
岩木川は、青森県中西部を流れる一級河川。乾橋は、五所川原市の岩木川に架かる橋。
太宰が子供の頃、叔母につれてこられた場所である。
小説「津軽」ではなつかしがって案内してもらう様子が描かれている。
中畑さんのひとり娘のけいちゃんと一緒に中畑さんの家を出て、
「僕は岩木川を、ちょっと見たいんだけどな。ここから遠いか。」
すぐそこだという。
「それじゃ、連れて行って。」
けいちゃんの案内で町を五分も歩いたかと思うと、もう大川である。子供の頃、叔母に連れられて、この河原に何度も来た記憶があるが、もっと町から遠かったように覚えている。子供の足には、これくらいの道のりでも、ひどく遠く感ぜられたのであろう。それに私は、家の中にばかりいて、外へ出るのがおっかなくて、外出の時には目まいするほど緊張していたものだから、なおさら遠く思われたのだろう。橋がある。これは、記憶とそんなに違わず、いま見てもやっぱり同じ様に、長い橋だ。
「いぬいばし、と言ったかしら。」
「ええ、そう。」
「いぬい、って、どんな字だったかしら。方角の乾だったかな?」
「さあ、そうでしょう。」笑っている。
「自信無し、か。どうでもいいや。渡ってみよう。」
私は片手で欄干を撫でながらゆっくり橋を渡って行った。いい景色だ。
住所:青森県五所川原市寺町
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