったのは分かるが、なんとも間抜けな表情をしている俺を見ると悲しくなる。
「アルテミス前年度チャンピオンのこんな写真、当然バラまいたら・・・」
その言葉に、俺の顔はさっと青ざめた。そんな事をされたら、俺はこれから一生表を歩けない。
しかも今の技術なら、表情のコラージュくらい簡単にできる。つまり、このびっくりした顔を、まるで自分から悦んでやっているような顔に変えることもできる、というわけだ。
「嫌だよな?」
俺の心情を察したのか、そこにさらに追い討ちをかけるようにそいつは言う。
「・・・・・・」
俺は、何も言えなかった。
「分かったら大人しくさっさと出て「おい」」
色々あって存在を若干忘れかけていたアスカが、口を開いて呟いた。その場にいた全員が、アスカの声に反応する。
「・・・バンは・・・なんも、関係ねぇだろ・・・」
アスカの声は、絶え絶えで弱々しかった。こんなになるまで、アスカはどんな酷い事をされていたんだろうか。
「何で・・・バンにまで脅し・・・かけるんだよ・・・写真とか動画とかで脅すの、俺だけで・・・いいだろ・・・」
そこで初めて、アスカが脅されていたと知った。確かにアスカの性格なら、大人しくされるがままなんて事はないはずだ。
「なぁバン・・・アルテミス決勝まで、あと・・・どれくらいだ?」
アスカは、弱り切った表情で俺に尋ねた。
「え、さっき俺達Eブロックの予選決勝が終わったから、もうすぐ始まるけど・・・」
そう言うと、アスカは少し驚き、そして全てを諦めたような悲しい笑顔を見せた。
「そっか・・・ま、この格好じゃ、どっちみち決勝は無理だな・・・あーあ、不戦敗か・・・」
アスカは軽く言うが、内心は相当悔しいだろう。
「・・・あーあ・・・」
また、アスカはそう呟いた。
精液や傷で顔がぐちゃぐちゃでよく分からなかったが、涙がアスカの頬を伝っていた。
最初は1滴だった涙は、2滴、3滴と増える。
そのまま大泣きしそうな感じもしたが、アスカはそこで唇を噛み締めて堪えた。
「アスカ・・・」
「なーに2人で盛り上がってんだよ」
アスカにそんな顔されるとこっちまで辛くなるよ、と俺は思っていたが、その気持ちは金髪の発言でストップされてしまった。
「いいか?お前が関係あるかないかを決定する権利は、お前とこいつにはないんだよ」
俺とアスカを交互に見て、いかにもうざったい、といった感じの口調でそう言う。
「ま、お前らの茶番劇は見てて面白かったぜ。ちょっと感動しちまったよ」
感動しちまった、の部分を特に強調して言われた。
あれを本心から言っていないのは明らかだ。むしろ、「お前らが何やろうと俺には関係ない、むしろうざいだけだ」という事を遠回しに言っているように感じた。
そういう言い方は、嫌みったらしいことこの上ない。
しかしこっちには、もう逆らう権利なんてありはしない。
怖い。こいつらが、怖い。
次に何を言われるか、何をされるか。考えたくも、ない。
でもバンが来てくれた時は、実は少しだけそんな気持ちも薄らいだ。もしかしたら、もしかしたら助かるかも、って。
だけど、バンもこいつらに弱味を握られてしまった。希望は、もう消え失せた。
「いいか?お前ら2人分の写真も動画も、流出させるかどうかは俺達の勝手なんだよ」
言い方はかなり傲慢だが、言っていることそのものは正論だ。
だからこそ、余計に嫌なんだ。怖いんだ。
絶対に、こいつらからは、逃げられもしないし逆らえない―――そう俺に、強く、精神を抉り取るほどに思わせる。
「嫌だろ?だったら、大人しく俺の要求呑めよ」
ごくり、とバンが唾を飲む。
だけど、何でだろうか。もう、俺はバンみたいな緊張感と恐怖心を持てない。
どうやら俺は、そういう気持ちも一緒に抉り取られてしまったようだ。
(なんかもう、段々、)
―――――何もかも、どうでもよくなってきた。
「そうだなぁ・・・お前ら2人で犯し合えよ」
「あ、それいいな!」
犯しあう。具体的な意味はよく分からないけど、何となくなら分かる。
多分さっき俺があいつらにされたことを、バンと2人でやれってことだ。
(バンとなら、まだいいかな・・・)
こんなことを思ってしまう俺は、感覚が間違いなく麻痺している。
一方バンは、俺を見て、あいつらを見て、目を白黒させていた。あの反応が正常だ。
「ほら、早くそこでどぎまぎしてるあいつにおねだりしてやれよ!」
「おねだり・・・?」
「そうだよ、さっき『レイプして下さい』ってM字開脚で言っただろ!あんな感じで!」
「え、アスカ、さっきそんな事言った・・・のか?」
もうこいつらは、遊びのつもりでこういう事をやっている。
俺への逆恨みとか、嫌がらせとか、そういうつもりでやってるわけじゃ、なくなってる。
でも、そんなこともやっぱどうでもいい。
「バン・・・」
