所アキラSS


所アキラは有名なカブトボーガーの一人である。
といっても彼の実力自体は平均以下。彼が有名になった理由はそれ以外の部分にある。
理由その一、彼は大会参加するとき常に女装している。
主に少女型ボーグのコスプレで公式大会に現れ、最近では月ヶ瀬工場のメイド型ボーグの衣装がお気に入りだ。

そしてもう一つ、彼はボーグの限界に挑戦する男だった。
ある時はミニ四駆にアキカン電池を入れて魔人ボーグだと言い張ってみた。無事審査に通った。
ある時はドリアンをくりぬいてその中にアキカン電池を入れて参戦。これも無事に審査を通る。
ある時は発想を逆転させ市販のボーグに普通の電池を入れてみたが、これは審査落ちした。

所アキラは考えた。アキカン電池すら入っていればボーグとして認められてきたという事は
アキカン電池こそが魔人ボーグなのではないか。
アキカン電池に使われているスララというエネルギーに秘密があるのではないか。

彼は文献を漁り、かつてスララとは全て飲み込み均質の存在を産み出すモノに付けられた事を知った。
ならば、この電池の単位がスララというのも偶然ではないのだろう。
間違いない、アキカン電池との接触によって変質する事が大会のレギュレーションを通る条件だ。
ここまで仮説を立てたらもう後には引けない。所アキラは真実を確かめる事に躊躇しなかった。


『ヨシヲへ、兄ちゃんはちょっと旅に出る。部屋にお前が欲しがっていた月ヶ瀬のメイドボーグがあるから
それで今度の公式大会に出なさい。見た目が兄ちゃんに似ているけど、くれぐれもエッチな事に使わない様に』

魔人ボーグ大会直前、所アキラは書き置きを残し消息を絶った。
そして昨日までは部屋に無かったボーグが一体。

「えーっと…、この電池をお尻の穴に入れればいいんだなっと」
「ひゃん」
「ん?今このボーグ電池が入る前に喋った様な?それにしてもこのボーグ本当に兄ちゃんに似てるなー。
今回のテーマは月ヶ瀬メイドロボの海賊品?よくこんな手間のかかるボーグを作ったもんだ」
「ふっふふ、実は僕…じゃなくて所アキラは凄腕の造形テクニックの持ち主なのだよー」
「声まで兄ちゃんに似ている。おい、兄ちゃんはどこいったんだよ?」
「私をエントリーさせてボーグ大会に出場しなさい、そうすれば兄に会えるはず。たぶん」

こうして所ヨシヲは兄そっくりのメイドボーグに兄の名を与えて参戦したのだった。
果たしてこの大会に隠された秘密は何なのか!?ヨシヲ君の兄はどこに消えたのか!?




最終更新:2010年09月10日 11:53