第10話~第15話

第10話「アウトローの大軍、襲来!」


――"青空の彼方まで、俺の戦場だぜ!"

新学園都市・HARP防衛本部
「……何? 数千の武装集団が新学園都市に向かってるだと?」

ショウ少佐は通信越しの報告を聞きながら、眉をひそめた。

「ええ、確認された数だけでも4,000を超えています。」

報告しているのは、HARPの情報部主任であり、アズール連邦の"ホワイトグレア"――セレスティア・アルバス。

「これはただの武装ギャングの襲撃じゃないわ。計画的な軍事行動よ。」

「アウトロー共がここまでの規模で攻めてくるとはな……。」

ランバルド・グリッケンスが腕を組む。

「問題は、誰がこの大軍をまとめているか、だな。」

レウス・Aがライフルを手にしながら呟く。

「確かに……この手の連中は群れないはずだ。相当な"ボス"がいると見るべきだな。」

「ただの"無法者の集まり"なら、空軍と防衛システムで対処できる……だが、今回はそう単純じゃなさそうだぜ。」

ショウ少佐がアズールウィングを展開する。

「都市の防衛はどうなってる?」

「防衛部隊はすでに配備中。レッドグレア――ヴェルナ・イグニスが"レッドフレア"を率いて迎撃に向かっています。」

セレスティアが答える。

「ただし、敵の規模を考えると、それだけじゃ不十分ね。」

「なら、俺たちも動くしかねぇな。」

迎撃作戦、開始!
――新学園都市、郊外防衛ライン

「くそっ、数が多すぎる!」

すでに戦闘は始まっていた。

数千ものアウトロー軍が、重装甲車両と戦闘バイクを駆使しながら都市へと突撃してくる。

「ハハハ! 都市をぶっ壊せェェ!!」

「略奪しろォ!!!」

血に飢えた叫び声が戦場に響く。

「撃てッ!!」

ヴェルナの命令と同時に、新学園都市の砲台が一斉射撃を開始。

ズドォォォン!!!

砲撃が炸裂し、アウトロー軍の車両が吹き飛ぶ。

だが、それでも敵の勢いは止まらない。

「これじゃキリがねぇ……!」

ランバルドが銃を構える。

「空から援護する! こっちは任せろ!」

ショウ少佐はアズールウィングを展開し、一気に上空へ。

「青空の彼方まで……俺の戦場だぜ!!!」

彼のストームキャノンが火を吹き、敵陣に雷の如き砲撃を浴びせる!

"黒狼"ガルム隊、出現!
「チッ……どうやら"本命"が来たようだぜ。」

ランバルドが視線を向けた先――

アウトロー軍の中でも、一際装備の整った**"黒狼"の紋章をつけた部隊**が現れる。

「……ガルム隊か。」

レウス・Aがライフルを構える。

「こいつらは、ただのチンピラとは違うぜ。」

ガルム隊は、"アウトローの中のエリート"と呼ばれる精鋭部隊。
洗練された戦闘技術と最新鋭の装備を持ち、ただの無法者とは一線を画す。

「ターゲット確認。"青空のショウ少佐"、"ランバルド・グリッケンス"、"レウス・A"……抹殺対象とする。」

リーダー格の男が静かに告げる。

「やれるもんなら、やってみな!」

ショウ少佐が空から急降下し、ガルム隊へと斬りかかる!

バシュゥゥン!!

鋭い斬撃が空を裂く!

「SWEEP!」

レウス・Aがモップ型の特殊武器を振り、敵を薙ぎ払う。

「やれやれ……こいつら、マジで厄介そうだぜ。」

ランバルドは剣と銃を同時に構え、ガルム隊との死闘に身を投じた――!!

第11話「決戦! ガルム隊」


――"お前ら…生きてたのか、ガルム隊!!"

戦場に響く黒き咆哮
ガルム隊――それはかつて、アズール連邦と新学園都市の共同作戦で壊滅したはずの部隊。
"アウトローのエリート"と称される彼らは、極限の戦闘技術と洗練された装備を持ち、都市に襲いかかる無法者どもとは一線を画していた。

だが、今ここに再び姿を現した――しかも、以前よりも強化された姿で。

「どういうことだ……お前ら、確かに全滅したはずじゃねえのか?」

ショウ少佐はストームキャノンを構えながら問いかける。

「フフ……"生きていた"とは限らないぜ。」

ガルム隊の指揮官がニヤリと笑う。

「俺たちは"再生"したのさ。"ある力"を得てな……。」

「……"色彩兵器"か?」

ランバルド・グリッケンスが鋭く問い詰める。

「ほう……察しがいいな。そう――"Gravity Seal(グラビティ・シール)"。」

「この力を得た俺たちは、もはや"ガルム隊"ではない……"ガルム・シリーズ"だ!!」

色彩兵器【Gravity Seal】発動!
「色彩兵器……また厄介なもんを持ち出してきやがったな。」

レウス・Aがライフルを構える。

「発動――《Gravity Seal》!」

ズゥゥゥン……!!!

