時は飛んで合宿に向かうバス車内


同本・某    姫神・吹寄
茜川・白雪   上条・一方
青ピ・土御門  A ・K 
青ピ「何かこの席順に何者かの陰謀を感じるんやけど」
土御門「気のせいだと思うにゃー。多分」
白雪(やった、上条君の隣!)
茜川(いいなぁ……)
一方「なンで俺は最弱の隣なンだァ?」
上条「不幸の予感だ……」
小萌「あれ?先生が決めた席に文句あるですか……?」
今にも泣きそうな担任教師。
土御門「にゃーー!小萌先生全然ないですよっ!ていうか、一方通行!情報屋から聞いたんだけど、黄泉川先生とこの前のロリっ娘含め、3人の女性と住んでるってほんとかにゃー!!」
一方「アァ? うるせェンだよ、スクラップになりてェか?最弱、アイツ黙らせねェと血液逆さの刑だぜェ?オレは寝ンだっつの」
めんどくさそうに空色の毛布をかぶる一方通行。ついでに土御門に向ってベクトル操作のおまけつきの小石を投げた。
そして寝る。ハズだったのだが……、
上条「こんのおバカァァァァァァァァア!!!」
一方「ぐへっ!?」


 寝る態勢に入った一方通行に、上条の右手が炸裂する。


一方「テメェ、何しやが――」
上条「テメェ、今『寝る』って言いやがったか?」


 当然、怒声をあげようとする一方通行。だが上条の剣幕はそれを飲みこませるのに十分すぎる真剣みを持っていた。


一方「な、なンだよ?」
上条「いいか、テメェが俺の横でどんなにイビキをかこうが知った事じゃねえし、テメェが土御門に向かって何を投げようが、よっぽどのことじゃない限りは構わねえよ。」
青ピ「いやいやカミやん、つっちー白目むいてるんやけど。」


 けどな、と上条は青ピを華麗にスルーし、


上条「今の台詞。俺たちのために一生懸命バスレクの準備をしてくれた、小萌先生の前でも言えるのか?」
一方「なっ……!?」


 一方通行が視線を向けると、そこにはうるうるとした涙目の小萌先生が。
古今東西、一流の悪党は泣いている女の子には絶対に勝てないのだ。


一方「チッ……とっと始めやがれ。」
上条「おーし、野郎ども! ビンゴ大会始めるぞーーーーっ!!」
全員(土御門除く。)「「「おーーーーーーーっ!!!」」」



 ――その後、上条は一個も穴を空けることなくゲーム終了という、逆に奇跡的な敗北を喫することになるのはまた別の話。
「にゃー……。べ、ベクトル操作……はずるいにゃー……」


自分の能力を最大限使用したらしい。
敗北した上条をからかったり馬鹿にして遊んでいる一方通行をにらむ。
前の席に居る白雪と茜川がくすくすと忍び笑いをするくらいには楽しいやり取りだろう。
上条「うふふー、全戦全敗。いいですよ~この程度の不幸は想定の範囲内って奴ですコンチクショウ。」
一方「あンだけ偉そうな事言っといてそのザマかよ、ざまァねェなァ。」


