静かな神威島の昼下がり。
その中を疾走る、紅い影。
彼女の名前は、かつて世界を救った伝説のLBXプレイヤー、花咲ラン。
ある人物がここにいると聞いて、この島を訪れたのだった。
「ユぅ~ウぅ~ヤぁぁぁ~~~っ!!」
声をかけられた青年、灰原ユウヤが返事をするより前に、ランがユウヤに飛びつき、地面に押し倒す。
「痛っ…! ど、どうしたんだい、ランくん…」
「どうした、ですってぇ~…」
ランが体を震わせ、ユウヤを睨みつける。
「どうもしなかったから怒ってるんでしょうが!」
ランの拳が振り下ろされ、ユウヤの顔の横の地面を抉った。
相変わらずのランの力強さに、ユウヤは震えあがった。
感情を吐き出して幾分か怒りが治まったランは、ユウヤと共に神威島をあてもなく歩いていた。
時折、まだ痛みを気にするユウヤが、頭をさする。
「…なんでウチに来なかったの」
ムスッとした声で、ランが口を開く。
「うち、って君の道場の…?」
「他に何があるのよっ!」
またランが大声で怒鳴る。
だが、今度はため息を一つついて、落ち着きを取り戻した。
「…ずっと待ってたんだからね」
何気なく交わした、『道場に行く』という約束。
それはランにとって、とても大事だったようだ。
勿論、ユウヤもランとの約束を忘れたわけではない。
だが、ユウヤはまだ広い世界を見ていたかった。
自分の知らない世界を、知りたかった。
それがランをここまで傷付けていたという事には、気付けなかった。
「ごめん…」
「いーや、許さない。ちょっと付き合ってもらうからね」
そう言うと、ランはユウヤの手を引いて歩き出した。
道を外れた茂みの中で、ランがユウヤを押し倒す。
ユウヤのズボン、そして下着の中から、ユウヤの性器を取り出した。
「ち、ちょっとランくん、こんなとこで何を…」
ユウヤの言葉を遮るように、ランが唇を重ねる。
舌を絡めながら、右手に握ったユウヤ自身を扱く。
先ほどまでの激しい怒りとは真逆の、優しい愛撫が繰り返される。
「っ…!」
重なった唇の端から、ユウヤの吐息が漏れる。
その反応に満足したのか、ランが唇を離した。
「ユウヤ…」
ランが手に握ったユウヤ自身を垂直に立て、口に含む。
先端を、何度も舌で撫でる。
その度に、ユウヤの下腹が震えた。
「っ、く…」
歯を食いしばり、必死に耐えるユウヤ。
だが、それでもランの責めには敵わなかった。
あと少しでイく…という所で、ランの口が離れた。
「ラン…くん…」
ユウヤが息を整えながら、体を起こそうとする。
だが、ランがその肩を抑え込んだ。
先ほどの責めの間に、ランのショートパンツ、そして下着が取り去られている。
ランの秘所が、上からユウヤの性器を飲み込んだ。
「あぁっ…!」
吐息交じりの、ランの喘ぎが響く。
ランの肩にかけた胴着が、二人の結合部を隠す。
それが見えているのは、本人たちだけだった。
「ユウヤ…ユウヤっ…!」
ランが激しく腰を上下に動かす。
今までの孤独を埋めようとするかのようだった。
「ラン、くん…そろそろ、離れて…!」
遠のいた絶頂が、あっという間に呼び戻される。
だが、聞こえていないのか、それともわざとか、ランはより一層動きを速めた。
「うぅっ…も、もう…!」
そのまま耐え切れず、ユウヤはランの中で精を吐き出した。
少し遅れてから、ランも全身を震わせる。
そして、力が抜けたかのように、ゆっくりとユウヤの上に覆い被さった。
二人は服を整え、体に纏わりついた草葉を落として、茂みを後にした。
気まずい沈黙が二人を包む中、やがてユウヤが口を開いた。
「…やっぱり、僕はまだこの世界を見ていたいよ」
ランは何も言わず、ユウヤの言葉に耳を傾けてる。
「でも、いつかきっと、ランくんの道場にも行く。だからそれまで待って…」
「ヤだ。ユウヤの言う事なんか信じらんない」
ランがきっぱりとユウヤの言葉を否定する。
まだ怒っているのか、ランは視線を合わせようとしなかった。
「じゃあ、どうすれば…」
困ったように頭をかくユウヤに、ランが抱きつく。
「アタシもユウヤと一緒にいるっ」
「一緒、って…」
「どこまでだってついていくから。今度こそ逃げられないように…!」
力強く、ランの腕がユウヤを抱きしめる。
観念したかのように、ユウヤも小さく一息ついて、ランの体を抱き返した。
「分かったよ…これから宜しく、ランくん」
その言葉を聞いたランが、自分の胸の中で笑顔になっていたことに、ユウヤは気付かなかった。
最終更新:2014年04月11日 18:26