分かれる道、繋がる心
ワールドセイバーとの戦いが終わって、何日か経った夜。
吹野タダシは、ダック壮のラウンジで射撃練習に励んでいた。
戦いが終わったとはいえ、裏切ったカイトの事や、これからの自分の事を考えるのは辛かった。
LBXに触れている間は、それも忘れられる。
次々に浮かぶターゲットを、ひたすら撃ち抜いていった。
「お疲れ、タダシ」
不意に声をかけられて驚き、射撃を外してしまう。
その声の主は、笹川ノゾミだった。
「なんだノゾミか、ビックリするじゃないか…」
「ふふん、注意力が足りないんじゃないの?」
いたずらが成功した時の子供のように、ノゾミは無邪気な笑顔を浮かべる。
その反面、タダシは不機嫌そうに溜め息をついた。
「…で、何か用?」
「うん…ちょっと話があるんだけど、いいかな」
さっきまでの意地悪そうな感じは消え、神妙な面持ちになるノゾミ。
その雰囲気を感じ取って、タダシもCCMから指を離した。
「ゴメンね、わざわざ移ってもらって」
人に聞かれたくない話という事なので、タダシはノゾミを部屋に招いた。
幸い、同居人であるブンタは、ガスの後遺症を調べる為に検査入院をしていた。
二人の時間を邪魔する者は、誰もいなかった。
「それで、話って?」
「うん、実は…」
そこまで言いかけて、ノゾミは言葉を濁らせた。
普段のノゾミらしくない曖昧な態度から、よほど重要な事なのだろうと伺える。
だが、タダシは催促はせず、ノゾミの言葉を待った。
観念したかのように、ノゾミがゆっくりを口を開く。
「私ね、キャサリン達と一緒に、この島を出る事にしたんだ」
突然の告白に、タダシは衝撃を受ける。
だが、不思議と声を上げる事は無かった。
先ほどの言葉が、あまりにも唐突だったからだ。
「アニキはともかく、父さんと母さんが心配しててさ…」
申し訳なさそうに、ノゾミは言葉を続ける。
そんな姿を見るのが、タダシは何故か辛かった。
「だから、その…ゴメンね」
「…なんでノゾミが謝るんだ」
「それは…」
二人の間に、気まずい沈黙が流れる。
ノゾミ自身、理由は分かっていなかった。
だが、タダシを傷つけている事だけは理解できた。
「親が心配してるなら、仕方ないさ。だから…」
「タダシは…それでいいの?」
ノゾミに言葉を遮られて、タダシはハッとした。
「私は、本当は…皆ともっと一緒にいたい。タダシとだって…」
「ノゾミ…」
その言葉で、タダシも自分の気持ちを伝える決心がついた。
「俺も…俺だって、本当は…ノゾミと一緒にいたい…いたいけど…」
二人の間には、再び沈黙が流れた。
どんなに純粋な二人の思いも、子供のわがままでしかない。
子を思う親の愛情を超え、そのわがままを押し通すだけの力を、二人は持っていなかった。
「ねぇ、タダシ…」
ノゾミが口を開くと同時に、タダシに歩み寄る。
そして、吐息が触れ合うほど、顔を近づけた。
「タダシのこと…忘れないように、私に刻み込んでほしいの」
ノゾミの言葉に、タダシは息を飲む。
その言葉の意味が分からないほど、タダシは子供ではない。
だが、それをすぐに実行に移せるほど大人でもなかった。
「タダシならいいよ…ううん、違う…タダシがいいの…」
ノゾミが、タダシの背中に手を回し、体を重ねる。
初めて触れる女性の体。
柔らかく暖かい感触に、タダシの本能は理性を乗り越えた。
「ノゾミ…」
タダシもノゾミの背に手を回し、深く抱きしめる。
一瞬ノゾミの体が震えたが、すぐに力を抜き、タダシに体を預けた。
ゆっくり、唇を重ねるだけの軽いキスを交わしながら、
タダシの手が少しずつ、背を撫でたり、腰に触れる。
まるで、一つ一つ、許しを得ているようだった。
そんなタダシにじれったさ感じて、ノゾミの手がタダシの股間を撫でる。
「っ…!」
タダシの体が震え、固まる。
ノゾミの手は、タダシの上を何度も往復した。
「待って、ノゾミ…っぁ…」
ノゾミに抱きつくようにして、タダシは快楽に耐える。
ようやくノゾミは手を止め、タダシの耳元で囁いた。
「タダシはどうしたい…?」
「…先に、その…最後まで…」
治まりのつかないタダシが、恥ずかしそうに言った。
「しょうがないなぁ…」
そう言いながら、ノゾミは優しく微笑む。
ゆっくりと、タダシのズボンが下ろされ、堅くなったタダシ自身が晒される。
思わず腰を引くタダシだが、ノゾミの手がそれを捉えて逃がさなかった。
「凄い、熱い…」
タダシ自身の感触に、うっとりとした声を上げる。
始めて見るものではあったがどうすればいいのかは知っていた。
顔を近付け、先端にキスをする。
そして、少しずつ舌を這わせ、口に含んだ。
「うぅっ…!」
