サントラ・楽曲別使用状況
「水平線上の陰謀」オリジナル・サウンドトラック
豪華客船が登場した映画と言えば「世紀末の魔術師」が浮かぶかもしれませんが、「水平線上の陰謀」は始めから終わりまで船、船、船です。また通常放送の「豪華客船連続殺人事件」や「二十年目の殺意 シンフォニー号連続殺人事件」でも客船が舞台になっているものの、登場人物の数はわずかでした。本作は普通の客船らしく容疑者・被害者だけでなく一般客も多数乗船しており、非現実的で華やかな世界を演出するBGMも印象的です。また「広大な海」と「水平線上」をイメージした神秘的で幻想的なテーマ、そして終盤の感情曲群も魅力があります。
テレビでは’06年1月9日放映の第425話「ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間」から使用を開始しました。「銀翼の奇術師」のBGMは’05年9月5日放映の第413話「完全半分犯罪の謎」からスタートしたので、わずか4ヶ月しか経っていません。まるで怒涛の如く新曲が導入された印象を受けるかもしれませんが、「ベイカー街の亡霊」から始まった新曲導入率・使用率の低さがここに来てマックスになります。ごく数える曲数・回数しかテレビでは使われませんでした。
翌2007年からはテレビのBGMが新しくリアレンジされたものに切り替わり、そのアレンジ作業の中で使われない曲は姿を消しましたが、どうやら「水平線上の陰謀」のBGMは一曲も’07バージョンが作られていないようなのです。従って、本作のBGMが使われたのは’06年のみということになるので「ほとんど使われていない」のは仕方ないかもしれませんが、それにしても少なすぎると思います。近年に導入したばかりの曲は’07年以降も使えばよかったのではないでしょうか。
冒頭の15年前のシーンで流れた神秘的・幻想的な曲だ。スケールが大きく、本作専用の音楽に感じる。
それでもテレビで聞く機会がなかっただろうかと思ってしまう。過去の事件について説明するシーンの他、キッドのテーマ曲として使っても面白かったかもしれない。
「15年前・第一八代丸」のアレンジで、はっきり言って同じような曲である。ただ締めはショック音楽になっており、事件発生を告げる。
事件発生部分は使えただろう。
前2曲に続いて神秘系の曲であり、いずれも似通ったイメージだ。だが「アフロディーテ号」はトラック39「平和への祈り」のメロディを踏襲した曲であり、大団円のテーマとしても使えそうだ。
4.名探偵コナン メイン・テーマ(水平線上ヴァージョン)
「天国へのカウントダウン」「ベイカー街の亡霊」タイプのメイン・テーマであり、両者の特徴を足して生まれ変わった完成版という印象だ。「ベイカー街」のカチカチ音、裏に微かに聞こえるフルート、「天国」と「ベイカー街」を被せて合体させたような間奏部分、全体の重厚感など聞きごたえがある。締めの迫力は本作が最も優れていると思う。
なお、次回作「探偵たちの鎮魂歌」のクライマックス付近で流れるのも水平線上ヴァージョンだ。
メイン・テーマ明けの船内で流れるゴージャスな音楽である。説明書によると実際のパーティーでビッグバンドが演奏しているように聞こえるようにしたとのことで、こだわりの一曲らしい。
テレビでもパーティーシーンには使えたかもしれない。
序盤の会食の席で園子が蘭の空手優勝祝いの話をするシーンで流れた平和な曲だ。
かなり無難に仕上がっているので、日常曲として取り入れてよかったのではないだろうか。
クイズのシーンに流れた曲だが、どちらかと言うと「夏のビーチ」を思い起こさせてくれる一曲である。
これからかくれんぼをすることにしようという会話の中で流れる曲で、可愛らしい音色から探偵団のイメージが強い。マーチが運動会っぽい。
タイトル通り、鬼が園子と哀という組み合わせになった時に流れる音楽だ。ミニギャグと言うか微笑ましさを含んだメロディなのでドタバタギャグのテーマではない。
なんとなく思ったが「小さな巨人」の代役が務まりそうである。
かくれんぼを開始するシーンで流れたリズムに乗った一曲。「園子と哀の異色コンビ」に比べるとこちらの方がギャグっぽい。
Cパートのギャグ落ちで使えた気がするんだがどうだろうか。
小さいころのかくれんぼを思い出すシーンで使われた。トラック21「想い出(水平線上ヴァージョン)」のインストバージョンと表記した方が分かりやすいと思う。微妙にメロディが異なるから「想い出」扱いにならないのだろうか。
微笑ましい過去を空想する時の音楽であり、映画での使い方が最もしっくり来ると思う。
西暦 |
話数とサブタイトル |
使用回数(2回以上のみ;赤) |
年間使用話数と回数(赤) |
備考 |
’06 |
433.コナン変な子 |
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1 |
現実音 |
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合計1 |
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映画では未使用の曲。非常にゆったりとした曲で、静かなアフタヌーンティーを演出するのに相応しいBGMだ。
ここに来てようやくテレビで使用された曲が登場した。と言っても一度きり、しかも喫茶店で流れる現実音としてのBGMである。
映画では複数回使われた、「犯人」の犯行計画テーマである。「暗殺者のテーマ」のような、いかにも悪のテーマという一曲である。
これがテレビで使われなかったのは解せない。なぜ第425話「ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間」で組織のイメージ曲として利用しようと思わなかったのだろう。うーん、もったいない。
