燃え上がる家々、蹂躙される人々の劈(つんざ)くような悲鳴――。
阿鼻叫喚の渦の中心に悠然(ゆうぜん)と佇(たたず)む人物。
全身を漆黒の鎧に包み、成人男性の身の丈ほどの大剣を背中に担ぐこの人物こそ、
使徒9兄弟【Apostle†Nine†Brothers】の一人、魔将軍リデアルだ。 †ToBeContinued†
彼は奈落の底から響くような重々しい声で命令を下した。
「村人を集めよ、拒む者がいれば殺してよい。」
魔将軍リデアルの下僕(げぼく)である屍人【Corps†Zombie】はその命令を理解し、すぐに行動を開始した。
抵抗する者は殺され、老若男女関係なく中央の広場に数十人の人々が集められた。 †ToBeContinued†
異形の怪物達に囲まれ、自暴自棄になる者、神に祈り始める者、発狂する者がいた。
その光景を見た彼は鎧の中で歪(いびつ)な笑みを浮かべた。
彼にとっては、罪を犯す事こそが”祈り”なのだ。
「一人だ。一人の生贄を捧げればその他の者は助けよう。」
村人達はまるで最初から決めていたように、一人の少女を突き飛ばすように前に押し出した。 †ToBeContinued†
一人の男が下卑た笑みを浮かべ、言葉を紡(つむ)ぐ。
「へへっ…この娘を捧げますので、どうか私達を救ってくだせぇ…」
村人達は少女から眼を背(そむ)けている。罪悪感によって顔を背(そむ)けているのは数人だろう。
少女は額に紋章が刻まれていた。この紋章は、生まれながらに常人よりも高い魔力を持つ証(あかし)である。 †ToBeContinued†
見た目、考え方、思想…自分達と違う部分があれば徹底して迫害する。人間とは元来(がんらい)そういうものだ。
その少女も村人達にとっては迫害の対象だったのだ。
「…」
少女の眼に光は無い、全てに絶望した黒く虚(うつ)ろな眼をしている。 †ToBeContinued†
彼は漆黒の鎧を揺らし、金属音を鳴り響かせながら笑う。
「クククッ…素晴らしい。本当に素晴らしい――。」
彼は神への宣誓(せんせい)を行うようにゆっくりと右手を挙げた。
「よろしい、ならば貴様らは救ってやろう…。」 †ToBeContinued†
次々に血飛沫(ちしぶき)が上がり、村人達の間で断末魔が伝染していく。
先ほどの男が痩せこけた顔を歪ませながら叫ぶ。
「なっ…約束が違うではないか!!」
彼は子供に言い聞かせるようにゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ククッ…私は貴様らを救ってやったぞ。この恐怖からな…。」
男は唖然とした顔している。その首に屍人【Corps†Zombie】が喰らい付き、噴水のように血が噴(ふき)出した。†ToBeContinued†
中央の広場には村人達の喰い散らかされた死体が広がっていた。
少女はその凄惨(せいさん)な光景を見ても何の反応も示さなかった。
村人達の長年に続く迫害により、少女にはもう感情と呼べる者が残っていなかったのだ。
彼は額の紋章を確認し、少女の眼を見た。
「なるほど”印付き”か…。同属のよしみだ。痛覚を感じさせる間も無く殺してやろう。」 †ToBeContinued†
少女は一筋の涙を零した。少女は病気で死んだ母親と約束をしていた。どんなことがあっても強く生きると。
約束を守る事ができなかった。少女の涙はその後悔から流した物なのかもしれない。
「逝け――。」
彼は背中に担いだ大剣を片手で引き抜き、少女の命を刈り取る必殺の一撃を放った。
少女は死を覚悟し、ゆっくりと眼を瞑(つむ)った―――。 †ToBeContinued†
最終更新:2012年02月04日 15:19