 とか言いつつバスを降りて旅館の中に入る一行。


「あ。」


 そして立ち止まる上条。受付で、自分たちの高校の名前の他に『常盤台中学御一行様』と書かれているのを見つけたからだ。


「……はは、やっぱりなー。うん、前持って心の準備をしておいて良か――」


『必要悪の教会御一行様』


「ぶーーーーーーーーーーーっっっ!?」


 いくら心の準備をした上条でも、さらに書いてあったもう一つの団体名を見れば盛大に吹き出さざる負えなかった。もろに想定の範囲外である。


「あ、とうまだ。おーい!!」


そしてタイミングよく現れる、一応必要悪の教会所属のインデックス。
さらにステイルを始め、続々と入ってくる怪しい一団。


「……やけにおとなしく留守番を引き受けたかと思ったら、そういう事かドチクショオーーーーーッ!!!」
伊井(今思ったんだが、この温泉旅館どれだけ大きいんだ?)
「ん、あの子は…えーと、確か姫神ちゃんが転校してきたときに見たことがあるような…上条の名前呼んでるってことは、上条の知り合い?…って土御門、何ですごい顔して固まってるのさ? 」
土御門「べ、べつに知り合いがいたりなんてしてないにゃーっ(なんで必要悪!?つかどうしてこっちに招待状届かなかったんだっ!?)」
茜川「わー、あのシスターの服装している銀色の子かわいいーでも前も見たような… 」
小萌「あれー? ステイルちゃんじゃないですかー?」
ステイル「っ!?  (しまった、日にちを合わせて来たはいいがあいつの担任はこの人だったか……)」
上条「せ、先生!! 俺たちちょっとトイレェェェェーーーーッ!!」
小萌「ちょ、上条ちゃん!?」


 土御門とステイルを引きずってその場から離れる上条。


上条「ぜぇ、ぜぇ……何でここにいるのかを50文字以内でどうぞ!?」
ステイル「何って、ただの慰安旅行だけど?」
上条「短っ!? つーか嘘だっ! どうせまた新手の魔術師が出たとかそんなお話でしょ!?」
ステイル「ほほう、察しがいいね。」
上条「ちょっ!? いや待って無し無し今の冗談! お願いだから上条さんの楽しい旅行を潰さないで!?」
ステイル「いやいや、今回君の出番は無い。思う存分青春を謳歌するといいよ、真実を知らないまま、ね。」
上条「くっ、そう言われると逆に首を突っ込みたくなる人間心理を巧みに突きやがって……!!」
土御門「待つにゃーステイル。思わせぶりなこと言ってるけど、土御門さんはちゃんとお見通しなんだぜい?」
上条「?」
ステイル「……何がだい?」
土御門「ズバリ、インデックスを旅行に誘いたかったけどそんな度胸ないもんだからネサセリウス全体の慰安旅行という大義名分を企画――」
ステイル「違うっ!! 企画したのは神裂達だ、インデックスと一緒に行きたがったのは彼女たちだよ!」
上条「……えーと、つまり何ですか? おまえら今回、完璧にオフ?」
土御門「ここらへんの下調べはちゃんとしてきたにゃー、事件なんて全く起きてないぜい。」
青ピ「ちょ、カミやん!? 何で僕だけ置いてくの!?」
一方「ンだァ? 青髪ピアスから赤髪ピアスに乗り換えかァ?」
青ピ「ガビーン!? こ、こうなったら僕らも新たなコンビ結成や、アクやん!」
一方「一人でやれ。つか勝手にあだ名付けンじゃねェ。」


上条「なら、まあいいんだけど……」
 それだけ確認すれば用は無い。皆の元に戻り、旅館にはいるところで、
美琴「え!? アンタなんでここにいるわけ!?」
舞夏「やっほー、兄貴ー」
土御門「にゃー!?」
 常盤台中学の美琴、そして研修とやらでそれについて来た舞夏とご対面。
「ンだァ?……あ、……打ち止めの……」


青髪をベクトル操作を使って地面に沈め、(!!!!!)とりあえず上条たちに追いついた一方通行。
そこに居たのはかつての敵、御坂美琴で打ち止めの姉でもある。
何と言っていいか分からず、とりあえず最弱の肩をがしと掴み、御坂の方へ押しやった。
上条(このまま突っ込んだらビリビリは確実、やばい!)
とっさに上条は横に蹴りだし、軌道を無理矢理変える。
だがそこにあった鞄につまづいてその上に転び、
「痛い! ってミサカはミサカは一方通行の鞄の中で人知れず叫んでみたり!」
完全に人に知られているその声を聞いた。
「……アァ……?今、ミサカ?打ち止め?なンでオマェついて来てンだァ!?黄泉川ッ!なンでコイツがここにいるんだよッ!?」


隣の自分たちのクラスに向かって大声で叫んだ一方通行。
なるほど、彼ならベクトル操作して重いものを持っても重くないようにはできる。
もしかしたら荷物を詰めたのは他人任せだったかもしれない、しかし。