映画未使用曲だ。「暗躍」のメロディを含んだイントロからアクション曲に変わる。
映画では使われなかっただけにテレビでは…と思うんだが。
園子の危機をコナン達が認知する場面で使われた、危機感煽るパニック音楽だ。タイプ的には事件発生曲として使うのが妥当だろう。
テレビでも未使用だ。ただし、次回作「探偵たちの鎮魂歌」において再び使われた。
園子が、自分がどこかに閉じ込められていると気づく場面で使われる静かなサスペンス曲である。
映画では複数回使われた、捜査・考察・推理と汎用性の高さを感じさせるサスペンス曲だ。これは初期から存在するタイプの一曲で、もともとテレビ用に作られた一曲だと言われても納得できる典型的なメロディをしている。
しかしテレビでは全く使われなかった。年に20回以上使われてもおかしくない楽曲であるだけに残念。
前半は警察到着シーンや考察シーンで使われた刑事の謎解きテーマといった趣の曲で、後半はコナンがひょこっと顔を出して関係者に質問をする際に流れた妙にコメディテイストな曲である。
前半は考察・推理シーンで多用できたと思う。後半部分はかなり謎の音楽であり映画での使い方に疑問が残るが、コナンが麻酔針を打ち込む時や捜査をする時に使うなんてのはありかも。
更に考察・推理に特化した一曲である。静かだが謎が深まっていく感じが出ていて雰囲気がある。
「現場検証’05」と同じく、なぜ使われなかったのか不思議な曲である。
西暦 |
話数とサブタイトル |
使用回数(2回以上のみ;赤) |
年間使用話数と回数(赤) |
備考 |
’06 |
425.ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間 |
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6 |
一部分 |
439.そして誰もいなくなればいい |
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一部分 |
449.本庁の刑事恋物語 偽りのウェディング |
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452.こんぴら座の怪人 |
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458.園子の赤いハンカチ(後編) |
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459.怪人ガチガチ規則男 |
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合計6 |
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映画では別バージョンも含めて複数回使用されている。「冷静な白鳥刑事」と同じく考察・推理の曲で、この曲もメロディが安定していて使いやすい。
「水平線上の陰謀」の中で最も数多く流れた曲である。それでも’06年に6回使われただけで(うち始めの2回は曲のアクセントになっている「チャラララン チャラララン♪」という効果音のような部分のみ)、いかに本作のBGMが使用されていないかが分かると思う。
蘭が小学校の頃の「かくれんぼ」の思い出を園子に語って聞かせるシーンで流れた。従来のバージョンと違い「ルールールールルーール♪」と声楽になっている。
日下ひろなりの部屋に乗り込んでいったコナンの作戦が失敗するイメージ曲。なんだかすっとぼけたメロディである。
この曲は次回作「探偵たちの鎮魂歌」でも使われている。
船から突き落とされた男性の水死体が発見されるシーンで使われた。イントロは怖いが、曲のメインは怖さと哀愁が混じっておりなかなか味がある。
自白曲として使えなかっただろうか。
西暦 |
話数とサブタイトル |
使用回数(2回以上のみ;赤) |
年間使用話数と回数(赤) |
備考 |
’06 |
425.ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間 |
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1 |
番組イントロ(新年のあいさつ) |
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合計1 |
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ウェルカム・パーティーに出席するシーンで流れるゴージャスな曲だ。「アフロディーテ・ビッグバンド」よりも上品で力強い音楽である。
テレビでは第425話「ブラックインパクト!組織の手が届く瞬間」の番組開始前の「新年明けましておめでとうございます」のシーンで使われた。例年なら(と言ってもこの当時はまだそこまで定着していないが)和装をしたコナン達が出てきて和風の音楽と共にあいさつをするのが恒例だが、この年はコナン達がタキシード等に身を包んでいるため、このような選曲が行なわれた。
小五郎が「真犯人」を指摘・推理するシーンで使われている。繰り返し型メロディで使いやすいとは思うのだが、やはり緊迫感を伴った推理曲ではない。
阿笠博士の声を使ってコナンが推理する時に流れる曲だ。「陰謀(摩天楼ヴァージョン)」や「漆黒の殺意」のようにとっておきの推理曲という感じが滲み出ている。事件の謎に対する緊張感や犯人を徐々に追いつめていく雰囲気が心地よい。
