ライトニングレイル

ガリファー王国は国内の各所を高速で結ぶ輸送網の建設をカニス氏族とオリエン氏族に委託した。目的は、速度が遅いキャラバンにつきまとう諸種のトラブルを避けて、兵士や物品や旅客を高速で運ぶことであった。ライトニング・レイルの開発が両氏族の功績であることは間違いないが、そもそもカニス氏族の導線石がなければ、この高速列車が存在しえなかったこともまた事実である。
 導線石――この発光する大きな球体は、単独ではなんの効果も持たない。しかし、これらをひと続きに並べることで、魔法のエネルギーの通り道(=軌道)ができる。導線石は特別に仕立てられた馬車などの乗り物の下部にも取り付けられる。この乗り物を、あらかじめ敷設しておいた軌道の上に乗せると、地面に並べられた導線石は乗り物に取り付けられた導線石を優しくかつ正確に跳ね返し、その結果乗り物が浮きあがる。この現象によって摩擦によるエネルギー・ロスをほぼこうむらない走行が可能になり、従来の輸送手段とは比べものにならない超高速が実現したのである。
 もっとも、導線石は推進力を生まない。オリエン氏族とズィラーゴのノームたちは、馬車にエレメンタルの精霊を捕縛することでこの問題を解決する。エレメンタルを捕縛した馬車のうしろに客車や貨車やその他の輸送車両を何台もつなげることで、ライトニング・レイルが誕生した。ライトニング・レイル(雷閃列車)という呼び名は、導線石を並べたレールの上を列車が走るとき、まばゆい火花を飛び散らせることに由来する。
 ライトニング・レイルはいまでも運行しているし、以前と同じ超高速で走っているが、路線網には限界がないわけではない。1世紀におよぶ戦乱のあいだ、オリエン氏族は五つ国の外に路線を延伸することができなかった。また、敵対した国と国にまたがる輸送は厳しく制限されていた。そのため現在のライトニング・レイルの行き先はおおむね五つ国領内に限られ、それ以外にはズィラーゴ、ムロール・ホールド、タレンタ平原で数カ所に停まるのみである。戦争が終わった今、オリエン氏族はあらためて路線の延伸に着手、新たな土地に軌道を敷くため、地元の労働者を積極的に募っている。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年03月09日 06:50
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。