クラス一同「(いくらなんでも気づくだろう、普通……)」
「あー、ついてきちゃったのは仕方ないじゃんよー。一方通行が責任もって世話してやるじゃんよー」


とてつもなく棒読みな黄泉川。知っててそのまま持ってきたに違いないっ!!!
打ち止め「ついてきちゃったもんは仕方ないんだよーってミサカはミサカは鞄から飛び出てあなたに抱きついてみたり」


一方通行「あァ?開き直ってンじゃねェぞクソガキ!っつか、さっさと離れやがれっ!」 打ち止めの頭を押さえつけながら叫ぶ一方通行。


打ち止め「あああ頭!痛いっ!た、助けてーってミサカはミサカは…はっ!?」
呆然としている上条と美琴を見つけ、上条の後ろに隠れる打ち止め。


打ち止め「パパー!一方通行がいじめるーってミサカはミサカは隠れながら告げ口してみたり」
上条「え?ちょ…パパって俺?いや、それは無理があるでしょうと上条さんは思うのですが…」


小萌「か、上条ちゃん?パパってどういうなのですかー?
はっ…そうして並んでいるとその子、御坂さんとそっくりなのですよー。」
「オイオイ、年齢考えて嘘付けェこのクソガキィ。そンな阿呆がオマエの父親であってたまるかよォ。」(まァ成長促進されてたから年齢は関係ねェが……クローンだとバレるとよくねェからなァ)
「……あぁ、あの時の女の子か。えーっと、打ち止め?御坂、妹の妹だよ。え?……お前、一方通行と仲良いんだな……。まあそんな悪人でもなさそうだし……」


しゃがんで目線を合わせる当麻はきっとよき保護者。
そして、なんとなく事情を察し、一方通行に打ち止めを渡してやるのもよきクラスメイト……なのか?
小萌「か、上条ちゃんが父親っぽいです!? やっぱりその若さで過ちを!?」
上条「えぇ!? いやいやいや、違いますってば先生!! ねぇ、美琴さん!?」
美琴「えっと……それってつまり私ら、ふ、夫婦ってこと……?(///)」
上条「ちょ、美琴さん!? 何で真っ赤になってるんでせう!? うっわ、なんか俺まで赤くなりそ――」


黒子「こんの類人猿以下のケダモノがぁぁぁぁぁ!!!」
禁書「いっそその頭をカミチギル!!」
上条「ぎゃああああああ!? むしろそっちが獣っぽい人たちがダブルで!?ってか白井、なんで学年違うのにいんの!?」
白井「風紀委員ですからお姉さ――コホン。生徒を護衛するためにいるのですわ。っていうわけで死ねぇぇぇぇぇぇーーーーーい!!!」
「ふざけんな! 俺はそんなことしたこともねぇよ! 大体御坂が4歳くらいの時にできるわきゃねーだろうが!
こいつは……何だ、御坂の妹だ!」
「ああ、そォだよ。少しは黙れ。つか打ち止めどこの部屋に寝かせンだよ?俺の部屋は獣(青髪)がいるから無理だろ。黄泉川、どうすンだよ?」


クローンってのがばれたらまずいので、一応当麻の応援をする。
上条「逆に考えれば俺たちの部屋から青髪を追い出せばいいんじゃねえ?土御門はロリコンだけど義妹以外には手は出さないロリコンだしな」
御坂「あんたたちにこの子を預けるのはものすごく不安だけど、私の部屋にも獣(黒子)がいるのよね。」
青髪「ちょ、ちょとこまりますよ!なにもせんから追い出さんといて!」
土御門「これは決定事項だし、信用ならんにゃー。伊井のとこでも行けばいいにゃー」
上条「一方通行はこれでいいか?」
一方「……まあ、打ち止めはどうなンだよ」
打ち止め「アナタと同じ部屋はとっても嬉しいかも、ってミサカはミサカは両手をあげてみたり」
青髪「ちょ、ちょっとぉ……」


