序盤「同棲開始」
A国:某研究所…ここに1人の男子学生が訪れていた。
厳重なハッチとロックされたゲートを潜ると、そこには見慣れた2人が居た。
「おおっ、よく来てくれたね。」
この妙齢の男性は美都博士。我々の仮想国「ハーネス」と同盟する仮想国「ジェノック」司令官・美都玲奈司令の父である。
「本当にごめんなさいね。父も研究ごとになると…。」
溜息を吐いているのは美都玲奈。仮想国「ジェノック」の司令官であり、一時期はドルドキンスと男女の仲ではと噂された才媛である。
「構いません。博士、研究とはオーバーロードの事ですね?」
「うむ。」
私の言葉に、博士が笑みを消し真剣にうなずく。
オーバーロード…かつてジェノックのエース・瀬名アラタと私が発動した、詳細不明の力。
発現した際の力はまさに圧倒的なもので、それに幾度となく危機を救われた。
しかしその後の調べにより脳に過剰な負荷を強いるこの力は諸刃の剣だと判明し、ワールドセイバー事変以降は発動を禁止されていた。
「今回の研究の趣旨は日常においてもオーバーロードが発動しうるのか?発動するとしたらどんな状況?と言う事だ。」
博士の発言の趣旨は理解した。確かに極限の集中力を要するオーバーロードが日常で発動するのかは興味のある所ではある。
が、その後の言葉は予想外過ぎた。
「で、だ…夏休みの期間中、君には玲奈と同棲してもらう。」
……今のは、聞き間違いであろうか?流石に大人の女性と同棲出来るほど、私の肝は太くないのだが…。
「同棲してもらう理由としては、君がまだ法律上「保護者を必要とする事」。そして「男女間の感情の揺らぎ」でオーバーロードが発動するかどうかを試す為だ。」「正気ですか?」
こう聞き返した私は決して悪くはあるまい。年も大差ない女性、それも美人が常に傍に居ると言う状況がどんな間違いを生む可能性を持つか、知らない筈がないだろう。
実験の為とは言え、極端な話「そこまで」行ってしまったら後戻りは効かなくなるのだが…。
私の戸惑いを感じ取ったのか、博士が耳元に口を寄せた。
「構わんよ…正直言うと、この年になって浮いた噂の1つも耳にせんこの娘が心配でならんのだ。」
『お・と・う・さ・ん?』
…その後の折檻の音は黙秘するとして…とりあえずこうして同棲が始まった。
最終更新:2015年02月25日 19:08