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ss2-04 融合──心合ワセテ──

惑星プーシャ・アーグル泉と呼ばれる地域。

惑星ポイーンに似た環境で、高く並ぶ足場と海があり、ほぼ常に雨が降っているという、環境が安定していない場所である。

その奥の洞穴に、離反した悪魔軍は散在していた。

一人のデルゴンが、玉座を模した派手な椅子に座り、傍らには夜鴉が鎮座し、複数のコードを繋げて調整が続けられている。

「あ、兄貴…」

恐る恐る、調整を担当していたデルビンが、デルゴンに声をかける。

「あぁ? どうした」

ドスの利かせた低い声を出し更に怯えるデルビン。しかし、すぐにその恐怖を払拭し、本題を口に出した。

「夜鴉の戦闘プログラムは、未だに、よ、40%しか稼働していませんでした」

「40%だと…? なるほど、それであの強さを発揮できるなら、最大稼働では奴らの始末も簡単か」

「し、しかし…100%まで引き上げてしまうと、何が起こるか…」

またも恐る恐るといった調子で言うデルビンだが、デルゴンがそれを妨げた。

「何が起こるか解らないんなら、調べろ」

「え…?」

「幸いここにゃ、馬鹿見てえに実験台がいるだろうよ。まだ連中は気付いちゃいねえ、時間はタップリある。やってこい」

「りょ、了解…!」

身体を震わせながら、夜鴉を移動させる。

洞穴から出て、デルビンはプログラムを再び弄り始める。

実験台になるとも知らないデルビコプター一同の一人が、デルビンに何をするのか聞きに動いたが──

その身体が、二つの刃に貫かれた。

「ひ、え……」

伸びる漆黒の腕。

「ま、まずい…!」

プログラムの異常を察知したデルビンが、プログラムを強制終了させようとする。

それと同時に、夜鴉が動いた。

刃を振りきる。

横にいたデルビンごと大きく一閃し、そのうちデルビコプターを撒きこんだ。

「うわあっっ!」

慌てて飛び立つデルビコプター。

夜鴉は強引に飛び上がり、コードを繋いだプログラム入出力機ごと駆けだす。

「なんだ、何があった!」

異変に気付いたデルゴンが出てくるが、既に手遅れだった。

一閃。

高度を上げようとしていたデルビコプターを、まとめて切り裂いた。

眼光と同色の、水色の刃が雨の水を弾き、これでもかと空中の“的”を切り裂く。

「俺の声が聞こえねえのか!てめえ!」

その声に、夜鴉が振り返る。

「……」

そして、ガトリングの銃身を洞穴へと向けた。

「応戦だ」

言葉と同時に、デルゴンについてきていたサタニス・サタファーが一斉に飛び立つ。デルゴン自身も、ラージバズーカを取り出して攻撃を開始する。

「──繋がれた犬は空を飛ぶ鴉を墜とすことはできないんだよ」

初めて、棒読みではない声が発された。

銃身が回転を始め、飛びだしたサタファーを一瞬で撃ち抜いていく。

「まさか、自我を得たってぇのか…?」

一瞬で全滅したサタファー。スピアを構えたサタニスも、デルビコプターと同じように斬り落とされていく。

「き、貴様…!」

怒りに身を任せ、飛び上がってウォーハンマーを振り上げる。

「遅いな」

スウェーで簡単に交わし、二刃の刃で貫いた。

「ッッッ」

声にならない呻きをあげ、徐々に目が光を失っていく。

「…フン、この程度か」

そのまま斬り捨てて、新たな目標を確認する。

「……来たか」



「ここが、惑星プーシャ……」

アルテミスが、始めてみる惑星に感嘆の声を上げる。

彼ら一行は、河童の里と呼ばれるフィールドにて一時待機していた。

「手荒い投下だったぜ、全く…」

この惑星プーシャには宇宙港が存在しない為、シャトルを着陸させることができなかった。帰るわけにもいかず、アビアティックの提案で跳び下りることにしたのだ。

アルテミスは高出力のブースタで自在に駆け回ることができ、アビアティックは両肩のアブストラクト・ユニットで同じく飛行能力があるが、ヴァンガードはその低い出力のブースタで着地しなければならなかった。

「中々のスリリングな体験だったろォ? それともビビってたのか、ヴァンガード?」

「馬鹿が」

一言で一蹴し、事前に用意した簡易マップを取り出す。

「報告では、この先に屯してるらしいな。行ってみるか」


「ほぉ?」

初めに言葉を発したのは、アビアティックだった。

「これ…、少しポイーンに似てんだな……」

雨が降っており、遠くには爆音も聞こえる。

「待て、爆音だと?」

高台の奥に目を向けると、黒い何かが空を飛び、蒼い刃の剣を以て暴れている。

「アイツは…」

「夜鴉か。早速目標到来じゃねえか、ヴァンガード」

緊張感の無い声でヴァンガードに声をかけるが、ヴァンガードは警戒を続けている。

最後にデルゴンが貫かれ、大きな爆音が聞こえたと同時に、隣のアルテミスが飛び出そうとする。

「待て、アルテミス」

左手で肩を抑え、背中に支えていた装置を地面に下ろす。

その中にあった手のひらサイズの“コア”を取り出し、アルテミスに手渡した。

「これは?」

「“融合”する為のコアだ」

「ゆうごう…?」

「文字通り“融合”だ。得体のしれない物をかき集めて作ったモンだから成功するかどうかは解らん。だが、今のお前じゃ奴には勝てない。なら賭けるしかねえだろ」

言い終えると、装置が展開し、その中にヴァンガードが入る。

事前に手順を知らされていたアビアティックがスイッチを押す。装置が起動し、みるみる縮小していく。

小型化した装置がコアに収まり、アルテミスに異変が起こった。

蒼い光がアルテミスを覆い、その頭部が変貌して行く。

額には特徴的な先鋭の2本の角。スマートでバランスの良くなった頭部へと代わり、複眼が集約されて二つの瞳になる。

「…!?」

「よし…行けるな」

『ヴァンガード、様…?』

「なんとか行けたようだ。身体を借りるぞ」

スターエッジ/戦闘機動。

AURA用飛行パーツの内側に収まっていたパーツが展開し、蒼い光の翼を展開する。

風を切りながら、融合したヴァンガードが駆けだした。

最終更新:2012年01月24日 19:10