突如、空間全体が歪む。
重力場が異常に圧縮され、ショウ少佐たちの身体が地面に押し付けられた。

「……くっ!?」

「こいつは……ヤバいぜ……!」

ガルム・シリーズの隊員たちは、異様な青黒いオーラを纏いながら動いている。
彼らは**"重力を自在に操る"能力**を手に入れたのだ。

「ハハハ! どうした、"青空のショウ少佐"!」

指揮官が高笑いする。

「お前の戦場は"青空"だったな? だが、今はどうだ?」

ショウ少佐は膝をつき、息を荒げる。
重力場の影響で、飛行すらままならない――。

「くそっ……このままじゃ……!」

"青空の戦士"、反撃の時!
「ショウ少佐! 俺たちが援護するぜ!」

ランバルドが銃を撃ち放つが、ガルム隊員の一人が重力を操作し、弾道を歪める。

「クソッ……普通の武器じゃ通用しねぇのかよ!」

「なら、こっちだ……SWEEP!」

レウス・Aのモップ型武器が発動し、エネルギーフィールドが展開される。

「"重力をぶっ飛ばす"ぐらいはできるぜ……!」

レウス・Aは自身の武器に内蔵された特殊機能を起動し、周囲の重力場を無効化。
ショウ少佐もその影響を受け、徐々に体勢を取り戻していく。

「……助かったぜ、レウス!」

バシュゥゥン!!

ショウ少佐が瞬時に飛翔し、ストームキャノンを発射!!

「なっ……!?」

ガルム隊の一人が直撃を受け、吹き飛ぶ。

「よし……反撃開始だ!!!」

第12話「青空を取り戻せ!」


――"ストマック……! まさか、あのショウ・ストマックと関係が……!?”

アルド・ストマック――ガルム隊の指揮官
「お前が……"青空のショウ少佐"か。」

戦場の中心に立つ男。
漆黒の戦闘服に、異様な気迫を纏うその姿。

アルド・ストマック――ガルム隊の隊長にして、"Gravity Seal"の真の支配者。

「フン、貴様の名は聞いている。俺たちの戦場を壊した"英雄"だと?」

「ガルム隊……いや、お前らはもう"ガルム・シリーズ"だな。」

ショウ少佐が睨みつける。

「そして、お前のその名前……"ストマック"……。」

その名を聞いた瞬間、ショウ少佐の脳裏にある男の姿が浮かんだ。

"ショウ・ストマック"。

かつて旧学園都市に所属していたが、色彩の力に魅入られ、黒城の配下となった男。
現在は"エストレ"として知られる存在の一員となり、黒城死瞳のために暗躍している。

「……お前と、ショウ・ストマックは何か関係があるのか?」

ショウ少佐の問いに、アルド・ストマックは薄く笑った。

「さぁな。俺は俺だ。だが、"ストマック"の名を持つ者は、常に勝者でなければならん。」

彼は手を広げ、周囲に渦巻く重力場を操る。

「見せてやるよ、"Gravity Seal"の真の力をな。」

"Gravity Seal"の真の力、解放!
「発動――《Gravity Seal: Overdrive》!!!」

ドゴォォォン!!!

一瞬にして、重力の極端な増大が発生。

「ぐっ……!!」

ショウ少佐、ランバルド、レウス・Aが一斉に地面に押し付けられる。

「チッ……さっきよりも強えぞ……!!」

レウス・Aが歯を食いしばる。

「このままじゃ、また潰されるぜ……!」

アルド・ストマックは悠然と歩み寄る。

「これが"完全制御された重力"だ。お前たちに抗う術はない。」

だが――

「……ハハッ、そうでもないぜ。」

ランバルド・グリッケンスが不敵に笑った。

"Gravity Seal"の攻略法――解明!
「おいおい、重力制御ってのは万能じゃねぇんだな。」

「……何?」

ランバルドは重力場の端に手を伸ばし、何かを"感じ取る"ようにした。

「重力ってのは、完全な均一状態じゃねぇ。"場"には必ず"歪み"が生じる。」

「そして、その"歪み"を探して突破すりゃいいってことよ!!!」

彼は銃を構え、特定の一点に向かって撃ち放った!!

