翌朝、ユノは海岸に立って、朝日と潮風を浴びながら迎えの船を待つ。
昨日の事がまるで嘘のように、その表情は晴れやかだった。

―――――

あの狂宴の後…
3人が一通りユノの体を弄んだ後の事だった。
休憩を取っていた男たちの前に、ユノが体を起こして声をかける。

「ねぇ、もうおしまいなの…?違うよね…?」

どこか気怠そうな声だが、その中には何か冷たい物が秘められている。
男たちは、本能的に危険を察知した。
ユノの精神は、もう壊れたはずだった。
だが、いつしかユノはこの行為を受け入れ、乗り越えていたのだった。
そうなってしまえば、女は強い。
一度果てる度に満身創痍になる男に比べれば、底など無いようなものなのだ。

「望み通り、楽しみましょう?いくらでも…ね…」

そう言いながら立ち上がり、男子生徒を見下ろすユノ。
月光に映るその表情は、なんとも言えない妖艶さを漂わせていた。

―――――

太陽が地平線から離れた頃、いくつかの船が海岸近くに停まった。

「ユノーーーっ!」

船の甲板から、小さな体を精いっぱいに動かしているキャサリン・ルースの姿が見える。
その隣には仙道キヨカと、園山ハナコの姿もあった。
第四小隊が全員で迎えに来てくれたようだ。

「よく無事で過ごせたわね、鹿島ユノ」

ユノの担任、美都レイナも出迎えに来たようだ。
ぶっきらぼうな言い方ではあったが、ユノにはそんな義務的で無機質な声も、酷く懐かしかった。

「あー、そこのキミ」

そんな空間に水を差すように、一人の男が声をかける。
ロシウスの司令官、イワン・クロスキーだ。

「感動の再開をしている所すまんが、うちの生徒を見なかったか?奴らもこの島にいると思うのだが…」

イワンの問いに、ユノは満面の笑みで応えた。

「いいえ、知りません」

「…そうか。全く、奴ら時間もロクに守れんのか…」

そう物々と文句を言いながら、イワンは自分の船へと戻る。
どうも、自分で探しに行くつもりは無いようだ。
彼が神威島に戻るのは、夕方ごろになるだろう。
何故なら彼の待つ生徒たちは、森の中で文字通り、精も根も尽き果てていたのだから。


「そう、いえば…あいつの…LBX…」

森の中で、男のうちの一人が思い出したかのように呟く。
そう、ユノのLBXは『セイレーン』
男を惑わす魔性の者。
鹿島ユノに手を出した時点で、彼らはその魔力に侵されていたのかもしれない…


しかし、当のユノはそんな事はどこ吹く風。
既に彼女の興味は、アラタに奢らせるスイーツのことで一杯になっていた。

(覚悟してなさいよアラタ…シルバークレジットが空になったって許さないんだから…!)

ほぼ同時刻、神威島でユノの帰りを待つアラタを、かつてないほどの悪寒が襲ったという……
最終更新:2013年08月31日 23:42