明るい雰囲気の四人と、それにすがる獣のお話。
吹寄「待ちなさい! いくら小学生(?)でも女子が男子と同じ部屋でいいわけないでしょ!!」
姫神「その娘は。私たちの部屋で。預かる。」
打ち止め「イヤだーーって、ミサカはミサカは駄々をこねてあなたに抱きついてみたり」
吹寄と姫神から逃げるように一方通行に抱きつく。
土御門「にゃー、本人はこういってるぜい?(つーか、一方通行随分愛されてるぜい)」
上条「小萌先生ー、なんとかなりませんか?」
小萌「え、えーっと、あの、そのー?」
助けを求めるように、おろおろとあたりを見渡す小萌先生。
伊井「先生、提案があるんですけど。たぶんあの子を別の部屋においても抜け出すだけでしょうし、あぶれた青髪を受け入れてくれる人もいないと思います。ていうか御免です。ここは予定を変更して、うちのクラスの男子だけでも大部屋で雑魚寝にでもした方がいいと思います。みんなで見張れば安全だと思いますし」


土御門「むむう…確かにそうだにゃー」
青髪「ていうか、随分酷いことをいわれた気がするんやけど…」
姫神「男はみんなケダモノ。むしろ群れるほうが危険。女子の部屋に簀巻きにして転がしておいたほうがまだ安全だと思う。」
打ち止め「簀巻きはやめてー、とミサカはミサカは涙目で訴えてみたり。ママ助けてー、とミサカはミサカは今度はママに助けを求めてみたり」
美琴「えっ!? ま、ママって私?(///)」
打ち止め「できればパパとママとあの人と一緒の部屋がいいと、ミサカはミサカは希望を口にしてみたり」
黄泉川「よしじゃあこうするじゃんよー。そこの少女、もしよかったら打ち止めと一緒の部屋じゃん。一方通行と上条も同じ部屋にしとくじゃん。
ああ、その子に何かあったら一方通行が大変なことになるから安心じゃん。
一方通行自身はいつも一緒に寝てるし。極めつけに災誤先生と同じ部屋を頼むじゃーん♪」


そこの少女は嫌だったらいいからね、と黄泉川。
まあ災誤先生と一緒の部屋は嫌だし……納得し始めたクラスの面々。
一番不幸だったのはきっと上条に違いない。
インデックス「む?なんで短髪がとうまと一緒なのかな?だったら私もとうまと一緒がいいかも。」
上条「これ以上疲れたくないのでインデックスサンはステイルとでも寝ててください。つーかそうしやがれ」
一方「ヨミカワァァ!いつも一緒に寝てるとか!適当コイてンじゃねェ!」
黄泉川「嘘はついてないじゃん?
 この前も打ち止めを抱き枕がわりにしてたじゃんよー」
 そのとき一方通行は寝ぼけていた、という大事な部分は話さない黄泉川。
一方「ンなっ!? 何てこと言いやがる、テメ――」


 その時、背後から両腕を掴まれる一方。


土御門「電極のスイッチに触れなければこいつはただのもやしにゃー! やってまえ青髪!」
青ピ「合点! 侮蔑と羨望を受けつつ死ねやイッコー(IKKO)ーーーーー!!」
一方「テメェェェェェラァァァァァァァ!!!」
美琴「パパとママ………夫婦一緒の部屋………川の字?」
上条「もしもーし!? なんか思考が変な方向にぶっとんでませんか御坂さん!?」
美琴「しょ、しょーがないわねー。娘――じゃなかった、妹が心配だから……いいいいい一緒の部屋でもいいわ、よ?(////////)」
「一方通行を救い出す、ってミサカはミサカはいつもと逆な立場に興奮しつつ電流を流してみたり!」
 さすが妹達の上位個体。普段は使われることのないレベル3の電撃が器用に一方通行をよけて襲いかかる。


 ……まあ手加減はしているが。
黄泉川「はいはい、遊んでないでもう部屋割りも決まったんだから、さっさといくじゃんよー。つーか、これ以上旅館の入り口で騒ぐのは迷惑じゃん」
黄泉川の言われて、生徒たちはぞろぞろと旅館の中へ入っていく。


青髪ピアスと土御門は打ち止めの電撃から復活するまで、寒空の下取り残されるのであった。


青髪ピアス「こういうのは、いつもやったらカミやんの役やないの?」
土御門「ふ、不幸にゃー」
舞夏「おーい、大丈夫かー、兄貴ー?」
しゃがみ込んで、ちょっと焦げてる兄貴を木の棒でつつく義妹。
最終更新:2012年10月19日 00:30