ズバァァァン!!!

銃弾が空間を歪ませ、その瞬間――

「――ッ!?」

ショウ少佐たちの身体にかかっていた重力が、一瞬だけ緩む!!

「今だ!!!」

ショウ少佐は瞬時に飛翔し、"アズールウィング"の全出力を解放!

「青空の彼方まで、俺の戦場だぜ!!!」

ショウ少佐、反撃開始!
「ふざけるなッ!!!」

アルド・ストマックが重力場を再展開しようとするが――

「遅ぇよ!!!」

ショウ少佐は超高速で突撃し、ブリッツブレードを一閃!!

ズシャァァァ!!!

アルドの身体が大きく弾かれ、重力場が崩壊する!!

「ぐ……ぉおおおッ!!」

「おいおい、"ストマック"の名を持つ奴は負けねぇんじゃなかったのか?」

ショウ少佐が剣を構え直し、決着の構えを取る――。

第13話「決着! ガルム隊、そして――」


――"Gravity Seal"、ここで終わらせる!!!"

ショウ少佐、"Gravity Seal"を破壊!
ブリッツブレードの刃が、重力場の中枢を貫いた。

「バカな……!!!」

アルド・ストマックが目を見開く。

「この"Gravity Seal"は、完璧な……重力の支配のはず……!」

ズシャアアア!!!

ショウ少佐が全力で剣を振り抜くと、"Gravity Seal"の制御装置が爆発四散する!!

「終わりだ、アルド・ストマック!!」

「ぐ……あぁぁぁぁッ!!!」

彼の身体を包んでいた重力制御フィールドが崩壊し、戦場の重力が元に戻る。

"Gravity Seal"――機能停止。

ショウ少佐は剣を振り払い、冷たい視線を向ける。

「これが、お前の"勝者の名"の結末だ。」

アルド・ストマックは膝をつき、敗北を認めざるを得なかった――。

突然の異変――"エクスマグナ"の影
「……フフフ、相変わらず鮮やかな戦いぶりだな、ショウ少佐。」

突如、戦場に異様な気配が満ちる。

「な、何だ……!?」

ランバルド・グリッケンスが警戒を強める。

その時――

ゴゴゴゴゴゴ……!!!

戦場の上空に、暗黒の光が渦巻く。

「これは……"色彩兵器"の波動!?」

レウス・Aが驚愕する。

そして、そこに姿を現したのは……

黒城死瞳(こくじょう・シド)、降臨!
「久しいな、青空のショウ少佐。」

闇の王が現れる。

黒いマントを纏い、瞳には"色彩の狂気"を宿しながら――

黒城死瞳(こくじょう・シド)。

彼はその手に、異形の武器を携えていた。

「貴様……!」

ショウ少佐が剣を構える。

黒城の手にある武器、それは……

可変武器型色彩兵器《エクスマグナ》、起動!
ゴオオオオォォォン!!!!

「見せてやろう、"真の色彩兵器"の力をな。」

黒城は冷たく告げると、エクスマグナを展開。

すると――

ドォォォォォォン!!!!

"エクスマグナ"が放つ漆黒の閃光が、戦場を覆い尽くした。

「な、何だこの力は……!?」

ガルム隊の兵士たちが悲鳴を上げる。

次の瞬間――

"全てが塵と化した。"

「……!!」

ショウ少佐たちが目を開けた時、そこにあったのは――

"消え去った"ガルム隊の残骸だけだった。

「一撃で……ガルム隊が消し飛んだ……!?」

ランバルドが呆然とする。

黒城死瞳は、ショウ少佐を見据えながら、静かに口を開く。

「ショウ少佐……"貴様の戦場"は、ここで終わりだ。」

「……黙れ、黒城。」

ショウ少佐が剣を握りしめる。

「お前の好きにはさせねぇ……!」

だが、黒城は薄く笑う。

「フフ……今はまだ、貴様と戦う時ではない。」

「俺がここに現れたのは……"忠告"のためだ。」

黒城死瞳の言葉――
「……貴様が"真実"を知りたければ、新学園都市の地下を調べることだ。」

「"黒-47"……その意味を知った時、貴様は"絶望"に直面するだろう。」

「俺たちは"時が来た"時にまた会おう……ショウ少佐。」

「次に会う時、貴様は"戦場の意味"を理解することになる……。」

黒城は不敵に笑い、エクスマグナを収縮させた。

「では、さらばだ。」

ゴォォォォォォォォッ!!!

