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夏・前半

今日は比較的涼しい
ただ、7月のはじめなのでまぁ、それでも暑いわけだが…
あっちで、怖いお兄さん達が話している。
「あ~、あっち、雨でも降らないかな~」 
きっとだいたいのやつはそう思うだろう
だが、オレは雨に嫌な思い出があるので何と言うか…好きではない
まあ、それはさて置き、オレは図書室に今向かってる。
……いつもの暇つぶしと思ってもらっては困る
今日は勉強しに図書室に行くのだ。オレが。珍しく。
それは今日の昼休み、他のクラスの見知らぬ女子が、もうすぐテストだから勉強教えて欲しいから放課後、図書室来てね、と言ってきたのだ
オレは学校で話し掛けられ焦って気づいたらOK出してた

放課後になり、よく考えるとあれは人違いではなかったのだろうか?俺は勉強が出来るわけでもないし……
そんなことも考えながら、図書室の前で来て立ち止まった
このまま逃げても人違いなら別に今後関わりなんて…
お、思ったが、やはり、最終的には
むぅ…やはりちゃんと断るか…

ガラッ
無数の本に混じり、ほんわりと優しい香りがした
キョロキョロと周りを見渡したがそこにいたのは春野 チエリだけだった
「あ、大井くん」
「や、やあ… 春野さん」
オレの素っ気ない返事とは違い、キレイな声が返ってきた
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
そう言われたのも上の空でオレはあの女子がいないかとキョロキョロした
すると、春野が
「どうしたの?」
「あの、茶髪でポニーテールの女の子見なかった?」
「え……」
「そ、その子がどうかしたのかな?」
チエリがいつもと違い、驚いた様子で話すのでオレは半歩引いた
「いや、何でもない」「…… そう…」
……
オレは改めて、話を戻そうとした
「あ、ごめん。聞きたいことって?」
「えっとね…」

「今月の20日って空いてないかな…?えっと、20日に花火大会があるんだけどもし暇なら、暇ならいっ…」

チエリが言い終わらないうちに、静かな図書室に明るい声が響いた
「つばさく~ん」
振り返ると司書さんに怒られるあの茶髪でポニーテールの女の子だった
「……さようなら。またね…」
チエリはそう言って悲しげな表情で図書室を出て行った
「……」
そんなオレの背中に彼女は手をかけてきた「遅れてごめーん、大声出すなって怒られちゃった……」
「………つばさくん?」
「えっ、ああ、ごめん」
それにしても妙に馴れ馴れしい
まだ、こっちは名前も分かってないのに…


時計を見ると30分ほどしか経っていないのに体感では三時間ほどに感じる
彼女はオレに分からないところを聞いたりしているがオレはチエリのことで勉強に集中できないでいて完全にこの女子の参考書と化している気がする
問題はいたって簡単な問題ばかりなのでよかった
しかし、名前をさりげなく聞き出そうとしたのにいつの間にかこんな状態…
そこから待つこと30分
「それじゃあ、今日はこのくらいにしようか」
「そ、そうだね 」
やっと解放してくれるようだ
「ところでつばさくん、ナツキがきた時にいたあの子誰?」
いきなりの展開
とりあえず、彼女の名前は何たらナツキ何だろう
「え、ただの知り合い(友達ではないよな)」「あ、そうなんだ、今日はありがとう!じゃあね、また明日~」
そう言うナツキの顔は頭に残っているあのチエリの顔と対照的で俺の頭の中は渦巻いていた


 そこから約2週間たった。水でムクンだ雲でいつもより暗い昼、オレはいつも通り購買部でパンを買い、少し前に見つけ出した、ぼっち飯に絶好の場所、体育館の裏に来ていた
ここでなら、人目を気にせずにゆっくり食べられるのでものすごい気が楽だ
さっき、パンを買った帰り、ナツキにバッタリ…不自然に出くわした

はぁ…
その時ナツキはオレを20日にある縁日に誘ってきたのだ
それで、話の展開に乗せられてはOKを出してしまった
今になって考え直すとなぜオレなのか、と疑問を持ち出した…

「大井君、こんなところに居たんだ」
いきなり呼ばれてびっくりした
春野チエリだった
「あぁ、春野さん」
オレは気まずいのでそっぽを向いた
すると彼女が話しかけてきた
「あ、大井君、20日、一緒に花火大会に行かない?」
「え!?」
突然いわれていつも以上に戸惑った
「あ、ほら、あの時のお礼、何もしてないし…」
「あ、え、えーと」
勿論、さっき言ったようにオレはナツキに誘われたのだ
しかし、何とも断りにくいこの状況
そういえばオレの数少ない友達のオタク野郎が乙女ゲームでヒロイン全員を同時に告白されるエンディングがあるとか言っていた
その時は興味なく聞いていたが
その時の主人公ってこんな気持ちなのかと思った
気持ちが混乱して訳のわからないことを考えたが心配そうにこちらを見る彼女にオレは返事をした
「ごめん、その日は友達と縁日に行くんだ…」
果たしてナツキが友達で無いだろうが行くのは間違い無い
「友達って…」
雲行きが怪しくなってきた
「友達って、もしかして、茶髪のポニーテールの女の子のこと?」
「え、そうだけど」
「やっぱり…」
とても小さな声でチエリはつぶやいた
翼には聞こえない
「あ、春野さん
なんなら、」
オレがそう言い掛けると彼女が口を挟んだ
「無理に私なんかを気遣うことないから」
「それじゃあ。」
彼女はそこまで言うと、 立ち上がり、教室に向かって走って行った
そして雨が降り出した
ふと、彼女は立ち止まり、振り返ってこういった
「20日、2人で楽しんできてね」
その時、彼女の目もとが若干、赤いような気がしたので泣いているのかと思ったが雨のせいで彼女の涙を確認することはできなかった雨でびしょびしょになったオレは教室まで走った
雨はあの時とは違い、滝のように降っている
こうして、止むことを知らず降り続ける雨にオレのリア充ライフの道は深く、深くに埋もれていく


  • おさとうゆっくりげえおもしろいです!!!!!!早く続きよみたいなー! -- 会員 (2013-07-06 19:00:14)
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最終更新:2014年11月04日 00:05