俺は何のためらいもなく、バンに向けて、ゆっくりと足を開く。そして真ん中の穴を見せつけるように、股に力を入れた。
「・・・きて・・・」
今のアスカは、間違いなく正気を保っていない。
アスカが、こんなことをするはずがない。
にもかかわらず、アスカのこの姿に興奮を覚えてしまっている自分がいた。
俺は最低だと思う。こんな状況で、一瞬でもアスカを犯してみたい、と思ってしまったのだから。
(いやでも、ここであいつらの命令に従わずに、アスカを犯さなかったら・・・)
俺達はきっと、あの動画を流出させられ、社会的に抹殺される。だから今は、やるしかない。嫌でも犯すしかない。
という言い訳を自分自身にしてみるが、やはり男の本能は抑えられない。
下半身に血が集まるのが分かる。俺は、アスカの正面にしゃがみこんだ。その時に勃ち上がりかけてるのを隠せたのは幸いだ。
まあ、自分がこれからする事を考えたら、隠しても意味がないのは分かっている。
アスカに向けて、絞り出した声で「ごめん」と謝る。そこから自分のズボンをずり下ろし、アスカを抱き上げ自分の股の上に座らせ、俺のそれでアスカを貫くまでにそう時間はかからなかった。
「んああっ!」
アスカが、悲鳴に近い甲高い喘ぎ声を上げる。
アスカの喘ぎ声に対する悦びを覚えると同時に、罪悪感を感じた。
しかしそれを無理矢理押し流すように、俺はアスカに向けてピストンをする。
考えるな、何も考えるな。考えれば考えるほど、罪悪感やら何やらで辛くなるだけだ。
「んあっ、あっ、バン、激しっ・・・!」
アスカの声も、耳には入れない。全てを無視する。
おいこいつら、本当に始めやがったぜ。ああ、しかも結構激しくね?そんな声も聞かない、聞こえない。
まだ男の1人がアスカの尻の穴にそれを突っ込んだままなので、前を見るとにやにやと笑った男の顔が視界に映るのが不快だ。
半分やけになり、アスカのそれを右手で掴み、上下に擦り上げる。
「ひっ!バン、だめ、ああっ!」
また、アスカの甲高い声がする。
小柄なアスカは、俺が下から突き上げる度に全身が上下に揺れる。
そしてそんな激しいピストンをしていれば、当然俺にもアスカにも限界は訪れる。アスカのそれから先走りがどろどろと溢れ、俺の右手を汚していった。
「もう、俺、俺っ・・・また、なんかくる・・・っ!」
聞こえない振りをしていたつもりだがアスカのそんな声が耳に入ったので、それと同時にアスカのそれを強く握りしめた。
「だっ、駄目え・・・ああぁっ!」
アスカは悲鳴に近い矯声を上げ、射精した。俺の手のなかでびくびくとそれが震え、精液が俺やアスカの顔に飛び散る。
「くっ・・・!」
そしてそれと同時に、膣内が収縮し、俺のそれが圧迫される。
「ごめん・・・出るっ!」
俺はそう一言叫び、アスカの中に精を放つ。
「あっ・・・ああっ!!」
びゅくびゅくと、アスカの中に俺の精液が流れこんでいくのが分かる。
奥へ奥へ、子宮めがけて。
とっくにあの2人の男に犯しつくされた子宮を、さらに犯す。
「あ・・・っ、はあっ・・・」
するとアスカは、もうとっくに体力も限界に近かったのだろう、俺の目の前で意識を失った。
がくん、と後ろ向きに倒れそうになった体を、男が支える。
「随分出したみてぇだな、お前。そんなに溜まってたのか?」
「ちが・・・っ!それより、これでいいだろ、早くアスカを・・・」
「誰が1回だけって言った?」
そう言うと、男はアスカの背中に膝で蹴りを入れる。
「がはっ・・・!」
「それじゃあ、まだまだ頑張ってもらうか」
―――アルテミスファイナリスト、山野バンさん、古城アスカさん、まもなく決勝戦が始まります、今すぐ試合会場までお戻り下さい、繰り返します―――
放送が、微かに聞こえる。恐らく会場全体に、この放送が流れているのだろう。
そしてCCMに、さっきからメールがじゃんじゃん来る。「バンさん、試合始まっちゃいます!早く戻って来てください!」「バン君、早く戻るんだ!このままだと不戦敗になるぞ!」「バン、どこにいるの!?」電話もかかってくる。不在着信がどんどんと増える。
「お仲間が、よっぽどお前の事心配してるみたいだな。・・・出なくていいのか?」
「・・・・・」
俺が出られないことを知って、わざと男は挑発的にそう言うのだろう。
今電話に出たところで、メールに返事をしたところで、何がどうなるというのだ。どうにも、なりはしない。
今俺の目の前で、アスカはぐったりとしている。話しかけても、うつろな声の返事しか返ってこない。
まだ、俺とアスカは1本の肉棒で繋がったままだ。もうアスカにも俺にも、これを抜く体力が残っていない。
「それじゃ、俺たちそろそろ会場まで戻るわ。精々そこでじっとしてるんだな!」
そう言って、男2人は大笑いしながら、トイレを後にした。結局、写真も動画も消されないまま。
最終更新:2013年05月18日 10:40