黒城死瞳は、影の中へと姿を消した――。

戦場に残された者たち
「……行っちまったか。」

ランバルドが剣を収める。

「まさか……"黒城死瞳"が動き出していたとはな……。」

レウス・Aが険しい表情を浮かべる。

ショウ少佐は拳を握りしめた。

「"黒-47"……新学園都市の地下……?」

何かが蠢いている。

それを確かめなければならない。

「次の戦場は――"新学園都市の地下"だ。」

第14話「HARPの真銀──隠された研究施設」

──アズール連邦・地下研究施設「HARPセクター07」──

ショウ少佐はHARPの情報を追い、極秘の地下施設「HARPセクター07」へと足を踏み入れた。そこは通常のラボとは異なり、厳重なセキュリティと最新鋭の防御システムに守られた、連邦の機密中枢の一つだった。

「…さて、ここが連邦の奥の院ってわけか。」

アズールウィングを折り畳み、ショウ少佐は静かに進む。彼の目的は**「真銀」と呼ばれる謎のエネルギー**と、それを研究する科学者たちだった。

🔷 HARPの研究主任──リクセル・フォートナー

「お前がショウ少佐か。アズール連邦の英雄が、こんな研究施設に足を運ぶとはな。」

ショウ少佐の前に現れたのは、白衣を纏った細身の男──リクセル・フォートナー。特徴的な帽子と鋭い目つきが、どことなくランバルド・グリッケンスを思わせる。しかし、口元にはポテトを咥えていた。

