「う・・うぅん」
浅い浅い眠りから目をさます・・・・・・・。
頭が・・まだはっきりしないわ・・・ね。
まどろみのなか、心地よい感覚が続いていく。
自分の形がぼやけて、いてなにもはっきりととらえられない。
けれど落ち着く感覚。
・・・なえぎ君?・・・・
ふとその言葉が頭に浮かび、それから意識は覚醒しだした。
ゆっくりと、頭に血が回ってくる。
気がつくと私は、ベッドで眠っていた。
といっても、今は夜ではない。捜査の途中で疲れて、
苗木君の部屋で少し話をしていたらそのまま・・・・。
そうか。ここは、
ここは、苗木君の部屋だ。
家具や物が少なく殺風景な部屋。もっとも、この学園では誰の部屋でも同じようなものだろう。
部屋で喋る時にと食堂から持ってきたティーカップが唯一人の温かみを感じさせる。
記憶では寝る前まで一緒にしゃべっていたはずなのに、部屋の主は不在だった。
どこかに出かけるなら起こしてくれればいいじゃない。
なんとなく不満に思いながら、私は再びベッドに身を倒した。
なんといっても、疲れているのだ。
苗木君と話をしていて、そのまま寝入ってしまうなんて。
そんな事は今まで一度もなかった。
このベッドが異常に落ち着くのがその原因かもしれないけれど。
などと独り言を言いながら。
ぼふっ
枕に顔を埋める。うん。いい。
落ち着く。苗木君の匂いがする。
このままじゃスカートに皺がつくと考えて、もう手遅れな事を思い出した。
どうせなら二度寝してしまおう。
それにしても、苗木君の匂いがするから落ち着くなんて、私ちょっと変態なんじゃないかしら。
もう頭が回らない。また、まどろみの中に落ちていく・・・・・zz。
部屋に戻ると霧切さんは、もう起きていた。よかった。
霧切さんの寝ている姿。特にスカートが乱れているあたりが気になって、
男としての本能がガンガン刺激され、このまま同じ部屋にいちゃヤバイと思って、抜け出した僕としては、なんとか危ないところを乗り切ったって事だ。
まぁ、ああいう無防備な姿を見られる機会もあまり無いだろうから。せっかくだからもっと堪能しておけば良かったかな、なんて今だからこそ考える。
「良く眠れた?」
「おかげさまでね。ありがとう苗木君。急に寝てしまってゴメンなさい。」
それだけ告げて霧切さんは、そっけ無く帰ってしまった。
でも顔がものすごく赤かったあたり、きっと寝てる姿を見られて恥ずかしく思っているんだろう。
僕は、さっきまで霧切さんの寝ていたベッドに寝転んだ。なんだか、これはこれで緊張するなぁ。思わずつぶやく。
ほんの少しだけ残っている気がする体温とか、少し乱れたシーツとか。
あっ・・それに・・・・霧切さんの匂いがする。
最終更新:2011年07月15日 17:43