これは是非テレビで使ってほしかった一曲だ。近年は「紺碧の棺」の「インターナショナル ケース(インシデント)」という曲がテレビでよく使われるが、同じような役割を持たせてほしかった。
悪のテーマのイメージに始まり、追いかけっこに入るところで流れる。混乱の中を突き進む追跡のテーマだ。
浦上靖夫氏ならイントロだけを喜んで使いそうだが…未使用である。
コナン・少年探偵団が逃げるボートを追跡する時に流れるアクション曲である。純粋なアクションというだけでなく、追い詰められた切迫したメロディになっており、「5・4・3・2・1!」な場面でも使えそうだ。
組織のスペシャルで使ってほしかった。「銀翼の奇術師」の「緊急事態発生!」よりこちらの方がふさわしいと感じる。実写版で「こういう使い方がいいお手本」という流し方をしているのでアニメ本編で流れなくて残念である。
29.名探偵コナン メイン・テーマ(水平線上アドリブ・ヴァージョン)
コナンが逃げた奴を麻酔針で退治するシーンで使われた。珍しく一作品に2種類のメイン・テーマが用意されたわけだが、別に水平線上ヴァージョンを更にアレンジした曲というわけではなく、変則型の短いメイン・テーマを個別に作った感じだ。
客船が傾き始める段階から複数回流れる。イントロは「15年前・第一八代丸」型の神秘系で、その後緊迫感と哀愁を伴ったメロディになる。
主要メロディの部分はなかなか深い曲で、推理シーンや自白シーンにも使えそうだ。これが流れなかったのは誠に残念でならない。
まだ事件が解決したと信じられないコナンが考察する時の短い曲。シーンのブリッジにも使えそうだ。
現在なら喜んで使っていそうな一曲だがテレビ未使用。
コナンが「果物ナイフ」から真相を突き止めた時に流れる曲。「犯人はあの人だ!」のテーマのひとつだろう。
「果物ナイフが!?」に続けて流れる曲。再びモーターボートに跨ったコナンが「なんだろうな…」と静かに語り始めるシーンで使われた。久しぶりにコナン目線の、前へ出る一曲だ。
テレビで特に使ってほしかった曲の一つで、推理で犯人を追いつめる時に流れると様になっただろう。
西暦 |
話数とサブタイトル |
使用回数(2回以上のみ;赤) |
年間使用話数と回数(赤) |
備考 |
’06 |
452.こんぴら座の怪人 |
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1 |
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合計1 |
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映画では殺人事件の犯人と思われていた人物が爆発スイッチを取り出すシーン、そして真犯人が分かったコナンがモーターボートで客船に戻りその犯人が姿を現す場面で使われた。とても感情の込められた真実と哀愁のテーマである。
これは名曲のひとつだろう。テレビではただ一度、第452話「こんぴら座の怪人」で使われた。一度だけでも使われた価値のある曲だと思うが、’07年以降も残してほしかった。真実を突き止めるシーン、推理シーン、自白シーンいずれでもいける。
小五郎が真犯人と対峙し、自分の考え方を伝えるべく真面目な推理を披露する場面で使われた。「15年目の真実」と同じく哀愁が漂いまくっているが、こちらは一転して穏やかである。
犯人が静かに真相を語るシーンで使うとよく合うと思う。
犯人が小五郎を一方的にボコボコに殴りつけるシーンで使われた音楽だ。ポンポコポコポコ~と音が面白い(笑えるという意味ではない)。
客船から脱出するために奔走する時の音楽だ。
前半部分はこの頃から定番になってきた危機一髪シーンの盛り上げメロディ、後半は「想い出(水平線上ヴァージョン)」の声楽「ル」を「ラ」に置き換えた曲である。当初は最後の蘭救出シーンに使う予定だったのだろうが、前半部分は事件発生を感知しドアを突き破るシーンとコナンが最後に間に合うかどうかを賭けたシーンで使われた。
前半部分は現在ならかなり使われていたのではないだろうか。
ED後に流れるめでたしめでたしの曲。今作は真面目な雰囲気のまま終幕するため、いつものギャグ落ちがない。
40.想い出たち~想い出~(水平線上ヴァージョン)
ボーナストラック扱いだが、終盤の蘭救出までの流れに使われた。’97年に「想い出たち」という曲名で伊織が歌っていたが、その高山みなみバージョンである。
なお、「探偵たちの鎮魂歌」の終盤にも使われる。
未発表曲1(「アフロディーテ・ビッグバンド」別バージョン)
映画では序盤の会食時における会話シーンで使われた。主旋律を抜いたバージョンである。
客船の朝、潮風に当たりながら安らぎを感じるイメージだろう。サントラの「平和への祈り」にメロディを付け足したロングバージョンである。
警察ヘリが到着した後に流れるバージョンだ。正確に言うと「平和への祈り」と同じくサントラのメロディに更にプラスアルファを加えたロングバージョンと言うべきだろう。尺が足りないと判断し長めにアレンジしたのだろうか。
日下の取調べシーンで流れたバージョン。少しサントラバージョンには収録されていない音が入っている。
サントラ収録バージョンと同じく犯人を追いつめる推理シーンで使われたが、若干別のメロディになっている。
未発表曲6(「名探偵・毛利小五郎の推理」別バージョン)
真犯人が自らの立てた計画について話す時と、その後の小五郎の悲哀を感じさせるシーンで使われたバージョン。こちらも追加メロディがある。
サントラ未収録曲で唯一のオリジナル曲だ。小五郎の活躍もあり今度こそ本当に全てが終わったように思えるがコナンがモヤモヤを感じているシーンで流れた。
最終更新:2014年07月21日 01:52