「気にするな。ポテトを食べながら考え事をするのが俺のスタイルだ。」

「…奇妙な研究員だな。」

「研究者ってのは得てしてそういうもんだ。お前も"真銀"のことを知りに来たんだろう?なら案内してやる。」

リクセルはそう言いながら、ショウ少佐を施設の奥へと導いた。

🔷 真銀──色彩とは異なるもう一つの力

「真銀はただの金属ではない。」

リクセルが案内した先には、大型の透明なカプセルが並ぶ研究室が広がっていた。そこに満たされているのは、どこか神秘的な銀色の液体だった。

「これが…真銀か。」

「そうだ。色彩エネルギーに対抗できる数少ない物質の一つだが、適合者がいなければ制御不能な力となる。だからこそ、この施設では"適合者"の研究が行われている。」

その時、ショウ少佐の視線の先に、一人の少女がいた。

🔷 真銀の適合者──ロノ

「…君が、適合者なのか?」

「……。」

銀色の髪を持つ小柄な少女──ロノは、静かにショウ少佐を見つめた。彼女の瞳には、どこか不安げな光が宿っていた。

「私は、真銀の守護者…でも、本当は戦いたくないの……。」

「……戦いたくなくても、お前は戦いに巻き込まれてしまう。そういう世界だからな。」

ロノはショウ少佐の言葉に小さく頷いた。その時、研究施設のアラームが鳴り響く。

🔷 HARP襲撃──黒城の影

「…敵襲か!」

リクセルがターミナルを操作すると、施設の外部に未知の色彩反応が検出された。

「これは…黒城の色彩エネルギー!?いや、それだけじゃない。…何かが"侵食"している……。」

その瞬間、天井から黒い幻影が溢れ出した。

「こいつは…ミラージュ・オブ・ナイトメア!?だが、以前よりも強い…!?」

黒城の影が動き始める──
ショウ少佐はすぐさまマグナムショウを起動し、戦闘態勢に入った。

「青空の彼方まで、俺の戦場だぜ!!」

第○話「真銀の覚醒──黒の色彩に抗う者」
──HARPセクター07・研究区画──

「──侵入者、確認。警戒レベル、最大。」

警報が鳴り響く中、黒い幻影が研究施設内に浸食していく。それは、**黒城の色彩兵器──《ミラージュ・オブ・ナイトメア》**だった。

「……クソッ、また黒城の影か。」

ショウ少佐はブリッツブレードを抜き放ち、ミラージュへと切りかかる。しかし──

「──幻影は実体を持たぬ。"影"を斬ることはできん。」

ミラージュの影が不気味に歪む。無数の黒い手が伸び、施設の装置を侵食していく。

「色彩汚染、急速に進行中!このままでは施設ごと飲み込まれるぞ!」

リクセルが叫ぶが、ミラージュはさらにその影を広げていく。

「……ハッ、色彩の暴走にしては随分と狡猾な動きじゃねぇか。」

ショウ少佐は防戦を続けるが、ミラージュの影は**「物理的な攻撃を無効化」**する特性を持っていた。

「くそっ……!なら、どうすりゃいい……!」

🔷 真銀の覚醒──ロノの力

「……私が、やる。」

その時、ロノが静かに歩み出る。

「お、おい!お前が出るような戦いじゃ──!」

「……違う。これは"真銀の戦い"。」

ロノの体が淡い銀色の光に包まれた。

──真銀は、色彩を中和する力を持つ。

ロノの手に、液体だった真銀が集まり始める。そして、それは瞬時に銀色の槍へと変化した。

「"真銀の力"……!」

《ミラージュ・オブ・ナイトメア》がロノに向かって襲い掛かる!

だが──

「──消えて……!」

ロノが銀の槍を振るうと、その銀光がミラージュを貫いた。

──ズゥゥゥゥ……ン……!

ミラージュが断末魔のような奇声を上げ、影が霧散していく。

「なっ……!?影を打ち砕きやがった……!?」

ショウ少佐が驚く中、リクセルが冷静に呟く。

「やはり、真銀は"色彩の侵食"を防ぐ力を持っている。黒城の兵器であろうと、適合者が扱えば迎撃可能だ。」

ミラージュ・オブ・ナイトメアが完全に消滅し、研究施設内の黒い影も消えていく。

「……やったのか?」

「いや、"影の一つ"を打ち払ったにすぎない。黒城本体が動けば、これでは済まない。」

ロノは銀の槍を見つめながら、小さく息をついた。

「……でも、私は戦える。」

🔷 黒城の色彩エネルギー──「黒の色彩」

戦闘が終わり、リクセルはショウ少佐に向き直る。

「ショウ少佐。お前は"色彩エネルギー"というものを知っているな?」

「ああ。だが、黒城の色彩エネルギーは、どうも"普通の色彩"とは違うようだがな。」

「その通りだ。」

リクセルはモニターを操作し、黒城の色彩エネルギーのデータを表示する。

「黒城が持つのは、通常の"色彩エネルギー"とは異なる。"黒の色彩"と呼ばれる特殊なエネルギーだ。」

「黒の色彩……?」

「通常の色彩エネルギーは、色の波長によって特性が変わる。しかし、黒の色彩は"すべての色彩を飲み込み、侵食する力"を持っている。まるで"色彩の終焉"だ。」

「……なるほどな。」

「それだけじゃない。」

リクセルはさらにデータを拡大する。

「黒の色彩は、通常の色彩エネルギーと異なり"生きている"。」

「生きてる……?」

「黒城自身が色彩エネルギーを操るのではなく、"黒の色彩"が黒城を通して世界を侵食しようとしている……そう考えたほうがいい。」

「……つまり、黒城は"色彩を支配する存在"なんじゃなくて……"色彩に取り込まれた存在"ってことか?」

「まだ断言はできないが、その可能性はある。」

リクセルはそう言うと、ショウ少佐をじっと見つめる。

「ショウ少佐。お前が本当に黒城を倒すつもりなら、"色彩エネルギーそのもの"を理解しなければならない。」

「……チッ、難しい話になってきたな。」

ショウ少佐は腕を組み、しばらく考え込む。

「だが、やるしかねぇんだろ?」

「その通り。」

リクセルは満足げに頷く。

「俺もできる限り協力しよう。色彩の暴走を止めるのが、HARPの役目だからな。」

「……頼りにするぜ。」

ロノは銀色の槍を握りしめながら、小さく微笑んだ。

「……ありがとう。私も、戦う。」

──黒城の真の力が明かされる中、ショウ少佐は新たな戦いに備える。

次回、真銀を狙う黒城の配下が動き出す──!!

