夜光病の影

夜光病の影
深夜、月明かりが薄く差し込む廃墟の中で、私は静かにその力を解き放った。
ヴェゼル、私の名は知られている者も少ないだろうが、
これからその名が世界に轟くことになるのだろう。



いや、既にその一端は響き渡っているはずだ。
目の前に現れたのは、スル。彼は既に「夜光病」の症状を抱え、
光を放つ身体が不安定に輝いている。


その姿を見て、私は冷徹に笑った。夜光病は私が撒いた疫病だ。
言ってしまえば、ただの道具。だが、この病が生むものこそが本当に面白い。
スルが倒れる前に、彼が放った最後の光が私の顔を照らす。
彼の目は、私の計画を理解しているのだろうか。
いや、彼にはわかるまい。私は彼のような者に、手間をかけるつもりはない。

「何もかもが…無駄だ。」

私は彼にそう呟き、足元にひとひらの煙を放った。
その煙は、彼の体に絡みつき、さらに激しく光を放つ。
しかし、それが爆発的に暴走することはなかった。
夜光病は、私の計画通り進行している。
光を放つことすら、最終的には私の支配下にあるのだ。
だが、問題は次だ。スルはおそらく死んだ。死ぬべきだ。
だが、死んだ者をどうこうしても、それだけでは満足できない。
私は指を鳴らすと、再び周囲が変わり始めた。
ストレルカの怪物がどこかから現れるはずだ。
この病の本質は、死と混沌、そして力の解放だ。
私はその力を必要としているのだ。いずれ、この力を制御する者が現れる。
その時が楽しみだ。
しかし、私が狙っているのは他にある。それは、臨戦レウス。
彼がどれほど恐ろしい力を持っていようと、私は負けない。
レウスを倒すためには、もっと強い力を手に入れる必要がある。
そして、そのために、私はスルを利用した。

「すぐに見つけ出せるさ。」

私は心の中で呟きながら、手を高く掲げた。
これでいい。すべては計画通りだ。
夜光病を拡散させ、ストレルカの怪物を引き寄せ、
最終的にレウスに打撃を与える。すべては私の手のひらの中。
レウスは既に気づき始めているはずだ。
彼の強さを目の当たりにするのは、確かに楽しみだ。
でも、その前に、もう少しだけ。夜光病を広め、
混沌を巻き起こすのだ。何もかもが終わった時、
私が全てを手に入れる。
そして、あのレウスを打ち破り、私の名を世界に刻み込む。

「待ってろ、臨戦レウス…」

私はその名を心の中で繰り返しながら、冷笑を浮かべた


ヴェゼル(Vezel)
職業: 影の支配者、闇の使者
役割: 策士、兵器開発者、病を撒く者
外見: 身長175cm、細身で優雅な姿勢を保ちながらも、目には冷徹な光を宿す。黒髪に青い瞳。全体的に洗練された印象を与えるが、顔に浮かべる微笑みはどこか不気味で、人々を惑わせる。
性格: 外見こそ魅力的だが、その心は冷徹で計算高い。人々に親切そうに振る舞うこともあるが、全ては自分の目的を達成するための手段でしかない。支配と混沌をもたらすことを最も楽しむが、それは自らの力を試し、世界を手中に収めるためである。
背景: ヴェゼルは暗黒の研究者であり、病や兵器を操ることに長けた人物。彼の名前が広まる前から、裏社会でその名を知られていた。かつては学者として名を馳せていたが、その研究の方向性が歪んでいき、最終的に禁断の領域に足を踏み入れた。彼が最も重視しているのは、「力の源泉」と「支配」の概念。
能力:

夜光病の発症: ヴェゼルが撒いた疫病は、発症者に異常な力を与えるとともに、肉体が発光し、怪物のような存在に変貌することがある。この病は、単なる病気に留まらず、ヴェゼル自身の支配の道具であり、世界を混沌へと導くための一手段となる。
闇の支配: ヴェゼルは物理的な力だけでなく、精神的な支配能力にも長けており、特に他者を操る術を得意としている。彼の目を見れば、誰もがその支配下に置かれ、気づいた時にはもう遅い。
ストレルカの怪物を召喚: 夜光病が進行した先に現れる怪物を支配する能力を持ち、その怪物を使って敵を圧倒することができる。また、病によって強化された怪物を軍団として操ることも可能。
兵器開発: ヴェゼルは兵器開発にも長けており、常に新たな戦争の道具を生み出している。その技術力は高く、他の研究者が想像もできないほどの兵器を作り出すことができる。
目的:
ヴェゼルの最終目的は、世界を自らの手で支配すること。夜光病を撒くことで混乱を起こし、その中で自らの力を高めていく。臨戦レウスを倒すことはその過程に過ぎず、最終的にはすべての力を掌握し、世界を闇の中に閉ざすことを望んでいる。

戦闘スタイル:
ヴェゼルは戦闘そのものを好まない。彼の真の強さは、相手の精神を支配し、戦わせることにある。戦場においては他者を操り、混乱を引き起こすことで優位に立つことが多い。自らが手を汚すことは少ないが、必要ならばその冷徹な力を行使する。

弱点:
ヴェゼルの最大の弱点は、彼が自らの力に過信しすぎる点だ。常に計画通りに物事が進むわけではなく、予期しない障害が現れることがある。また、彼の支配が一度破られると、その支配力を回復するのに時間がかかることがある。

名言:
「すべては支配するための手段に過ぎない。世界の運命を手に入れるのは、私だけだ。」

スル(Suru)
職業: 反乱者、実験体、ヴェゼルの駒
役割: ヴェゼルの道具、夜光病の実験体
外見: 身長178cm、筋肉質で力強い体つきをしているが、その目にはどこか焦燥感が漂っている。黒髪を後ろに流し、顔の一部には傷跡が見える。彼の存在感は圧倒的で、戦闘時の姿勢は冷徹だが、どこか悲しげな表情を浮かべることもある。
性格: スルは本来、反乱者であり、自由を求めて戦っていたが、ヴェゼルに利用されるうちにその目的を見失っていく。彼は自分が使われていることに気づいているものの、心の中でどこかでヴェゼルの力を信じてしまっている部分もあり、最終的に彼の命運を握られた。
背景:
かつてスルはヴェゼルとは全く異なる価値観を持つ者だった。ある反乱組織に所属しており、支配者に対抗するために戦っていたが、ヴェゼルの策略に引っかかり、捕まることとなった。彼はヴェゼルによって「夜光病」の実験体にされ、その結果、彼の身体は異常に変化し、光を放つようになった。スルはその変化に耐えきれず、苦しみながらもヴェゼルの命令に従うこととなった。
能力:

夜光病の感染: 夜光病は彼の身体に激しく作用し、周囲に光を放つことができるようになるが、次第に身体が異常な変化を遂げ、制御が効かなくなっていく。病は体力を消耗させ、最終的には彼を廃人にしてしまう。
高い戦闘能力: もともと反乱者として戦っていたため、スルは戦闘技術に長けており、肉体的には非常に優れた能力を持つ。しかし、夜光病の影響でその能力も次第に不安定になり、力を完全に発揮できなくなる。
変異した肉体: 夜光病が進行すると、スルの体は異常に光り、体力を消耗しながらも新たな力を発揮するが、その力が暴走すると制御不能に陥る。この病によって、彼は怪物のような存在へと変貌していく。
目的:
スルが抱えていた本来の目的は自由と反乱だが、ヴェゼルに捕まり、実験体として扱われることによりその目的は歪められていった。最終的には、ヴェゼルの計画に巻き込まれ、彼が撒いた夜光病によって自らもその犠牲となるが、スルはその間も反乱者としての誇りを持ち続けていた。彼の最期は、ヴェゼルの計画を止めることなく、彼の思惑通りに終わる。

弱点:

夜光病の進行: 病が進行するごとに、スルは自分をコントロールできなくなり、精神と肉体の崩壊が始まる。病が完全に進行すると、彼の肉体は異常に変化し、戦闘能力も失われていく。
精神的な葛藤: 反乱者としての誇りを持ち続けるが、その内面では次第にヴェゼルに対する疑念が湧き、計画に従うことに対する苦悩が強くなる。最終的にはその葛藤が彼を消耗させ、破滅へと導く。
名言:
「自由を求めて戦ってきたはずだ…なのに、俺は何をしているんだ。」

スルはヴェゼルに利用され、夜光病の実験体としてその身体と命を差し出してしまった人物だ。彼の物語は、自由と反乱を求める心と、それを奪われた絶望的な状況に落ち込んでいく様子が描かれている。最終的に彼の死は、ヴェゼルの支配の完成と引き換えに訪れるが、スルの心の中には最後まで自由を求める意志が残っていたはずだ。


夜光病(Nighglow Disease)とは

ヴェゼルが人々や物体に撒いた危険な病で、主に生物に深刻な変異を引き起こす。この病は、その名の通り「夜光」を発する性質を持ち、初期症状として、患者の身体に異常な光を放つ現象が見られる。しかし、病の進行に従って、身体の変異や精神の崩壊が始まり、その後、患者は怪物のような存在へと変貌する。

夜光病の特徴と変異プロセス:
初期症状:
光を放つ現象: 夜光病の初期段階では、患者の体から異常な光が発せられるようになる。これらの光は白や青の色を帯びることが多く、目立つようになる。
軽い身体的影響: 体力や耐久力が向上する一方で、精神的に若干の不安定さを感じることがあり、患者は興奮しやすくなる。
進行段階:
変異の始まり: 夜光病が進行すると、患者の身体に変化が現れ始める。皮膚や骨、筋肉が変異し、異常に硬直したり、暴力的な力を持つようになる。
外見の変化: 皮膚は光を反射して青白く光り、目は異常に光ることが多くなる。爪や歯が鋭利になり、筋肉が異常に発達する。
精神の崩壊: 患者の精神は次第に不安定になり、怒りや恐怖を感じやすくなる。場合によっては、攻撃的になり、他者に害を及ぼすような行動を取ることもある。
最終段階:
完全な変異: 夜光病の最終段階では、患者は完全に人間としての形を失い、怪物のような存在に変貌する。体の一部が異常に膨れ上がったり、奇怪な形状に変化することが多い。
凶暴化: 完全に変異した者は、元の人間としての意識を失い、完全に制御不可能な存在となる。周囲の物や人々を攻撃することが多く、暴力的な怪物に変わり果てる。
ストレルカの怪物との関連:
ストレルカの怪物は、この夜光病の被害者であり、ヴェゼルの計画の中で非常に重要な役割を果たしている。ストレルカは、もともと普通の人間だったが、夜光病に感染したことで変異を開始し、最終的に凶暴化した結果、怪物としての姿を得ることとなった。

ストレルカの場合、変異が極端に進行し、彼の肉体は暴力的に膨張し、歪んだ姿になったが、まだ何らかの意識が残っていることもある。そのため、彼は完全なモンスターとして徹底的に暴れ回るが、時にはかつての自分を思い出し、痛みを感じる瞬間もあるだろう。この怪物の姿こそ、ヴェゼルが撒いた夜光病の最も恐ろしい結果を示しており、他の被害者たちも同じような運命を辿ることとなる。

ヴェゼルの目的:
ヴェゼルはこの病を利用して、変異した存在を軍事兵器や支配者としての手段にしようとした可能性が高い。夜光病により、生物が変異することで、力を持つ兵士や怪物を生み出し、最終的には支配を広げるための道具とする計画があったのだろう。しかし、この病が引き起こす痛みと苦しみは計り知れず、その結果、病の進行が完全に止まらず、他者との接触が広がると、支配は容易ではなくなる。

結論:
夜光病は、ヴェゼルが撒いた恐ろしい病であり、感染者は通常の人間から凶暴で歪んだ怪物に変貌してしまう。ストレルカの怪物のように、変異を受けた者たちは、元の人格や思考が薄れていくものの、ある種の記憶や感情が残る場合があり、彼らを完全に制御することは非常に困難である。
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最終更新:2025年02月09日 20:54
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