タダシは必死に耐えているが、それでも声が漏れてしまった。
そんなタダシを愛おしく思ったノゾミは、手の動きを速めた。
もっと、タダシの声を聴きたかったから。
「ノゾミっ…もう、出っ…!」
言葉を言い終えるより先に、タダシはノゾミの口内で、欲望を吐き出した。
「けほっ、けほ…」
「ごめん…その、大丈夫…?」
息を整えながら、せき込むノゾミの背中を撫でる。
「いいの、気にしないで。それより…」
一息ついてから、ノゾミはベッドに横たわった。
「今度こそ…私を好きにして…」
ノゾミが制服を乱し、少しずつ服を脱いでいく。
タダシもボタンに手をかけ、それを手伝った。
やがて、制服と下着を全て取り払い、ノゾミは生まれたままの姿となる。
いくらタダシとはいえ、体を見られるのは恥ずかしかった。
しかし、その一方でもっと見てもらいたいとも思った。
自分の体でタダシが興奮する事が、嬉しかった。
「ノゾミ…」
遠慮がちなタダシの手が、ノゾミの胸を覆う。
優しく、ゆっくりとした愛撫を受け、ノゾミの息が少し乱れ始めた。
「ん…」
さっきまでのノゾミ同様、タダシも、ノゾミの嬌声に惹かれる。
ノゾミより低い自分の身長が、ずっとコンプレックスだった。
だが、今はそんな自分が、ノゾミを支配している。
その征服感に、タダシの心は震えた。
ノゾミの胸の先端を、口に含む。
「あっ、んっ…」
ノゾミが小さく声を上げた。
タダシは舌を使い、ノゾミの胸を責める。
もう片方の胸は、手で愛撫を続けた。
途中で口を離し、逆の方の胸も吸い上げる。
ノゾミの体が、何度も跳ねているのが分かった。
不意にノゾミの手が、胸を責める手に重ねられる。
「タダシ…ね、こっちも…」
そう言うと、ノゾミはタダシの手を、脚の間へと導いた。
熱を帯びたノゾミの秘所が、タダシの指を受け入れる。
「ここが…ノゾミの…」
少しだけ、指を前後に動かす。
「んっ…タダシ、もっと…」
今まで以上の反応を見せるノゾミ。
その言葉に応えるように、指を少しずつ前後させる。
吐息交じりの喘ぎが、何度も響いた。
「タダシ…」
ノゾミの手が、再び主張を始めたタダシの怒張に触れ、秘所へと導こうとした。
タダシも小さく頷いて、腰を落とし、ゆっくりとノゾミの中へと入っていく。
「い、たっ…!」
突然の悲鳴に、タダシは我に返った。
タダシの背に回された腕に、力がこもる。
「ごっ、ごめん、ノゾミ…やめようか…?」
タダシは離れようとして、腰を引く。
だが、ノゾミはタダシから離れようとしなかった。
震える腕で、必死にタダシを抱きしめる。
「もう、ちょっと…大丈夫だから…だから、このまま…」
何度も深呼吸をし、痛みを和らげようとするノゾミ。
タダシは全身でノゾミの体温を感じながら、ノゾミの髪をそっと撫でた。
そのタダシの優しさで落ち着いたのか、ノゾミの腕の力が緩んだ。
「ごめんね、タダシ…そろそろ、いいよ…」
「でも…」
戸惑うタダシに応えるように、ノゾミは小さく体を跳ねさせ、タダシをより深く受け入れる。
「ね、大丈夫でしょ? だから…」
「…わかった。じゃあ、行くよ…」
最初はゆっくりと、そしてだんだん激しく、ノゾミに腰を打ちつける。
「あ、あっ…タダシ…タダシ…!」
「ノゾミ…っ…!」
二人の吐息が重なり合う。
深く抱き合い、一つになる。
そして、一番深く繋がった時、二人はほぼ同時に絶頂を迎えた。
その後、二人は体力の続く限り、交わり続けた。
そして、何度目かの絶頂を超えた後、いつの間にか眠りに落ちていった。
翌朝、タダシが目を覚ますと、ノゾミの寝顔が目の前にあった。
「ノゾミ…」
昨晩の乱れた姿が嘘のように、静かに眠る美しい顔。
そんな彼女を愛おしく思いながら、小さく囁いた。
「約束する。絶対、ここを卒業したら会いに行く。そしたら…」
「…アニキにボコボコにされないようにね」
急にノゾミが口を開いた。
いつの間にかノゾミも目を覚ましていたのだ。
「きっ、聞いてた、のか…」
眠っていた時なら平気だったのに、聞かれたとなると急に恥ずかしさが襲ってくる。
タダシは耳まで真っ赤になるのを、自分でも感じた。
なんとかごまかそうと目を泳がせていると、ノゾミがタダシを抱きしめる。
「タダシ…私、ずっと待ってるよ」
「ノゾミ…うん…その、さ…」
一息置いてから、二人は口を開いた。
『愛してる』
偶然、二人の言葉が重なる。
それが少し可笑しくて、二人で笑いあった。
何よりも信じられる言葉と、それに秘められた想い。
それがある限り、どんなに離れていても、不安はない。
もう一度軽いキスを交わして、二人は日常へと戻っていった。
最終更新:2014年01月17日 12:07