第15話「研究者ベルトラン──色彩と真銀の真実」


──HARPセクター07・研究区画──

ショウ少佐たちは、リクセルの案内でHARPの研究施設の最深部へと向かっていた。

「ここに、"色彩"と"真銀"の関係を研究している学者がいる。お前たちにとっても、有益な情報を持っているはずだ。」

「色彩と真銀の関係……か。」

ショウ少佐は興味を抱きながら進む。扉が開くと、奥には巨大なターミナルと奇妙な装置が並ぶ研究室が広がっていた。

「おお、来たか!待っていたぞ!」

そこに立っていたのは、白衣を着た壮年の男──Dr.ベルトランだった。

🔷 Dr.ベルトラン──色彩と真銀の研究者

「君が"青空のショウ少佐"か。私はDr.ベルトラン。"色彩エネルギー"の研究をしている者だよ。」

「……あんたが、色彩の研究者ってわけか。」

「そうだ。特に、私は"黒の色彩"と"真銀"の関係について調べている。」

ベルトランはショウ少佐たちを装置の前に案内する。

「黒の色彩──それは本来の色彩エネルギーとは異なる"異質な力"だ。通常の色彩エネルギーは、人の意志や感情によって変化するが、"黒の色彩"はそれを"飲み込み、支配する"性質を持つ。」

「……つまり、黒城が使っている力は"色彩"とは似て非なるものってことか。」

「その通り。黒城は黒の色彩を"操っている"ように見えるが、実際には"黒の色彩の意志"に利用されている可能性がある。」

「……へぇ、そりゃ面白い話だ。」

ショウ少佐は腕を組みながら、ベルトランの話を聞く。

「だが、もし黒の色彩が暴走するなら、どうやって止めるんだ?」

🔷 黒の色彩を浄化する装置

「そこで、私が開発したのが"黒の色彩浄化装置"だ。」

ベルトランは研究室の奥にある装置を指差した。それは球体の中心に輝く銀色のコアを持ち、周囲にリング状のパーツが浮遊している奇妙な機械だった。

「"黒の色彩"は通常の方法では除去できない。だが、"真銀"には特殊な性質がある。"黒の色彩の影響を無効化し、中和する力"だ。」

「なるほどな……。」

ロノが真銀の槍を見つめる。彼女の力が、まさにそれを証明していた。

「この装置を完成させれば、黒の色彩の浸食を抑え、さらには黒城の影響を弱めることができるかもしれない。」

「……"かもしれない"ってことは、まだ完成してねぇってことか。」

「その通りだ。」

ベルトランは苦笑する。

「理論は完璧だが、"安定した真銀の供給源"が足りない。現在のHARPでは、十分な量を確保できていないんだ。」

「なるほどな……。」

ショウ少佐は考え込む。もしこの装置が完成すれば、黒城に対抗できる大きな武器になり得る。しかし、そのためにはさらなる"真銀"が必要だ。

「まあ、急ぐ必要はないさ。私は引き続き研究を進める。君たちも、これからの戦いに備えるといい。」

「……ああ、助かったぜ。」

ショウ少佐たちはベルトランと別れ、HARPを後にする。

──だが、その帰路に、新たな脅威が待ち受けていた。

🔷 スカイファングの残党、襲来!

──新学園都市・郊外 空中航路──

ショウ少佐たちは、HARPの輸送機で新学園都市へと戻る途中だった。

「今回の収穫は悪くねぇな。ベルトランの話が本当なら、黒城にも一矢報いる手がある。」

「……でも、そのためには真銀を集めないといけない。」

ロノが静かに呟く。

「そうだな……。」

ショウ少佐が腕を組んだその時──

「──!!レーダーに高速接近する反応!これは……!?」

操縦士が警報を鳴らした。

「敵襲!?何者だ!?」

外を見ると、数機の飛行艇が接近していた。

「これは……スカイファングの残党か!」

スカイファング──かつて学園都市を襲撃し、ショウ少佐によって壊滅させられた空賊部隊。だが、生き残りがまだいたのだ!

「チッ……しつけぇ連中だな!」

🔷 スカイファングの戦闘機部隊

「へへへ……待ってたぜ、ショウ少佐ぁ!」

通信が入ると、画面に映ったのはスカイファングの副隊長だった男──ガルスト。

「お前のせいで俺たちは壊滅したんだ……だがよォ、"黒の色彩"ってやつに手を貸してもらってな……俺たちはこうして、また空を飛べるってワケだ!」

「……黒の色彩、だと?」

ショウ少佐が目を細める。スカイファングの機体の一部が、異様な黒い光を放っていた。

「どうやら、黒城の力がこいつらにも影響を及ぼしてるらしいな……。」

「おいおい、余計な厄介事が増えやがったぜ……!」

ショウ少佐はストームキャノンを装備し、輸送機のハッチを開いた。

「やるしかねぇな……行くぜ!!」

──スカイファング vs 青空のショウ少佐、空戦が始まる!!

次回、第16話「黒の翼──スカイファングの亡霊」へ続く!!
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最終更新:2025年02月28日 20:25